吉田薫のレビュー一覧
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表紙のイケオジのイメージがだいぶ強烈なシリーズ、警部ヴィスティング。
実際読んでる印象では彼はこんな感じではない。
もうちょっとくたびれた、枯れた佇まい?
今作は始まってすぐ服役中の殺人犯が逃走、
という展開で、捜査に関わるヴィスティングは何度もいろんな面で苦境に立たされる。
でも相変わらず彼はクールなんです。
感情をむき出しにせず、ぐっと堪える。そこがカッコいい。
事件は二転三転四転くらいし、
このヒト怪しい!と思う人物はことごとく消えてゆく。思えば一番怪しかった人がいた。いたわ〜。
してやられました。
読むのも辛くなるようなシーンが多く、
ここまで書かなくても…と思う部分もあったけど、
最後は女性の底力を感じさせてくれた。 -
Posted by ブクログ
ノルウェーの警察小説。
ヴィスティング警部の未解決四部作(コールド・ケース・カルテット)の3作目。
二件の殺人で長期服役中の男トム・ケルが、第三の殺人を告白。
遺棄した場所を教える見返りに、待遇のいい刑務所への移送を要求しました。
ケルが指定した現場の森は、ラルヴィク警察の管轄内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは厳戒態勢を敷いたのだが。国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士もその場にいた。
ケルは隙をついて逃走、爆発まで起こった。隠れた共犯者が準備していたのだ‥
苦しい立場に立たされてしまったヴィスティング。自身も自分の責任を痛感することとなった。
スティレルは、ケルを敢えて泳がせることも考慮する。スティレルは癖のある人物だが、今回は協力的?
フリーの記者であるであるヴィスティングの娘のリーネも、捜査チームに参加することに。
作者自身も20年も警察の捜査官で、在職中にデビューしたという経歴から、地に足の着いた描きぶりが好ましいシリーズ。
今回は爆発事件で収監者が逃走、しばらく派手な展開が続きます。
もちろん、ヴィスティングの誠実な人柄は変わりません。
娘のリーネは警察官ではなく特に訓練も受けていないので、時に自由に単独行動をするのは危険をはらみます。
リアリティだけではない展開をもたらすためなのか?
読みやすくなっている効果があると思うけれど、オイオイと思うこともあり(笑)
長過ぎずに読み終えられるのもよくて、こういう作品がもっとあったらいいのに~と思わせられます☆ -
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▼特捜部Qのシリーズ第2弾。デンマークの警察小説。第1作はオモシロかった。何といっても、これはバディものなんです。
〇デンマーク警察の腕利き現場たたき上げ中年刑事・カールさん
(妻に逃げられ仕事中毒、腕っぷしが強く昔気質、、、という昔ながらの男っぽい刑事)
〇デンマーク警察に雇われている、助手(雑用係)の、アサドさん。
(アラビア系の人。デンマーク語はしゃべれるけれど、不法移民なんじゃないかという疑惑。ところどこに能力が高いが、いろいろが不明)
という奇妙な男ふたり(刑事と、助手)のバディもの、というのがいちばんの魅力です。
▼ということはこのバディがオモシロければ、ひとつひとつの事件はそれほどでもなくても愉しめてしまうわけですが、今回は個別事件としては、「変態エリートたちの長年の殺人趣味を暴く」ということになります。そして、きらり輝くのが、キミーという名の、40台?くらいかの女性です。
<悪者たち(男性たち)の昔からの被害者でもあり>
<同時に共犯者として加害も繰り返してきた>
という存在で、キミーは変態エリートたちがまぎれもなく殺人に何件も加担してきたということを証明できる動かぬ証拠を握っている。そして、とある理由から、変態エリートたちを皆殺しにしようとしている。
▼よくある手法ですが、
A 主人公たちの動き
B 悪者たちの動き
C キミーの動き
この三つが交錯して語られながら、「過去になにがあって、この人たちはこーなってるんだろうか」ということが読者に暴かれて行きます。
▼落ちのありかたは、それほど斬新でも衝撃でもなかったんですが、結局はするすると読めてしまったのでそこはありがたく満足。
あと、物語内で変態殺人嗜好エリートたちが、映画「時計仕掛けのオレンジ」に多大な影響を受ける、ということが描かれるんですが、やっぱりあの映画はすごいインパクトがあるよなあ、とあらためて。さすがキューブリック。そして、「時計仕掛けのオレンジ」と「if…もしも」の2本でしか見たこと無いんですが、その2本で強烈な存在感を放ったマルコム・マクダウェルさんってすごかったなあ、と久々に思い出しました。 -
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最近ハマっているアイスランドのミステリー。
最初はなかなか覚えられなかったけど、人の名前も地名も、最近なんとなく馴染んできた感じがする。
主人公のエルマはレイキャヴィークの警察で働いていたが、生まれ故郷のアークラネスに戻ってきた。長い間付き合っていた恋人と別れたことがその原因みたい。エルマは今でもその恋人のことが忘れられない。ついつい電話やメールをしたくなる衝動を抑えつつ(決して彼は反応してくれないのだが)新しい職場に馴染もうと努力している。
アークラネスは小さな町で人口も少ない(ここアイスランドは、首都であるレイキャヴィーク以外のすべての町は人口が少ないようだ)。そこに住む人たちはたいてい顔見知りだから、エルマは色んな人に「戻ってきたのね」と声を掛けられるが、彼女にとってはそれは苦痛でしかない。
エルマが赴任してきてしばらくして、小さな灯台の近くで女性の死体が発見される。その殺人事件をめぐる話。
小さな町にありがちな、狭い人間関係。誰もが逆らえない地元の有力者。過去と現在が交錯するストーリー。どこかで読んだことがあるような、よくある話のように思えるが、主人公のエルマが人間的に魅力的だと思えたことと、その家族がとてもよい関係性であることなど、メインとなる登場人物がとても上手く描かれていて、面白く読み進めることができた。
ただ、事件の結末があまりはっきりしないためモヤモヤが残ったのと、被害者の人物像があまりはっきりしなかったことがちょっと残念。エルマの恋人のエピソードもはっきり語られていなかったため、もしかしたら続編があるのかもと、余韻を残す終わり方だったため、かなり期待している。 -
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ネタバレデンマークの警察小説、特捜部Qシリーズ第二弾。
いつの間にか置かれていた資料には、数十年前に解決し、犯人も収監中の兄妹殺しのことが。調査を開始するカールとアサドだったが、捕まらなかった者たちの存在を知る。
うーん、疾走感とハラハラ感は前作の方が上か。カールたちの捜査パート、ホームレスの女性のパート、逃げ切り社会的に成功した三人のパートの視点があるが、逃げ切った三人のパートが胸糞すぎて…捜査パートも、前回ほど犯人をじわじわ追い詰めるものでもなく。
更には、ラストもそこまで爽快感のあるエンディングではないので、総じて一作目が良かったなと。次作はガラスの鍵を受賞したとのことで、楽しみにしている。
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ネタバレとても面白かったです!
今回も、変わらず嫌なヤツが犯人でしたが、テンポ良く、先の気になる展開に、どんどん惹き込まれ、あっという間に読んでしまいました。
テーマは新興宗教。そして信者のこども達…。犯人の過去も、可哀想な描写はありましたが、それでも非道な犯行を繰り返し、犯人に対する、哀れみの気持ちは消えました。
几帳面で、犯行もぬかりなく行なってきた犯人でしたが、最後の最後に凡ミス連発?で少し拍子抜けしました…。まさかのボーリング愛好家とは…。ここまで犯罪を繰り返してきたなら、一般人と戯れるのはリスクが高すぎる…!と私は感じました。
私的には、もう少し犯人の苦しむ最期が見たかったです。そして、いまいち最期の展開が、理解が出来なかったのですが、イーヴァ達は捕まった?のかな…
次回作も楽しみにしてます。 -
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『闇という名の娘』に続くシリーズ2作目。
このシリーズは、回を重ねるごとに過去に戻るのだ。
主人公のフルダ・ヘルマンスドッティルは、前作では定年間近だったが、今作では10数年遡り、まだ50歳。偉くなりたいという野心の炎は赤々と燃えている。
フルダという人間は、非常に頑固で扱いにくい一面がある。
それは彼女が幼い頃、ある理由から施設に預けられていたからなのか。
その頑固さ故なのか母親と心を通わせることができなかった。その人間としての不完全さが、彼女自身を傷つけているのではないかと思う。
起った事件についていうと、前回の話より今回の話のほうが分かりやすく、読みやすかった。
10年前に起こった、山の中の別荘で女の子が殺害された事件。捕まった犯人はなんと彼女の父親で、彼は獄中で自殺した。
10年後、その女の子の死を悼むために集まろうと、4人(男性2人・女性2人、うち1人は被害者女性の弟であり、犯人の息子である)が無人島を訪れるが、そこでまた死人が出てしまう。この事件は傷心の(あの悲惨な出来事が起こった直後だもの)フルダが担当することになった。誰もが何かを隠している状況の中で事件を解決するには、まず、10年前の事件に隠された恐るべき秘密を暴かなければならない。
フルダの父親についてのエピソードは特によかった。本当に知りたかった真実を手に入れることができない可哀相なフルダ。誰よりも優秀な刑事のはずなのに。
憐れに思えたし、ある意味滑稽にも感じた。
物語の最後に、これからの自分の人生や死について、思いを馳せる言葉すら。 -
Posted by ブクログ
子は親のものでは無い。
親の信仰を子に押し付ける、生まれながらにして一つの枠の中に閉じ込められた子は、親に見放されることを恐れて従う。
やがて思春期に矛盾した感情に苦しむ。
ミステリーはその国の闇を背景にする。
弱者である子と強者である親の関係がねじれる。
子供の頃の心の歪みは成長とともに社会の歪みに埋没していく。
デンマークではなくても、この国でも共通する。
こんなに重いテーマにも関わらず、思いっきり「暗い」北欧ミステリーとは一味違い、相変わらずの騒々しさがクセになるほどに良い。
主人公らしく無いカールや不思議なアサドとローセ、上巻で感じたストレスは下巻に入って一気に吹き飛んだ。
それにしても「なんでみんな、お尻のことで例えるんだ」って……。 -
Posted by ブクログ
『ヴェラ~信念の女警部』が好き過ぎて、海外の女性刑事というと、頭の中で描くビジュアルがすべてヴェラになっちゃう。困ったもんだ。
それはおいといて。
とても面白かったです。訳者との相性がよかったのか文章はスルスルと読み易く、あまり馴染みのないアイスランドという国の美しい風景写真を眺めながら、あっという間に読み終わりました。
数か月後に定年を控えた女性刑事、フルダ。64歳。
いわゆるガラスの天井なるものに阻まれて、優秀だったにも関わらず警部どまりだったことに憤りを感じている。夫とは死別しており、今はひとり暮らしだ。
最近趣味の山登りで、素敵な男性と知り合った。穏やかな人柄で、暮らしぶりもよく、フルダに好意を持ってくれている。
フルダは、これからの人生が孤独なものであることに恐れを抱いており、同時に刑事としての自分のキャリアが、公平に評価されていないことに不満を感じていた。未来をバラ色にしてくれる恋の予感と、報われなかった過去の自分と仕事への未練。フルダはいつも心の中で、その2つを天秤にかけていた。
ある日、突然あと2週間で席を明け渡せと上司に言われたフルダは腹を立て、その2週間のうちに過去の未解決事件を解決して、みんなを見返してやろうと心に誓う。
そこで選んだのが、ロシア人女性の不審死事件だった。
フルダのプライドの高さが、彼女の内面の弱さと共鳴して綻びとなり、そのから危機へと落ちていく。驚きの結末へ真っ逆さまだ。
なんと3部作らしい。これがシリーズ一作目なんて!これを読んだ人は絶対続きを読まずにはいられないと思う。胸にある思いを抱きながら。