荒木源のレビュー一覧
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人の性格は役割によって与えられる。
有名なスタンフォード監獄実験では、受刑者役と看守役の役割によって実験はエスカレートして中止された。
彼の国の独裁者も、産まれながらに独裁者の役割を与えられ、その役割を演じ続けるために好き放題ミサイルをぶっ放すようになったのかもしれないし、
彼の国の大統領は、世界で一番エラいはずなのに自分の思い通りに事が進まず、自分の役割を果たしきれずにフラストレーション溜まって暴言を吐きまくっているのかもしれない。
与えられた役割を果たすために、性格を合わせて行かなければいけない。
独裁者にも、大統領にも悩みがあるのだ。たぶん。
ペックランドの独裁者ジョンウィンは今 -
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いわゆるタイムスリップもの。
本質的なものは変わらないものの、現代の生活になじんでいく安兵衛。
順応力が半端ないな・・・というのが素直な感想。
これだけの順応力があれば、どこへ行っても安兵衛は大丈夫だろう、と思ってしまう。
江戸時代からやってきた安兵衛が、時代劇にハマるのも面白い。
やす子たち母子と真正面から真剣に向き合う姿もいい。
少しずつ、家族のような、父子のような絆が育っていくようすが微笑ましくて、あたたかい。
自分をわきまえる。
自分の成すべきことを知れ・・・ということなのだろうか?
その辺りの安兵衛の考え方が何となくピンとこなかったけれど、やらなければならないことはきちんとやれ・・・ -
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ネタバレ江戸時代からタイムスリップしてきた木島安兵衛。偶然居合わせたバツイチシングルマザーのひろ子の家に居候することになります。世話になる代わりに家事を引き受け、持ち前の器用さと真面目さで思わぬ家事の才能を見せる安兵衛。そして家事と育児に追われていたひろ子は安兵衛のおかげで仕事に専念することが出来、充実した日々を送れるようになります。いつしか、こんな日が続いていけば、と願うようになるひろ子ですが…、という話。
面白かったです。安兵衛の“ならぬものはならぬ”という毅然とした態度にハッとさせられました。ふざけた(失礼^^;)タイトルからは想像出来ない、しっかりした話で好感が持てました。続編もあるようなの -
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書店の店頭で見かけて、なぜか気になって、半年。
実はこの作家さんの本を読むのは、これが初めて。
やっと今、読み終えた。
一見、ヨボヨボのおじいちゃん、おばあちゃんが、ここぞという場面で、思いがけないすごい高い能力を発揮していく……てな展開を予想していた。
まあ、その予想はそれほど的はずれではなかったようだけど。
でも、何となく予想はついても、それでも楽しく読めてしまうのだ。
読んでいて、この作家、きっと音楽好きだ、と思わされるからかも。
あとがきを読んだら、荒木さんはバソンを嗜むとか。
バソン!
仏文出身で、バソンとは。嬉しくなってしまう。
最後に余計なことながら、疑問が。
ロシア人の姓 -
Posted by ブクログ
ネタバレ大阪弁?の地の文、元刑事と泥棒という、尊厳死や介護にまつわる物語に、独自の設定を取り入れた小説。
元刑事の高山に、「ちょうどええとこ」で死なせてくれと依頼された元泥棒・吉森の葛藤。泥棒であるけれど、どこか律儀で人情深い故に、その苦しみは深い。
更に脳梗塞になってしまった高山は、高度な会話はもはや成り立たず、どんどんと老いてゆき、最早相談も出来ない。
私は今まで介護もした事が無いのですが、老いの恐怖というか、哀しさを色濃く感じました。
「シワがちょっと増えた」なんて嘆いている内が華なんだなあと。
そして家族の優しさが滲み出す物語でもありました。高山の奥さんや娘さん、介護大変だっただろうに、