吉田薫のレビュー一覧
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一方の端からもう一方の端へと振れ幅の広さにまず驚く。
昨年、アイスランドのシグルフィヨルズルという北極に最も近い漁村の警察官アリ・ソウルのシリーズに驚いたぼくは、この人の作品は書かれた順番に読もうと誓っている。なので、アリ・ソウル・シリーズも一作、二作という順に読んで、先に翻訳された五作目はそのまま手元にあるが読まない。この作品はこのシリーズの三作、四作と読んでから取り組むべきなのである。それを感じたのは一作から二作へ渡される作者の想いのようなものだと思う。時間というバトンは決して軽くない。作者はそれだけアリ・ソウルとシグルフィヨルズルの街を丁寧に扱いたいのだと思った。
さてアリ・ソ -
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北欧ミステリ賞「ガラスの鍵」受賞に輝く著者の最高傑作!
と紹介がある。勢いに乗って「!」マークは私がつけた(^∇^)
600ページ近くますます大部になっていた。
何しろ、奇人変人の助手のアサドともローセとも友人気分、カール警部補とは同僚気分になって馴染んできた。
漏れ聞くとボトルメールが始まりらしい。波に運ばれたビンの中の手紙なんてロマンかも。
ケヴィン・コスナーのあのかゆくなるような悲恋映画まで頭の中に顔を出してきた。
海に囲まれたデンマーク、入り組んだ湾のコペンハーゲンならこういう話も生まれるだろう。
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特捜部Qに、未解決だった誘拐事件の証拠品らしい、手紙が入った壜が -
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ネタバレシリーズ第5弾。
今回はミステリーと言うより、良質な冒険小説って感じで、逃走劇とアクションシーンがたまらなく良い。
で、その逃走とアクション場面を生かしてるのが、Qの面々を差し置いて本編では間違いなく主役を張ってるマルコ。この子がいいんだよなぁ。少々出来すぎ感はあるものの、優等生がいないこのシリーズにとって、貴重な賢い良い子ちゃん。
癖があるキャラばっかりのところに優等生を放り込むという展開が大成功している。マルコを脇役しておくのはもったいないなぁ。でもQの1キャラクターでは生かし切れないし、ここはマルコを主人公にした新シリーズを展開してみてはどうだろうか?まずは本編スピンオフって感じでも -
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ここからは、日常的にBLを嗜んでいる人間が読むと、決して「匂い系」作品ではないのだが、脳内がガチムチ系女子にはそこはかとなく香ってくるそれっぽさが「やっぱりだったか」と言う部分を書いておく。
カール・マークは(四十路)睨んだ通り男にモテる、と言う事実が裏付けられた描写有り。1作目から狙ってた精神科医モーナとイイ仲になったんだけど、彼女がカールに紹介した男性精神科医がゲイで、モーナと出来てるんじゃと疑ったカールに放った一言が直球でエロい!!とは言え、何度も言うようだが、別に精神的ホモをあからさまに書いている作品では全然ない。寝たきりの同僚ハーディが病院よりお前の家に行きたい、と言う場面も、もしか -
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特捜部Qはこじんまりとした部署である。責任者兼唯一の捜査官(つまり警官)であるカール・マーク警部補。警部への昇進セミナーに断固として出席しないと上司に交換条件を持ちかけて意地を通したので、警部補のままである。その唯一の捜査官であるカール、助手のアサドはシリア人らしく、警察官ではなくあくまでも秘書と言うかお手伝いと言うか、なかなかに説明の難しい役どころだ。そしてもう一人ユアサと言うオペレーター的な、秘書的なアシスタントもいて、実質3人で回している「未解決事件」を取り扱う部署だ。
海から流れて来たボトルの中に入っている血文字で書かれたメッセージを解読する事で事件が発覚する、と言う、こうやって書くと -
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人気シリーズ5作目。
デンマークの警察ものです。
利発な少年マルコの登場でスピード感がアップし、いつもとちょっと違うさわやかな読後感。
未解決事件を扱う特捜部Q。
カール・マークは恋人にプロポーズしようとして上手くいかず、殺人捜査課の上司は退職予定でしかも後任が天敵と知る。
新人のゴードンはちょっと不器用で変な若者だが、秘書のローセに一目ぼれした様子でまた特捜部に混乱が‥?
アフリカへの開発援助をめぐって、実は大規模な横領事件が起きていました。
真面目な官僚が一人、行方不明になったままの件を取り上げることにした特捜部の面々は‥?
マルコは15歳でもっと幼く見える。
叔父が率いるクラン(犯 -
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2014.2.28.2008年秋デンマーク政府がカメルーンのある地域で進める開発援助プロジェクトのリーダー、ルイ・フォンが殺される。外務省の上級参事官ヴィルヤム・スタークはそのルイ・フォンから意味不明のショートメッセージを受け取り、上司のレニ・E・イーレクスンに報告する。事情を知るレ二 はヴィルヤム・スタークを葬るために暗躍し始める。その2年後2010年秋、コペンハーゲンで物乞いをして1日を過ごした後、仲間と共に迎えの車の中にいた。マルコの叔父、ゾーラは一族の首領で暴力的な手段で子供たちを支配し、搾取していた。マルコはある日叔父がマルコを障害者にして稼がせようと父親に相談しているのを聞く。ゾー
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のっけからカメルーンでの殺人事件が描かれる。そしてデンマークでは銀行頭取と外務官僚によるカメルーン開発援助プロジェクトに関わる不正が密やかに進行する。スケールの大きい事件ではあるのだが、いきなりステージは一転する。
イタリアから不法入国したジプシーのような犯罪一族の生態に作者のペンは向けられる。恐怖に虐げられながらスリや置き引きなどの犯罪に手を染める少年の一団が都市の中に散開している。彼らは脱出不能の悪のリンクに閉じ込められた人生を選ぶことのできない無力者立ちであるかに見える。その中でも腕利きで頭のいいマルコが、実は本書の主人公的存在である。
彼は、あることから見てはいけない組織の謀 -