北田絵里子のレビュー一覧

  • ソングライン

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    アボリジニの先祖へと辿るソングライン

    この世という過酷で不毛な荒野をさまようさすらい人であり、その本来の姿を再発見するため、人は愛着を捨てて旅立たなくてはならないのだ

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    2025年10月11日
  • 関心領域

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    ネタバレ

    本が好きなら誰しも一度は読んでみてほしい作品。

    洋画の翻訳の様な口調で話は割とテンポ良く進む。それに慣れないドイツ語とちょくちょく話がややこしくなる時もある。そして、淡々と自分は物語を進める。

    しかし、何か肝心な事を忘れていないか?という気持ちに常に襲われていた。もちろん、これは強制収容所で働く人々のお話というのは理解していた。だからこそ、この作品は狂気に溢れているという認識をもって読み始めた。しかし、本当に狂気に溢れているのは自分自身であったと今は認識している。

    鏡の様な作品と言われていたが、本当に間違いない。自分は作品を通して、ドルとトムゼン達の事に意識が集中していた。そして、ここが

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    2024年09月18日
  • 関心領域

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    星に迷いました。でも、目を背けてはいけない。

    観てから読みました。
    映画もすごかったですが、原作もすごかったです…
    ただ原作は想像力の入り込む余地があまりないように感じ、とてもきつかったです。
    実は映画を観た時もそう感じていたのに、より原作はきつかった…

    物言わぬ少年たちの時間
    ゾンダーコマンドの存在

    P302からのシュムルの章は、感情というものを捨て去らなければ読めないこの作品の中で、やはり涙が出る内容でした。でも、その自分の涙さえ欺瞞に感じる…厳しい話です。

    主役はトムゼン。話の動くきっかけは、トムゼンが人妻のハンナに気もちを寄せたから…
    でも、それは話を動かす装置でしかない。

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    2024年08月03日
  • レイラの最後の10分38秒

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    死ぬ時ってこうなのかな、とまだ見ぬ死に思いを馳せた。ファンタジーだけど、こうなるといいな、私はレイラみたいに寛容に生きてるかな、って反省した 90

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    2023年12月28日
  • グレート・サークル

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    ボリューム満点で、私自身終わりまで読んでサークルを閉じられるか不安だったが、半分過ぎた辺りから怒涛の勢いで読み終えた。

    マリアンとハドリーがどう重なっていくのか…と思ったが、なるほどその役割を担うのね。

    それぞれの生い立ちや、時代ならではの生きづらさを吹っ切るように空へ向かう姿が、このページ読み終えると沁みるなぁ…

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    2023年12月21日
  • グレート・サークル

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    これは面白かった!
    話の大きさ、物語性、構成、個々のキャラクター、ストーリー…最初そうでもなかったのに、読み進むにつれ、どこへ行くんだろう?とどんどん取り込まれていく。戦時下の女性パイロット、という目立つトピックだけでなく、アイデンティティー、どう生きるか、性自認、恋愛感情やその切なさまでも盛り込まれている。
    ここへ辿り着くためには、この長さが必要だったなと思う。

    とてもよかった。円は見事に完結。

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    2023年09月21日
  • レイラの最後の10分38秒

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    10分38秒のあいだ— 心臓の動きが止まった後も意識は続くのだそう!
    そのわずかな時間に人は何を思うのだろう? 
    魅惑的な街イスタンブルの裏側で生きた一人の娼婦レイラの物語。5人の友達の物語でもある。1947〜1990

    心を鷲づかみにされた

    大人に服従するしかなかった少女時代
    そして
    喧騒にまみれた街の片隅で友情を育み
    尊厳を保ちながら暮らすレイラの姿に

    自分自身を知り、わが人生の主人になってみよう

    心が軽くなっていく

    青い尾ひれをゆらしながら泳ぐ闘魚(ベタ)に導かれ やっと自由を手にしたレイラの姿に

    テキーラ・レイラが息絶える最後の10分38秒を、一分ごとに記憶の糸を手繰り寄せ

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    2023年06月16日
  • レイラの最後の10分38秒

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    1度途中まで読んで、主人公の人生の悲惨さに耐えられず読むのを断念した本。再度チャレンジして読み終わると、読んで良かったと心から思えた。

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    2023年06月02日
  • レイラの最後の10分38秒

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    友人たちとの熱い友情に強く胸を打たれました。
    今まで読んできた本の中で断トツのNo.1作品。死ぬまで読書趣味でいる予定ですがこの本を超える作品に出会うことはないだろうと思っています。100点満点です。

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    2023年02月19日
  • ウエスト・サイド・ストーリー〔新訳版〕

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    スピルバーグ監督の映画を見て感動しノベライズを読んでみた。映画とは違う部分や異なる解釈があり、色々な発見があって楽しかった。映画では分かりにくかったエニボディズについての描写が多く、そこから映画には無いメッセージを受け取れた。解説によると、ウエストサイド物語の作者、バースタインの同年代にあのサリンジャーがいるそうだ。両作品とも共通してsomewhereを渇望する若人達が描かれている。

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    2022年03月14日
  • ウエスト・サイド・ストーリー〔新訳版〕

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    ネタバレ

    リフが率いる白人非行少年グループ、ベルナルドが率いるプエルトリコ系非行少年グループが決闘を行いそれぞれのリーダーが最後には命を落とす。この小説が描かれた当時の時代背景が気になったが、各国からの移民がやってきてはコミュニティーを形成していく中でこのような争い事は避けられないものだろうか。何か若い少年達が働く場所があればこのような争いは無かったではないか。ハッピーエンドではないが何か読後心に引っかかる感じがする。スピルバーグの映画も是非チェックしたい。

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    2021年12月25日
  • レイラの最後の10分38秒

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    1990年、トルコ。イスタンブルの路地裏にあるごみ箱の中で、殺害された1人の娼婦が息絶えようとしていた。
    彼女の名前はレイラ。死後も続く10分38秒の意識の中で、彼女は、5人の友人と1人の最愛の人と過ごした日々を思い出す。

    この小説の前提に、ひとつの事実がある。
    2017年にカナダの集中治療室勤務の医師たちにより発表された「臨床死に至ったある患者が、生命維持装置を切ったその後も、10分38秒間、生者の熟睡中に得られるものと同種の脳波を発し続けた」という論文だ。作者はこの記事を読んで興味を持ち、この小説を書くに至ったという。

    主人公のレイラはトルコの田舎町で生まれた。
    厳格で理解のない父と、

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    2021年08月21日
  • レイラの最後の10分38秒

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    ネタバレ

    言葉にならないくらい良かった。
    殺害されてから意識がなくなるまでのわずかな時間に、彼女の人生・人々との思い出、心がほどけていく。
    友人達に送られて、魂はイスタンブールの一部に帰る。
    理不尽で無慈悲な話だけど、命は明るく美しいと思える。

    フィクションだけど、イスタンブールの地図も掲載されているので、GoogleMapのストリートビューで見ると、街の雰囲気を感じられてとてもよかった。
    なんと河の水上までストリートビューで追えるので、最後の橋のシーンまでレイラの視点で見ることができる。本と一緒におすすめです。

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    2021年01月25日
  • レイラの最後の10分38秒

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    2017年3月、医療系情報サイトにある驚くべき記事が掲載される。カナダの集中治療室勤務の医師らの報告だ。「臨床死に至ったある患者が生命維持装置を切ったその後も10分38秒間、生者の熟睡中に得られるものと同種の脳波を発し続けた」というものだ。医師らはこれが機器の誤作動ではないことを確認し医学誌に論文として掲載した。この記事に興味を抱いて執筆されたのが、本書だそうだ。「人はわずかなその時間に何を思うのだろう?もし、人生を振り返るならどんなふうに?」
    物語は1990年トルコのイスタンブルで暮らす娼婦レイラが、殺人事件の被害者となり、心停止となり呼吸もとまり、まさに死に瀕した状態であるにもかかわらず、

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    2021年01月18日
  • 穴の町

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    カフカ!カルヴィーノ!安部公房!
    不条理小説好きの琴線に触れまくる傑作だった。
    すごく不思議な文体で、段落のはじめはスラスラ読みやすいんだけど途中から変な感じになっていき、最後はよくわからなくなって一段落が終わる感じ。ちょっと味わったことのない読み口。
    何が起きるってわけでもないんだけど常に不穏な空気が漂っていて、確実に終末に向かっている予感だけがある感じ。好きすぎる。もっと読ませてくれ!

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    2019年07月28日
  • 夜が来ると

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    やや、や。
    家の中に虎がいる…という発端から、これは何か不穏な話?と思う。そこに翌日現れたフリーダに、読者はこれはもうあやしいと思うのだけれど、夫に死なれ1人暮らしの75歳ルースとフリーダの気持ちが時々通い合ってしまうので、ルースも読者もついふらふらと心を許してしまいたくなる。一貫して、美しいけれど足を取られる砂浜を歩いているよう。

    ”明日は我が身”と身につまされながら読んだ。
    どうやったら幸福に死ねるんだろう。

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    2016年03月08日
  • ダーク・スター・サファリ ― カイロからケープタウンへ、アフリカ縦断の旅

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    カイロからケープタウンまでアフリカ縦断の長い旅。この本に対する自分の評価はこのレビューの長さがものがたっていると思う。
    この本は単なる旅行記というカテゴリーには属さない。アフリカ諸国の歴史背景や様々な現地人たちの証言、筆者の時に厳しく、ユーモア溢れる観察眼が創り出すかなりディープな内容となっている。長い旅を通じて、30年余りの昔から進歩がない、むしろ悪くなっているアフリカ大陸の現状が浮かび上がってくる。
    こんなタフな旅をしたポールセローには、一般人らが観光旅行でみるアフリカがハリボテのようで滑稽に思えただろう。
    少し考え方が偏屈で気難しい(特に慈善団体には)感じがする筆者だか、旅の終盤でノーベ

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    2016年02月07日
  • 夜が来ると

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    今も日本のどこかで起こっていてもおかしくなさそうな小説。
    寂しさによって人は騙される。騙されることに救いを求めて騙される。結末が容易に予測できる中で、その予測の通りに静かに進行していく怖さを感じた。
    現実に戻って、認知症は環境によってつくられる病気ではないかと思った。

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    2015年09月29日
  • ソングライン

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    読み始めてしばらくは亡羊としてまさに蜃気楼のようにつかみどころが無かったが、やがてその思想や論理が、あたかも意図的に断片的に現されるストーリーとリンクするかのように確実に輪郭を結び、すさまじい意識変革を促してくる。社会、心理、政治、経済、そして哲学。およそいままで触れてきたすべての知性によって糊塗された価値観を軽々と持ち上げ裏返されるエネルギーを感じた。
     すさまじい書である。

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    2015年06月28日
  • ダーク・スター・サファリ ― カイロからケープタウンへ、アフリカ縦断の旅

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    ポール・セローを読んだのは「モスキート・コースト」以来、ということは30年ぐらいぶりになるのかな。
    5センチ以上の厚さのある本でしたけど、とてもおもしろくて、毎晩少しずつ読むのが楽しみで、アフリカを堪能いたしました。

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    2014年08月24日