松井信彦のレビュー一覧

  • スプーンと元素周期表
    面白かったー。
    こういう科学エッセイ大好き。
    興味深い話はたくさんあったが、一番驚いたのは天然核分裂反応炉のオクロの話。
    ウランと水と藍藻類だけで稼働していたというのだ。
    びっくり。
    そんなこと初めて聞いた。
    藻類が過剰な酸素を作り、水が強い酸性になり、ウラン235を溶け込ませ、藻類が水をろ過してウ...続きを読む
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    韓国の女性人類学者が科学雑誌(日経サイエンスのようなもの?)で連載した記事をまとめたもの。
    人種や生態系に対する著者の控えめで真摯で、それでいながら啓蒙的な姿勢が素晴らしい。
  • ホーキング、最後に語る
    私はホログラフィー、多宇宙信じます。
    ---
    ・ホーキングは「果てがないのが、宇宙の始まりの条件なのだ!」という。ここでの果てがないとは宇宙は「特異点」として始まったのではなく、虚数の時間で始まるなら物理法則にしたがってなめらかに始まったということである。
    ・相対性理論に従うならば、宇宙は特異点から...続きを読む
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
    “本書は、重力波--音による宇宙の記録、宇宙を描くサイレント映画を飾るサウンドトラック--の研究をつづった年代記であるとともに、実験を目指した果敢で壮大な艱難辛苦の営みへの賛辞、愚者の野心に捧げる敬意の証でもある。”
    この言葉に尽きる。
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
    重力波直接観測成功に至るまでのプロジェクトチームLIGOの軌跡。
    13章「藪の中」の原題はRashomonなのだとか!
  • スプーンと元素周期表
    元素周期表と個性豊かな元素たちを、その歴史と多様なエピソードをもって紹介する本。
    やや厚め(500p弱)の文庫本にこれでもかと様々なエピソードが詰め込まれ、飽きることがない。

    高校の化学がつまらなかった人にも楽しく読める一冊。
    世界の理解と興味を促進してくれること請け合い。

    「本書には元素や周期...続きを読む
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
    アインシュタインがその存在を予測してから100年、2015年秋米国ルイジアナ州とワシントン州に置かれた検知器LIGO (laser Interferometer Gravitational-wave Observation)で、ついに重力波が人類によって捉えられた。長さ四kmのアームの中で、陽子の直...続きを読む
  • 放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ
    被曝治療の専門家による著作。放射線の発見の歴史から、ガンとの関係、遺伝性疾患、医療における放射線治療、原発と廃棄物(他の発電方法との比較を含む)、といった複雑な問題を説明している。
    タイトルどおり冷静に記述しており参考になる。ただし、原子力発電の廃棄物処理方法についてはスッキリしない。

    福島原発か...続きを読む
  • 放射線と冷静に向き合いたいみなさんへ
    原発、放射線の是非について最低限、踏まえなければならない事実がたんたんと述べられている。しかし、これを読み込んで議論できる人はどれだけこの日本にいるのだろう。

    私は感情的に原発はダメ、理性的には仕方なかろう、という立場だったが、本書によって、大幅に立ち位置を変えざるを得なかった。まさしく、「冷静」...続きを読む
  • 未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン
    三体も同時に読み直していたらそういえばこの男出てきてた。けっこうなクソ野郎で。ニュートンはもっと酷いけど。
    三体問題にモンテカルロ法を使った数学モデルなんて話も。

    ノイマン型コンピュータ、セルオートマトン、どれも興味深くて深掘りしたくなる話。一緒に暮らすのは大変だったろう。
  • 未来から来た男 ジョン・フォン・ノイマン
    身の回りにあるコンピュータの基本構造を設計した科学者ノイマン。現代稼働しているコンピュータはノイマン型コンピュータの枠をまだ出ていない。ノイマンが天才であることは知っているので、どれくらい天才なのかを知るために読んだ。ノイマンの業績としてはコンピュータだけではない。核兵器開発やゲーム理論、人工生命な...続きを読む
  • 重力波は歌う アインシュタイン最後の宿題に挑んだ科学者たち
    重力波とは何か、その謎を追う科学者たちのノンフィクションストーリー…というよりは、身内争いや政治圧力や対立などを克明に描いた告白本に近いかな。

    ブラックホールは光すら逃れられない強力な重力を持っており「どんな直接的観測結果も得られない」はずだった。
    だからこそ重力が生み出す空間の歪みが重力波となり...続きを読む
  • オウムアムアは地球人を見たか? 異星文明との遭遇
    2017年9月に突如現れて太陽を周回し加速して飛び去った謎の物体をハワイの言葉で「オウムアムア」と名付けられた。著者はハーバード大学の天文学課長でこの本に書かれている事実は紛れもないもの。そこから導き出した可能性が、恒星間航行物体ではないか、というものだ。人類ではない未知の太陽系外の知的生物が作った...続きを読む
  • オウムアムアは地球人を見たか? 異星文明との遭遇
    2017年に観測史上初めて太陽系外から飛来した天体としてその通過が観測されたオウムアムア(ハワイ語で「斥候」の意)。通過したわずか11日間という期間で観測されたその特異な特徴(①形状が既知の天体と比べて異様に縦長か扁平であること、②太陽接近時に太陽の重力だけでは説明できない加速を見せたこと)から、太...続きを読む
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    普通の摂食としての食人はなかった。食人は儀式的なならわし。クール―病などたんぱくプリオン異常の原因となる。

    ゴリラとチンパンジーの交尾戦略。
    ゴリラは、あらかじめ序列を決めておく。メスの発情期に合わせて戦わなくてすむ。メスは楽。
    チンパンジーは、メスの発情期が決まっていない。精子が多い。オスの精巣...続きを読む
  • もうダメかも――死ぬ確率の統計学
    事故や暴行など外的な原因で、イングランドとウェールズで亡くなるのは百万人に一人。この一日のリスクを1マイクロモートとして、様々なリスクがその何倍あるか考えたり、様々な避妊法による妊娠率の比較、19世紀のウィーンの産科の死亡率、鉄道に乗って死ぬ確率など様々なリスクについて考える。

    なかなか面白かった...続きを読む
  • 「偶然」の統計学
    訳者あとがきによれば、正真正銘の確率・統計のプロが、途方もなく起こりそうもない出来事(宝くじに連続して当たる、雷に連続して当たる)が、なぜ、よりにもよって次々と起きるのかをほぼ数式なしで説き明かすもの。そしてその言葉に偽りはない。
    「不可避の法則」、「超大数の法則」、「選択の法則」、「確率てこの法則...続きを読む
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    韓国出身でカルフォルニア大学の人類学教授である著者が韓国の一般向け科学雑誌に書いた文章をまとめて書籍化したもので、文体と切口はくだけた感じだが、人類学の最新の知見からヒトの社会的・文化的生物としての成り立ちを考察する内容で、教科書的に網羅するものではないが、気楽に知的な内容が楽しめる。
    この前に読ん...続きを読む
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    こういった学問は自然人類学にジャンル分けされるらしい。

    ジャケットからも”サルから人間への進化史”を学術的に描いた本かと思ったが、タイトルを読んでみると全然違う。
    そこで読んでみたら…。

    月刊誌に連載されたコラムを一つにまとめたもので、(一般向けなので)当然、学術的というより分かりやすく面白く書...続きを読む
  • 人類との遭遇 はじめて知るヒト誕生のドラマ
    最新の知見による「サル学」のエッセイだが、わかりやすく現在の到達点がよくわかり、翻訳もこなれている。実に興味深い本だ。
    本書によると「色の薄い皮膚がヨーロッパに出現したのは5000年前」とある。白人の誕生がつい最近だったとは驚く。DNA考古学の進歩は凄まじいものだと思った。
    これが事実なら人種差別と...続きを読む