あらすじ
2018年、M-1審査員として名を轟かせた芸人が漫才を徹底解剖。M-1チャンピオンになれなかった塙だからこそ分かる歴代王者のストロングポイント、M-1必勝法とは? 「ツッコミ全盛時代」「関東芸人の強み」「フリートーク」などのトピックから「ヤホー漫才」誕生秘話まで、“絶対漫才感”の持ち主が存分に吠える。どうしてウケるのかだけを40年以上考え続けてきた、「笑い脳」に侵された男がたどりついた現代漫才論とは? 漫才師の聖典とも呼ばれるDVD『紳竜の研究』に続く令和時代の漫才バイブル、ここに誕生!
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Posted by ブクログ
2018年に話題になったWEB記事が2019年に書籍化。お笑いファンじゃなくてもおすすめ。
THE Wへの言及から、女性芸人への言及、「審査員をやるような立場のひとがようやくこういう考えを表明する時代!」と感動した覚えがあります。
『ゴッドタン』で"新世代男女コンビ"が特集されて蛙亭・イワクラさん、ラランド・サーヤさん、ヒコロヒーさんが飛躍したのが2020年6月。
ヤーレンズ出井さんが「芸人界は男社会」と明言して話題になったのが2024年。
キング・オブ・コントにバカリズムさんのような「1人コント」をするピン芸人が出られないのはおかしい、など、いわゆる賞レースの仕組みについての指摘ほか。ナイツの漫才の解説、M-1で話題になった漫才の解説など。
「ツッコミはボケに対して、絶対に引いてはいけないのです。お客さんも、それにつられてしまいますから」
「ツッコミは「アホやな」と言いつつも、
出来の悪い子どもほどかわいがる親のように、
ボケに寄り添ってあげないといけないんです」
「ブラックマヨネーズの小杉さんの吉田さんに対する態度も、
チュートリアルの福田さんの徳井さんに対する態度も、
呆れてはいますが、愛情に満ちています。
そして、その愛の形は、相方に負けず劣らず滑稽です」
「ときどき内海桂子師匠と
一緒に舞台に上がることがあります。
ちょっとボケているので……って、本当にボケてるんですよ」
「なぜウケるかというと、お客さんに
僕の桂子師匠への愛情が伝わっているからです。
どうでもいいことをじっと聞いてあげていたわけですから」
「強い言葉でツッコむときは、
その前に二人の関係性を示す必要があります」
「いきなりババァ!とツッコんだら、
老人虐待になってしまいますからね」
p191-193引用
内海桂子師匠という"ボケ"に寄り添い、話を聞き、相槌をうち、罵倒する"ツッコミ"に、「漫才」を見出すあたり、超高齢社会において、示唆に富むと思います。
"ツッコミ"には愛情がなければならない、"ボケ"の話をよく聞いて、付き合わなければならない、この目線で各コンビを眺めると、見方が変わるかも。
塙さんが子ども時代にお笑いに救われた経験、漫才師として優勝できなかった悔しさなど、自伝エッセイとしても読み応えあり。
Posted by ブクログ
笑いについて分析されているが押し付け感がなく、ナチュラルなので心地良く読める。M1という大きなショーレースにおいて通用する笑いの形などが考察されており、面白かった。
Posted by ブクログ
中村計が「笑い神」を書く前に刊行していた…というかこれを書いたからこそ「笑い神」を書くべきだと考えたんだと思う…1冊。
ナイツの塙(ヤホーで調べたっていう方)へのQ&Aインタビュー形式、全90問でM-1を分析し徹底解剖する。ナイツはM-1優勝を逃しているのでタイトルが「言い訳」となっているが、なんのなんの、これは言い訳ではなく、負けた要因を徹底分析し捲土重来を期すための作戦ノートである。
お笑いはある意味アスリートである、という立ち位置は本作でも「笑い神」と同様で、4分という時間でいかに観客を温め爆笑という「うねり」に持っていくか。歴代優勝者や惜しくも敗れ去ったコンビたち、そしてナイツ自身の傾向と対策が惜しげもなく語られている。
我々観客はそういう分析を知らずとも、漫才師の仕掛けに乗っかってゲラゲラ笑えればそれで充分なのだが、それでも、そのお笑いの下に潜む仕組みの妙を知ることもまた、観客であり読者の醍醐味なんだなと思う。
しゃべくり漫才に最適な言語、関西弁しかしゃべれない俺は、漫才師ではないけど、言葉のリズムとテンポ、間合いをしっかく意識して、いい会話を日常でも行っていきたいなぁとか、そんなことも考えたりした。
Posted by ブクログ
4年前に出た本だからその後優勝するコンビの評価をしたりしてて面白かった(笑)
あと和牛が良く出てくるけど、優勝できなかったけどやっぱり上手で認められてたんだな、と。
引き際が上手(オードリー)も考えさせられた。優勝が醍醐味じゃない、笑わせることが目的。それでいて売れれば良い。
(以下引用)
つまり、オードリーは勝負に勝ったのです。
繰り返しになりますが、オードリーは勝負に勝ったのです。
Posted by ブクログ
分かりやすく、面白くて、一気に読むことができた。お笑いを理論的に考えたことがなかったので、それぞれの方言がもたらす影響など、言われてみれば確かになあと興味深かった。ラストのページではなんだか胸が熱くなりました。
Posted by ブクログ
めーーちゃ面白くて一気読みしてしまった
淡々とした文体かつ素人にもわかりやすい言葉でM-1を解説してるけど、根底に塙さんのお笑いへの熱とか悔しさとか何より芸人へのリスペクトが溢れていて温かい本だった
Posted by ブクログ
笑えるって幸せですよね。
幸せにしてくれる漫才師をかっこいいと思います。もちろん塙さん、ナイツは大好きです。
ここまで「どうしたらウケるか」を突き詰めていることに、なぜか涙が出そうになりました。
近年のM-1は関東芸人も活躍しているし、また年末が楽しみになりました。
漫才協会も盛り上がってきているし、近いうちに寄席とか劇場へ大笑いしに行きたいな。
なるほどと唸る
正直、M1は最初から最後まで通して見たことはない。見なかった年の方が多い。
笑わないといけない番組、という雰囲気に笑えないかもしれない自分が不釣り合いだと思っていたから。
この本を読んだのは単純にナイツ塙が好きだから。
江戸漫才の方を好むからかと気づいた。
そして新しいスタイルを自分は求めてはいないと言うことにも気づいた。
だから、新しいスタイルを作り出すM-1に怖さもあって良いんだと思った。
来年はそのつもりで、気楽に見ようとおも
Posted by ブクログ
「M-1グランプリ」。芸歴15年までの漫才師がその年の漫才の頂点を目指し、毎年数千組の芸人が挑む、お笑い界最大のビッグコンテスト。その激戦を勝ち抜き、決勝に進めるのはわずか10組。
著者の塙氏は、言わずと知れたナイツのメンバー。「ヤホー漫才」を引っ提げ、2008年より3年連続決勝進出の実績を持つ。また昨年初めて審査員を務めた。著者自身がネタを書き、「20分以上のネタをやらせたらナイツが日本一」と自認する一方で、自分たちのスタイルが4分間で決着する「M-1」のシステムにそもそも向いていないことを承知の上で挑んだ「M-1」。その体験を通して、M-1を制するための技術論をノンフィクションライターの中村計氏が聞き出していく。
本書はまず「M-1」漫才の徹底解剖から始まる。これまで歴代チャンピオンがいかにして栄冠に輝いたのか?必勝法があるとしたら何か?等を存分に饒舌に語る。
その分析の裏には、ナイツ自身がチャンピオンになれなかった敗因が明確に存在する。負けてはじめて知る戦い方、しゃべくり漫才のルーツである関西勢に勝つにはどうすべきか?「漫才の母国語は関西弁」に立ち向かう「関東芸人による非関西弁によるオリジナリティ豊かな漫才はあるのか?」等、あくまでもM-1を制覇するための鋭い考察に溢れた現代漫才論となっている。
【塙の説くM-1制覇のための10箇条】
①「うねり」がないと話にならない!
客席が笑いで爆発する感じ。
M-1は、うねらせたものが制す。
②ツカミは出だしの30秒!
いきなり客をつかめるかどうか。
これがあって、うねりを呼ぶことができる。
③コンスタントに7,8割の笑いは必要!
4分間は短い。常に笑いを取れるように配分すべし。
④ラスト30秒を笑いのるつぼに!
笑いがドッカンドッカンきてオチとなる。
⑤関東の漫才が制する秘訣はコント漫才!
しゃべくりでは大阪には勝てない。
サンドイッチマンのようなコント漫才に徹すこと。
⑥4分間の無駄なく使え!
M-1は短距離走。寄席の漫才とは一線を画す。
一気に笑いをつかみにいくこと。
2005年チャンピオンのブラマヨネが好事例。
⑦自虐ネタや内輪話は使うな!
ハゲデブブスは要らない。ネタで勝負。
⑧ネタにはスッと入れ!
とりわけキャリアのあるコンビは自己紹介的マクラは
不要。
⑨鮮度と斬新さのあるネタが高評価される!
経験に培われたネタよりも新しさ&インパクトに
得点が集まる傾向あり。
⑩チャンピオンになるには2本のネタが必要!
1本目で高得点取るも2本目でコケた2009年の
笑い飯の急失速を反面教師に。
こうやって列記すると、いたって当たり前のように思うが、この10箇条をきちんと押さえつつ爆笑を誘い、自分たちの笑いのスタイルを感じてもらうには並大抵ではない。捉われる余りに自分たちの目指す漫才やスタイルを見失う危険もはらんでいる。
そこで、ネタあってのスタイルか?スタイルあってネタなのか?という2大命題がもたげてくる。例えば、ブラマヨの「ケンカ漫才」、チュートリアルの「妄想漫才」、笑い飯の「ダブルボケ漫才」に見られる独自のスタイル。著者も、現在の「ボケて訂正、ボケて訂正」の機関銃よろしく小ボケを連射するスタイルを確立するまでは試行錯誤を繰り返した。ようやく出来上がった時には、これはウケると確信したと言う。要するに、「自分がコレだと信じられるネタこそ最強」であると坦懐する。
表紙カバーには「令和の漫才バイブル」という惹句が踊る。確かに、M-1が漫才の巧拙を評価するコンテストという枠を超えて、「もっとも最新かつ先鋭のお笑い」を披露する場であり、プレゼンの場となった今、著者の掲げる10箇条を、鼻で嗤い、がしがしと踏破するぐらいじゃないと、笑いを革新的にクリエートしていけないってことなんですな。今から12月の決勝がすっごく楽しみ!
Posted by ブクログ
自身も関東芸人であるナイツ塙氏が、M-1で優勝する難しさを分析している本です。
ナイツもM-1に出場しており、タイトル通り勝てなかった「いいわけ」もしっかり記載してあります。
関東芸人が勝てないのは、さまざまな角度から分析されていましたが、M-1が吉本興業主催の賞レースという構造上、期待されている笑いの性質が「コント漫才」より「しゃべくり漫才」であり、しゃべくりを得意とする上方芸人に有利だからであるということが、ざっくり大きな理由だと思いました。
M-1に破れたコンビたちの分析は厳しくも芸人愛やリスペクトが込められており、それぞれのコンビの特性がよくわかります。読めばお笑いがもっと深く楽しめる本でした。ネタについても言及されているので、YouTubeで観ながら楽しむのがおすすめです。
ちなみにナイツがM-1で勝てないのは、自身たちのスタイルが淡々とローテンションで進める「寄席漫才」であり、4分という短い尺のなかで冒頭からアクセル全開で笑いをとっていく「100メートル走」のようなスタイルが苦手、という分析がされていいました。
Posted by ブクログ
刊行から5年経っていますが、本書で語られる漫才論、ひいてはM-1論が全く古びてないどころか、ますます信憑性を増している現状になっているのが凄い。思わず2008年のナイツや2015年のジャルジャルのネタを見返してしまった自分の底意地の悪さ。
Posted by ブクログ
M-1審査員も務めるナイツ塙さんの著書ということもあり、彼がどのような目線でお笑いを見ているのかがとてもわかるものとなっております。
ただ本書は2019年8月に発売されており、「関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」とありますが、2020年以降のM-1は3年連続非関西芸人が優勝しているということもあって、発売当時とは少し状況が違うことも考慮して読者は読み進める必要があります。
Posted by ブクログ
この本のここがお気に入り
「ツッコミというのは、相手を貶めることではありません。どんな方法でもいいから、笑いに転化させればいいのです。それは優しい言葉でもいいし、動きでもいい、スリムクラブのように「間」でもいいのです」
Posted by ブクログ
M-1観たくなるね
ってな事で、ナイツ塙宣之の『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか』
大好きなナイツの塙さんがM-1を分析&解説してくれる内容。
M-1の出場者のストロング&ウィークポイントやナイツのM-1に対する歴史や想い。
真面目に解説してるからこそ、初回からのM-1をまた見直したい♪
わしはオードリー、サンドイッチマン、ブラックマヨネーズ、かまいたち、スリムクラブが特に観たいな
2021年15冊目
Posted by ブクログ
ナイツのお笑い論。
"ウケる為の漫才をどう創って行くか?"について本当に考え抜いて創っているんだなと思わざるを得ませんでした(これは、塙さんだけじゃなく多くの芸人さんもそうだと思うけど)。
話す言語、ボケの詰め込み方、キャラクターの売り方、システム笑い、しゃべくり漫才とコント漫才、適した時間の考え方などどれも参考になります。
ナイツのm-1の最高成績は3位ですが、こうゆう人が審査員なのもm-1と言う競技の象徴的な部分なんですね。自分は、今コンテストに望むのだけどその構えの作り方において参考になる部分が多いに有りました。
スーパーマラドーナやゆにばーすは、冒頭の掴みで早く笑いを取ろうと言う焦りが無理している感じがする。ネタに自信があるならすぐに設定に入るべき、という論は自分も納得。なんだか、彼らの漫才を見ていると、"m-1攻略法"自体のお手本みたいな漫才に感じる事がけっこう有ります。
Posted by ブクログ
そんなにm-1に詳しくないけど面白かった。
ただただ面白いだけではm-1って勝てないんだなって思ったし笑いというものを分析してそれを分かりやすく言語化できる塙さんがすげぇってなった。
Posted by ブクログ
M-1の常連だったナイツの塙によるM-1分析本ってだけで興味深い。
M-1に対して何となく感じていた部分が分かりやすく言語化されていて面白い、何よりナイツがここまで冷静にM-1を分析していることに驚いた。
Posted by ブクログ
M-1決勝に3年連続で進出し、現在はM-1決勝の審査員にも選ばれている塙氏のM-1分析本。
M-1優勝を目指し、M-1ではどのような漫才がウケてきたのか。その始まりと変化を鋭い観察眼と頭脳で分析している。
タイトルにもある通り、なぜ関東芸人はM-1で勝てないのか。そこには漫才における「関西」の絶対的優位があるという。そこに対抗するために関東芸人(正確には関西以外芸人)達はどのように対抗してきたのか。まさに関西芸人による漫才に対抗し、打開策を見つけ出そうと藻掻き、「ヤホー漫才」やそれに続く漫才の形を創り出してきた塙氏だからこそ書ける内容である。
読めば、過去のM-1を必ず見返したくなる1冊。
お笑い好きと思う人は読めば必ず楽しめる。
Posted by ブクログ
そもそもM-1は吉本がお金を出し、吉本が立ち上げたイベント。吉本が所属芸人のために設けた発表会なのです。そうかもね。
年々、新しい形の漫才を追い求めている結果、初出場コンビの方が有利というのはあるかも。
漫才コンビによって、合う舞台と合わない舞台、合うネタと合わないネタがあるということについては、競馬の短距離が得意な馬と長距離が得意な馬に例えられてわかりやすい。どの場面でも対応できるかどうかが、腕のみせどころになるのかな。
Posted by ブクログ
積読していて、残り80ページくらいをようやく読み切れた。買ってから6年かかった!漫才を分析し芸人を分析し、さすがプロだなと思った。こういう考察は今じゃ、YouTubeにも流れるからいい時代になったとしみじみ思う。オードリーと南海キャンディーズの山ちゃんの凄さを感じた。
Posted by ブクログ
人類が芸術を生み出したのは、言葉では伝えきれない思いを作品で表現しようとしたからです。芸術家が感動したとき、それが「感動」という言葉で足りていたら、絵画も音楽も創造し得なかったと思うのです。
漫才師も同じです。人間の「おかしさ」をおかしいと言うだけでは伝え切れないから、ネタを思いついたのです。漫才という話芸が誕生したのです。
深いところからお客さんの感情を揺さぶり続けるために漫才師ができること。それは優れたネタを考え続けることしかないと思います。
(P.72)
Posted by ブクログ
・漫才の母国語は関西弁。上方漫才はあるけど、江戸漫才や東京漫才は無い。
・漫才において、関西は南米。大阪はブラジル。町場にボールタッチのいい子供や女子高生やおばちゃんがごろごろ居る。
・点でなく直線でもなく、三角形をつくる漫才の難しさ、ってそこまで考えて作ってるとは奥深い。
・M-1はしゃべくり漫才がロックで王様。コント漫才やキャラ漫才は王様にはなれない。でも新しいものを渇望するM-1には、十分に入り込む余地がある。
Posted by ブクログ
M-1に執着し続けた男の生き様がこれでもかと詰まった一冊。M-1への細かな分析に、そうだよな、と共感したり、そうだったのかと新しい発見があったり。何気なく毎日ネタを一本書いたとあったが、そのコツコツと続けてきた積み重ねが今のナイツになってるんだとわかる。どんなことも完成させて披露することが大事。 審査員として帰ってきたエピローグには思わず涙が溢れた。俺ならいいよな。読後はM-1を見返しました。
Posted by ブクログ
何故関東芸人はM1で勝てないのか、ということで漫才や歴代M1優勝者、芸人について書かれた一冊。お笑い好きで毎年M1見てるけど、ここまで分析してるとは…!読んでて色々納得できるし新たな発見もある。今年もM1が楽しみになる。とりあえず私はナイツの漫才が好き。
Posted by ブクログ
★3.5
しゃべくり漫才とコント漫才
関西弁の重要性
演じると弱い、練習しすぎは弱い
アンタッチャブルは快挙
山ちゃんは天才
スリムクラブは革命的
チュートリアルはイケメンなのにうける
オードリーの奇跡
塙は霜降り明星のことが大好き
Posted by ブクログ
評価が難しい本だなと思ってしまいました、、、決して通ぶりたいわけではなく。
一つだけ間違いなく言えるのは、この書籍は2018年までのM-1の結果を追った内容なんですが、2019年以降のM-1を受けてこの本読むか否かで大分内容に対する評価が違ってくる点です。
微妙だなと思った点を正直に書くと、ちらほら本の中で理論が矛盾しているところがあるなと思った点です。口述筆記なせいもあると思いますが、単項目で見ていくと理屈が通っていて説得力があるのですが、項目がまたがると、「これはさっき言ってたあれと矛盾するな、、、」という箇所が数箇所あり、途中からその整合性の取れてなさが気になって内容が入ってこなくなりました。また、2019年以降に優勝したコンビを踏まえると、一気に破綻しそうな論旨もあります(こればかりはご本人に聞かないと分かりませんが)
これら加味すると、あまり良くない評価をつけたくもなるのですが、ただ、読み終えてみて思ったことは、漫才なんて水物なのだからしょうがなくないかと、、、。
ある年代で面白いとされたその漫才に面白いとされる共通性や法則性が見出され理論化する頃にはそれはもう廃れて、やがてそれがフリになり、面白くないと思われたものが面白いと言われ出したり、あるいはタブーとされてるものが一般化したりして、元々あった共通性や法則性などの理論が崩れるといったパラダイムシフトが漫才に絶えず起きていると思えば、この本を読みながら感じた分析の矛盾なんかどうでもよくもなる感触もあります。
ましてや、同じ構造を持った漫才だとしても面白い漫才と面白くない漫才があるように、面白さが全て漏れなく分析できていたとしたら起こり得ない現象も起きるわけで、それぐらい漫才、お笑いが神秘的で繊細なモノなのだろうな、と素人ながら思うわけで、、、。
ということもあり、評価に困ったなと思いつつ、なんとなくで点数なぞ付けています。。
Posted by ブクログ
ナイツ塙が、Q&A形式で、M-1と漫才について語る。あんまり捻りも練り込みもない感じ。大阪って、お笑い会のブラジルに見えるんだ、外から見てると。
まあ、真面目な分析で、なるほどなあ、と思うところもあるが、そもそも最近の漫才、見てても面白くないので、どうでもいい感じ。
プロの脳内
どんなジャンルであれ、プロの脳内を覗けるのは好奇心の発露として一級品の愉悦です。この本もそのひとつ。漫才について語るのを、基本的には恥ずかしがりながらも、えいや!と思い切って、日ごろの思考、思索について隠すことなく披露してくれています。面白い。その一言に尽きる本です。