武田邦彦のレビュー一覧
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ネタバレ人間の脳は、常に膨大な情報を脳内で処理し、選択と決断をすることが求められる。そして、情報処理をするだけで人は多くのエネルギーを消費するため、脳が容量オーバーしないように、人は先入観を持つようにできているのである。したがって、先入観を持つことそれ自体が全て邪魔なのではなく、むしろ経験を重ねることで得た知識というのは重要ですらある。しかし、場合によっては、先入観が邪魔することだってある。
人間は、新しい知識や考え方をすんなり受け入れるケースは少ない。なぜなら、新しい考え方は、自分の生活にマイナスになることが多いからである。言い換えれば、楽をして生きるためにはそれだけ考慮要素が少ない方が良いということである。また、日本には、歴史や地理的要因も重なって、科学的合理性ではなく、社会で合意しているものを善しとする文化がある。そのような中で、先入観にとらわれない生き方をするには、脳内に「受け入れ箱」と「比較箱」を作り出すことである。すなわち、自分とは異なる考え方をもつ相手の考え方を一旦受け入れる「受け入れ箱」と意見や結論の違いを考え、論理的に理解する「比較箱」を持ち合わせることが先入観を取り払うことにつながるのである。
そのような手法だけでなく、情報発信者の意図(本質)を見抜くことが先入観を外すことの一助となろう。例えば、読売新聞が反原発の立場を採らない理由、国が「国が国民にしている借金」ではなく、「国の借金」という理由、高血圧の定義が下がってきている理由などである。人は、自分の希望や観測に合致するものだけを正しいと認めがちなので、注意深い目を持ってその情報が客観的に事実なのか、様々な角度から調べてみることが大切なのである。
先入観は人間にかかる負荷を軽減して生きていくために必要ではあるが、それがあるために創造性が低下したり、素朴な疑問を見落としたりするため、特に重要な判断をする際には、先入観を外すことが必要という意見には賛成である。また、高度な情報化社会にある昨今、このような先入観の善悪についての議論や正確な情報収集の必要性についての議論がなされており、本書もその時代の潮流の中に位置づけられるものであると考えられる。
本書の中にあるような、情報発信者の意図を見抜くという観点から本書を検討するに、著者は本書の売り上げよりは自身の意見を貫き通すことを目的としているように感じられる。そして、本書は様々なケースを取り上げているが、そのような目的に鑑みるに、著者の意見は正しいとして全て受け入れるのではなく、あるケースについて著者のような意見をもつ者もいるという考えの下で読むのが適切であり、著者の本望なのではないかと思われる。 -
Posted by ブクログ
武田邦彦さんは過激なお話が多くテレビなどでは批判意見も多い方です。科学者のお立場で社会の不条理を感じて組織に流されないスタンスに好感が持てます。
この本が書かれたのは東日本大震災前のため著者ご本人の見解も変化していると思われることから、読者は取捨選択しながら読んだ方が良い箇所もあります。
武田邦彦さんの着目点、考え方に触れることが出来るので嫌いじゃなければ楽しめる読み物です。
東日本大震災直後の原発事故のすぐ後に、再稼働反対デモが永田町、霞ヶ関でありました。再稼働するには、トラブルは起きる事を認め、リカバリする手段を確立し、被害がどれだけ出て、どれだけ抑えられるのかくらいは再稼働の最低条件であろうと思っていたら、地盤調査と安全基準でクリアしたものが再稼働の対象となっていきました。これでは問題解決になっていないと感じてました。あれから6年経過し、この本で原子力の人災について方向性が示されていたのを読みモヤモヤしていたものが晴れました。前提が長くなりましたがおすすめです。 -
Posted by ブクログ
歴史が好きですが、最近の面白い傾向としては、歴史学者・歴史を専門とする人以外の方が、歴史上の事件や人物について解説している本がでています。
この本もその一つですが、筆者は最低でも20年間は理系に関する本でお世話になってきた、武田邦彦氏ですが、恐らく歴史に関する本を書いたのは初めてではないでしょうか。
この本では、世間一般には、ヒーローとされている「ナポレオン」と、あまり良い評価を受けていない「東条英機」を中心題材として、彼らが過ごした近・現代史について解説されています。理系の方からの、歴史学者とは異なった視点で見られた歴史も面白いものです。今後も続編が出てくることを期待しています。
以下は気になったポイントです。
・大東亜戦争のシンガポール攻略戦において、アジア解放を目指す日本軍と対決したインド兵は、疑問に思ったはず。この意識がインド独立臨時政府の礎となった(p23)
・日露戦争でロシア、第一次世界大戦でドイツ、大東亜戦争緒戦のフィリピンでアメリカ、シンガポールでイギリス、インドネシアでオランダを駆逐し、ほぼすべての白人主要国に勝利した(p24)
・イギリスとフランスはドーバー海峡を隔てているがその距離は34キロ(本州と北海道)、日本と朝鮮は対馬海峡を隔てて200キロ、その差が、両社のいざこざ(戦争)が少ない理由(p41)
・ハプスブルク家とブルボン家は異なる家だが、頻繁に王族同士が結婚していたので親戚関係にある、ナポレオンは皇帝になり王族と結婚したので、処刑を免れている(p45)
・フランス革命当時には、人間は4つに分かれていた。高貴な人間(王族、貴族)、完全な人間(白人+男性+成人+社会的義務果たす)、不完全な人間(女性、有色人種)、人間ではない人間(奴隷)、フランス革命の人権宣言における平等とは、成人の白人男性に限定(p49)
・現代の日本では、年収1000万円の富裕層は4%、富裕層の平均所得は1500万円、それ以外の平均所得は360万円、格差は4倍程度。フランス革命当時は33倍であった(p51)
・アメリカ人の起こしたベトナム戦争、ソ連とアメリカのアフガニスタン戦争、イラク戦争、米英仏ロが空爆しているシリア紛争は、第四次のアーリア人の進出として今後の歴史では整理されるだろう、第三次は大航海時代(p73)
・19世紀の終わり、世界は、スペイン・ポルトガル・オランダ・イギリス・フランス・ドイツ・ロシア・アメリカの8か国でほとんど全ての国が支配されていた。支配されなかったのは、エチオピア(風土病が酷かった)・タイ・支那・日本の4か国のみ(p76)
・イギリスからインドから香料を輸入してその代金をポンドで支払った、インド人は大半をロンドンの銀行に預けた。300年経過してポンドの価値を10分の1に切り下げる、そして貯金の価値を10分の1にした、ただ同然で働かせた(p108)
・中国の遼東半島は、当時の中華民国の支配地域ではなかったので、占領ではない(p155)
・日本と満州国の関係では、植民地を直接統治していた人たちが、満州を植民地にしなかった日本を裁いたということになる(p159)
・日本は戦争をやっている最中に、「歴史上はじめての有色人種の国際会議」を行ったこと、会議の前に、ビルマ・フィリピンを独立させたことはたいしたこと(p224)
・日本は、東南アジアの国と戦ったのではなく、植民地を治めていた、イギリス、オランダと戦った(p251)
2016年11月23日作成 -
Posted by ブクログ
まさに目からウロコ。
今までエコのためと思って取り組んでいたことが
覆される。
これだけメディアでも温暖化やエコや資源について騒がれているのに、うわべだけの情報で誰も真実を教えてくれなかった。そのことに関しても憤りを感じる。
政府も企業もとても身勝手。
生活の中で、
環境に優しい×お財布にも優しい
というwin-winの関係がわかったとき、
人々はエコにより積極的になれると思う。
そういう情報をもっと発信していってほしい。
この本の中では、数ある事例が比較されている。
A=私たちがエコだと思って取り組んでいること
B=従来の方法
とあった場合、
「AとBを比べて総合的にBの方が実はコストがかからない、資源を使わない=エコである」
となるとBを採用したくなるが、
「Aは●●でBは××。Aをやっても微々たる数字だから全体を考えると大した効果が得られない」
という見解も多く、同質ならエコのものをできるだけ選びたい自分にとって、AとBを純粋に比べてどちらがエコかが判断つかないものも多くあったように思われる。
テーマはエコについてだけれども、
エコ以外のことについても十分考えさせられる。
この本を読んで、世の中に対する不信感を抱いたが、
同時に、この本だけの情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源をいくつか持ったうえで、自分で考え選択していくことが大切だと感じる。 -
Posted by ブクログ
ペットボトルのリサイクル、エコバックの普及など、エコロジーな生活が身近なものになってきています。
しかし著者は普段私たちが行っているエコロジーな生活、あるいは環境問題に対する態度・知識が誤ったものであり「偽善エコロジー」として断じています。たとえば割り箸に代わる「マイ箸」は一見環境に配慮していますが、割り箸で使用する木材は間伐材を用いており、むしろ割り箸を使うことが「エコロジー」だとしています。
本書は、普段私たちが信じていることが実際には誤っていることかもしれないことを教えてくれます。しかし本書を含めて、武田氏の著作物で提示されているデータなどは引用元が不明確であったり、曖昧なところも多く、実際本書の内容が確実なものかはわかりません。 -
Posted by ブクログ
3.11後に田畑に降り積もったセシウム137は、毒盛りなどによく使われる青酸カリの2000倍の毒性がある。
NHKですらこれを報道してなかったように思えます。
政府、官僚、原子力委員会、メディアに出ていた多くの原子力専門家、全員がグルで隠していたと考えるのは難しいですが、武田さんの話にはあまりにも説得力がありすぎています。
チェルノブイリ原発事故後、小児甲状腺がんの発生率が4年後から跳ね上がったことから考えると、日本でこのような惨事が起きるのは2015年。
恐ろしくて仕方ありません。
ウェブて奇形児の映像や苦しむ赤ちゃんの写真も大量に出回るんでしょうね…
地球温暖化の問題に関しても言及があり、メディアや政府を簡単に信頼できない今、武田さんからの情報はとても重用です。
すべてを信じることはできませんが、聞いておくべき考え方がてんこ盛りです。
この本を進めてくれた、友達に感謝し、これこらも自主的な情報収集に務めて行きたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
この本は読もう読もうと思って先延ばしにしていたものです。なぜ国は本当の事を公表しないのか。事故が起きた理由、何が問題なのか、放射線の影響は大丈夫なのか。これらの疑問に対してわかり易く書かれております。
この記事を書いているときに福島大一原子力発電所ではメルトダウンした燃料が地中にもぐりこむ「チャイナ・シンドローム」直前の状態だったということを東電がようやく発表したのを聞いて『あぁ、やっぱりなあ』ということと、遅いよ…。という二つの思いが交錯しておりました。この本については今までずっと読もう読もうと思っていたのですが、ついあと伸ばしにしているうちに今に至ってしまいました。ですので少しここに記されている内容と現在の状況は変わってるかと思います。しかし、おおよそのところについては専門用語を出来るだけ使わなかったり、グレイだベクレルだというさまざまな単位も『シーベルト』に統一されてあって、その点では非常に読みやすく、今まで『専門家』たちだけのものであった原子力というものが言い悪いは別にしても、この本を読むことによってぐっと身近になったであろうと思っております。
僕が一番読んでいてショックだという箇所は、原発というものは震度5、ないし6で壊れてしまうように設計されているというところだ、というもので、今まで国が安全だ安全だと何十年にもわたって喧伝してきたことはいったいなんだったのだろうと考え込んでしまいました。この本にはその他にもあまり知りたくもないことが書かれていますが、ここに書かれてあることを知っておかないと、これから自分の身を守れなくなってしまったということにもやるせなさを禁じえません。