樋口毅宏のレビュー一覧

  • タモリ論

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    タモリや同時代の芸人についてのウンチク本ともいえるが、読者である自分の人生と重ね合わせると、タモリが30年以上「いいとも」をやってきたことの偉業さを気づかせてくれる。また、その偉業を成し遂げるために必要だった、ある意味、世間や人生に対する諦観を30数年の中で身に着けていったということか。振り返れば自分はたった20年にすぎないが同じような感覚でいたのではないかとも感じた。それでも淡々と続けていける心性が必要なのだろう。そういう意味では60歳を目前として、今後の生き方にわずかなりとも影響を与えてくれた。「マンネリズムのすすめ」ということか。偉大なるマンネリズムの中で、ところどころキラリと輝く星のよ

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    2018年10月13日
  • 愛される資格

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    黒澤明 驟雨しゅうう 作家の白石一文と同じ職場で働いていた編集者 鼎談ていだん 佐藤優まさる 大学は同志社で神学を学び 才能に見切りをつけることができず、その後も野球に固執していたら、俳優・仲村トオルは誕生しなかった。 槇原敬之とスマップが一緒になって歌っているのを見て、兼吾は柄にもなく泣きそうになった。 競争があったから今の自分がいる。槇原敬之はそう叫びたかったはずだ。 踵を返して 心は綯交ぜだった 近親憎悪 未曾有の災禍さいか 自分は人と違うってアピールしたいんですか? 骨董品のような音楽 ウィーザーの赤裸々で自意識過剰の歌詞 ピンカートン ハーバード大学に復学 歌川広重のえをジャケットに

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    2018年05月12日
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)

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    内容(「BOOK」データベースより)
    中国から久しぶりに戻った俺を出迎えた友の死。東京、雑司ヶ谷。大都会に隣接するこの下町で俺は歪んだ青春を送った。町を支配する宗教団体、中国マフィア、耳のない男…狂いきったこのファックな人生に、天誅を喰らわせてやる。エロスとバイオレンスが炸裂し、タランティーノを彷彿とさせる引用に満ちた21世紀最強の問題作、ついに文庫化。脳天、撃ち抜かれます。

    ホモホモエログロドロドロドンパチドンパチアンアンアンという本です。疾走感がすごいのに寄り道もすごい。話に関係するのかと思うサブカル系の話題も全く関係ないまま疾走し続けます。雑司ヶ谷という作者が生まれ育った静かな町に紙面

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    2018年04月02日
  • 民宿雪国

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    結局何が嘘で何が本当なのか分からなかったけど、それもどうでもよくなるくらい面白かった!笑。物事は見方によってこんなにも違うんだなぁ、と。ところどころでクスッとしてしまうところは変わらず。でもすごく好き嫌い分かれそうな作品。わたしはスピード感のある『雑司ヶ谷』シリーズの方が好きなので星4。

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    2018年03月07日
  • おっぱいがほしい!―男の子育て日記―

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    男の子育て経験中なので、うんうんとうなずくこと多数。しかし、嫁さんのブチ切れ具合がすさまじい。おもしろい人を伴侶に持つと大変ですな。

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    2018年02月14日
  • おっぱいがほしい!―男の子育て日記―

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    仕事仕事と忙しげにして
    子供を任せっぱなしなことを
    言葉だけで労う奥様に対して
    怒りをぶつける場面など
    ああ 育児して
    ストレスたまるのは
    女男関係ないのね
    と 目から鱗です

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    2017年11月08日
  • ドルフィン・ソングを救え!

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    『考えてみる。私が人生でいちばん幸せだったのはいつだろう? 自分がこの世界の主役と疑わなかった頃は。』

    『人は国とか社会正義とか、大義のために生きてはいけない。自分のために生きることがいちばんだ。
    それにあれだよ、「人の為」って書いて「偽善」の「偽」だよ。みつをも言ってた。』

    「僕たちは偉大なる先人をリスペクトしているからね。右から左に移すのは盗作。愛があればオマージュ。なければただのパクリ」

    「おまえは自分では心の優しい女だと思っているがそれは大きな間違いだ。嫌になるほどおまえのことを知っている俺は断言できる。おまえは拭くのが面倒臭いという理由でネコを電子レンジに入れて死なせておきなが

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    2017年11月07日
  • 愛される資格

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    嫌いな上司の妻を寝取る恋愛小説。
    前半は寝とった妻との性描写が多めだが、徐々に恋愛小説っぽい内容に。
    映画・小説・漫画・音楽、様々な作品からのオマージュを散りばめるのはいつも通りだが、本作は従来の過激な表現を抑えているのが印象的だ。最近の作品は私小説のような内容が多く、個人的には気に入っている。本作もそう。著者の思いのたけをぶちまけながら、恋愛小説として、そして男の成長物語として紡いでいったのだろう。
    ある程度歳を重ねたが、まだまだ若いと思ってる男性は読んでおいたほうがいい気がする。色々と考えさせられる。

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    2017年10月22日
  • タモリ論

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    これまでなぜか語られることがなかった芸人タモリを新鋭の異才作家・樋口毅宏が著すとなり、出版前からかなり話題になっていた本。タモリって、30年間もいいともに出続けながら西川きよしのような刻苦勉励さは微塵も感じず、脱力感は所ジョージ同様でありながら、ライフスタイルを切り売りをせず、たけし同様大学中退のインテリでありながら政治について黙して語らず。博覧強記でありながら上岡龍太郎的な理屈分析を芸風にはせず、もちろんクイズ番組にも一切出ず、本も出さない。とは言え、ストイックな堅苦しさも醸さないし、お笑いの大御所よろしく、自分の番組に可愛がってるタレントを遇することもない。そう、どの鋳型にもはまらない得体

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    2017年07月26日
  • 太陽がいっぱい

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    「新日と新日本は違うんです」ーー昭和のプロレスファンは新日本プロレスを「新日」と呼び、2016年のプロレスファンは「新日本」と呼ぶ。
    伝説のプロレスファン漫画「最狂超プロレスファン烈伝」の著者・徳光康之氏は熱く語った。

    総合格闘技にプロレスラーが登場しては惨敗する中、21世紀に入ってからプロレス界は長い冬の時代を迎える。
    業界最大手の新日本プロレスは、遂に身売り。カードゲーム会社に買収される。
    マニア層を切り捨て、スタイリッシュなスターを登場させ、会場は「プ女子」に代表される新しいファンで埋め尽くされる。
    しかし、現在のプロレスには何かが足りない。
    プロレスとは、哀愁、やるせなさ、野心、痛み

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    2016年10月05日
  • ドルフィン・ソングを救え!

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    完全にフリッパーズギターがモデル。
    本編でも言っているが、実在する人物、カルチャーなどの嘘もホントも混ぜこぜのコラージュで堪らなく面白い。
    ロッキンオンとか読んでた人は特に。(自分)
    サブカルクソ野郎のめちゃくちゃに面白いエンターテイメント。

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    2016年10月04日
  • タモリ論

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    タモリがTVに出てきたときは、とにかく面白かった。英・独・仏・中国語もどきの麻雀は最高だった。最初からばかばかしいのに若干インテリくさい芸事ではなく余興の権化だ 。

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    2016年06月13日
  • ドルフィン・ソングを救え!

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    テーマがキャッチー。あきらかにフリッパーズギターだし、渋谷系だし、実在するバンド名もいっぱい出てくるし。ちょっと馬鹿にしたような描写も多いし、性描写もいる?って思ったけれど、全体のストーリーとしてはおもしろく一気に読み終えてしまった。

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    2016年05月04日
  • 民宿雪国

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    国民的画家・丹生雄武郎の生涯。

    初の樋口毅宏さん。

    前情報無しで読んだので度肝を抜かれた。
    でも、いい殺戮にわくわくする。


    連れて行かれる感の強いストーリーは楽しめたのだけれど、収束が少し物足りなかったかな。


    でも、サブカルの匂いがする!
    「タモリ論」のお人なのね、未読だが。

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    2016年05月02日
  • ドルフィン・ソングを救え!

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    面白かった。この人の作品は初期から読ませて頂いているが、今にも爆発しそうな狂気的な暴力性をはらんだ文体が洗練されてきている気が。

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    2016年02月21日
  • タモリ論

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    タモリはわたしの神です。笑
    熱いファンレターとして読みました。
    でも、持ち上げすぎは好きじゃないです。

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    2016年02月13日
  • 民宿雪国

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    国民的画家がいかに生まれたかというプロローグ。でも、以降の内容はかなり過激だ。セックス、バイオレンス、アート。この3つが違和感なく描かれる小説なんて聞いたことない。
    グロい表現に嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、話の展開だけで読める小説だ。
    個人的には結構はまった。

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    2015年12月15日
  • タモリ論

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     論。論……というかエッセイに入れておこう。
     読んでて面白かったから書籍の体にはなっているし、自分で観たことしか書かないという姿勢もすごく好き。ただ「論」と題しちゃったことで招かなくてもいい客を招いてしまった感じ。
     ビートたけしの文章だけ読んでいるとわからないようなたけしの本性を見抜くだけの視線の鋭さはある。演技のベースになっているのは泉谷しげると内田裕也だ、というあたりの指摘はよく見てる、と思える。
     慧眼のはづなのに、「論」にするほどのやる気はない感じ。文章の軽さも印象に拍車をかけている。

     ただ、本が本だけに「これでいいのだ」と言ってしまっていいようにも思う。「論」の体裁なんぞ、周

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    2015年11月16日
  • 民宿雪国

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    国民的画家・丹生雄武郎の生涯を主観的及び客観的ストーリーを織り混ぜて、読者を試すか如く挑戦的なメッセージ性を込めた問題作。
    読む側の脳が柔軟ではないと、この自由さについてはいけない。奇想天外、虚実混在の無限世界。読後に何も信じることができなくなる。でも巻末の対談で、計算しつくされた作品であることが分かる。樋口毅宏さんはただ者ではない。

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    2014年10月14日
  • 民宿雪国

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    まぁようこんだけ胸糞悪い話を書いたなぁ、という。在日、妾腹の子、性同一性障害、一般的に弱者とされる人々がいたぶられるのを目を逸らさずにずっと描写するのな。いや、後書きにあるとおりいたぶった側が最終的にはヒドい殺され方するんだけど、それにしてもねぇ。決して悪口を言ってるわけではなくて、胸糞悪い話をちゃんと書き続けて、読ませ続けるのは作家としての力量だなぁ、と思うわけです。胸糞悪い話がイヤならベタ甘なラブストーリーか勧善懲悪な時代小説だけ読んでりゃいいんだろうけど、こちとらそんなもんいらないわけで。
    あと、巻末の梁石日との対談、梁石日75歳もビックリだけど、樋口毅宏がこれでもかっというくらいに梁石

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    2014年08月05日