荒木源のレビュー一覧
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ほぼ余談なのですが、大阪・なんばに波屋書房という創業百年を超える老舗の書店があります。ここは料理の専門書に特化した本屋で、料理人がやってくることでも有名。
私はといえば、食べることは大好きだけど、料理人でも何でもない。ただ、ここへ行くと文庫本も料理に関するものが集められていて凄く楽しい。最近はなんばグランド花月に行くたびに寄って、毎回3冊ほど買い込んでいます。そのうちの1冊。
主人公は一流企業を訳あって退職、今はタクシーの運転手。趣味は料理。妻とはずっと前に離婚しており、自分についてきた一人娘と二人暮らし。外で食べて来るなり自分で作るなりすりゃいいものを、娘は父親の手料理を楽しみにしていま -
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父と娘の関係が程よくアンマッチであるからこそ日々の同居生活が平穏な気がしました。
大きな組織から個人采配の日々に舵を切った決断はなかなかの大きな転機だと思う。出世した過去の後輩は後悔が湧く程の役割を担っていて葛藤に苦しめられる。そんなイライラを解消してくれるのは楽しさを感じられる調理。
馴染みのある和の文化や食材は老いた父の拠りどころ。海外から侵入してきた色々を受け入れたくない気持ちを持つのは分からないでもない。うまれてから外来種が席巻している時代を過ごした世代には位相が合わないのも是とせざるを得ない。多種多様が歩み寄り共存すべきが美味しい感覚の新たな気づきを生むのでしょう。美味しさの喜 -
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ネタバレブラッククロー
アマチュアのヘビメタバンド。一九七〇年代後半のヘビメタ興隆期、梅ぎ岡高校の同級生によって結成された。今年五十三になるメンバーの職業はさまざまで、みな音楽とは関係なく生計を立てている。
江南陽平
ブラッククローのボーカル。クレイジードクター殿。梅が岡市民病院に勤める本物のDOCTOR。消化器外科の科長。
山口義徳
江南の患者。七十二歳。現役の植木屋。病院を変える。梅が岡交響楽団「ウメキョー」のメンバー。
恭子
江南の妻。医局の後輩だった。
誠一
江南の長男。
俊介
江南の次男。
吉川文則
ブラッククローのベース担当。バンドのリーダー格。魚屋。
岩崎敬太郎
ブラックク -
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働き方改革が声高に叫ばれる昨今、ワークライフバランスを無視したような過剰な残業は決して許されることではありません。
とはいえ、どうしても対応しなければならないこともあるでしょうし、「仕事が終わらないままになっている」ということをストレスに感じる人もいるでしょう。
体調を崩すことがなく、個々人の人生を尊重しながら、適切な時間や負担で回せる労働管理が必要なのだ、というのは理想論としてはわかります。
この物語の舞台は建築現場ですから、建物の完成時期は決まっていますし、天候などの影響を受けながら工事のやりくりをしなければならず、どうしても現場の管理者となる社員たちは残業が多くなります。
事故を起こさ -
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ネタバレ刺激的なタイトルに惹かれて手に取った本。
小説だけど、しっかり現実に沿った社会問題と具体的な解決がストーリーに盛り込まれていて、お仕事エンタメ小説で終わっていない。
大手ゼネコンの社員・成瀬が現場所長を務める横浜のホテル建設工事は、東京オリンピックを目前にして工期がギリギリな上、現場監督の人手不足、急な仕様変更、労使協定による残業規制、近隣住民からのクレームと問題だらけ。
本社、管理部門に解決策を求めても聞く耳は持たず、現場は疲弊、混乱。そして部下が倒れたり、残業時間の隠蔽を余儀なくされたり、部下が自殺をはかって左遷されるという、もう大混乱の展開。
後半は、少し無理やりな現場復帰と別の