中村計のレビュー一覧

  • 歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―

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     5名の一流アスリートのその後(現役の方もいるが)を追跡し、「悲運」とくくられるゆえんを問う内容にしようとした本と見た。筆者の想定が強烈すぎて、それにそうように勝手に解釈を完成させようとしているのでは?という疑念がまず起きてしまい、途中、いらっとしてしまった。が、総じて客観的ではあるとは思い、特に水泳選手の記事には色々思うところもあり、最後まで通読できた。
     まじめな人、感性が独特の人等スポーツという極めて厳しい世界で名を馳せた、馳せることがどんだけのものなのかということを少し感じ取ることができたのではないか、と思っている。いや、やっぱ究極であると思うことしきり。自分の日常にこのような状況はな

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    2013年07月03日
  • 歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―

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    類まれな才能に恵まれ一度は栄光を掴んだものの、その後消えてしまった「不運」のアスリート達を追ったスポーツノンフィクション。

    不運なルール改定や、ちょっとしたタイミングの悪い小さな出来事、など「あの時あんなことさえなければ…」というのは結果言い訳に過ぎない。
    その後のトップアスリート達の、張り詰めた糸がギリギリと音をたてるような精神状態を追いながら、五輪で金メダルを獲ったり、プロで一線であり続けるような頂点に立つ者は、場の雰囲気や全ての運を自分に引き寄せるメンタルを持った一握りの神に選ばれし者だということがヒシヒシと分かる。

    そして類まれな才能に出会ってしまった指導者と選手の結びつき、確執、

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    2013年06月17日
  • 歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―

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    凄い記録を出して時の人となったけど、その後伸び悩んで表舞台から姿を消した5人のスポーツ選手を取材したノンフィクション。

    いきなり「勝っちゃった」ことで、考えすぎたり自分を痛めつけすぎたりで歯車が狂っていく姿が、読んでいて痛々しい。
    タイミングやルール改訂に泣かされたり、頑張り過ぎたり逆に気が抜けちゃったり。
    才能・努力って、タイミングによっては 残酷なこともあるんですね…。

    著者が、取材していくうちに選手像が描けなくなって混乱していく姿も正直に書かれていて、リアル感が増しています。

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    2013年06月07日
  • 歓声から遠く離れて―悲運のアスリートたち―

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    ノンフィクションの醍醐味は期待が裏切られていく面白さにある。中村計の面白さも、取材がうまく進まない書き手自身の苦悩やいらだちさえも物語の一部として組み込んでいくところにあると思う。「期待通り」の答えを返さないアスリートたちの「ボケ」に「なんでそんな型通りやねん!」「違うやろ!」と「ツッコミ」を繰り返しながらその人物に迫っていく。読者自身も「確かになんでだ?」とぐいぐい引き込まれてしまう。アスリートの人物像だけでなく、その取材過程までも読ませる中村計、これからの仕事からも目が離せない。

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    2013年06月02日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    本書の面白さはちょっとしたディテールと著者の人間性にあると思う。取材対象のどんな細かい仕草や言い方であっても見逃さず、それらを一つ一つ描いていくことでその人物が多面体となって浮かび上がってくる。また、松井への取材で夢見心地になったり、取材先の居酒屋の前を2往復したりする著者の「素人くさい」部分も同時に書き込まれているからこそ、読者はこの「5敬遠」事件の真相を自分が追っているように思えて没入できるのではないだろうか。

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    2013年05月13日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    松井の連続敬遠を題材にして、
    その周辺を、丁寧に描いてある。
    緻密な取材の賜物だろう。
    周辺の人物模様が面白い。

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    2012年12月07日
  • 世の中への扉 甲子園がくれた命

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    2010年春の甲子園で日大三高を準優勝に導いた山崎福也(さちや)君。順風満帆にエースとして活躍してきたように見えたが、実は2年前に脳腫瘍の大手術を乗り越えていたのだった。脳腫瘍を克服した福也君の頑張りは、私たちに生きる勇気を与えてくれるだけでなく、命の大切さも教えてくれます。

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    2012年11月13日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    甲子園、球児たちの夢を伝説に変える場所。球史に刻まれた一戦、1992年夏、星稜vs明徳義塾。
    松井5打席連続敬遠を監督・元球児たちが語る、封印された記憶。

    星稜、明徳の監督、選手はもちろん、当時あの場所にいた解説者やアナウンサー、記者などの声を取材しているところが素晴らしいです。
    馬淵監督のイメージが読前と読後でガラリと変わりました。

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    2012年09月02日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    ネタバレ

    多角的に色々な関係者を取材し、客観的に書かれた優秀なルポだと思った。旧選手、マスコミ関係者、当時の映像等々、丹念に調べてあり好印象。しかも、時々、主観もまじえつつも、冷静な視座がキープされ、よくマスメディアに見られるように最初に描いた筋書をなぞっていないのがよかった。一面的、あるいは限られた方向からの取材に終始した東海村原発事故の本読んだ後だったので、なおさらよさを感じた。

    勝負に真摯だからこそ敬遠したのだという見方にはっとさせられ、自分の短慮を反省した。

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    2012年07月26日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    丁寧な取材をしていて、よけいなバイアスもあまりかかっていないので、とても読みやすい。
    当時、敬遠され続けた松井は、悲劇のヒーローとなり、敬遠し続けた河野は、世紀のヒールとなった。
    しかし、2人以外にも当事者はいたわけで、私が思ったのは、「松井、河野よりも苦い想いをしている人間がこんなにもいたのか」と驚いた。
    動画サイトで、当時の映像を見ることができるが、この本を読んでから見直したら、よりよいと感じた。

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    2012年07月12日
  • 甲子園が割れた日―松井秀喜5連続敬遠の真実―

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    その試合の後で教え子たちにかけた監督の言葉に、ぎゅっと胸が詰まりました。
    「星稜らしく、散ってしまったな。」

    それは、監督自身が13年前の教え子と甲子園で経験した、簑島高校との延長18回の激闘の末の敗戦に重ね合わせて言った言葉。
    野球にうとかったわたしでもその試合は鮮明に記憶しています。
    いまも何かにつけ、甲子園の名勝負として紹介されることの多い試合です。

    そして今回この本で取りあげている試合は、また違う形で星稜が甲子園の悲劇の象徴みたいになってしまった時のことです。

    わたしの祖父と同じ根上町出身の松井秀喜選手は、それだけでとても身近で親しみを感じる相手。毎年夏に帰省すると、地元の寺井駅

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    2012年07月08日
  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―

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    野球が好きな人はもちろんのこと、
    野球にあまり興味が無い人もどちらも感じ取る物が多い本だと思います。
    感情移入が少なく事実がきちんと整理された内容だけに、
    心に響く一冊に仕上がっているんだなと感じました。
    仕事のうえでも子育てのうえでもとても参考になる一冊。
    お薦めです!

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    2011年11月10日
  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―

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    現場で当日見ていただけにまた思い出された!!とってもいい試合だったなぁ...
    また、こんなチームが出てきて欲しい!!
    まだ、幼かった頃の松山商業と三沢の試合を想い出した。

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    2011年11月23日
  • 世の中への扉 甲子園がくれた命

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    緻密にして豪快な野球でファンも多い日大三高。
    今年夏の甲子園では、小倉監督のもと10年ぶり2度目の優勝をしたのがまだ記憶に新しいところ。

    その日大三高で2010年春の準優勝時、投打に大活躍したのが、この本の主人公、山﨑福也(やまさきさちや)くん。
    脳腫瘍を克服した山﨑くんのがんばりは、同じ病気の人を勇気づけ、私たちに命の大切さを教えてくれます。
    小倉監督の人柄や日大三高野球部の様子もかいまみれて、いいです。
    明治大学へ進んだ山﨑君、これからも頑張ってください!

    巻末に山﨑くんと日大三高の甲子園記録集が載っています。
    また著者の中村計さんは、Number Webに高校野球コラム“甲子園の風”

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    2024年03月24日
  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―

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    お盆に旅行中、佐賀の本屋で見つけた。

    野球の話というより、野球部の話。
    帯の推薦文が「もしドラ」の方だったのもあって、「チーム」話として読んだ。
    その年の甲子園はテレビで見てたが、もう一度試合の様子を映像で見みたくなった。
    試合のことを知ってても、わくわくドキドキしながら読んだ。暑い季節にいい。

    乗りに乗ってるときは、周囲の他人すら巻き込んで味方に引き込んでしまう。
    それって、スポーツの世界で公平になるのかは、スポーツに打ち込んでいない私には疑問。

    私の少ない経験上、トップとナンバー2の息が合うか合わないか、って人数束ねる上で重要と思うので、
    佐賀北の監督と部長の息の合い方は、結構理想。

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    2011年08月15日
  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―

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    2007年夏の甲子園優勝校・佐賀北の軌跡を追うドキュメント。
    広陵との決勝戦での疑惑のストライク判定が有名だが、何故そうなったのかが、中村氏の緻密な取材で明らかになる。
    魔物が住むという甲子園。今年も熱い闘いが始まった。

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    2011年08月07日
  • 佐賀北の夏―甲子園史上最大の逆転劇―

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    ネタバレ

     2007年、甲子園優勝を果たした佐賀北こと、佐賀県立佐賀北高校のその軌跡。
     淡々と語られる中で秀逸なのは監督と部長の稀有さだ。彼らの目指すべき野球スタイルを、生徒らが実行した。それだけだった。
     反骨感溢れる生徒も、また監督を信頼しているからこそ辛らつな言葉を浴びせたり、ぶつかっていったのだと思う。
     実際にこの年の甲子園は全く見なかったのだが、それだけの奇跡が起こり得るのが甲子園だとしたら、かなりのマモノが住み着いているなと思った。

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    2011年08月07日
  • 世の中への扉 きみは怪物を見たか 松井、松坂、斎藤、雄星 甲子園のヒーローたちの感動物語

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    怪物と呼ばれた甲子園のヒーローたち。今も活躍する彼らの、伝説の甲子園を振り返る。なぜ伝説の選手となったのか、その原点が見えてくる!

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    2010年08月02日
  • さよなら、天才 大谷翔平世代の今

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    藤浪ファンです。
    ワールドシリーズで最後、大谷を三振にしとめ優勝ピッチャーになってほしい。
    できたら、まだワールドシリーズに出場したことのない⁉︎マリナーズで。
    荒れ球を武器に。

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    2025年11月12日
  • 高校野球と人権

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    小学生の子供がソフトボールクラブに入部。対外試合をした際の、他チームの指導者が子供たちを罵倒しまくっており、そのようなチームが強豪の傾向にある。その構造が気になり、本書を手に取った。
    自己決定権と自由が選手にあるのか、ないのか、それが本書の言うところの「人権」と受け取った。
    丸刈り、ブラック校則、体罰、暴言がまだまだ残る高校野球。高校野球のゴール設定は甲子園なのか? 野球を通じた人の育成なのか?
    旧態依然とした指導方法に対して、新たな潮流も生まれている。
    高校野球の当たり前に、人権という切り口で踏み込んでおり、示唆があった。

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    2025年09月26日