モビリティの文脈で読み始めたら、いきなり輸送の話から始まって面を食らう。
朝に飲むコーヒーが手元にあるが、このコーヒーはどこから運ばれてきたのということから始まる。
さらには、このスマートフォン。
半導体は台湾、日本から、組み立てはアジア、そして最後にアメリカにたどり着く。
その移動量の合
...続きを読む計を考えたことがあるか。
日本での二酸化炭素排出量において、運輸部門は産業部門に次ぐ排出量である。
その運輸部門のうち貨物自動車の排出量は40%弱。
Flightshame(飛び恥)が有名になったこともあるが、飛行機はそうでもない。
ただ、考えてみるとグローバル化で生産コスト減を追い求めた結果、とんでもなく遠いところから運ばれてくるものが、なぜこんなにも安いのか。
次には、アメリカの自動車の権利についての説明が続く。
人をひき殺しても、運が悪かったね、人間ミスはあるもんね、でおしまい。
あるサイクリストが轢かれて治療に1年と100万ドルかかったのに、加害者は25ドルと2日間の禁固刑で終了。
2020年のアメリカの交通事故死者数は3万8680人、日本は2839人だ。
ちなみにアメリカの人口は日本の2.6倍ほど。
あまりにも強すぎる自動車の権利に対するアンチテーゼとして、googleやテスラの自動運転車の開発が進んでいるのではないか。
反面、日本ではドライバーの責任は重い。
池袋の事故では、事故のミスではなく、「上級国民」という言葉が生まれるほどに、自動車を持つもの持たないものの格差に焦点があてられた。
しかし、本来の自動車事故の原因に焦点が当てられていない。
運転ミスは全てドライバーの責任というのが、アメリカと日本で大きく違うところと感じた。
そして最後に自動運転車が実現した時の未来が描かれる。
もし、自動運転車が実現したらどうなるのか。
移動コストが下がり、自動車は保有よりもシェアになる。
個人的には、高速道路の自動運転が実用化すれば、移動中に寝ていて、起きたら遠くまで移動できている快適空間が実現してほしい(夜行バスは寝れないんじゃ)。
となると、新幹線の需要はどうなるのだろうか。
高速であることの価値は今と同じなのだろうか。
本書からは、輸送距離が長いほど物が安いという矛盾からは、SDGsの観点からも地産地消が、これからの最適解であること。
自動運転車の実現による交通事故減、移動しやすさの向上、シェアリングエコノミーについて。
など考えた。
モビリティの最適解は都市圏、地方圏によって違うが、自動運転車の実現で一変することは間違いない。