染田屋茂のレビュー一覧
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スティーヴン・ハンター『フロント・サイト 1 シティ・オブ・ミート』扶桑社ミステリー。
2024年12月末、行き付けの書店に行くとネットの新刊案内には一切情報が無かったのに、新刊コーナーにいきなりスティーヴン・ハンターの新刊が2冊並んでいたので驚いた。
スワガー・サーガ中篇三部作の第一部となる本作と第二部の『フロント・サイト 2 ジョニー・チューズデイ』が同時に刊行されたのだ。そして、第三部の『フロント・サイト 3 ファイヴ・ドールズ』も近刊予告となっている。
さらに驚いたのは、第一部の主人公がボブ・リー・スワガーの祖父であるチャールズ・F・スワガーで、第二部ではボブ・リー・スワガーの父 -
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モビリティの文脈で読み始めたら、いきなり輸送の話から始まって面を食らう。
朝に飲むコーヒーが手元にあるが、このコーヒーはどこから運ばれてきたのということから始まる。
さらには、このスマートフォン。
半導体は台湾、日本から、組み立てはアジア、そして最後にアメリカにたどり着く。
その移動量の合計を考えたことがあるか。
日本での二酸化炭素排出量において、運輸部門は産業部門に次ぐ排出量である。
その運輸部門のうち貨物自動車の排出量は40%弱。
Flightshame(飛び恥)が有名になったこともあるが、飛行機はそうでもない。
ただ、考えてみるとグローバル化で生産コスト減を追い求めた -
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ラーシュ・ケプレル『つけ狙う者(下)』扶桑社ミステリー。
下巻。なかなか読めない連続殺人鬼・汚れた牧師の正体。主人公は次々と考えられない程の窮地に陥る予測不能の展開。よもや主人公が犯人ではないかと疑いたくなるようなプロット。文句なく面白い。
被害者をストーキングし、被害者のプライベートを撮影した映像を警察に送り付けて、残虐に殺害するという犯人の凶行は止まらない。
精神科医のエリック・マリア・バルクは9年前に精神鑑定を行い、殺人事件の犯人として医療刑務所の精神病棟に送致された牧師のロッキー・クルケルンドが無実であったことに気付く。ヨーナ・リンナと共に真犯人の汚れた牧師の正体を追うエリックは -
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ラーシュ・ケプレル『つけ狙う者(上)』扶桑社ミステリー。
ヨーナ・リンナ・シリーズの第5作。前作の『砂男』からの続きが描かれる。
扶桑社ミステリーに勢いがあった頃を思い出すような凄く面白いミステリーだ。
全くもって犯行動機不明な卑劣な殺人鬼の犯行が描かれるのだが、主人公のヨーナ・リンナはなかなか姿を見せない。もしかしたら、ヨーナは過去の記憶としてしか描かれないかと思っていると、再び卑劣な犯罪の前に姿を表す。
ストックホルムの国家警察のヨーナ・リンナ警部が失踪後に彼の後任になったの臨月間近のマルゴット・シルヴェルマンは独身女性を盗撮した挙げ句に残虐な手段で殺害する殺人鬼を追っていた。犯人 -
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スティーヴン・ハンター『真夜中のデッド・リミット(下)』扶桑社ミステリー。
1989年に新潮文庫から刊行されたスティーヴン・ハンターの初期の傑作冒険小説の復刊。
ページをめくる度に手に汗握る緊迫の闘いが描かれ、次々と命を失う登場人物に何度も胸が締め付けられる。いつの間にか、登場人物たちに感情移入していたようだ。
核ミサイル発射が迫る中、伝説の兵士、ディック・プラーは副官のスケージー少佐やFBI捜査官アクリーらと共にデルタ・フォースの混成チームを結成し、核ミサイル発射基地を占拠した謎の武装組織との地みどろの闘いを繰り広げる。一方、ベトナム戦争でトンネル・ネズミとして活躍したネイサン・ウォー -
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スティーヴン・ハンター『真夜中のデッド・リミット(上)』扶桑社ミステリー。
1989年に新潮文庫から刊行されたスティーヴン・ハンターの初期の傑作の復刊。31年振りに再読となる。
圧倒的なスケールで描かれる冒険小説である。再読しても、なお面白い。1989年版の『このミステリーがすごい!』の海外第2位を獲得。この年の第1位がトマス・ハリスの『羊たちの沈黙』だったので、第2位というのは致し方無しだろう。
アメリカのメリーランド州の山中にある核ミサイル発射基地が謎の武装集団に占拠される。最新鋭核ミサイル発射を阻止するためにデルタ・フォースを創設した伝説の兵士、ディック・プラーはベトナム戦争でトン -
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まさに娯楽エンターテインメント小説の決定版。
狙撃手(スナイパー)を主役にした小説は数あれど、本書が元祖スナイパー小説の最高峰だろう。
ボブ・リー・スワガーシリーズの第一巻。映画化もされている。
恥ずかしながら僕はこの本のことはずっと前から知っていたのだが未読だった。
いや、みなが傑作ということだけのことはある。
この本が1993年の刊行だとは思えないほど古さを感じさせない。
まさに手に汗握る大活劇。
主人公は、ベトナム戦争で海兵隊の狙撃手として活躍したスワガ―軍曹。現在は退役し、余生を一人で過ごしている。そんな彼のもとに特製のライフル用弾丸を試射してほしいという依頼がくる。そこからスワガ― -
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『1つは、デジタル技術の興隆。1つは、中国が対資本主義闘争の方針を転換したこと。1つは、愛嬌もなく、最新技術とも縁がなく、ただ大きくて醜い金属の箱が起こした輸送革命。この3つのうち、一番地味な貨物コンテナ(と、その最も派手な派生物である巨大コンテナ船)が、これまで法外な経費でしかなかった大量輸送を、状況に応じて使える手段に変えたことで、残りの2つの「異変」も活かされることになった。
コンテナは、輸送革命の手段であると同時にその象徴とも言える。なぜなら、コンテナ化によって生まれた製品の代表であるスマートフォンそれ自体が、カメラやカレンダー、ナビ、本、音楽、さらには交通の確保手段など、必要なもの