あらすじ
整形中毒のルームサロン嬢。アイドル好きの美容師。赤ちゃんが欲しい会社員。恋愛に悩むアーティスト。容姿や家柄、学歴、結婚、妊娠――。韓国女性を取り巻く呪縛を乗り越えて、今日も彼女たちは強く生きていく。ソウルの一角に暮らす女性たちのオムニバス。
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Posted by ブクログ
整形中毒のルームサロン嬢。アイドル好きの美容師。赤ちゃんが欲しい会社員。恋愛に悩むアーティスト。容姿や家柄、学歴、結婚、妊娠――。韓国女性を取り巻く呪縛を乗り越えて、今日も彼女たちは強く生きていく。ソウルの一角に暮らす女性たちのオムニバス。境遇はばらばらに見える彼女たちには、みなソウルではなく地方都市の生まれで、韓国の超競争社会において有利になるものを何も持たずに人生を歩みだしたという共通点がある。
どのエピソードにも、貧困と富裕の対比が大なり小なり描かれている。物惜しみの激しい祖母の家に預けられていた子供時代のウォナは、米国で安楽に暮らしている親戚に羨望を抱く。アラは美容師として細々と自活してはいるものの、郊外に続々と建設されるマンション群を眺めながら、自分には一生縁がないだろうと考える。ニューヨークへ渡ったミホは、奨学生の自分とは世界がちがいすぎるリッチな韓国人留学生たちの派手な暮らしぶりに圧倒される。そしてキュリは、早くから冷静に将来を見据え、高収入を得るための足がかりとして、つらいダウンタイムをともなう美容整形を繰り返してきた…
女性にとって生きづらい世界が描かれているにもかかわらず、気概をもって前へ踏み出す姿が力強く、とても興味深く面白かったです。続編を準備中とのことで楽しみにしています。
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それぞれの闇を抱えながら韓国で生きる4人の女性たちの物語。
容姿、家柄、学歴、女性軽視など韓国の問題が色濃く描かれているけれど日本もそんなに変わらないんじゃないかと思う。帯の「わたしにはわたしの地獄、あのこにはあのこの地獄」っていうのが、ほんとそうだよなってなる。でも読後感は爽やか
Posted by ブクログ
複雑な事情を抱えて現代を生きる、4人の韓国女性たちの等身大の姿を描いた物語。背景に韓国ならではの事情を色濃く反映させながらも、日本でもどこでも共通する彼女たちの思い悩む姿は共感できるもので、段々浮き上がってくる彼女たちのキャラクタもとても魅力的でした。
美容整形を「三人に一人」がなんらかの形で行っていること、超高学歴社会であること、そして少子化や社会構造のひずみにさらされていること。その無慈悲さすら湛えている社会に、彼女たちは後ろ盾もなくさらされていき、傷を負ってもしまいます。
その傷を抱えながらも、彼女たちがそれぞれのかたちで立ち向かっていく様子がみずみずしく描かれていて、とても好ましかったです。
挑戦してみることそのものに意味がある、その一歩は仲間たちのやさしさと、自分のほんの少し振り絞った勇気でなせること。苦い展開を多く含みながらも、その大切なもののあたたかさに、気持ちがやわらぐような読後感を残してくれました。
Posted by ブクログ
登場人物それぞれの苦しみが描かれるが、もがき続けた彼女たちが暗闇の中に一縷の光を見つけ、手を取り合ってそちらに向かうようなラストが良かった。
現代韓国の闇が描かれるが、登場人物が魅力的で彼女たちのサバイブに勇気づけられるので、読後感はとても爽やか。
彼女たち(私たちも)の未来にはまだまだ苦しみもあるだろうが、あなたは1人じゃないと物語が背中を押してくれる。
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アラ(声が出ない美容師)、キュリ(ルームサロンで働く整形美人)、ウォナ(母に捨てられ、祖母にいじめられて育った主婦)、ミホ(超セレブと交際している芸術家)という、同じアパートに住む女たちの四視点。アラ、キュリ、ミホは友人で、スジンという、ネイリストで、キュリに憧れて整形したがっている共通の友人がいる。アラとスジンが、キュリとミホが、それぞれルームメイト。四人とも同じ田舎出身で、ミホ、スジンは同じ施設育ち。ミホは恋人の母親に好かれておらず(家柄が釣り合わないため)、その恋人は、キュリの風俗嬢時代の友達と、寝てしまう。ルームサロンというのは、個室高級クラブ的なものかな。ウォナだけ、ちょっと年齢が上。三回流産して、四回目の妊娠をしている。
アラには、金持ちの家の使用人の子供として育った負い目があり、過去、暴力事件に巻き込まれた後遺症で声がでなくなった。テインというアイドルが今の生きがいで、少し行き過ぎた行動に出てしまう。キュリは、整形のため、母への送金のため、金がない。性サービスを売りにしている店で働いていたこともある。客に恋愛感情を抱き、ストーカー的振る舞いをして怒らせ、仕事を失いそうになる。ミホには、彼の元カノへの懺悔がある。奨学金を得てニューヨークに留学していた際、知り合った超セレブの彼女。彼女のおかげで現在があるといってもいいのだが、彼女には内緒で彼と通じるようになり、それが原因ではないけれど、彼女は自殺してしまった。そして今、彼の心が自分から離れようとしている。ウォナは子供の頃母親に捨てられ、ひどい祖母に育てられた。何度も流産するのはそのせいだと思っている。このたびようやく出産できそうなのに、職場ではマタハラ、夫も失職して、そして出ていってしまう。
四人の女の子たちのおしゃべり。全員、親に恵まれず、不幸な境遇からどうにか抜け出そうともがいている。誰かに見下げられ、そのため、誰かを見下げなければ生きていけない。持っていない状態で生きることの辛さが、これでもかというほど。最後、ウォナを、三人が助ける。少しだけど、生活は向上したのか。ラスト、視点人物ではないスジン(整形に成功し、美しい顔を手に入れた)のセリフが、たくましい。
「あたしはストレスで参るってことがないの。というか、ストレスを感じても気にしない方法を知ってる。孤児院にいるとまだ小さいうちにそれを覚えるし、そうしないと完全に沈んじゃう。ここまで来られたからには、あたしは腹をくくるよ。いまが、ほんとうにあたしの人生の転換点だから」
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韓国を舞台にしたシスターフッドの話。
韓国小説にしては、登場人物の湿度が低くて明るい(自分のことを語る時も内省的ではない)と思っていたら、作者は韓国系のアメリカ人。
ストーリーは、エンタメドラマっぽくて身に迫るものはなかったが、みんな前向きだしさくさくと楽しく読めた。
Posted by ブクログ
読みづらい。なんでかな。あと、カタカナ女性の登場人物ばかりで誰が誰だかなかなかイメージがしづらい笑。ただ、なんか韓国社会の閉塞感はひたすら感じた。経済格差、ルッキズム、家族関係の価値観、学歴偏重。苦しいわー。でも苦しい中でもたくましく紐帯を持って生きていく女性の姿はしっかりと感じたかな。男性だとこうはいかないかも。
Posted by ブクログ
“おおかたの人は、ほんとうの闇を理解する力を持っていないのに、それでもなんとか手助けしようとする。”(p.44)
“「わたしは働く余裕がなくなる、というか働けなくなるのよ」
わたしの聡明な夫は、そういう実質的な問いに対してはいつも確実に愚かな答えを返す―
「ともかく子供を持って、追いおい考えていけばいいんだよ!うちの親も助けてくれるだろうし!」
ときどき、屈託なくのんきに微笑む夫を見ていると、痛いほどの嫌悪で心がよじれるのを感じ、表情を見られないよう慌ててうつむくことがある。何はともあれ、彼は優しい人だし、結婚相手にこの人を選んだのはわたしだと、常に自分に言い聞かせていなくてはならない。”(p'145)
Posted by ブクログ
好感持てる人が1人も出ない本。
オチはどうつけるのだろうか?
という興味だけで読み進めたけど、
最後までパッとしない感じだった。
一点、よかったのは、
整形のデメリットについて知れたこと。