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大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれている――。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは……!? 小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
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Posted by ブクログ
『いつだって流れる血は美しい。それが悪人のものなら、尚更のことだ。』 「車椅子だからといって足が不自由だとは限らない。車椅子を見て人々は思う。『お気の毒に…』。しかし本当にお気の毒なのは、見たものをそのまま信じ込む、頭の悪い奴のほうだ」 『思春期の女の子はこの世で最悪の生き物です。グループ内では...続きを読む常に嫉妬と競争が渦巻いていて、それを作り笑いで装っています。』 「私は生きることが尊いとは思わない。人命は地球より重いと、胸を張る人たちにはわからないだろう。血で血を洗う戦争を経験した私にはそんなお題目など、現代という束の間の平和でしか通用しないことを知っている。」 「よく死ぬとはよく生きることであり、生きるとは何かと問われたら、死ぬことを考えることなのだと。」 「真剣に生きているあなただから言おう。真剣に生きなさい、これからも」 「お戻りなさい、東京に。もう一度、闘いなさい、自分の運命と」 『では、丹生先生の絵から生きる勇気をもらっている人たちに向けてメッセージで終わりましょう。 「別にありません」 ー (笑い)。きょうは本当にありがとうございました。』 「ヒトラーも言うとるやないか。小さなウソをつくからバレるんや。大きなウソなら大衆は喜んで騙されたがる」 「私にもこれから先、ただ一度だけ幸福な日が来ます。それは、寝て、再び覚めぬ日です」 『人生は素晴らしい。それは闘った者だけが口にする資格がある。 海辺にはパトカーが待機して、いくつものサイレンが木霊していた。それが私にはファンファーレに聞こえた。これからは、本当に生きよう。そう思った。』
ダークヒーローな物語。奇抜な構成で語られる国民的画家、丹生の物語。その心中に迫る架空のドキュメントは、あえて分かりやすく例えれば、小説版「殺人狂時代」とでも言うべきもの。冒頭の一話を読むだけでも、この小説がただ者ではないことが予感されたが、はたして、次第に厚みを増すその仕掛けに引き込まれずにはいられ...続きを読むなかった。 傑作という称号よりは、奇書という呼び名のほうがふさわしく思える。率直に言って、実に面白かった。
ある国民的画家の虚飾で彩られた数奇な人生が、章ごとに視点を変えつつ描かれる。 突拍子のなさやグロテスクさが入り混じることで、独特の空気が醸成されていて夢中で読めた。 なんとも奇妙な読後感。
前作は濃いめの味付けに挫折してしまい、恐る恐る挑戦。 時代を感じる新潟の民宿、という舞台が好みでわくわくする。冒頭(ほんの数ページだけど)はつげ義春が訪ねて来そうな雰囲気。 性的・暴力的な表現はやはり馴染めないけれど、これも好みの問題で、予想をどんどん裏切られる展開を楽しみました。
結局何が嘘で何が本当なのか分からなかったけど、それもどうでもよくなるくらい面白かった!笑。物事は見方によってこんなにも違うんだなぁ、と。ところどころでクスッとしてしまうところは変わらず。でもすごく好き嫌い分かれそうな作品。わたしはスピード感のある『雑司ヶ谷』シリーズの方が好きなので星4。
国民的画家・丹生雄武郎の生涯。 初の樋口毅宏さん。 前情報無しで読んだので度肝を抜かれた。 でも、いい殺戮にわくわくする。 連れて行かれる感の強いストーリーは楽しめたのだけれど、収束が少し物足りなかったかな。 でも、サブカルの匂いがする! 「タモリ論」のお人なのね、未読だが。
国民的画家がいかに生まれたかというプロローグ。でも、以降の内容はかなり過激だ。セックス、バイオレンス、アート。この3つが違和感なく描かれる小説なんて聞いたことない。 グロい表現に嫌悪感を抱く人もいるかもしれないが、話の展開だけで読める小説だ。 個人的には結構はまった。
国民的画家・丹生雄武郎の生涯を主観的及び客観的ストーリーを織り混ぜて、読者を試すか如く挑戦的なメッセージ性を込めた問題作。 読む側の脳が柔軟ではないと、この自由さについてはいけない。奇想天外、虚実混在の無限世界。読後に何も信じることができなくなる。でも巻末の対談で、計算しつくされた作品であることが分...続きを読むかる。樋口毅宏さんはただ者ではない。
まぁようこんだけ胸糞悪い話を書いたなぁ、という。在日、妾腹の子、性同一性障害、一般的に弱者とされる人々がいたぶられるのを目を逸らさずにずっと描写するのな。いや、後書きにあるとおりいたぶった側が最終的にはヒドい殺され方するんだけど、それにしてもねぇ。決して悪口を言ってるわけではなくて、胸糞悪い話をちゃ...続きを読むんと書き続けて、読ませ続けるのは作家としての力量だなぁ、と思うわけです。胸糞悪い話がイヤならベタ甘なラブストーリーか勧善懲悪な時代小説だけ読んでりゃいいんだろうけど、こちとらそんなもんいらないわけで。 あと、巻末の梁石日との対談、梁石日75歳もビックリだけど、樋口毅宏がこれでもかっというくらいに梁石日を持ち上げるのな。前に他の人との対談も読んだけど、スゲー腰低くて小説とのギャップが、、いや、これも悪口じゃなくて、それがおもしろいって話ですけども。
純文学風のタイトルと表紙で油断させておいて、中身はエロとバイオレンスとそして同性愛。 性的描写がかなり多く、そのほとんどがアブノーマル。 このいっちゃった感はわりと好き。 読みやすいし、そんなに長くもないので一気に読めちゃった。 かなり人を選ぶというか、エロやらグロやら満載なので、ダメな人はまったく...続きを読む受け付けないと思う。
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