樋口毅宏のレビュー一覧

  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    グルーヴ感を保ったまま終わりまで突き抜けたストーリー。サブカルチャーの知識を織り交ぜて作中世界を構築しているので、読者に近い現実として享受することが出来る、その楽しさが新鮮だった。内容は多少荒々しさがあるがそれもまた魅力で、その熱量、そのままの勢いで次作を読み進めたい。
  • 日本のセックス
    エログロと特に90年代特化のサブカルチャーてんこ盛りという意味のわからない融合を見せる素晴らしい本。筆者、コアマガジンのエロ投稿マニア雑誌上がりらしく、エログロ描写の説得力が半端じゃない上にサブカルっぷりもつぼ。『さらば雑司ヶ谷』の時より洗練されていて非常に面白かった。

    それにしても変態っているの...続きを読む
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    雑司ヶ谷ってこわいね、ってか中国こわいね、樋口さん振り切ってるね、映画好きだとなお楽しい本だよね、はちゃめちゃハードボイルドだよね、こんなこと日本という国で起きてることとかあんのかな?おばばは生命力といい性欲といい尋常じゃないよ、ちょっと「おえっ」ってなるえげつない表現とかあるよね、オザケンのくだり...続きを読む
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    NEWSの加藤シゲアキの本を読んで、沢山読書と映画を見た加藤くんがこの本を面白い!と言っていたのと関ジャニ∞の横山裕もこの本を面白い!と言っていて、調べてみたら聞いたこともない人の本で読んでみたら処女作なのね。そりゃ知らないわ。
    エログロバイオレンス!というからわくわくして読んでたら大したことないじ...続きを読む
  • 民宿雪国
    『いつだって流れる血は美しい。それが悪人のものなら、尚更のことだ。』

    「車椅子だからといって足が不自由だとは限らない。車椅子を見て人々は思う。『お気の毒に…』。しかし本当にお気の毒なのは、見たものをそのまま信じ込む、頭の悪い奴のほうだ」

    『思春期の女の子はこの世で最悪の生き物です。グループ内では...続きを読む
  • 民宿雪国
    「さらば雑司ヶ谷」ではがっかりしけれども、本作は読んで驚いた。同じ作者が書いたものとは思えなかった。構成だけでも驚きだけれども、詐欺の本質を描きつくしたかのような内容は秀逸だと思う。かなりこの人引出が広そうなので、多ジャンル作家になりそうに思う。それにしても、さらば雑司ヶ谷はいったいなんなのだ、と云...続きを読む
  • 雑司ヶ谷R.I.P.(新潮文庫)
    とにかく面白かった。
    こんなに夢中になって読んだ本は久しぶりだ。
    エログロナンセンスなところもあるが、登場人物の人間模様に惹き付けられる。
    知り合いに勧めるかと言ったら昔からの知り合いで、かつこの本好きそうと思った人には勧めるかもしれないが、そうじゃない人には気軽におすすめできる本ではない。まあつま...続きを読む
  • 雑司ヶ谷R.I.P.(新潮文庫)
    悲劇とコントは表裏一体。
    不条理さに豪快さを掛け合わして勢いで突き進む感じ、地獄への道は善意で舗装されているらしいがこの世界がもはや地獄ならば太郎の世界は過剰な愛≒混沌で舗装されている。

    樋口毅宏の愛≒混沌でも喰らえ!な『雑司ヶ谷R.I.P』という小説。
    樋口作品で一番笑えると思うのだが。
    やっぱ...続きを読む
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
     全くひどい! 虫けらのように人が殺されていく。良心の呵責という言葉はこの小説には存在しない。正義もない。雑司ヶ谷の利権を巡るギャングの抗争だ。それにカルト教団と中国マフィアがちょい絡む。戦争のクライマックスは雑司ヶ谷霊園での銃撃戦。 雑司ヶ谷ってそんな魔窟だったか?完全に遊んで書いているな、この著...続きを読む
  • 日本のセックス
    81点。
    主人公の女性の、わざとボーっと生きている感じ、わざと流されている感じ、その結果に対して、どこか人ごとである感じ、の描き方がすばらしくうまい。
  • 日本のセックス
    強烈な読後感。

    濃厚な性愛描写から、法廷でのドラマを通して、男女関係を描く。暴力描写もさることながら、セックスシーンが濃厚。

    これを作品として成立させただけでも作者の筆力がわかるというもの。万人受けする傑作とは言えないかもしれないが、忘れられない読書になることは保証します。
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    一気読み。

    頭の中をシェイクして、絞りつくしたような作品。
    破綻しているように見えて、最後まで綱渡りのようなバランスで走りきる。
  • 日本のセックス
    氏の小説をここまで3冊読んだが、本作が一番好き。バイオレンスとインモラルに覆われた下には、日本や男性への怒りが隠されている。いや、隠されていない。堂々と書いてある。

    女性からの評価が高いというのも理解できる。

    ただ家族には薦めづらい。
  • 日本のセックス
    いやあ、すごい小説でした。驚きました。

    冒頭のハードコアエロに若干興奮してしました。この勢いが続くのかと思いきや、急展開。公権力の暴走の恐怖は本作に新たな魅力を与えます。そして最後に問われる、人。結局、人、って何なのか。人と分かり合えるのか、どのように理解するのか。そんなほんのりした展開で終わりま...続きを読む
  • 無法の世界 Dear Mom, Fuck You
    しっかりと昔からの作風を残しつつも時代の変化と共に作者の興味や考えも加えられた今作に最大級のありがとうを伝えたい
  • 民宿雪国
    ダークヒーローな物語。奇抜な構成で語られる国民的画家、丹生の物語。その心中に迫る架空のドキュメントは、あえて分かりやすく例えれば、小説版「殺人狂時代」とでも言うべきもの。冒頭の一話を読むだけでも、この小説がただ者ではないことが予感されたが、はたして、次第に厚みを増すその仕掛けに引き込まれずにはいられ...続きを読む
  • 民宿雪国
    ある国民的画家の虚飾で彩られた数奇な人生が、章ごとに視点を変えつつ描かれる。
    突拍子のなさやグロテスクさが入り混じることで、独特の空気が醸成されていて夢中で読めた。
    なんとも奇妙な読後感。
  • 民宿雪国
    前作は濃いめの味付けに挫折してしまい、恐る恐る挑戦。
    時代を感じる新潟の民宿、という舞台が好みでわくわくする。冒頭(ほんの数ページだけど)はつげ義春が訪ねて来そうな雰囲気。
    性的・暴力的な表現はやはり馴染めないけれど、これも好みの問題で、予想をどんどん裏切られる展開を楽しみました。
  • 東京パパ友ラブストーリー

    夏を感じた

    登場人物がクズばかりで胸糞悪いし、ヤリまくってるシーンが多いのがまあまあ気持ち悪い。キモすぎてむしろ清々しい。ただ、臨場感があって夏を感じる1冊だった。
  • さらば雑司ヶ谷(新潮文庫)
    小沢健二とタモリのくだりがとても好きだ。
    私もタモリしかり、オザケンの「さよならなんて云えないよ」の歌詞が好き過ぎる。人生を真っ向から肯定してる、って表現がタモリらしくて素晴らしいな。

    ほんで、このオザケンのくだりは本編とほとんど関係がないっていうね。