【感想・ネタバレ】SEX20億年史 生殖と快楽の追求、そして未来へのレビュー

あらすじ

最初のセックスはどのように始まったのか? 私たちが多様な性行動をするのはなぜなのか? 生物の進化史×文化史の視点を交差させ、微生物の時代から現代まで、20億年を旅する知的冒険の書

20億年前、地球全体が赤道付近も含めて凍結する「スノーボール・アース」現象が起きた。
それまで、微生物は無性生殖で自己のクローンを作成していただけだったが、DNAを守るため細胞内の核に保持する真核生物となり、過酷な環境に耐えうる子孫を作るため、互いのDNAを融合させ、生存可能性の高い突然変異を目論んだ。
これがセックスの起源だといわれている。

その後、人類の進化というタイムラインにのったセックスは、多様化していく。
体内にあった性器は体の外に出て、形や大きさを変えていく。
霊長類になると、雄が支配する家父長制が主流の中、雌中心の家母長制も出現。
また異性の相手にアピールするための“魅力的な要素”も、種によって千差万別だった。

進化が人類まで進むと、狩猟採集社会、農耕社会と環境に応じて、セックスも変化していく。
そして現代。様々な性の嗜好、性行動の奥にある本能も歴史をたどっていくと何億年前の“祖先”につながっていく。
“目からウロコ”の発見に満ちた壮大な性の旅へ誘う。

●目次
第1部 進化する前戯 1 ファックできない宇宙 2 水面下の暗中模索 3 ティラノサウルスのセックス
第2部 霊長類の絶頂(オーガズム) 4 オーガズム時代の夜明け 5 モンキー・ビジネス 6 火星から来たチンパンジー、金星から来たボノボ 7 直立(エレクトゥス)を始める
第3部 文化の残光 8 森のフェチ 9 セックスと文明 10 近代革命 11 セックスの未来

●著者について
デイヴィッド・ベイカー David Baker
歴史・科学専門の著述家。
世界で初めて、ビッグ・ヒストリー(壮大な時間軸の中で宇宙の始まりや地球の歴史を自然科学と社会科学の視点から俯瞰し探求する学問分野)の博士号を取得。
受賞歴のある講師であり、何百万人もが視聴する教育系動画の脚本を手がけている。
著書に『The Shortest History of Our Universe』『早回し全歴史――宇宙誕生から今の世界まで一気にわかる』(ダイヤモンド社)などがある。@davidcanzuk

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Posted by ブクログ

ベイカー先生らしく、いつものあざとい話だけど知らん人類史的・人類学的情報や観察もあっておもしろい。そういうのがこういう本のおもしろさで、「進化」っていう枠組みではない。今風にLGBT話も多い。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

ビッグヒストリーという超俯瞰的視点から研究する学問の博士による、宇宙誕生から辿る性行為の歴史

そもそも何から始まったからなど思いもしなかったが、その変遷を辿ることによって、生物学や人類学や進化学や他の学問についても相当勉強になり、多くのことを考えさせられる

霊長類でも種毎に性行為に相当な違いがあるのが興味深い
人類の歴史でも、相当の変遷を経て現在の多様性になったのが伺える
現在の細かなデータや複数の未来シナリオにも書かれていて、前著も読んでみたいと感じた

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地球誕生から今日に至るまでの生命の営みについて長い時間軸で語られているのが壮大だった。
チンパンジーやゴリラの性事情にビックリ。
セックスにかける時間。ゴリラ1分、チンパンジー7秒、ボノボ15秒、オラウータン15分というそれぞれの違いがあって面白かった。
生存のためにセックスにかける時間が最小限になっていること。
人間の性の多様化、歴史的な背景、そして未来のセックス。
少子化に向かうのは致し方なさすぎと感じた。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

石田衣良さんが勧められていて、読んでみました。おもしろかった!
ただし、ネタとしては。

特に現代のセックス事情について、学術的根拠が薄いことを拡大解釈している。
例えば「女性は男性を求める場合、男性と比べて、かなり平均から上位にある男性を探しがち」という結論にある。例えばマッチングアプリでの、外見。陰茎のサイズなど。
だがAVに出てくる女優も、外見はかなり上位ではないか?
結局、「性欲の付き合い」なら平均以上を求めるのは、男女変わらないのでは?

またマッチングアプリでも、婚活専門であれば現実的な選択をしているのでは?周囲に婚活で出会って結婚した人が複数人いるが、別に平均から大きく上位にいる人たちではない。

というふうに、古代や類人猿のことも拡大解釈されている可能性があるので、読み物としては面白いのだが、まるっきり信じることはできなかった。

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2025年07月26日

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