角川書店のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
感慨深いなあ、情緒的とはまさにこういうことだなあと思いながら読んでいたら、最後に驚かされた。また旅に出るんだ!って思った。なんだろう、小説や映画のふつうの冒険物語の主人公が最後、次なる冒険に旅出るところで終わるのは分かる。けど芭蕉はそういうタイプではないわけである。好奇心旺盛とかエネルギーが外に外にと向かうタイプではない。むしろエネルギーが内へと向かうタイプ、道中で様々な過去の武将に思いを馳せているように、悲しみが秀でているタイプに見える。だから驚いた。悲しみへの感受性が感情の核となっている人が次から次へと冒険に旅立つ。不思議なエネルギー発露の形態だな、こういうエネルギー発露の形態もあり得るん
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Posted by ブクログ
芥川王朝物を読んだら元ネタが気になって気になって…
オマケに今昔物語に対する芥川の絶賛の仕方が素敵なのだ
〜芸術的生命、野生の美しさ、原色…〜
一番の魅力は素直な人間臭さ
そしてユーモア
計算高いイヤらしさはないのに、何か数学的な美しさも感じる不思議な作品たち
アラビアンナイトを彷彿させるお話もある
こんな時代にもしかして大海原を越え、大河を渡り、山脈も砂漠も横切ったり…なーんてことあるのかなぁ?
今昔物語は12世紀初め(平安時代末期)頃成立したといわれる
天竺(インド)、震旦(中国)、本朝(日本)の三部で構成される
各部では先ず因果応報譚などの仏教説話が紹介され、そのあとに諸々の物話 -
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ネタバレ
じいさんの手で育てあげたのに、どうして思いのままにならないのか。
古代貴族の男女関係では、「見る」ことは特別な意味を持っていた。女性にとって、男性に姿を見られることは自分の魂を所有されることに等しかった。
いつ、だれが書いたのか、わからない
作中より
竹取物語、竹取の翁の物語、かぐや姫の物語、名称は数多く、様々なパターン、バージョンがあると言われている竹取物語の編集本。
訳文、本文、解説とチャプターごとに進行していくのでわかりやすかったです。時代によって、主人公の立て方、書き手によって、いかようにも姿が変わる古典。
それでも十分に当時の男女関係の不自由さ、反体制的なラインが読 -
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ネタバレ吉田兼好は、晩年の爺さんが硯に向かって常に何かしら書き記してるような文藝人間のようなイメージがあったが、兼好8歳ぐらいのときのエピソードがあったり、不動産投資家みたいなとこがあったり、意外な部分もあった。
友達はいても心から話せる友達でないと、気を使ったり我慢したりして、かえって孤独感を感じるし虚しくなる。とか、読書は古今東西見知らぬ人と友達になるようなものだ。みたいな文章があって、雑誌のコラムに載ってそうな感じがする。
財産や利権にしがみつく者も、仁義や仏法にしがみつく君子や僧侶も同類で過度の執着は己の心を曇らせ、破滅を誘う、みたいな文も良かった。
女によって男は磨かれ、外見とかも取り -
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日本が世界に誇る文学の名作を読んでみようと思い、まずは読みやすそうな徒然草から。
今も昔も変わらない人間の本質の話や、処世術など内容は多岐にわたる。その中でも、人の無常観は印象に残った。四季の移ろいや自然の変化は人の関与できない部分であり、何人にも平等である。それに敏感になれるかは日常の豊かさに繋がる。
祭りの話で
祭りの中の一番の盛り上がりだけを見るだけではもったいなく、祭りが始まる前のドキドキ感や終わった時の虚しさなど一連の流れ、移り変わりを含めて楽しむものだ
というものがあったが、納得。
コスパを求めて盛り上がりだけ体感してしまいそうなので、移り変わりを楽しめる大人になりたいです笑 -
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源氏物語のダイジェスト版
気になるけど長いんだよな…って方におすすめ。
私もその1人でした。
・ビキナーズ版について
各章の出来事が簡潔に網羅されています。
名場面は訳文と原文までが載ってあって、理解が深まるコラムも多く、非常に良質な本。
ただ、ダイジェスト版なので仕方ないですが、登場人物達の詳しい会話がほとんどカットされているのでそれぞれの人物像を思い描くことは難しい。
・源氏物語について
初めて源氏物語を読む私に、色事の連続はなかなかの衝撃でした。現代人の感性ではそんな光源氏に引きがちですが、当時はそれが優れた男の証だとコラムに書かれていました。なるほど、古典は現代の感性で読んでは楽し -
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田辺聖子の「鬼の女房」の題材に今昔物語の話が多く使われていたので気になって読んでみた。
安定の角川ソフィア文庫。現代語訳と原文と寸評のバランスが良いですね。話が長いものについてはあらすじが入ってるのでよりわかりやすい。
初心者が読むにはもってこいです。
インド、中国、日本の説話集。
好きな話は、「炎に飛び込み、身を焼いて食事に差し出したウサギ」。
ウサギの馬鹿真面目さが面白いしかわいそうになってくる。
普段芥川作品を読まないので、ところどころで芥川龍之介がこの話に取材して〜とあったのが新たな発見でした。
芥川作品に興味が湧いたので読んでみたいなぁと思います。
特に藪の中がどんなお話になるのか -
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ネタバレ今年、色々な有名人が亡くなったが、1番衝撃を受けたのはさくらももこ。ちびまる子ちゃんが始まったのは小学生の時で、そこら中で丸尾のマネをみんながして、青ざめたときの顔に斜線が入る事を擬音で表現して、もちろんおどるポンポコリンも誰もが歌えた。ちびまる子ちゃんを見ると、今でもそういう教室の風景を思い出す。さくらももこはまだまだ若い方だと思っていたので、そういう郷愁みたいなものと相まって、死ぬということが一番遠くにあるような作品の作者が死んだことの衝撃は大きかった。いろんな、追悼文を読む中で、さくらももこの作文を読んだ学校の先生が現代の清少納言と評したという文章に出会い、枕草子は古文を習って以来読んだ