吉田薫のレビュー一覧
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購入済み
必要十分
2021年11月に当参考書を丸暗記して合格しました。
実際の問題の難易度は当参考書より高いが(設問が長文かつ設定が複雑)、模擬試験とほぼ同等の出題もあり、Azure実践経験なしでも当参考書だけでも十分対応可能と思います。 -
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終わったところから始まる物語。時間を逆行して発表されてきた女刑事フルダのシリーズ三部作、早くもその完結編である。
これを読んだのは、北海道までをも巻き込んだ猛暑のさなかだったのだが、作品世界は雪に閉じ込められたアイスランドの一軒家である。とりわけ、三人だけの登場人物による恐ろしい駆け引きの第一部は、大雪で閉じ込められ、血も凍る恐い心理小説なのである。まさに猛暑対策にはこの上ない一冊なのだった。
アイスランドという国、その特色を生かした寂しさと孤独と、辺縁の土地を襲う暴風雪。それらが重なるだけでも、いわゆるヒッチコック的スリラーの完成度が極めて上がる。そこに加え、前二作によるヒロインの運命と、娘についての叙述を読者は知っているという困った事実である。
本書は、恐ろしく少ない登場人物による300ページ強の小説でありながら、いやな汗をかきそうな第一部の怖さ、そして一気にその世界をひっくり返してしまうかのような第二部への驚愕の展開が、何といっても読みどころである。
その他にも、フルダが担当することになる行方不明の少女はどこへ消えたのか? という付きまとう謎がある。これは本ストーリーとの関係性はどうなのか? 読者は何もつかまされぬままに、本書の恐怖と不思議に立ち会ってゆくことになる。この恐怖の館の驚くべき仕掛けとは? 物語の主たる装置はどこにあり、どう動いているのか?
近年、登場人物や舞台装置の目まぐるしい展開が多くページ数も費やして説明に終始した小説の多いなか、この作品のシンプルさはどうか? それでも作られてしまう驚愕の展開とストーリーテリングは、何なのか? この作者の作品は、おしなべてそう厚くない長編でありながら、しかし、外れがない。アイスランドという国の人口の少なさと犯罪の希少さ、そこに生きる人間の寂しさのような風土まで含めてミステリーの素材としてしまう作者の力技が素晴らしい。
本シリーズは三作を時間的に逆順で書かれることにより、読者側はヒロインの未来を知りながら読むことになる。また、未来において語られていた事実をも知っているからこその不思議も感じることになる。だからこそ過去の時系列にヒロインとともに遡行することで、怖さが高まる、という経験を珍しくさせて頂いた。
おそらく逆に時系列で三作を読んでみても良いのかもしれない。そうしたチャレンジ体験者のレビューについても改めて伺ってみたいものである。 -
Posted by ブクログ
フルダシリーズ三部作の最終巻。
重い内容ながら読みやすく、あっという間に読んだ。
三部作を通してフルダが対応している事件よりも彼女の家庭が気になる。
二作目までで家庭で何が起こったのかは匂わされてはいるが、本作でもフルダの心情は描かれるが実際家庭で起こった出来事が詳細に語られることはない。
本作が読めるのを楽しみに待っていたのでその辺をもっと詳しく読んでみたかった気もするが、重すぎるテーマゆえ、娘と夫に関しては淡々と事実が描かれるだけでも胸が苦しくなる。
三作通して、アイスランドの凍てつくような寒さも相まってひたすら重い雰囲気の作品ではあるが、名作である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレカール、いい加減犯人のところに乗り込む時は拳銃持ってくれ。
序盤は犯人の方が一歩先を行っていたが、それを覆すのがチームワークだった。犯人の策略が次々と、一つずつ崩されるところはページをめくる手が止まらなくなるほど。
全て偽名で何もかも準備し、更に別名義で二重の足跡消しをしていた犯人は流石。全てを変えたが「普通が一番目立たない」ことを徹底したところなんかも連続誘拐殺人犯としては称賛されるところかもしれない。ただ、その偽名を身近な人から取ったところは浅はか。余裕がないはずなのに逃げずに後始末を優先したところなんかは、自らの能力の過信と今まで見つからなかった傲慢さのツケを考えていない。
浅はかさを突き崩し、ツケを支払わせるのが警察、いや特捜部Qの仕事だった。
神を憎んだ男は神が作りし人の愛情によりその身を滅ぼし、神の元で光を失った女はひとときの無垢な温もりにしがみつかずあるべきところへ帰した。
ユアサとローセが同じ人物なのかも?というところをあえて突っ込まずにやり過ごすのもQらしい。
アサドの過去が若干でもわかるのかと思いきやそうでもなかった。
やっぱり面白すぎて読み終わるのが惜しい作品でした。
次作も読まないと。 -
Posted by ブクログ
一方の端からもう一方の端へと振れ幅の広さにまず驚く。
昨年、アイスランドのシグルフィヨルズルという北極に最も近い漁村の警察官アリ・ソウルのシリーズに驚いたぼくは、この人の作品は書かれた順番に読もうと誓っている。なので、アリ・ソウル・シリーズも一作、二作という順に読んで、先に翻訳された五作目はそのまま手元にあるが読まない。この作品はこのシリーズの三作、四作と読んでから取り組むべきなのである。それを感じたのは一作から二作へ渡される作者の想いのようなものだと思う。時間というバトンは決して軽くない。作者はそれだけアリ・ソウルとシグルフィヨルズルの街を丁寧に扱いたいのだと思った。
さてアリ・ソウルとは遠く離れて、本書はレイキャビークを舞台にした、64歳の女性刑事フルダ・ヘルマンスドッテルをヒロインとしたシリーズ開幕の物語である。若い二十代のアリ・ソウルとまるでできるだけ距離を持とうと企図したかのように、フルダはアイスランド一の、否、唯一の都市で警察人生を今にも終えようとしている定年退職直前の刑事なのである。性別も年齢も、アリ・ソウルからは遠く離れるべく設定したようにしか思えない。そしてこの作品のなんというフィニッシュ!
どう見ても単独作品に見える本書は、実のところ三部作のスタートに当たる物語である。十代の頃に読んだ安部公房の『終わり道の標べに』の印象的な冒頭の文章を想い出す。
「終わった所から始めた旅に、終わりはない。墓の中の誕生から語られねばならぬ。何故に人間はかく在らねばならぬのか?」
何故なら本書は、フルダ64歳。定年退職を目の前に、自分の人生を振り返りつつ、未解決事件い挑もうとすう冒頭。しっかり描き切れてはいない未来設計。人生の終わらせ方を思いつつ、現役生活と仕事に未練を残す。そして古い古い過去の経緯。誰の物語かわからない断章が、現在のフルダの捜査の合間に二つほど語られてゆく。何が、いつの時代に、誰によって進行しているのか? その断章が現在の退職間際の事件捜査にどのように関わってゆくのか?
未解決事件の謎と、フルダの謎と、それらとは別の物語らしきものも次第に明らかになってゆくという、たまらなく意味深な構成によって引っ張られてゆくその牽引パワーが物凄い。ラストは何となく想像できはしなかったものの、何ともノワールな作りに驚く。
思えばアリ・ソウルのシリーズの方も十分ノワールの空気感に満ちているのだが、『湿地』その他のエーレンデュル警部シリーズシリーズで独特な世界観を描き出すアーナルデュル・インドリダソンの凄みのことも思うと、殺人事件が年に一回あるかないかという平和な小国アイスランドには、見た目以上に深い闇の奥行が齧られるし、何よりもそれを描き切る作家の上質さには、驚愕を覚えるばかりだ。
相当優秀な作品で商業的にも売れないものであればまずアイスランド語で書かれた作品は英訳されず、世界に旅立つことができないし、英訳を日本語訳している現状から言えばこの作家はいくつもの言語的ハンディを背負ってこの物語を紡いでいる。そうした逆境だからこそ、この高いレベルでしかぼくらは読むことがない類の作品群なのである。何だかぞくぞくする。
本シリーズは衝撃の結末を迎えるが、実は三部作の初篇ということで、二作目はフルダの50代、三作目は40代が遡るように描かれているのだそうである。その伏線らしきものを捜しつつ、眼をすがめて読んだ読書経験も、これまたとても不思議なものであった。次作への興味を繋ぐ深い深いエンディングに不思議感と期待感と二つ、我にあり、といった心境である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリーズ第5弾。
今回はミステリーと言うより、良質な冒険小説って感じで、逃走劇とアクションシーンがたまらなく良い。
で、その逃走とアクション場面を生かしてるのが、Qの面々を差し置いて本編では間違いなく主役を張ってるマルコ。この子がいいんだよなぁ。少々出来すぎ感はあるものの、優等生がいないこのシリーズにとって、貴重な賢い良い子ちゃん。
癖があるキャラばっかりのところに優等生を放り込むという展開が大成功している。マルコを脇役しておくのはもったいないなぁ。でもQの1キャラクターでは生かし切れないし、ここはマルコを主人公にした新シリーズを展開してみてはどうだろうか?まずは本編スピンオフって感じでもいいんだけどなぁ。と、無責任なファンは勝手な妄想を膨らませていたりする。
今回は食われ気味の、本来主人公他メインキャラもそれぞれに色々あって、マルコとは真逆に全く使えない新キャラ(デンマークにもゆとり世代みたいなんあるんやろか?)が出てきたり、冴えないようにみせかけて実は日照り時期の少ないカールの恋の行方が新展開だったり…
常連は常連で結構オモロいことになってきて、従前からのファンも楽しめるようなサービス精神が嬉しいぞ。 -
Posted by ブクログ
ここからは、日常的にBLを嗜んでいる人間が読むと、決して「匂い系」作品ではないのだが、脳内がガチムチ系女子にはそこはかとなく香ってくるそれっぽさが「やっぱりだったか」と言う部分を書いておく。
カール・マークは(四十路)睨んだ通り男にモテる、と言う事実が裏付けられた描写有り。1作目から狙ってた精神科医モーナとイイ仲になったんだけど、彼女がカールに紹介した男性精神科医がゲイで、モーナと出来てるんじゃと疑ったカールに放った一言が直球でエロい!!とは言え、何度も言うようだが、別に精神的ホモをあからさまに書いている作品では全然ない。寝たきりの同僚ハーディが病院よりお前の家に行きたい、と言う場面も、もしかしたらカールの罪悪感につけ込んでるのかもしれんが、そう言う湿っぽい描写を排除しているのがこの作品の爽快なところ。心理描写を省いていると言うのではなく、頭の中で逡巡している事も、行動となった時には、色々考えた事とは全く逆に思える行動を人は取っている事さえある、と言う書き方が絶妙なんである。
深読みは幾らでも出来るが、カールは根っからのノンケである。これは間違いない。ただ、絶対に男にモテる(笑) -
Posted by ブクログ
特捜部Qはこじんまりとした部署である。責任者兼唯一の捜査官(つまり警官)であるカール・マーク警部補。警部への昇進セミナーに断固として出席しないと上司に交換条件を持ちかけて意地を通したので、警部補のままである。その唯一の捜査官であるカール、助手のアサドはシリア人らしく、警察官ではなくあくまでも秘書と言うかお手伝いと言うか、なかなかに説明の難しい役どころだ。そしてもう一人ユアサと言うオペレーター的な、秘書的なアシスタントもいて、実質3人で回している「未解決事件」を取り扱う部署だ。
海から流れて来たボトルの中に入っている血文字で書かれたメッセージを解読する事で事件が発覚する、と言う、こうやって書くと如何にもフィクション的で現実味のないように感じるのだが、このメッセージが数年間放置されており、最初は誰も何も気づいていないと言う呑気さ、そこから流れ流れて特捜班Qにやってくるのだが、この辺りの時間の流れはもしかしたらお国柄・国民性に付随しているのかもしれない。この、見えない文字を読み解く、と言う辺りの、二人のアシスタントの独創性、カールが職業柄として持ち得る科学捜査的知識に対して、鑑識課を辞めた人間にお手伝いを頼むと言う、なんとも警察組織でない動き、正にカールの人脈頼りと言う、真面目なんだか不真面目なんだか分からない辺りがこのシリーズの魅力の一つで、会社の中で仕事をしている人間なら判るが、人脈で自分の仕事がやり易くなったりやりにくくなったり(上司や部下も然り)、この辺りが実にリアルなんである。
第1作目の『檻の中の女』読後からすっかり主人公であるカール・マークが大好きになったのだが、本作からアシスタントの二人の個性がちらほら噴出して来て、決してチームとしてまとまっているとは思えないのだが(助手にあまり敬って貰ってないマーク)少しずつ距離感が詰まっていくのが感じられる3作目。
犯人の視点から見た犯人の行動描写と、カールたちの日常が交互に描かれる。犯人は牧師の息子として生まれたが、聖職者でありながらも感情のままに自分に暴力をふるった父親への憎しみを、宗教的な家庭の子供を二人誘拐し身代金をせしめ、一人は殺害、一人は脅しのメッセージを託して家に返す、と言う手口で収入を得て、幾つもの偽名を使い、宗教に傾いていない女性を探し結婚し、子供を得て、何食わぬ顔で一つの家庭を築いている。その裏で、金を稼ぐ手段として誘拐を続けている。
子供の頃の育ち方で他者に一切の感情移入が出来ない鬼畜な犯人にカールたちは辿り着けるのか、と言うのが本作。
事件とは別に、カールは一目見た時から好みだ、寝たいと思い続けている精神科医のモーナと色っぽい関係を結ぶことに成功したり、元妻が戻って来たいと言っているのを義理の息子に金を握らせて阻止したり、自宅介護を引き受ける事になった元同僚で、寝たきりのハーディの具合が悪くなってまた病院に戻さなくてはならなくなったりと、決して平穏なプライベートとは言い難いと思うのだが、カールは疲れたとか絶望したとかしんどいとか、愚痴を言わないのだ。疲労はしているが、殊更に頑張ろうともしないし、落ち込んだりもしない。なんと言うか、全部をキャパ越えちゃうんじゃないかくらいに受け入れる訳ではないのだが(元妻に対しては直接的にNOは通じないと分かっているから策を練ったりする)目の前から消そうとしたり見なかったことにしたりせず、自分に可能であれば相手の要求に応えようとする。事件に対しても、そんな何年も前に未解決となった事件など今さら調べても、とチラッとは思うのだが(現実的に)やってみようとする。この「等身大」なバランスがやっぱりカール・マークの魅力の最たるところだ。 -
Posted by ブクログ
人気シリーズ5作目。
デンマークの警察ものです。
利発な少年マルコの登場でスピード感がアップし、いつもとちょっと違うさわやかな読後感。
未解決事件を扱う特捜部Q。
カール・マークは恋人にプロポーズしようとして上手くいかず、殺人捜査課の上司は退職予定でしかも後任が天敵と知る。
新人のゴードンはちょっと不器用で変な若者だが、秘書のローセに一目ぼれした様子でまた特捜部に混乱が‥?
アフリカへの開発援助をめぐって、実は大規模な横領事件が起きていました。
真面目な官僚が一人、行方不明になったままの件を取り上げることにした特捜部の面々は‥?
マルコは15歳でもっと幼く見える。
叔父が率いるクラン(犯罪組織)の中で、仲間の子供たちと共に掏りや物乞いを強制されて育って来た。
独学で本を読むようになったマルコだが、ある秘密を目撃したことからクランを逃亡し、かといって警察に駆け込むことも出来ない。しだいに、カールらと運命が交錯することに。
マルコ、頑張れ!
とハラハラしながら読みました。
首都コペンハーゲンの一角に、ヒッピーが開いたクリスチャニアという無法地帯があるとは初めて知りました。
警官とばれたら大変なのでカールは変装するしかないが、ローセはここの住人のように見えるというのが笑えます。
カールの同僚で銃撃事件後寝たきりのハーディに少し回復の兆しが見られたり、カールが恋愛を吹っ切ったりと、微妙な変化も。
さて次はどんな展開になるのかなあ?
楽しみです☆