勝見明のレビュー一覧
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関西圏のコンビニエンスストアと言えば、「ローソン」であったが、いつの間にか「セブンイレブン」に圧倒されてしまった。これは、「ローソン」の親会社が、現在も迷走を続けるダイエーであることも大きな理由の一つと思うが、それよりもまして「セブンイレブン」が良い店作りをしているからに他ならないのではと思う。
そんなこんなことをつづったのが、今回紹介する「鈴木敏文の「本当のようなウソを見抜く!」-セブンーイレブン流「脱常識の仕事術」」である。これは、犬塚センター長にお借りしたものです。
私は「セブンイレブン」のお店はよく利用するが、ネットは利用したことがなかったが、以前もう一つのブログ「農産、本、組織について」で「かぼちゃの冷たいポタージュ」について書いた時、初めてセブンイレブンのホームページを訪れ、「かぼちゃの冷たいポタージュ」を検索した時には圧倒されました(残念ながら季節がらもう商品を取り扱っていないためか、現在は1件もヒットしてきません)。このオリジナル商品を含め、オリジナル商品は地方地方で展開時期が違い、それをきちんと把握し、ページが作り込まれているため、いろんな地方のページが引っかかってきたのです。
本部レベルで、地域マーケティングまで落とし込めており、さらに全国に1400名いるOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)を、毎週火曜日に本社に集めて、鈴木さん自らが講演を行い、仮説、検証の結果報告会を開き、そのよい例を店舗ごとのマーケティングも、日々の仮説と検証に活かされていることが、「セブンイレブン」の強さであることが、十分に伝わってきた。
前回紹介した「ドラッカーさんが教えてくれた 経営のウソとホント」にもあったが、世間一般に言われていることが正解ではなく、視点を上下左右前後に動かし、正解を見つけることが必要なんだということが、この本でも強く書かれていた。セブンイレブンがお気に入りに方は、一読頂けるとさらにセブンイレブンが好きになるかもしれません。 -
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ネタバレ本当のようなウソ、を見抜く=統計学と心理学。
セブンイレブンでは発注分担=高校生でも発注を任される。
低価格を求める顧客は競争が激しくなる。高級品のほうが業績がいい。真似できない。
ABC分析では売上の大きい商品に目が生きやすい。
他店の平均とは比べない。立地が違う。
他店見学はしない。競争相手は他社ではなく顧客ニーズ。柳の下にドジョウはいない。他店見学をしてもドジョウはいない。
直観=本質を見抜くこと、を大事にする。
客観的、とはもう一人の自分が上から見下ろしていること。
時間軸で変化する、時間軸を輪切りにして断面を見る、未来から見て今を位置付ける、脱経験的思考、引用両面的思考。
競争が激しくなって売り上げが下がる、は錯覚。消費の構造が違ってしまったから。
映画が売れなくなったのは不景気だから、ではない。
身長が止まったからと言って寿命は終わらない=時間軸の発想。
今は多様化でなかう画一化の時代。多様化しているように見えるだけ。流れが短くなっているだけ。
今は未来の反映でもある。所得が上がらないから消費が増えない、のではなく、顧客ニーズを取り入れられないから売れない。
いまが安定しているからこそ、将来に不安を抱く。今より不安定になりたくないから。
新しく伸びている会社は、過去の経験がないところで仕事をしている。
ハウツー本は読まない。過去を否定する。
常識を破らないと感動を伝えられない。
かつて、牛乳はメーカーごと配送だから70台の納品トラックが必要だった。3~4社の商品があるこあるからこそ売れる。
リストラ後に自分の経験が生きる仕事、は探さない。制約条件を開放する。
美味しいもの=飽きるもの。飽きる商品を毎日作り続ける。
ABC分析の本当のようなウソ=売れ筋の弁当は飽きやすい。
完売は売り手の満足=顧客の不満足。
市場の変化に対応すれば飽和はない。
陰陽的両面思考=コンビニは若い人のもの、から女性や老人向けのもの、に変化させる。
人間は自分が納得しやすい話を作りたがる。
現場主義ではなくデータ主義。
現場には、本当のような嘘、がある。現場主義はミクロを見て、マクロを見落とす可能性がある。データ主義は、マクロでみてミクロに落とし込む。
データは記録ではなくマーケティングに使う。
これからの売れ筋は何か、に目を向ける。
誘導的、恣意的なアンケートに注意。
統計調査はサンプリングに気を付ける。
世論調査も頭で考えるか、心で答えるかで結果が違う。
世論調査は相手を喜ばせたいバイアスが働く。
冷やし中華は暖かくなると冬でも売れる。8月ではない。
近くのコンビニを選ぶ人の心理を考える。
競合店の進出は差別化すれば、伸びるチャンス。
セールは一回目は安いだけでなく新しい仕掛けだから売れる。
衣料品は11月から春物が売れる。
過去の成功体験は、因果関係のセットで記憶される。常にWHYを問い続ける。
牛乳が何社も並んでいるから売れる。それが消費者の心理。
大型物流センターは経営革新ではない。アメリカのセブンイレブンはこれで潰れた。売り手の都合だけ。顧客の心理を無視している。
不況で所得水準が上がらないから消費が延びない。のではなく今が安定しているのに将来が不安だから伸びない。
先手を打つより、変化が可能な体質にする。先手はわからない。
日本ほど商品のライフサイクルが短い国はない。
画一化しているが、商品が短命。
収入の格差が少ないので画一化している。
富士山型よりピークが短いペンシル型。
売れた商品をそろえようとする、これは昨日の顧客への品ぞろえ。明日の顧客に備える仕入れ=仮説検証。
釣り客には、梅干しのおにぎりが売れる。
挨拶はされる側になって考える。
茶髪は原則禁止。
店舗密度がある程度になると急速に売り上げが伸びる。
売り手にとって非合理な陳列が売れる。ハンガーではなく畳みで陳列。
オフィス街のサラダは、朝売れる。昼用に朝買っていく。
昔、おにぎりは家で作るものだった。おでん、浅漬け、調理面も同じ。過去の常識ではコンビニにはないもの。 -
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いかに共感できる夢(未来)を語れるかということだろう。
目次
序章 共感と物語りが紡ぐ経営
第1章 価値を生む経営は「出会い」と「共感」から生まれる
【解釈編】
・人間関係の本質は共感にあり、人間力の本質は共感力にある
・知的創造の起点は共感がある
第2章 イノベーションは「共感・本質直観・跳ぶ仮説」から生まれる
【解釈編】
・ものごとの本質を直観できる人が「跳ぶ仮説」を導き出せる
・「本質直観」には「外から見る現実」より「内から見る現実」が大切
・「全体」と「部分」の両方に目を向けると「跳ぶ仮説」が生まれる
第3章 「知的機動戦」を勝ち抜く共感経営
【解釈編】
・物量で戦う「消耗戦」か、共感力と知力で戦う「機動戦」か
第4章 不確実性の時代を「物語り戦略」で勝ち抜く
【解釈編】
・物語り戦略は「筋書き」と「行動規範」で構成される
第5章 共感型リーダーに求められる「未来構想力」
以下、引用
●日本はいま、オーバー・アナリシス(分析過剰)、オーバー・プランニング(計画過剰)、オーバー・コンプライアンス(法令順守過剰)という、三つの過剰による”三大疾病に陥って活力を失い、組織能力の弱体化が進んでいます。(中略)その一方で、現場が活性化し、社員一人ひとりが活き活きと仕事に向き合い、イノベーションや大きな成功を実現しているケースも少なからずあります。それらのケースに共通しているのは、企業と顧客、トップと部下、社員と社員、メンバーとメンバーとの出会いの場があって、つながりが生まれ、そこでわきあがる共感が新しい価値を生む原動力になっていることです。
●高知支店長だった谷村氏はこの現状を打破しようとします。不調のどん底にあって、キリンビールという企業に存在価値があるのかと思い詰めた末に、独自に「理念にもとづく支店改革」に踏み出すのです。「高知の人々に美味しいキリンビールを飲んでもらい喜んでもらう」ことを自分たちの「理念」として掲げ、「どこに行ってもキリンビールがあるようにする」という「あるべき姿」を描き、「あるべき姿」と「現実」を埋める「戦略」を実行する。
●経験はすべての知の源泉になります。経験から生まれた知は必ず何かと結びつき、大きく成長するという関係性を潜在的に持っています。人間は人と人との関係性を結びながら、あるいはモノとも関係しあいながら、常に動きます。そして動きながら経験が豊かに積み上がり、知が生まれ、それがまわりの知と結びつくなかで「新しい自分」へと変わっていく。これを繰り返すのが「ユニークな経験」としてのあり方です。この発想を支えるのは、人を静的なビーイングの「在る存在」ではなく、常に何かにビカミングする能動的な「成る存在」と位置づける人間観です。固定した存在である「~である」よりも、未完の状態にありながら未来に向かって開かれ、常に生成していく「~になる」を重視し、人間を常にプロセス(=コト)でとらえるのです。
●リーダーとメンバー、トップと社員、上司と部下、メンバー同氏の間において、人間関係のもっともベーシックな関係はペアリングにあり、新しい知は二人称の世界で芽生える。そこから一人称の思いがわいたら、三人称の概念を打ち出して組織を動かしていく。(中略)新しい知は人と人の出会いから生まれる。
●初代はやぶさのプロジェクトにおいても、リーダーは「イオンエンジンという新しい技術での惑星間航行」「宇宙の彼方での自立誘導航法」「微重力下でのサンプル採取」などの実現すれば世界初となる五つの目標を掲げました。この五つの目標をつなげていくと、はやぶさが三億キロ彼方の小惑星まで航行し、散布利を採取し、地球に帰還するという物語りとしての全体像が浮かび上がります。これにより、各メンバーが全体像のなかでの自分の目標の意味と価値を認識できるようにしました。そして五つのどれか一つでも達成できないと全体像も実現できなくなるように目標を設定することで、各メンバーが自分の直接の担当でない目標についても意識し、共有できるようにしたのです。
●「人間は理解と行動は別です。『地球が危ない』と説けば、頭では理解できますが、多くの人に行動してもらうには別の次元が必要で、それがエンタメです(後略)」
●このように思いや生き方を問いつつ、組織において仕事をするとはどういうことでしょうか。人間は自らの生き方を実践すると、そこに物語が生まれます。一人ひとりが他のメンバーたちと相互に作用しながら、自己の物語りつくりを通じて、組織の歴史を生み出していくという自覚を持つとき、自己の思いや生き方の価値観と企業の存在意義、すなわち、共通善が重なり合い、それぞれの思いや価値観が組織のなかで正当化されます。そして、その思いや価値観が仕事のなかで実現し、成果に結びついたとき、自己の生き方の高次な意味が生まれるのです。
●その目的や目標を達成するため、物語り戦略は、企業経営や取り組む事業、プロジェクトについての全体のプロット(筋書き)と、そのプロットを実現するため、メンバーや社員たちがどう判断し行動するかというスクリプト(行動規範)という二つの要素により構成され、展開されていきます。(中略)具体的には、「何を(WHAT)、なぜ(WHY)やらなければならないのか」を物語る、企業の存在意義や組織ビジョンにもとづいた経営計画や事業計画、プロジェクトプランがプロットにあたります。この経営計画や事業計画、プロジェクトプランを現実のものにするには、矛盾や対立関係をその都度、克服し、未来創造の方法論として戦略を実行するため、「どのようにやるか(HOW)」という戦略的判断や戦略的行為が必要になります。その判断や行為の基本を示すのがスクリプトです。
●戦略とはいわば、ソープオペラ(主に主婦向けの昼帯ドラマ)のような物語りだと主張しています。ソープオペラは番組が進むにつれて登場人物が頻繁に入れ替わり、プロットも大きく変化します。演劇や映画とは異なり、ある定まった終わりに達することを前提に構成されていないため、エンディングが決まっていません。経営における不確実性や動態的特性は、このソープオペラと本質的には同じです。戦略を実行していく過程では、状況がいつ、どこで、どのように変わるかが明確でなく、絶えず変化する状況に対応し、対処していかなければなりません。
●マネジメントでは一般的にPDCAのサイクルが多用されますが、PDCAが物語り戦略を遂行するための知的機動戦には不向きであると第3章で述べました。古森氏は第一線の社員一人ひとりが自律的にPを見いだせるよう、Pの前段階として、See(見る)とThink(考える)のステップを置いて「See-ThinkーPD」のサイクルを提起します。すなわち、客体を対象化して外から分析するのではなく、客体に共感し、同じ文脈に入り込んで五感で感じ取って、現実をアクチュアルにとらえ、WHAT(何が)、WHY(なぜに)を問い、本質を見抜くことを求めるのです。
●デジタル世代はチェキを、共感を醸し出すコミュニケーションツールとして楽しんでいる。チェキの本質的な価値をとらえたチームは、カメラというモノを売るのではなく、どんな使い方をすれば楽しめるのか、コトを提案する「コト提案」に注力していきました。
●人は相手に共感し一体感を抱くと、相手の目標が自己の目標と同一化し、達成に向かって強く同機づけられる、と同時に、自発的な自己統制が働きます。同一力による自己統制であるから、誰も人から統制されているとは思わない。組織における人間統制の一つの理想的な形です。 -
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花王とポーラの事例が特に感心した。
■自己組織とは
・自律的な振る舞いを持った構成要素が集まり、相互作用を媒介にして、それぞれの総和より質的に高度で複雑な秩序を創発していく組織のあり方
・各構成要素が管理―非管理の関係でなく、自らを動機づけながら新たな知を生み出していく
・個が積極的に関与し、自律的な個から生まれた独自のアイデアが広まり、全体のアイデアになる
■PDCAでは知的機動戦は戦えない
ビジネスの世界で有名なマネジメントスタイルにPDCAサイクルがあります。計画(Plan)し、実行(Do)し、その結果を検証 (Check)し、次の改善活動 (Act)につなげるプロセスです。PDCAサイクルの問題点は、最初から形式知の計画(Plan) ありきで、計画を生み出すプロセスが入っていないことです。それは、PDCAサイクルがトップダウン型の消耗戦に適応した効率追求モデルであるからです。
トップおよび戦略スタッフがデータなどをもとに、論理分析的にマスタープラン(基本計画)を策定し、それがブレークダウンされて数値ベースの計画や施策が降りてくる。第一線部隊は計画や施策ありきでPDCAサイクルを回し、効率を追求する。しかし、上から与えられた形式知の数値ベースの計画からは新しい意味や価値は生まれません。
日本の学校教育の現場に導入されたPDCAについて、計画はやたら大きく、現実から乖離した絵空事的であるため、実行が十分ではなく、それでいて検証だけはマイクロマネジメントで行われるものの、改善活動には つながらないとして、これを大文字と小文字をまぜて、「PdCa」と表現した社会学者の佐藤郁哉・同志社大学商学部教授の指摘は、実に正鵠を射ているといえます。 明かなのは、論理分析から導かれるPDCAサイクルでは知的機動戦は戦えないことです。
絶えず動く現実のただなかでは日々矛盾に直面します。ベストな解は誰にもわかりません。そこで、その場の文脈に応じて、「よりよい(ベター)」に向かって矛盾を解消する対処能力が重要になります。
その際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。論理は矛盾する関係性を「二項対立 (dualism)」としてとらえようとします。矛盾を相容れない二項対立としてとらえ、二者択一の
「either ~ or ~(あちらか、こちらか)」の否定により、どちらが論理的に正しいかを問う限り、ベターな解は導き出せません。
一方、外象に共感し、矛盾する関係性の文脈に入り込み、なかからとらえると、対極的で相客れないように見えることがらの間に実は連続した関係性があり、状況に応じてどちらも正しく、しかも境目がないような、いわば、「二項動態 (dinamic duality)」の関係にあることがわかります。
そこで、二者択一ではなく、両者両立の「both ~ and ~ (あれも、これも)」の均衡点を探し 出し、一見、矛盾する文脈に新しい意味づけや価値づけを行い、そこから跳ぶ仮説を導いて、 最善最適な解を導き出す。
アグリガールが、自治体とベンチャー企業という、価値観が矛盾しがちな当事者の利害を調整し、プロジェクトをスピード感を持って立ち上げることができたのも、相手への共感をベースに、矛盾する関係性の文脈に入り込み、矛盾を二項動態的にとらえて、ベターな均衡点をすばやく見つけることができたからでしょう。
トップダウンのPDCAではなく、現場の第一線部隊の一人ひとりが自律分散的に共感力を発揮し、矛盾を二項動態としてとらえ、均衡点を探し出す。そして、矛盾する関係性に新しい意味や価値が見えたら、跳ぶ仮説により、次のステップへとジャンプする。それが知的機動戦の戦い方です。
「上層部には、今回はこの方法で失敗したけれど、次はその学びをこう活かしていくと、その都度、ロードマップを示しながら、われわれが描くストーリーのなかでは一個一個積みあがっていることを伝えたのです」(ポーラ末延則子)
企業経営はまさに、「いま、ここ」の積み重ねであり、定まった終わりがあるわけでもなければ、エンディングも決まっていない。オープンエンドの連続ドラマともいえる物語り戦略こそが不確実で予測不能な環境下で企業革新を行い、成長を実現するうえで有効である所以がここにあります。状況をコントロールするための手段であるポジショニング理論では、変化への対応、対処はできません。
また、マネジメントでは一般的にPDCAのサイクルが多用されますが、PDCAが物語り戦略を遂行するための知的機動戦には不向きえあると第3章で述べました。古森氏は第一線の社員一人ひとりが自律的にPを見出せるよう、Pの前段階として、SeeとThinkのステップを置いて、「See-Think-PD」のサイクルを提起します。
すなわち、客体を対象化して外から分析するのではなく、客体に共感し、同じ文脈に入り込んで五感で感じ取って、現実をアクチュアルにとらえ、WHAT、WHYを問い、本質を見抜くことを求めるのです。 -
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花王とポーラの事例が特に感心した。
■自己組織とは
・自律的な振る舞いを持った構成要素が集まり、相互作用を媒介にして、それぞれの総和より質的に高度で複雑な秩序を創発していく組織のあり方
・各構成要素が管理―非管理の関係でなく、自らを動機づけながら新たな知を生み出していく
・個が積極的に関与し、自律的な個から生まれた独自のアイデアが広まり、全体のアイデアになる
■PDCAでは知的機動戦は戦えない
ビジネスの世界で有名なマネジメントスタイルにPDCAサイクルがあります。計画(Plan)し、実行(Do)し、その結果を検証 (Check)し、次の改善活動 (Act)につなげるプロセスです。PDCAサイクルの問題点は、最初から形式知の計画(Plan) ありきで、計画を生み出すプロセスが入っていないことです。それは、PDCAサイクルがトップダウン型の消耗戦に適応した効率追求モデルであるからです。
トップおよび戦略スタッフがデータなどをもとに、論理分析的にマスタープラン(基本計画)を策定し、それがブレークダウンされて数値ベースの計画や施策が降りてくる。第一線部隊は計画や施策ありきでPDCAサイクルを回し、効率を追求する。しかし、上から与えられた形式知の数値ベースの計画からは新しい意味や価値は生まれません。
日本の学校教育の現場に導入されたPDCAについて、計画はやたら大きく、現実から乖離した絵空事的であるため、実行が十分ではなく、それでいて検証だけはマイクロマネジメントで行われるものの、改善活動には つながらないとして、これを大文字と小文字をまぜて、「PdCa」と表現した社会学者の佐藤郁哉・同志社大学商学部教授の指摘は、実に正鵠を射ているといえます。 明かなのは、論理分析から導かれるPDCAサイクルでは知的機動戦は戦えないことです。
絶えず動く現実のただなかでは日々矛盾に直面します。ベストな解は誰にもわかりません。そこで、その場の文脈に応じて、「よりよい(ベター)」に向かって矛盾を解消する対処能力が重要になります。
その際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。論理は矛盾する関係性を「二項対立 (dualism)」としてとらえようとします。矛盾を相容れない二項対立としてとらえ、二者択一の
「either 〜 or 〜(あちらか、こちらか)」の否定により、どちらが論理的に正しいかを問う限り、ベターな解は導き出せません。
一方、外象に共感し、矛盾する関係性の文脈に入り込み、なかからとらえると、対極的で相客れないように見えることがらの間に実は連続した関係性があり、状況に応じてどちらも正しく、しかも境目がないような、いわば、「二項動態 (dinamic duality)」の関係にあることがわかります。
そこで、二者択一ではなく、両者両立の「both 〜 and 〜 (あれも、これも)」の均衡点を探し 出し、一見、矛盾する文脈に新しい意味づけや価値づけを行い、そこから跳ぶ仮説を導いて、 最善最適な解を導き出す。
アグリガールが、自治体とベンチャー企業という、価値観が矛盾しがちな当事者の利害を調整し、プロジェクトをスピード感を持って立ち上げることができたのも、相手への共感をベースに、矛盾する関係性の文脈に入り込み、矛盾を二項動態的にとらえて、ベターな均衡点をすばやく見つけることができたからでしょう。
トップダウンのPDCAではなく、現場の第一線部隊の一人ひとりが自律分散的に共感力を発揮し、矛盾を二項動態としてとらえ、均衡点を探し出す。そして、矛盾する関係性に新しい意味や価値が見えたら、跳ぶ仮説により、次のステップへとジャンプする。それが知的機動戦の戦い方です。
「上層部には、今回はこの方法で失敗したけれど、次はその学びをこう活かしていくと、その都度、ロードマップを示しながら、われわれが描くストーリーのなかでは一個一個積みあがっていることを伝えたのです」(ポーラ末延則子)
企業経営はまさに、「いま、ここ」の積み重ねであり、定まった終わりがあるわけでもなければ、エンディングも決まっていない。オープンエンドの連続ドラマともいえる物語り戦略こそが不確実で予測不能な環境下で企業革新を行い、成長を実現するうえで有効である所以がここにあります。状況をコントロールするための手段であるポジショニング理論では、変化への対応、対処はできません。
また、マネジメントでは一般的にPDCAのサイクルが多用されますが、PDCAが物語り戦略を遂行するための知的機動戦には不向きえあると第3章で述べました。古森氏は第一線の社員一人ひとりが自律的にPを見出せるよう、Pの前段階として、SeeとThinkのステップを置いて、「See-Think-PD」のサイクルを提起します。
すなわち、客体を対象化して外から分析するのではなく、客体に共感し、同じ文脈に入り込んで五感で感じ取って、現実をアクチュアルにとらえ、WHAT、WHYを問い、本質を見抜くことを求めるのです。 -
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言わずと知れた、7&iの鈴木元会長。
セブンを始める時に言われた事。
おにぎりや弁当について、「そういうのは家で作るのが常識だから売れるわけがない」と否定されたそうである。よく、マーケティングでリサーチの裏付けがないと新しい製品やサービスの開発が進められない事があるが、ソニーのウォークマンの例と並び、消費者は既存の理解でのみしか答えることができない例の典型であろう。最初は、1店舗で1日2,3個しか売れなったそうだが、今や年間17億個も売れるコンビニには欠かせない商品となっている。
衣料品の現金下取りセールについての記述も面白い。5000円のものを1000円ダイレクトに割引するよりも、同じ金額を下取りセールする方が好評だということだ。どちらも同じ2割り引きだが、通常の2割引きセールよりも売上2〜3割もアップしたそうである。なかなか捨てられない心理→たんすが空かないから買わないという心理を、下取りという形で解消してあげる事で、消費者の不満足を解消し、満足へと転換したのである。 -
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鈴木氏の金言を中心に構成している。
「先行情報」をもとに「仮説」を立てPOSで「検証」するは最も鈴木氏の考え方が反映されていると感じた。POSは過去の売れ筋商品を探して将来の仕入れに生かすものだと思っていたが、氏によれば、そうではなく、仮説が正しかったかどうかを検証するためのものであるとのこと。自分なりに問題意識を持ち、仮説を立てることが重要だと言う。
日常の業務でも同じことが言える。過去の延長が未来ではないということを日々念頭において仕事をせねば、と思う。
ただ、結果と推定される原因が本当にそうか?と感じるところが幾つかあった。自分の感覚がおかしいのか、鈴木氏や解説の勝見氏がおかしいのか、よくわからないが、それくらい自信がないと行動まで移すのは難しいのだろう。自信も当然ながらビジネス推進の基盤である。