武田邦彦のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ著者はテレビでも有名な武田邦彦氏ですが、第一種放射線取扱主任者の資格(けっこうな資格らしい)を持つなど、いわゆる、「危険厨」、「安全厨」のどちらでもない専門家ならではの偏りのない論調で、どのくらいで何が起こるか、どう広がるか、どう防ぐか、自分の被爆量の計算方法、その他我々市民が今後とるべき対策をわかりやすく語っており、まさに放射線列島サバイバルマニュアル的内容です。
また、ブログ記事を整理し時系列に並んでいるので、今回の原発災害でこれまで起きてきたことの記録にもなり、リアリティも感じられる必読書と思われます。
その他、以下主張の一部
・国の基準値(引き上げ後)の1年20ミリシーベルトなどは決して一般人にとって健康に影響がない範囲ではない
・福島市などの高線量地域を法律で定める「管理区域」に指定しないので政府・行政の違法行為である
・放射性物質の拡散は風向きがもっとも重要なのだから、気象予報で花粉情報などと同様に放射線情報をやるべきだ
・除染した土は福島(第一原発)に処理施設を作り戻すべき -
Posted by ブクログ
空気で判断したり、権威の発言を鵜呑みにせず、自分で考えるという事の重要性を教えてくれる本。
著書の主張としては先ず生物多様性の定義を疑う。菌類や細菌類は未知のものが多く、生物全体の種類は分かっていない。三葉虫等の生物は滅んでしまって、新しい種の生物が誕生している。これはいけないことなのか?
生物多様性が叫ばれた時期がアメリカの農業政策の曲がり角と一致し、それにのっかった欧州、日本の利権が見え隠れする。そもそもイノベーションを含む長期的な未来は、そのイノベーションが想像できない限りにおいては予測できない。これからの生活では「人間、科学、自然」の調和が必要ではあるが、著者が解説してきたような今までの「生物多様性」や「環境保護」のような浅はかな考えのみで進むべきものではない。
感性や感情に訴えかけやすいものや、無批判に受け入れてきた先入観は哲学の先人の言う通り方法的懐疑を持って排除すべきである。
そのような契機を与えてくれるこの本や武田氏自身のコメントは大変有用である。しかしながら、彼の言説にも適切な懐疑心を持たなければならないと思う。生物の進化で弱肉強食の世界が今日の世界を作り、発展させてきたし、今後も続くとされている。
が、人間においてはその他の生物で適用される物理的な「強さ」や「弱さ」が適用できないものであることを望む。それこそここは予測できないところなのではないだろうか? -
Posted by ブクログ
ネタバレホンマでっか!?TVに出ている、たぶん凄い人なんだろうけど面白いオジサン達のひとり。武田邦彦さんのことはこれくらいに考えていたのだが、著者紹介のプロフィールを見るとやはり凄い方らしい。
中部大学総合工学研究所教授
多摩美術大学非常勤講師
名古屋市経営アドバイザー
内閣府原子力委員会および安全委員会専門委員
文部科学省科学技術審議会専門委員
これだけ並べられるとあの微笑がオソロシク感じる。テレビであれだけの隙を見せておいて、学問や国政の分野でこれだけの役職(詳しい内容はわからないけど)に就いているのだから並々ならぬ見識を持っている人だと思う。
正直私はエネルギーに関しては、原発関連のテレビをあまり見ないこともあって、知識が乏しい。だけど、時代が時代だけに何かできないかなともどかしく思っていたら本書があった。2009年の末に発行されていたようだ。理系では無い私には到底理解のできない内容だったらどうしようと不安だったが、本当にわかり易く説明してくれて有り難い。
「偽善エネルギー」という挑発的なタイトルには日本の「偽善」体質への批判も込められているのだろう。官僚やマスコミに対して清々しいほど率直に、論理的に「間違っている」と言う武田邦彦の文章は読んでいて気持ちがいい。「利権には関係が無い立場だから発言できる」と語る著者の面目躍如だろう。
原発についての項で、
「地震国・日本の原発は、安全だが安心できない」
という言葉には唸った。こういう事実を何年も前から発信している人達は数多くいるに違いない。しかし、企業や国の都合上大きく報道されてこなかった。それは天下りや利権の問題で、国民のヒステリーをまねくからといった理由ではなかった。
風力発電のことを考えるとき大切なことは、人間だけのことを考えて、「風はムダに吹いている」と考えるのをまず止めることです。
当たり前のことだ。だが私達は傲慢で、雨や風が存在する理由や、それらによって育まれる命のことを忘れがちだ。人間が何かのエネルギーを利用すれば、それまでそのエネルギーを使っていた他の生物から奪うことになるのだ。
太陽発電、潮力発電、バイオ発電についても、著者は日本の風土からという観点で忌憚の無い意見を述べてくれる。マスコミの報道などを見て焦っている方には是非本書を読んで「科学的」で「客観的」な事実を知って欲しい。 -
Posted by ブクログ
大麻の無害性など科学的な検証を用いて多く人の誤解を解く類の本だろうなと思ったら意外と多角的に大麻を紹介した内容。
日本古来からある大麻文化、アメリカの悪名高い禁酒法から紐解く大麻課税法の真実が紹介され、最後は大麻取締法を引き合いに思考停止状態になった日本の現状から読者を啓発するような章で締められる。
著者はそもそも古くから生活に馴染みの深い植物であるのにその名が危険な印象で使われるようになってしまった「大麻」と、大麻に含まれ薬理効果をもたらす化合物「カンナビノール」を分けて捉え、日本においては第一段階として「カンナビノール取締法」と改めてから、さらに議論を経て現在不当に重い罰則を緩めていく方向でいくのが望ましいとしている。
日本は日本で考えるべきという主張は同感。それすらタブーになっているのは核保有の議論と似ていて日本はなぜこうも窮屈なのかと憂いでしまった。
ですます調で書かれている上に内容もあえて易しく書いているようで、青少年に向けた大麻教科書といった感じ。
09.7.13 -
Posted by ブクログ
科学を進歩させていけば、いろいろなことが解決していくのだが、まだまだ宇宙の真理の一部に触れたに過ぎない。それを認識せよ。科学には反証が必要である。固定概念にとらわれるな。仮説を覆す実験があれば仮説を変えよ。役に立つことを求めるばかりの研究や取柄を探そうとし、階級社会をつくってしまう西洋式教育を疑え。大脳新皮質が発達した人間は死を恐れる。本能は大切である。
これからは鉄からシリコンの時代になる。環境問題は長い地球史の一部分を切り取った近視的な見方である。今は氷河期の中の間氷期で、その中で気温が上がったり下がったりする。北極海の氷が解けてもアルキメデスの原理により海水面は上がらない。50度の南極の気温が5度上がっても氷は溶けない。温暖化より寒冷化の方が怖い。宇宙線が増え雲が増えると寒冷化する。黒点活動と関係がある。
石油枯渇説は石油値上げのためのものだった。炭素は生物や人の生活にとって不可欠なもの。二酸化炭素削減政策は間違っている。それをやっているのは日本だけ。
原発の安全対策は不完全。安全のための研究を進めていけばよいが、「役に立つ研究」を進める政府から補助金を得るために、政府に媚を売る研究者が多くて、それができない。
今の日本は本当のことを言ったら排斥される社会である。
長生きをしたければ、あるいは死を恐れないようにしたければ、自分を無くすこと。
こういう内容である。大体のところは頷ける。読みやすいようにと書かれた本のようなので、論証に荒いところがある。突っ込まれれば、さらに詳しい論証をするのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
武田邦彦(1943年~)氏は、東大教養学部基礎科学科卒後、旭化成工業に入社し、ウラン濃縮研究所長、芝浦工業大学工学部教授・学長補佐、名大大学院教授、中部大学総合工学研究所教授・副所長・特任教授等を歴任。内閣府原子力安全委員会専門委員、文科省科学技術審議会専門委員等を務めた。2022年7月の参議院議員選挙に出馬し落選。
本書は、環境にいいから、環境を守るため、という理由で、多くの日本人が日々行っている様々なエコ活動が、本当に環境のためになっているのかを検証し、「本当に環境を守るためには」どうするべきなのかを、著者独自の視点から説いたものである。
私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。(本書は2008年出版)
本書で取り上げられているのは以下の21項目である。■レジ袋を使わない(⇒<判定>ただのエゴ)■割り箸を使わずマイ箸を持つ(⇒ただのエゴ)■ペットボトルより水道水を飲む(⇒悩ましい)■ハウス野菜・養殖魚を買わない(⇒ただのエゴ)■石油をやめバイオエタノールに(⇒ただのエゴ)■温暖化はCO2削減努力で防げる(⇒防げない)■冷房28℃の設定で温暖化防止(⇒意味なし)■温暖化で世界は水浸しになる(⇒ならない)■ダイオキシンは有害だ(⇒危なくない)■狂牛病は恐ろしい(⇒危なくない)■生ゴミを堆肥にする(⇒危ない)■プラスチックをリサイクル(⇒危ない)■洗剤より石けんを使う(⇒よくない)■無毒・無菌が安全(⇒危ない)■古紙のリサイクル(⇒よくない)■牛乳パックのリサイクル(⇒意味なし)■ペットボトルのリサイクル(⇒よくない)■アルミ缶のリサイクル(⇒地球に優しい)■空きビンのリサイクル(⇒よくない)■食品トレイのリサイクル(⇒よくない)■ゴミの分別(⇒意味なし)
そして、著者は其々について、様々な角度からトータルで見たときの是非・効果を分析しているのだが、そうしたアプローチは、いまや上記のような行為(や考え方)が刷り込まれ、常態化している我々に、その行為の意味を改めて考えるきっかけを与えてくれるという点で有用である。ただ、著者が繰り返し述べているように、その刷り込みが、政府・地方自治体・メディア・企業等の意図によるもので、それを鵜呑みにしてはいけないのだとすれば、同様に、著者の主張についても、そこにバイアスはかかっていないのか等、留意しつつ読むことも必要であり、畢竟、様々な情報を集めて、自分の頭で考えることが最も大事ということなのであろう。(それは環境問題に限らないが)
また、私は読み進めながら、何となくもやもやした感覚を持ち続けていたのだが、それは、「本質的によくないこと」に限らず、「(現状を踏まえると)意味のない・少ないこと」までもが、否定的に書かれているためである。例えば、著者は、ペットボトルのリサイクルについて、そのリサイクル率の低さを、また、牛乳パックのリサイクルについては、紙全体の消費量に対して極めて量が少ないことを指摘しているのだが、「従ってそれらには意味がない」と結論付けることに、私は違和感を覚えたのだ。
本書では明確には言及されていないのだが、私は、エコ活動に関しては、寧ろ、自分はエコカーに乗りエコバッグを使って買い物をしているから「十分」なのだと考えてしまうことが問題だと思っており、本書の内容を参考にしつつ、自分にできる地道なエコ活動を行いながら、地球環境を可能な限り維持していくために、自分たちはどのような価値観を持って、どのように生活していくべきなのかを、改めて考え直す必要があるのだと思う。
そういう意味では、著者は最終章「本当に「環境にいい生活」とは何か」で、「リサイクルより、物を大切に使う心を」、「心が満足していると物は少なくてすむ」と書いているのだが、根本的なスタンスとしては大いに共感することができる。
(2022年10月了)