中村計のレビュー一覧
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芸人讃歌
お笑いを愛し、M-1に挑む全ての人々にナイツの塙さんが贈る芸人讃歌。
漫才という芸能がこの世に生まれてきた意義は「二人じゃないとこの笑いは生み出せない」という点だということであり、大事なのは本当に自分たちがやりたいと思うことを、誰かの真似じゃない自分たちにしか出来ないネタを見つけることというのが印象的でした。 -
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分析と情熱
M-1グランプリの分析と芸人が夢を賭けた舞台への情熱を余すことなく伝えています。
ご自身も決勝に3回進みながらM-1の舞台ではうけたことがない忌まわしい記憶と述べており、そのM-1に振られ続けた立場から優勝していった怪物たち、惜しくも散っていった敗者たちを分析して、M-1という舞台が芸人にとってどのような意味をもつのかを教えてくれます。 -
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2018年夏の甲子園で決勝まで勝ち上がった金足農業校の躍進を記憶されている方も多いことと思います。高校野球弱小県と言われた秋田県の県立農業高校が、鹿児島実業、横浜高校、日大三校といった甲子園強豪校に勝利し、決勝では春夏連覇を達成した大阪桐蔭と対戦しました。
金足農業はこの夏、県予選から甲子園決勝までのすべての試合を先発メンバー9人だけで戦い抜きました。現在の投手分業制や、多くの戦術が駆使される高校野球では奇跡のような勝ち上がりです。このチームが、1年から3年夏に至るまで、どのような紆余曲折を経て甲子園決勝に至ったのかを、選手、監督、コーチなど関係者に密着取材してまとめられたノンフィクションです -
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ネタバレ奇跡の駒大苫小牧のほぼ3連覇を詳細に描く。
実際の試合運びの描写もさることながら一貫して描かれるのは監督香田誉士史氏の葛藤である。
甲子園には魔物が住む、という。
最初に甲子園に出場した時、そして最初に優勝した時に受けた感謝、称賛はだんだん、「また寄付を集めないと」「応援の段取りは」と周囲のテンションが落ちてくる。
そんな最中、チーム内で体罰騒動や卒業式を終えた三年生が居酒屋で飲酒喫煙していた不祥事が起きる。学校側の対応は香田抜きで決められ、学校と野球部の間にヒビが入る。
最後、早実との決勝戦を戦った3年生(田中将大の代)が喫煙をしていたことがわかり、香田とは絶縁状態で卒 -
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2018年100回目の夏の甲子園。旋風を巻き起こした秋田県金足農業の準優勝。バント重視、声出し、全力校歌など昭和スタイルの戦法を貫き通した野球部の舞台裏に迫る。
松井秀喜の五連続敬遠、佐賀北の決勝逆転満塁ホームランなど甲子園の名勝負に関する著作の多い中村計の作品。試合直後からどなかかノンフィクション作品にしてくれないか待っていたところ、個人的に最も相応しいと思う方が書いてくれたので即買い。
甲子園での試合とメンバーの入学から卒業までを交互に展開する構成。選手、監督、コーチと時に戦った相手方への取材。
本書の魅力は金足農業のチームという素材はもちろん、筆者の取材経験と知識があるからこそだろ -
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「M-1グランプリ」。芸歴15年までの漫才師がその年の漫才の頂点を目指し、毎年数千組の芸人が挑む、お笑い界最大のビッグコンテスト。その激戦を勝ち抜き、決勝に進めるのはわずか10組。
著者の塙氏は、言わずと知れたナイツのメンバー。「ヤホー漫才」を引っ提げ、2008年より3年連続決勝進出の実績を持つ。また昨年初めて審査員を務めた。著者自身がネタを書き、「20分以上のネタをやらせたらナイツが日本一」と自認する一方で、自分たちのスタイルが4分間で決着する「M-1」のシステムにそもそも向いていないことを承知の上で挑んだ「M-1」。その体験を通して、M-1を制するための技術論をノンフィクションライターの -
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今年の『文庫王国』で、本著者の近刊がチャンプになってたけど、そういえば本作、持ってるけどまだ読んでなかったな、という訳でまずこちらから着手。こっちも確か、発売年の『本の雑誌』でランクインしてたはず。まずタイトルから、松井の凄さが思う存分語られるものかと思ったんだけど、あにはからんや彼の出番は殆どなし。敬遠を支持した監督、実行した投手、松井の次(5番)を打った選手。そのあたりが中心に、取材が行われていく。ある意味”事件”たる本案件が、章を追うごと、次第に浮かび上がってくる展開の妙もさることながら、もっと興奮するのは、”自分だったらどう考える?そしてどう行動する?”っていう、裏のというか、実はそれ
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2010年に春夏連覇を達成した沖縄県興南高校の野球部に密着したノンフィクション。過去に春夏連覇を達成したチームは直近の大阪桐蔭も含めて7チーム。その中で唯一2010年の興南だけが「高卒、即プロ」となった選手がいなかったチームなのです。前横浜高校監督の渡辺元智氏が「個々の力は松坂や清原、桑田が上でも総合力は(2010年の)興南が過去最高」と評価するほどチームの選手全員のレベルが高かった事を物語っています。このチームを指導したのが就任5年目であった我喜屋優氏です。
我喜屋氏の指導の様子、選手達との日々のコミュニケーションの様子などを丹念に取材し、なぜこのチームが育っていったのかという疑問に答えてい -
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2012年の佐賀大会決勝での佐賀北高校勝利を報じた7月26日付け新聞記事。
他紙が打線の爆発とかエースの踏ん張りとか、いかにもわかりやすい勝因をあげる一方で、朝日新聞の見出しは「がばい手堅い7犠打」。写真も2回1死1、3塁で2番打者のスクイズしようとするバットにボールが当たる瞬間。佐賀北の百崎監督が各紙を見比べて「俺らのこと本当にわかっとるな」と感じたのは、朝日の記事だったに違いない。
朝日の記事はこう続く。「佐賀北の攻撃に派手さはなかった。『長打はいらない。逆方向に打て』百崎監督の指示は明確だ。」
この本の121ページに、これとよく似たエピソードが出てくる。「百崎にはメディアの取り上げ方に -
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とても面白い本。1992年夏の甲子園での明徳義塾対星稜の一戦を丹念に追ったルポである。著者は明徳の選手がこの試合を後悔しているという予想のもと取材を始めるが、その前提は早々に突き崩されてしまう。表れたのは、「高校野球」はこうあるべきというマスコミの誘導。そして、「野球」と「高校野球」という似て非なるものを目指すそれぞれの立場。
選手・監督だけではなくそれを世に伝えたマスコミ関係者まで取材し、現代にいたるまで横たわる学校スポーツの問題を丁寧に描いた作品だ。
失望
誤解
前夜
伝説
挫折
沈黙
真相
第18回ミズノスポーツライター賞最優秀賞
著者:中村計(1973-、千葉県 -
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第18回ミズノスポーツライター賞 最優秀賞受賞作。中村計の『歓声から遠く離れて』という本を読み、中村計の書く文章に益々興味が湧いたので、出世作である本書を読んでみることにした。
「松井5敬遠」に関わった星陵、明徳義塾の両監督、明徳義塾のピッチャー、松井の次の5番打者、松井秀喜…、多くの関係者に取材し、中村氏が感じた一人一人の人間像を、そして野球観を描き出す作品である。
中村氏は言う。
「美点と欠点。ともに示すことで、その人に重さを与えることができる。もちろんのこと瑕疵を書くときも悪意があるわけではない。人間が持つ美しさと愚かさに惹かれるからこそ、自分自身、書くことをよしと思えるのだ。」
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あの明徳義塾との5連続敬遠の試合はすでに20年以上も前だったのか。当時の真相を追求するドキュメンタリーだが、あの騒動は意外にも松井以外の様々な関係者に影響を与えていた。
明徳義塾への試合中の嫌がらせにとどまらず、宿泊先のホテルなどにも相当な嫌がらせがあったとか。
確かにあの時は真っ向勝負が見たかったと思うが、ルール上認められているのだから野球というスポーツの戦略の一つとして認められるべきであり、そこまで非難される言われは本来ない。
つまり野球とは1人、2人強打者がいるだけでは勝てないゲームなんだと、そういうルールになっているわけだ。
ただ、当時学生時代だったが世論・風当たりは相当なものだったと -
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類い稀なる超一流の才能を持ち、一度は表舞台に立ちながら勝ちきれない5人のアスリートの話。
オリンピックで勝つには実力だけでないことがよくわかる。表舞台に立ち続けられる人は実力だけでないものを持ち合わせる。決してこの5人に限らず、実力を十分に持ちながら消えていったアスリートは存在する、いや、そんな人のほうが多いはずである。「パズルのピース」を合わせるのがどれほど大変なことか。また、そのパズルが崩壊するのがどれほど簡単なことか。それぞれがもがき苦しみながら、今も懸命に立ち向かう姿に安堵する。ノンフィクションはあまり読まないけど、これは秀逸でした。 -
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高校野球史上もっとも有名な試合の一つ、松井秀喜5連続敬遠を取材したノンフィクション作品。悲劇のヒーローである松井秀喜氏はもちろん、明徳と星陵の両監督や選手、そしてあの試合を担当した解説者や、当時記事を書いた新聞記者など、多方面への取材により、あの日の真実に迫っている。
いまだにあの試合がメディアで紹介されるとき、高校野球らしくないとかスポーツマンシップに反するなど、否定的な論調が多数を占めている。しかし、本書を読んでわかったのは、必ずしも野球関係者の間では、否定的な意見が多いわけではないという事だ。
特に強豪校と言われる学校は、甲子園で優勝する事を唯一の目標とし、尋常とは思えないような練習