北田絵里子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ本が好きなら誰しも一度は読んでみてほしい作品。
洋画の翻訳の様な口調で話は割とテンポ良く進む。それに慣れないドイツ語とちょくちょく話がややこしくなる時もある。そして、淡々と自分は物語を進める。
しかし、何か肝心な事を忘れていないか?という気持ちに常に襲われていた。もちろん、これは強制収容所で働く人々のお話というのは理解していた。だからこそ、この作品は狂気に溢れているという認識をもって読み始めた。しかし、本当に狂気に溢れているのは自分自身であったと今は認識している。
鏡の様な作品と言われていたが、本当に間違いない。自分は作品を通して、ドルとトムゼン達の事に意識が集中していた。そして、ここが -
Posted by ブクログ
星に迷いました。でも、目を背けてはいけない。
観てから読みました。
映画もすごかったですが、原作もすごかったです…
ただ原作は想像力の入り込む余地があまりないように感じ、とてもきつかったです。
実は映画を観た時もそう感じていたのに、より原作はきつかった…
物言わぬ少年たちの時間
ゾンダーコマンドの存在
P302からのシュムルの章は、感情というものを捨て去らなければ読めないこの作品の中で、やはり涙が出る内容でした。でも、その自分の涙さえ欺瞞に感じる…厳しい話です。
主役はトムゼン。話の動くきっかけは、トムゼンが人妻のハンナに気もちを寄せたから…
でも、それは話を動かす装置でしかない。
あ -
Posted by ブクログ
10分38秒のあいだ— 心臓の動きが止まった後も意識は続くのだそう!
そのわずかな時間に人は何を思うのだろう?
魅惑的な街イスタンブルの裏側で生きた一人の娼婦レイラの物語。5人の友達の物語でもある。1947〜1990
心を鷲づかみにされた
大人に服従するしかなかった少女時代
そして
喧騒にまみれた街の片隅で友情を育み
尊厳を保ちながら暮らすレイラの姿に
自分自身を知り、わが人生の主人になってみよう
心が軽くなっていく
青い尾ひれをゆらしながら泳ぐ闘魚(ベタ)に導かれ やっと自由を手にしたレイラの姿に
テキーラ・レイラが息絶える最後の10分38秒を、一分ごとに記憶の糸を手繰り寄せ -
-
-
Posted by ブクログ
1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏にあるごみ箱の中で、殺害された1人の娼婦が息絶えようとしていた。
彼女の名前はレイラ。死後も続く10分38秒の意識の中で、彼女は、5人の友人と1人の最愛の人と過ごした日々を思い出す。
この小説の前提に、ひとつの事実がある。
2017年にカナダの集中治療室勤務の医師たちにより発表された「臨床死に至ったある患者が、生命維持装置を切ったその後も、10分38秒間、生者の熟睡中に得られるものと同種の脳波を発し続けた」という論文だ。作者はこの記事を読んで興味を持ち、この小説を書くに至ったという。
主人公のレイラはトルコの田舎町で生まれた。
厳格で理解のない父と、 -
Posted by ブクログ
2017年3月、医療系情報サイトにある驚くべき記事が掲載される。カナダの集中治療室勤務の医師らの報告だ。「臨床死に至ったある患者が生命維持装置を切ったその後も10分38秒間、生者の熟睡中に得られるものと同種の脳波を発し続けた」というものだ。医師らはこれが機器の誤作動ではないことを確認し医学誌に論文として掲載した。この記事に興味を抱いて執筆されたのが、本書だそうだ。「人はわずかなその時間に何を思うのだろう?もし、人生を振り返るならどんなふうに?」
物語は1990年トルコのイスタンブルで暮らす娼婦レイラが、殺人事件の被害者となり、心停止となり呼吸もとまり、まさに死に瀕した状態であるにもかかわらず、 -
Posted by ブクログ
カイロからケープタウンまでアフリカ縦断の長い旅。この本に対する自分の評価はこのレビューの長さがものがたっていると思う。
この本は単なる旅行記というカテゴリーには属さない。アフリカ諸国の歴史背景や様々な現地人たちの証言、筆者の時に厳しく、ユーモア溢れる観察眼が創り出すかなりディープな内容となっている。長い旅を通じて、30年余りの昔から進歩がない、むしろ悪くなっているアフリカ大陸の現状が浮かび上がってくる。
こんなタフな旅をしたポールセローには、一般人らが観光旅行でみるアフリカがハリボテのようで滑稽に思えただろう。
少し考え方が偏屈で気難しい(特に慈善団体には)感じがする筆者だか、旅の終盤でノーベ