中村計のレビュー一覧
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M-1決勝に3年連続で進出し、現在はM-1決勝の審査員にも選ばれている塙氏のM-1分析本。
M-1優勝を目指し、M-1ではどのような漫才がウケてきたのか。その始まりと変化を鋭い観察眼と頭脳で分析している。
タイトルにもある通り、なぜ関東芸人はM-1で勝てないのか。そこには漫才における「関西」の絶対的優位があるという。そこに対抗するために関東芸人(正確には関西以外芸人)達はどのように対抗してきたのか。まさに関西芸人による漫才に対抗し、打開策を見つけ出そうと藻掻き、「ヤホー漫才」やそれに続く漫才の形を創り出してきた塙氏だからこそ書ける内容である。
読めば、過去のM-1を必ず見返したくなる1冊。
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ネタバレ1992年夏の甲子園。ひとつの伝説が生まれた。
「松井秀喜 5連続敬遠」
野球に詳しくない人でも知っているだろう。
松井秀喜を有する石川県代表星稜高校と、高知県代表明徳義塾の試合、そしてその裏で何が起きていたのか。事件から十年後、彼らと同年代の著者が、ひとりひとりを丁寧に取材して組み立てたノンフィクション。
松井の全打席敬遠を指示した明徳義塾の馬淵監督。従って敬遠した河野。敬遠された松井の次打者だった月岩。当事者たちはどう思っていたのか。
これを読んでからYouTubeで動画を見るとものすごくおもしろい!
野球好きでもそうでない方も読んでみてほしい一冊。 -
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スポーツに取り組む以上、本当の一握りのエリートを除いて負けや、引退や不本意な結果を受け入れる経験は必ずあるもの。努力を重ねつつも栄光にめぐり合えなかったアスリートを丁寧に取材したノンフィクション。次の一文にめぐり合えただけで、綺麗ごとだけではないスポーツの世界の本当の一面を感じました。以下抜粋”「どこの監督も言いますけど、強いチームには必ず陰の部分もあるんです。故障で走れなくなったり、練習についていけずに脱落したり。みんなが芽が出ているわけではない。そういうのを見るのが辛かった」がしかし、誤解を怖れずに言えば、勝利を第一義としたチャンピオンスポーツの世界にはそういう面は抜きがたく存在する”
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野球特待生問題に揺れた2008年の夏の甲子園。優勝をさらったのは野球後進県・佐賀の公立の進学校・佐賀北高校だった。日本中ががばい旋風に包まれたあの夏の記録である。件の決勝戦・広陵高校のエースは現広島の野村祐輔。女房役は2013年巨人にドラフト1位で指名された日本生命・小林誠司。このふたりの当時の証言も交えつつ、普通の公立校佐賀北高校がいかにして頂点に上り詰めたかが書かれたドキュメントである。報道では佐賀北は進学校であるかのように報道されていたが、実際は野球推薦枠もあるのでただの公立校ではないようだ。決勝で涙をのんだ広陵高校からは野村や小林などプロを輩出しているが彼らは誰もプロに進んでいない。野
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スポーツノンフィクションやスポーツドキュメンタリーとは、トップアスリートの成功の裏側にある努力譚を記したり、かつて栄光に彩られた選手が困難の中にある様子を描いたりするものがほとんどだと思う。それはそれで興味深いし、読んでいて感動したり、刺激をうけたりするのだけれど、本書あとがきで高橋秀実が語るように、そうしたノンフィクションやドキュメンタリーは「『努力』を軸にした人生訓話」という側面が強く、時に説教めいたりもするので、読んでいて疲れたり、読むこと自体気が引けたりすることがある。
その点、本書『歓声から遠く離れて 悲運のアスリートたち』は、「人生訓話」めいてないので、ノンストレスですいすいと読 -
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ノンフィクション。
日本が揺れた松井秀喜5打席敬遠のドキュメンタリー。
明徳が悪者扱いをされている印象が強かったが、関わった人達の話から明徳は悪者ではないと思えた。
勝つことに徹底したやり方が果たして悪いことなんだろうか?答えは多分出ないのかな…価値観の違いなのかもしれない。みんな純粋だった。野球にかけていた。それがすごく伝わってきた。
特に星稜の五番を打っていた月岩さんの話は心に残った。
やっはり試合の後はいろいろな葛藤や後悔があったようだ。(今でも?)葛藤の末の言葉であるだろうがこの言葉が印象的だった。
「あそこで打って、有頂天になっていると…将来のことを考えると、打てなかった