北田絵里子のレビュー一覧

  • 関心領域

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    原作を読んでから映画を観て、なんか映画の方が怖いなと思った。どちらも人間の慣れや飽きの恐ろしさを描いていたように感じるけど、映画の方にはハンナやトムゼンのような存在は現れない。

    強制収容所の痛ましい記録を見るに、どうしてそんなことになった?と思うけれども、私たちの日常生活の中で、なぜ誰も止めなかったの?と思うような出来事は起こっていて、そういうことの積み重ねの先に、ありえない出来事も起こり得る。
    後から振り返って「あの時あなたが止めるべきだった」と言うのは簡単である。
    上司が明らかにおかしな指示をしていているけど、周りの同僚は誰も異を唱えずに従っている。そんな場面で、おかしいと主張できるか?

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    2024年07月07日
  • 関心領域

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    映画見て気になって原作も読んでみた。ってか原作?「アウシュヴィッツのドイツ人看守側の話」って設定は共通やけど違う話やん。映画は映像で見せる分事件は起こらず、一方小説はけっこう事件満載。個人的には小説の方が好きかな。

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    2024年06月29日
  • 関心領域

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    ナチスの強制収容所の柵の内と外
    司令官は任務遂行に忠実でありながら酒と薬に溺れ、将校は欲愛に執心、ゾンダーはまともな感覚を失い同胞の死体を運ぶ
    異常な環境でも(だからこそ)人は自分の関心領域の中に籠もることでやり過ごすのか
    手こずったけど読み切った
    原作に忠実であるほど読みにくいし、かといって読みやすくすると別物になってしまう?

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    2024年06月12日
  • 夜が来ると

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    オーストラリア、シドニー近郊のリゾート地。夫に先立たれ、海辺の家で一人暮らす75歳のルースは、ある夜、家のなかに虎がいる気配を感じる。それからほどなくして彼女の元に現れたのは、行政から派遣されたヘルパーだという大柄な女性、フリーダだった。精力的に働くフリーダに感化され、活力を取り戻していくルース。だが、二人の関係は徐々に歪み始める。孤独を埋める依存と支配、混濁していく認識能力を巧みな文章で描いたサイコサスペンス。


    二人の関係がどのように崩壊していくかはフリーダ登場の場面からすでに予感されている。結末が見えた上でじわじわ心地良い依存関係が進行していく。内心はおかしいと気が付きながらも、脳のア

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    2024年06月09日
  • あのこは美人

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    リアル。男女、整形、家族、社会。4人の女子。残酷?最後急に上向きになったように感じたけど、別にハッピーエンドではないかも。

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    2024年03月12日
  • グレート・サークル

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    長すぎて、前半のエピソードを覚えていないが、飛行機についてよく詳細に書けたものだ。正誤は不明だが。
    ハヤブサ号って固有名詞なのだから、日本語にしちゃだめじゃないかの違和感で−1。

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    2023年10月08日
  • あのこは美人

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    それぞれの闇を抱えながら韓国で生きる4人の女性たちの物語。
    容姿、家柄、学歴、女性軽視など韓国の問題が色濃く描かれているけれど日本もそんなに変わらないんじゃないかと思う。帯の「わたしにはわたしの地獄、あのこにはあのこの地獄」っていうのが、ほんとそうだよなってなる。でも読後感は爽やか

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    2023年08月20日
  • あのこは美人

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    ネタバレ

    韓国の階級制度や差別について学ばされた。
    4人それぞれが悩みを抱えてそれに向かって
    前向きに立ち向かっていく様がよかった。

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    2022年10月30日
  • あのこは美人

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    淡々とテンポよく、心を抉られるようなエピソードがどんどん出てくるけれど、シスターフッドの心強さが描かれている。ラストまで読もう。

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    2022年07月03日
  • あのこは美人

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    複雑な事情を抱えて現代を生きる、4人の韓国女性たちの等身大の姿を描いた物語。背景に韓国ならではの事情を色濃く反映させながらも、日本でもどこでも共通する彼女たちの思い悩む姿は共感できるもので、段々浮き上がってくる彼女たちのキャラクタもとても魅力的でした。

    美容整形を「三人に一人」がなんらかの形で行っていること、超高学歴社会であること、そして少子化や社会構造のひずみにさらされていること。その無慈悲さすら湛えている社会に、彼女たちは後ろ盾もなくさらされていき、傷を負ってもしまいます。

    その傷を抱えながらも、彼女たちがそれぞれのかたちで立ち向かっていく様子がみずみずしく描かれていて、とても好ましか

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    2022年06月29日
  • あのこは美人

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    ネタバレ

    登場人物それぞれの苦しみが描かれるが、もがき続けた彼女たちが暗闇の中に一縷の光を見つけ、手を取り合ってそちらに向かうようなラストが良かった。
    現代韓国の闇が描かれるが、登場人物が魅力的で彼女たちのサバイブに勇気づけられるので、読後感はとても爽やか。
    彼女たち(私たちも)の未来にはまだまだ苦しみもあるだろうが、あなたは1人じゃないと物語が背中を押してくれる。

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    2022年03月26日
  • レイラの最後の10分38秒

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    面白かった。殺された娼婦レイラ。肉体は滅びたが、まだ意識がある。10分38秒、レイラの脳裏に走馬灯のようによぎる人生。レイラの回想に出てくる友人たちが、後半のメイン。

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    2022年03月16日
  • ウエスト・サイド・ストーリー〔新訳版〕

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    ネタバレ

    ストリートギャング"ジェッツ"とプエルトリコ系ギャング"シャークス"の縄張り争いと禁断の恋。

    「〜世のなかのありようとはそういうものだ。そして世のなかが変わらなければ、そのありようもずっと変わりはしない。」
    悲劇からの、考えさせられる締め方。
    この締められ方がなんかすとーんと腑に落ちた。

    その後解説読んで、批評家アトキンソンの
    「主題は美しいものではない。しかし『ウエスト・サイド・ストーリー』が導き出したものは美しい。なぜならこの作品には真実を探求しようとする眼差しがあるからだ」という言葉で更にすとーんと!
    「なんかいいな〜」と思いながら読んでたのが

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    2022年03月01日
  • レイラの最後の10分38秒

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    境遇だけ見ていたら、レイラはとても気の毒とかかわいそうとかそういう部類になっちゃうんだろうけれど、それでも彼女にはそういう同情や憐れみを寄せ付けない強さがある感じ。そして水族。血族に恵まれなくても素敵な水族を自分の手で作ることができる。いいな。

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    2021年07月08日
  • レイラの最後の10分38秒

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    2017年、カナダの医師らは、臨床死に至った1人の患者が、10分38秒間、生きている人と同様の脳波を発し続けていたことを発見した。
    少々奇妙な本書のタイトルは、このニュースに由来する。
    心臓が止まった後、10分余り、人に意識があるのならば、その人は何を思い、何を考えるのだろうか。

    主人公はレイラ。トルコ・イスタンブルに住む40歳代の娼婦である。
    物語冒頭、彼女はすでに虫の息である。襲われ、サッカー場近くの大型ゴミ箱に捨てられた。心臓が止まる。カウントダウンが始まる。

    1分。2分。3分。
    薄れゆく意識の中で、彼女は自分の人生を振り返る。
    生まれた日のこと。1人の父と2人の母がいる複雑な家庭で

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    2021年02月12日
  • レイラの最後の10分38秒

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    つくづく
    人生は短いものだなーと思う。
    心臓が止まって
    脳が機能を停止するまでの
    ほんの10分ちょっとで
    振り返ることができるほど。
    そして
    こんなに利発で聡明な人が
    娼婦となり、無残な死に方を
    しなければならなかった
    その時代や国籍や性別に
    虚しさとやるせなさが残った。
    それでも、けっして主人公が
    不幸だったわけじゃないことに
    救われる。

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    2021年01月10日
  • レイラの最後の10分38秒

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    心臓が鼓動を止め呼吸が途絶えたあとも、10分38秒の間、脳波は続いていたという論文があるそうだ。本書はその論文を基に、1人の売春婦が“完全に”死ぬまでの時間に想起したことを綴った作品である。味覚や嗅覚と共に断片的に思い出される彼女の人生は決して幸福なものとは言えず、楽しい読書ではなかったが、読む手が止まらない。そして第2部で綴られる彼女の5人の友人たちの奇想天外な冒険譚! トルコというあまり馴染みのない国を舞台に、生と死を思う深い読後感だった。

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    2020年11月08日
  • レイラの最後の10分38秒

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    私たちは死後、どのような人を、どのようなことを回想するのだろうか。レイラは、痛みを伴う悲しみや苦しみ、ささやかな歓びとともに、5人の友を回想する。選べなかった人生だったとしても力強く生きたレイラ。愛情深いその姿に友は皆惹かれていく。レイラも友に救われた。装幀の深いブルーやイラストがこの物語のラストにしっくりとくる。

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    2020年10月07日
  • 荒野にて

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     こんな悲しい物語は、できれば読みたくない。ラストに用意されている薄い光明では、沈んだ心は十分に晴れない。
     主人公が出会う悲しみに満ちたエピソードには常にやりきれなさがつきまとう。エピソードの向こう側に階級社会の影が強く見えるからだ。やりきれない出来事の連続の中にも、温かみを感じる人々が主人公に手を差し伸べる。固定された階級社会の中で生きていく時、救いになるのは社会制度ではなく、市井の人々の暖かさだけなのか。
     映画『万引き家族』を観た時と同じような感覚だ。

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    2019年07月01日
  • 荒野にて

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    この少年は人の痛みのわかる感受性の豊かな人間になるんだなあと思う。ラスト、本当に良かったねと肩を抱きたい。

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    2019年06月28日