感情タグBEST3
Posted by ブクログ
こんな悲しい物語は、できれば読みたくない。ラストに用意されている薄い光明では、沈んだ心は十分に晴れない。
主人公が出会う悲しみに満ちたエピソードには常にやりきれなさがつきまとう。エピソードの向こう側に階級社会の影が強く見えるからだ。やりきれない出来事の連続の中にも、温かみを感じる人々が主人公に手を差し伸べる。固定された階級社会の中で生きていく時、救いになるのは社会制度ではなく、市井の人々の暖かさだけなのか。
映画『万引き家族』を観た時と同じような感覚だ。
Posted by ブクログ
「馬との友情物語」的なものかと思っていたが違っていた。つらい話なんだけど、読んでいていやな気持ちにならず、不思議な爽やかさがあるのはなぜだろう。主人公の少年が自己憐憫に浸らず、妙に力んだりもしないからだろうか。映画化されているそうで、観てみたいが、ハリウッド的にアレンジされていたらいやだなあ。
Posted by ブクログ
伯母に会いたい一心で、自分の道を切り開いたチャーリーはすごい。15歳の小さな体の中に一体どれほどの生命力が込められているのだろう。見習わなきゃ。父を慕い、伯母を慕い、逞ましく生きた少年。自分でお金を稼ぐことを覚えたり、良くないことでも生きていくために必要な事を本能で身につけている。だが、それでも世間はチャーリーに厳しい。それでも諦めなかったのは、過去の思い出や会いたいと思う強い意志があったからこそだと思う。すごい。若いって素晴らしい。
Posted by ブクログ
この人はバンドもやってていわゆる二足のワラジなんだが、それが駄目に作用してない素晴らしい作家だなあ。や、これ一冊しか読んでないけどね。15歳の全然擦れてない少年のひたすらしんどい旅、ただそれだけなんだけど、どん底の腹ペコの中、この子は少しも誰かのせいとか、自分だけがなんでこんな目に、とか「くさらない」で、唯一の親族伯母さんの住む土地にひたすら向かって進んでゆく。地味な話なのに、読むのがしんどいほどに現実の厳しい描写が痛々しく、このリアルな感覚を表現できる、すごい書き手なんだなあー。
Posted by ブクログ
トレーラーの運転手として転々とする父親と暮らすチャーリー、15歳。父親の新たな仕事のためにオレゴンに引っ越してきた。以前いたところではフットボールの選手として表彰されたこともあるチャーリー。新学期と共に地元のフットボールチームに入るため日々ランニングは欠かさない。その途中で競馬場があることを知り、調教師の手伝いをすることにする。狡猾な老調教師デルだったが、そこで競走馬のリーン・オン・ピートに愛情を注ぐようになる。やがて、父親がトラブルに巻き込まれ重傷を負って病院に入院し意識が戻らないまま、亡くなってしまう。そしてリーンもけがをしているようで安楽死になりそうだとわかる。チャーリーは唯一自分に優しく接してくれた伯母を探しにリーを連れてワイオミングへ向かう。
伯母の住所も知らず、デルの車を盗み(もちろんリーンもデルの馬だ)無免許運転でひたすら走る。車が壊れればリーンと二人(?)で歩いて行く。途中に起きる様々な障害。野宿や万引き、けんかやケガ。そして最愛のリーンを交通事故で失う。何回も保護され、そのたびに逃げ出し、ボロボロになりながらも伯母を探し出す。
いやはや、壮絶なロードストーリーだった。