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時は2019年。
45歳、結婚経験なし、子どもなしのフリーター・トリコが、
人生に絶望して、睡眠薬をまるごとひと瓶飲んで自殺をはかる……。
意識を取り戻した先は、昭和の終わり、バブル期まっただ中の1989年の渋谷。
30年前にタイムスリップしたトリコは、
青春時代に好きだったバンド「ドルフィン・ソング」の解散を阻止すべく、奔走する!
トリコはドルフィン・ソング、島本田恋と三沢夢二のふたりを救えるのか?!
時代は彼女に、何をさせようとしているのか?
そして、最終的にトリコが行き着く先はいったい、どこなのだろうか?
BRUTUSで話題沸騰。
樋口毅宏の連載小説、待望の書籍化!
カバーイラストは岡崎京子。
<本書の推薦コメント>
林真理子さん(作家)
「めちゃくちゃの面白さ。私たちの80年代をこんなにもてあそんでいいのか! この天才野郎!」
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
連載で追いかけていたので書籍でもう一度最初から読むとまるで自分が主人公トリコになったように物語を体験することになった。
サンプリングとオマージュ、剽窃ではなく先人のアイデアや創作に自らのフィルターと愛情なんかをブレンドすること。守破離の法則に限りなく近いが樋口さんは完全なファン気質だからこそそれをやりきる。
オリジナルなき世界に、すべてのものがn次創作になってシミュラークルになっていく中で、それを熱意とか愛情とか尊敬をもってやりきるとそれが新しいオリジナルになるということを示している小説だと思う。
続編に期待するならば、コートニー・ラブが主人公だとすると生き延びた彼女とビリー・コーガンとマリリン・マンソンのあのスリーショットについて言及してもらいたいですが。
これでデビュー作『さらば雑司ヶ谷』で小沢健二の歌詞を使ったことにより注目された樋口さんの(そのことは文庫版の水道橋博士さんの解説に詳しいのでそちらを)第一期が終わったのかもしれない。
左のカーブを曲がって光る海という第二期の始まり。
Posted by ブクログ
面白かった!
樋口毅宏先生らしい読みやすい文体でバブル前後の時代を生きた人達には懐かしさやクスッと笑える面白さに溢れている。もちろんフリッパーズギターの二人を当て書きしているんですけどタイムスリップしてからの主人公の動きが最初、予想をうまく外しててとても良い、過去を知る身の主人公が愛しい二人に近づいていくまでの流れが面白いですし、お近付きになってからの関係性も面白かった。ラストでまた上手く捻ってくれてるのが嬉しかったです。「さらば雑司が谷」「民宿雪国」「日本のセックス」と非常に面白かったですから、すっかりファンになってたんですけど 「25の瞳」でちょっとコケて…でもこれはよかったなぁ〜面白かった!次はどの作品にしようかな〜
Posted by ブクログ
『考えてみる。私が人生でいちばん幸せだったのはいつだろう? 自分がこの世界の主役と疑わなかった頃は。』
『人は国とか社会正義とか、大義のために生きてはいけない。自分のために生きることがいちばんだ。
それにあれだよ、「人の為」って書いて「偽善」の「偽」だよ。みつをも言ってた。』
「僕たちは偉大なる先人をリスペクトしているからね。右から左に移すのは盗作。愛があればオマージュ。なければただのパクリ」
「おまえは自分では心の優しい女だと思っているがそれは大きな間違いだ。嫌になるほどおまえのことを知っている俺は断言できる。おまえは拭くのが面倒臭いという理由でネコを電子レンジに入れて死なせておきながら、その後はネコの墓に手を合わせてそっと涙を流すような、そういう女だ」
『罪の意識などなかった。時は来た。ただそれだけだった。』
「女はね、憎い男を殺すためなら、好きでもない男と寝るなんて容易い。でもね、本当に好きな男がいたら、もうできないんだよ」
『二分とかからなかったと思う。俊太郎は目を見開いたまま、床に倒れて、それきり動かなくなった。床にどす黒い湖面が広がっていく。
それでも私には残念なことがあった。この男を、一度しか殺せなかったことだった。』
『女はみんな、男には秘密にしているが、セックスのとき目を瞑っているのは、他の男のことを思い浮かべているためだ。でも私がこのとき瞼を伏せていたのは、世界をひとりびめにしたかったからだ。』
『「こんなの初めて」
女は男の自尊心を立てようと、常にリップサービスを忘れない。たとえその戯れ言が手垢に塗れたものだとしても、男たちは素直に受け止めてほしい。そうすれば私たちもまた「男って本当にバカだな」と思えるから。』
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小説・文芸
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