中村計のレビュー一覧
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記憶に残る甲子園での5連続四球についてのノンフィクション。プロ野球と異なる魅力を高校野球に感じる人は多い。一つは職業ではないからだ。無意味に見える攻守交代の全力疾走はじめひたむきさや純粋さに好感を覚える。だから、何をやっても勝てばいいということに反発を覚え、敗れても大きな拍手を受けるのだと思う。私立高校に有名になって存続するという宿命があり、そのためには県外から有力選手を集めて勝利を最優先という論理は分からなくもない。ただ、例えば今治西高校と明徳義塾高校の試合を観ていると、指導者の目指すところが大いに違うことを感ずるのである。2016.5.6
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百崎監督の監督方針というのは、言うのは簡単だけど、続けるのは難しいだろう。
派手で目立つプレイではなく、勝つ為に効果的なプレイを監督以下のチーム全員が意識をしてゲームを進めることが出来るというのは、どうしたらそんなことが出来るのか想像すら出来ない。だからこそ奇跡なんだろうね。
監督の日誌に掛ける意気込みというか……正しく強いまっとうな学生より、監督の方を向く(従うと言う意味では無く、向き合うという意味)というのは、尊いなぁ。
しかし、もともと体育会系の人間では無いので「なぜそこまでして勝利を求めるんだろう」という根本的な疑問がやまなかったのもひとつ。
チームプレイというものが分かっ -
Posted by ブクログ
甲子園での有名な試合、松井秀喜を英雄にした試合、五連続敬遠の関係者にインタビューをして、当時の報道、発言の裏を取り、真意を問い、各人のその後を追っている一冊。
当時の報道が真実ではなかったことはわかるが、この本には結論がないと思う。取材をしただけ。
ただ、松井を全打席敬遠して勝てるのは、松井以外を押さえ込める力のある相当レベル以上のチームでないと取れない戦術であったことだけは分かった。
勝つことを純粋に追い求めるのか、勝負することに行くのか、難しい問題ではある。負けて泣くのは選手、負けた選手に同情するのが観客。追い求めすぎたらどうなるのか?そういう問題であったのであろう。 -
Posted by ブクログ
スポーツの面白さは陽の部分ばかりではない、と思わさせる。「歓声から遠く離れて」というタイトルに惹かれた。雑誌連載のタイトルは「不運の名選手たち」というが、こっちのほうがいいのではないか。才能はあっても、それを最高峰の舞台で輝かせることがどれだけ奇跡的なことか。一方で、比類無き才能の輝きは、その一瞬を持ってして人を魅了し、そこには必ず物語が生まれ得るとも感じた。女子マラソンのランナー、プロゴルファー、三段跳びの日本代表選手、平泳ぎの日本代表選手、そして登山家。いずれも活躍ぶりはよく知られているアスリートと何ら遜色はないが、ただ一線が違ったのだ。時代の流れや人間関係、理由を挙げればきりがない。その
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Posted by ブクログ
ノンフィクションは著者の内面をさらけ出すものだとは思うが、すこし感情の入る人物に偏りがあるためか、僅かにそれが邪魔に思えた。
内容については、高校野球を野球の1つと捉える側と、全く別の教育の一環であるとする側との、どこまで行っても相容れない議論に著者が身を投げ入れるもの。
後者の側であった著者が、関係者の話を聞くうちに前者の側に変化していくことになる。その過程において、後者の立場の関係者に厳しい評価をするようになっていっているが、どちらも誤りではなく、その人の関わり方の問題であるから、あとすこし俯瞰的な立場からの検証があってもよかったのではないか。
場面や状況によっては、どちらも正解に、もし