【感想・ネタバレ】鈴木敏文のCX(顧客体験)入門のレビュー

あらすじ

【内容紹介】

日本ではDX(デジタル・トランスフォーメーション)の文字を見ない日はありませんが、ここ数年、もう一つ、「X」のつく用語として、「カスタマー・エクスペリエンス(Customer Experience、略してCX)」という概念が日本にも入ってきて、注目が集まっています。

CXは「顧客体験」もしくは「顧客体験価値」と訳されます。「商品・サービスの購入、利用における顧客としての体験」および「体験をとおして得られる感覚的・心理的価値」を意味するようです。

ヒト(お客様)は、モノをとおしてコトを体験することで価値を感じ、満足感を得る。モノの価値に対して、コトの価値とは、お客様が体験することで得られる価値、すなわち、顧客体験価値といえるでしょう。

カスタマー・エクスペリエンスの概念は二〇〇〇年代に入ってから注目されるようになったようですが、セブン‐イレブンでは、一九七〇年代の創業当時から、仮説・検証を実践することで、お客様に満足していただける顧客体験を提供し続けてきたのです。


★★★セブン‐イレブン流・「これが欲しかった!」をつくり出す・真の【お客さま目線】とは?

コンビニおにぎり、セブン銀行、100円コーヒー……。

数々のヒットを生み、日本の新しいライフスタイルをつくってきた鈴木敏文氏。

彼が約50年前からただ一人見抜いていた、潜在ニーズを拾いあげる「ストーリーづくり」の真髄は、創業以来セブンが徹底している「CX=カスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)」にあった!


◎「お腹いっぱい」の人は何を食べるか

◎半分にカットした割高の大根が売れる理由

◎おにぎりの販売は「新しい習慣」を生み出した


◎Francfrancには、なぜ、便座カバーが置いてないのか

◎動物園を「お客様の立場で」を見直して気づいた衝撃の事実

◎花の売り手が花をもらって初めて問題点に気づく


◎横を見ずに目の前にいる顧客に目を向ける

◎「過去の延長線上」ではなく「未来の可能性」に目を向ける


「お客さまだけを見てください、ほかは見なくてけっこうです」

【著者紹介】

[著]鈴木 敏文(すずき・としふみ)

セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問

1932年長野県生まれ。中央大学経済学部卒業後、東京出版販売(現トーハン)を経て63年イトーヨーカ堂入社。73年セブン‐イレブン・ジャパンを創設し78年社長に就任。92年イトーヨーカ堂社長、2003年イトーヨーカ堂およびセブン‐イレブン・ジャパン会長兼CEOに就任。05年セブン&アイ・ホールディングスを設立し、会長兼CEOに就任。16年から現職。著書『わがセブン秘録』など多数。


[取材・構成]勝見 明(かつみ・あきら)

ジャーナリスト。1952年、神奈川県生まれ。東京大学教養学部中退後、フリージャーナリストとして経済・経営分野を中心に執筆を続ける。著書に『鈴木敏文の「統計心理学」』ほか、『共感経営』(野中郁次郎氏との共著)など。

【目次抜粋】

イントロのようなまえがき モノ消費からコト消費の時代へ

なぜ、セブン‐イレブンの日販は他チェーンより一五万円も高いのか

「カスタマー・エクスペリエンス」とはコト消費

「仮説・検証」によりコト的な価値を提供する

「真冬の冷やし中華」が売れるわけ


第1章モノではなく、コト(体験価値)を売る時代へ

1 コロナ禍で顧客体験がより重要性を増した

2 メリハリ消費、ごほうび消費は典型的なCX型消費

3 同じものごとでも提示の仕方で売れ方が変わる ほか

第2章CX経営にはどんな発想法が必要なのか

1 常に顧客を起点に発想する

2 顧客起点の発想はあらゆる分野で求められる

3 「川モデル」ではなく、「井戸モデル」で考える ほか

第3章顧客の求める体験価値をどのように生み出すのか

1 予定調和を壊す

2 「上質さ」×「手軽さ」の空白地帯を見つける

3 仮説力を鍛える① ~疑問を発することが出発点 ほか

第4章カスタマージャーニーに沿った戦略を考える

1 仮説を立てるとはカスタマージャーニーを想定すること

2 売り場という「舞台(ステージ)」で「物語」を生み出す

3 キュレーション戦略~選択と絞り込みで新しい価値を生み出す ほか

構成担当者によるあとがき

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Posted by ブクログ

Audible にて。
上司のおすすめで鈴木敏文さんを初めて読んでみた。
セブンイレブンという身近な実践事例のため想像しやすく、とてもわかりやすい。

繰り返し述べられているのは「お客様のために」を禁止して「お客様の立場で」を徹底すること。
お客様のためにと思っていることは、結果的に売り手のためになっていることが多く、顧客のニーズとはイコールになりにくい。お客様の立場にこだわって考えるマーケティングが必要とのこと。
その考え方のコツとして、バイアスがかかっていないか常識を疑うこと、仮説を立てること、常にアンテナを張り巡らすこと等を挙げていた。
これらは明日からでも意識して実践してみたい。

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2022年12月17日

Posted by ブクログ

仮説がない人は、筋が悪いことを再認識。仮説を持つから打ち手が明確になり、情報収集の効率が良くなり、賢い人にたどり着き、そしてその結果成長していく。

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2022年07月09日

Posted by ブクログ

CXを学ぶために読みました。
後半がおもしろい、まだCXという言葉が無い何十年も前からこの戦略で仮説立てしているのがすごい。
やはり本質は変わらないのか、、

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2023年04月09日

Posted by ブクログ

セブン&アイの鈴木敏文さんによるCX(カスタマー・エクスペリエンス)の要諦。構成の勝見さんが鈴木さんに話を聞いてまとめた本。
内容としてはいかに売るか売れるために何をすべきかが中心に論じられていて、CXを変えるための戦略の立て方や組織論があるわけではない。鈴木さんとしてはCXを変えることを考えることがすべての出発点ということなんだろう。
ポイントは何を言おうとお客様の立場に立って考えるのかということ。それはお客様のためにではなく、あくまでもお客様の立場に立つということ。そうでないと、「川の思考」になってしまい「井戸の思考」にはならない。「川の思考」とは川に流れてくるもの(=お客様のニーズ)に石(=商品)を投げて当てるような芸当だけれど、「井戸の思考」とは、自分がここだと思った場所(=自分ならこれが欲しい)を掘って地下水脈(=お客様のニーズ)とぶつかることをいう。すなわち、自分もお客様として考え、自分が欲しいものを徹底して考えるということだ。
一方でそれは、お客様の顕在ニーズではなく、潜在ニーズを探るという行為であって、データをみても街の様子、人々の流れをみても、常に潜在ニーズはなんだろうと考えるということでもある。
また、他社をみないという姿勢もなるほど、という感じだった。他社をみるとマネをしたくなってレッドオーシャンに巻き込まれるし、何よりの弊害はお客様をみなくなって、他社のマネをすることが優先されてしまうこと。これは日本企業あるあるなのではないか。
まあ、簡単に書いてはあるけれど、なかなか難しいのも事実だから、この行動様式を習慣化しないとそもそも入口にも立てない。躊躇していては始まらないので、今日からそのような思考を始めるべきということなんだろう。
なお、本書についていえば、構成の勝見さんの文章がやや長すぎる印象を受けた。もう少し短くした方がリーダブルだったとは思う。

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2023年01月03日

Posted by ブクログ

要は「顧客の立場に立って考える」ということを、色々な角度から説明してくれてるのだが、本当に分かってる方が解説してくれると、こんなに深くなるのかと感動。

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2022年07月10日

Posted by ブクログ

鈴木さんがいたからこそのセブンだと感じる1冊。
「顧客の立場で考える」をひたすら追求する姿勢が大切と、再確認できる。
ドラッカー実践編のような内容です。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

レジェンド鈴木氏がいかに「顧客の立場」を大事にして、実践してきたことがありありと分かった。一方で同じようなエピソードがダラダラと続いた印象。エッセンスだけまとめると30%くらいの文量に収まりそう。モノが飽和する世の中で、顧客の飽くなき潜在的欲望をいかに捉えるのか、顧客の立場に立つことがその最善の策だと学んだ。

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2023年06月04日

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