勝見明のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
花王とポーラの事例が特に感心した。
■自己組織とは
・自律的な振る舞いを持った構成要素が集まり、相互作用を媒介にして、それぞれの総和より質的に高度で複雑な秩序を創発していく組織のあり方
・各構成要素が管理―非管理の関係でなく、自らを動機づけながら新たな知を生み出していく
・個が積極的に関与し、自律的な個から生まれた独自のアイデアが広まり、全体のアイデアになる
■PDCAでは知的機動戦は戦えない
ビジネスの世界で有名なマネジメントスタイルにPDCAサイクルがあります。計画(Plan)し、実行(Do)し、その結果を検証 (Check)し、次の改善活動 (Act)につなげるプロセスです。PDCAサイクルの問題点は、最初から形式知の計画(Plan) ありきで、計画を生み出すプロセスが入っていないことです。それは、PDCAサイクルがトップダウン型の消耗戦に適応した効率追求モデルであるからです。
トップおよび戦略スタッフがデータなどをもとに、論理分析的にマスタープラン(基本計画)を策定し、それがブレークダウンされて数値ベースの計画や施策が降りてくる。第一線部隊は計画や施策ありきでPDCAサイクルを回し、効率を追求する。しかし、上から与えられた形式知の数値ベースの計画からは新しい意味や価値は生まれません。
日本の学校教育の現場に導入されたPDCAについて、計画はやたら大きく、現実から乖離した絵空事的であるため、実行が十分ではなく、それでいて検証だけはマイクロマネジメントで行われるものの、改善活動には つながらないとして、これを大文字と小文字をまぜて、「PdCa」と表現した社会学者の佐藤郁哉・同志社大学商学部教授の指摘は、実に正鵠を射ているといえます。 明かなのは、論理分析から導かれるPDCAサイクルでは知的機動戦は戦えないことです。
絶えず動く現実のただなかでは日々矛盾に直面します。ベストな解は誰にもわかりません。そこで、その場の文脈に応じて、「よりよい(ベター)」に向かって矛盾を解消する対処能力が重要になります。
その際、論理だけでは矛盾に対処することは難しいでしょう。論理は矛盾する関係性を「二項対立 (dualism)」としてとらえようとします。矛盾を相容れない二項対立としてとらえ、二者択一の
「either 〜 or 〜(あちらか、こちらか)」の否定により、どちらが論理的に正しいかを問う限り、ベターな解は導き出せません。
一方、外象に共感し、矛盾する関係性の文脈に入り込み、なかからとらえると、対極的で相客れないように見えることがらの間に実は連続した関係性があり、状況に応じてどちらも正しく、しかも境目がないような、いわば、「二項動態 (dinamic duality)」の関係にあることがわかります。
そこで、二者択一ではなく、両者両立の「both 〜 and 〜 (あれも、これも)」の均衡点を探し 出し、一見、矛盾する文脈に新しい意味づけや価値づけを行い、そこから跳ぶ仮説を導いて、 最善最適な解を導き出す。
アグリガールが、自治体とベンチャー企業という、価値観が矛盾しがちな当事者の利害を調整し、プロジェクトをスピード感を持って立ち上げることができたのも、相手への共感をベースに、矛盾する関係性の文脈に入り込み、矛盾を二項動態的にとらえて、ベターな均衡点をすばやく見つけることができたからでしょう。
トップダウンのPDCAではなく、現場の第一線部隊の一人ひとりが自律分散的に共感力を発揮し、矛盾を二項動態としてとらえ、均衡点を探し出す。そして、矛盾する関係性に新しい意味や価値が見えたら、跳ぶ仮説により、次のステップへとジャンプする。それが知的機動戦の戦い方です。
「上層部には、今回はこの方法で失敗したけれど、次はその学びをこう活かしていくと、その都度、ロードマップを示しながら、われわれが描くストーリーのなかでは一個一個積みあがっていることを伝えたのです」(ポーラ末延則子)
企業経営はまさに、「いま、ここ」の積み重ねであり、定まった終わりがあるわけでもなければ、エンディングも決まっていない。オープンエンドの連続ドラマともいえる物語り戦略こそが不確実で予測不能な環境下で企業革新を行い、成長を実現するうえで有効である所以がここにあります。状況をコントロールするための手段であるポジショニング理論では、変化への対応、対処はできません。
また、マネジメントでは一般的にPDCAのサイクルが多用されますが、PDCAが物語り戦略を遂行するための知的機動戦には不向きえあると第3章で述べました。古森氏は第一線の社員一人ひとりが自律的にPを見出せるよう、Pの前段階として、SeeとThinkのステップを置いて、「See-Think-PD」のサイクルを提起します。
すなわち、客体を対象化して外から分析するのではなく、客体に共感し、同じ文脈に入り込んで五感で感じ取って、現実をアクチュアルにとらえ、WHAT、WHYを問い、本質を見抜くことを求めるのです。 -
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言わずと知れた、7&iの鈴木元会長。
セブンを始める時に言われた事。
おにぎりや弁当について、「そういうのは家で作るのが常識だから売れるわけがない」と否定されたそうである。よく、マーケティングでリサーチの裏付けがないと新しい製品やサービスの開発が進められない事があるが、ソニーのウォークマンの例と並び、消費者は既存の理解でのみしか答えることができない例の典型であろう。最初は、1店舗で1日2,3個しか売れなったそうだが、今や年間17億個も売れるコンビニには欠かせない商品となっている。
衣料品の現金下取りセールについての記述も面白い。5000円のものを1000円ダイレクトに割引するよりも、同じ金額を下取りセールする方が好評だということだ。どちらも同じ2割り引きだが、通常の2割引きセールよりも売上2〜3割もアップしたそうである。なかなか捨てられない心理→たんすが空かないから買わないという心理を、下取りという形で解消してあげる事で、消費者の不満足を解消し、満足へと転換したのである。 -
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・ミドルマネジャーの「ミドルアップダウン・マネジメント」…いちばん難しい問題は、現場で実践知を発揮しながら、新しい価値や価値をもった概念を生み出し、そこからひとつのビジネスモデルを作り出して収益を結びつけること。その中で重要な役割を演じるのがミドルマネジャーやミドルリーダー。実践知にすぐれた人材の共通する「6つの能力」。
1)「何がよいことなのか」という判断基準を持ち「よい目的」をつくる能力を持つ
2)ありのままの現実のなかで本質を直観する能力を持つ
3)場をタイムリーにつくる能力を持つ
4)直観した本質を概念化し、物語として伝える能力を持つ
5)あらゆる手段を駆使し概念を実現する政治力を持つ
6)実践知を埋め込み組織化する能力を持つ
・人間が行う最も知的な営みである知識創造は、暗黙知と形式知が互いに作用しあい、相互変換し、それがスパイラルに循環していくなかで行われる。この知の循環運動が組織やチームで起きる場合、知識創造理論では次の4つのモードをたどる。
1)個人はまわりの世界との相互作用のなかで暗黙知を組織的に共創する(=共同化)。
2)次に暗黙知を形式知に変換する「表出化」。
3)続いて、形式知化を組織内外の他の形式知と組み合わせ、一つの体系としての新たな形式知を作り出す「連結化」。
4)こうして体系化された形式知は行動や実践を通して、新たな暗黙知としてメンバー全員に吸収され、体化されていく。つまり、形式知からまた暗黙知へと変換される(=内面化)。
この知識変換の4つのモードを共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)のそれぞれの頭文字をとってSECI(セキ)モデルと呼ぶ。この一連のプロセスが回ることで、知識は個人、集団、組織の間を循環し、より豊かに増幅されていく。と同時に知識が新しい価値として具現化されていく。これが組織的な知識創造の基本原理。
・「試す人になろう」(本田宗一郎氏の石碑)…人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、多くの人は見たり聞いたりばかりでいちばん重要な”試したり”をほとんどしない。ありふれたことだが失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を恐れるから成功のチャンスも少ない。ものごとの大筋をつかんだら、まずは試してみる。失敗したら、成功するまで試せばいい。日本企業の再創造に向けた集合的実践知経営は、一人ひとりがこの言葉「試す人になろう」を胸に刻むことから始まるのだろう。 -
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コンビニ店頭で目についたので購入。コンビニでの薄手のビジネス書は気分転換ぐらいの軽い気持ちで読むことにしている。
実体としてはセブン&アイのCEO鈴木敏文氏に対する氏の経営に対する考えのインタビューまとめである。タイトルの疑問の回答は書かれておらず、この本を読んでも、バイトが経営学を語る一端のビジネスパーソンになる過程は記載されていない。なので、タイトルの内容から導かれる内容をこの本に求めると期待はずれ。
一般的なビジネス書としてはセブンイレブンの経営戦略や鈴木氏の経営哲学を1テーマを見開きで図解入りで解説している。説明されている経営戦略は論理的で一貫している。見慣れた商品を取り扱っていることもあり、経営学の入門書としては読みやすい。 -
Posted by ブクログ
本書はセブンイレブンの社長である鈴木敏文氏による、脱常識をするための仕事術について書かれている一冊です。
仕事でよく聞く、常識や当たり前だと言われていること…。これらの多くは紐解いていくと、実際には目的には繋がっていないことを教えてくれます。
その中でも非常に心に残ったのは「顧客のために」ではなく「顧客の立場で」と言う言葉。
様々なところで「顧客のために考えろ」と言われていますが、この考えは「顧客はこうあるべきだ」、「このように動かないとおかしい」と決めつけをし、うまくいかないと「こんなに考えてるのにうまくいかないのは顧客のせいだ」と責任を押し付けることに繋がると、本書で鈴木氏は語っています。
この独りよがりの「顧客のために」と言う考え方は、個人的にもよくしてしまいがちではあるので、非常に良い戒めとなりました。
また本書を読んで特に面白かった内容の1つをあげるなら「有名ラーメン店シリーズ」の第一弾「札幌すみれ」の開発プロセスがあげられます。
1つの商品に対して妥協せず、他の企業の力も集約し、こだわりにこだわり抜くその姿勢から学ぶものは多くあります。
本当の意味で顧客を考えた経営理念を学べることは勿論ながら、最寄りのセブンイレブンにいくのが少し楽しみになる、そんな1冊です。
【私的読書メモ】
・安売りはモノマネにすぎない
・多くの場合上手くいかないのは仮説創出力の欠如によるもの
・会社に慣れすぎると顧客の視点を見失ってしまう
・ものわかりのよい上司を演じても業績には結びつかない
・話術に長けても漫談で終わったら意味がない
・顧客は「迷っている」のではなく「確認したい」
・仮説が成り立つ可能性が6,7割あったら挑戦をする -
Posted by ブクログ
セブンイレブンジャパンの鈴木敏文氏の経営哲学を解説した本。
自分で仮説を立て、行動するべきだと説く。
新しいコンビニエンスを切り拓いた氏のいう言葉は説得力を持つ。
ユニクロの柳井氏も「成功体験は捨て去れ」と
変革することをよしとする部分と根っこは同じであろう。
過去に学ぶのか、自分の感性を信じるのか判断に迷うことである。
しかし、他人の言うこと、特に専門家、マスコミの言うことは
疑ってかかり、自分の考えを醸成していくことは
変化の早くなった現代では必要なことであるのは間違いない。
自分自身も保守的にならないように、変化をチャンスとして
捉える事のできる生き方をしていきたい。 -
Posted by ブクログ
セブンイレブン創業者のビジネススタイルを書いた本。
顧客心理、顧客が何を望んでいるのかを考えることが重要。ややもすると売り手の都合で考えてしまう。
しかも、顧客がいま望んでいることではなく、将来的な読みが必要。「そう、俺が望んでいたのはこういうことだったのか」
と顧客に思わしめることが必要。
仕事の相手とは徹底的に話し合うこと。意思疎通なくして、良い仕事はできない。
あまり計画に固執しない。臨機応変に対応する必要がある。
とにかくセブンイレブンの創業から、銀行業への進出など、おもしろい。
あまり専門バカは良くない。過去の経験に大きく固執するのも良くない。
とにかく顧客心理、顧客目線が必要であると説く。