【感想・ネタバレ】特捜部Q―カルテ番号64―のレビュー

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Posted by ブクログ 2015年01月27日

面白かった。
まさかニーデがね〜。確かにギデの描写はなかったけど。
それはそうとアサドは回復するのかな〜

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Posted by ブクログ 2014年04月26日

周りには第1作目の「檻の中の女」を読んでいる人が居るので、語りたい気持ちをぐっとこらえる。ガマンガマン。
あ~早く話したい。「もっと・・・・」とか「こんな・・・」とか「それからね・・・・」とか「あの件は・・・」とか。
く、苦しい!

早く続きも読みたい!

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年11月15日

面白かった!
ローセが毎度いいタイミングで役に立たないのは何故なんだ!
毎度カールが痛められ過ぎだ!
そして、デンマークの爺さん婆さんが元気過ぎる!
シリーズで10作予定のうち、昨年末に本国で出版された第5作目 "Marco Effekten" の翻訳本が待ち遠しい!

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Posted by ブクログ 2013年08月11日

デンマーク・スプロー島
1923年から1961年までこの島には女子収容所が実在しました。

収容所には法を犯した者を始め、当時の倫理観にそぐわない者や軽度知的障害者とされた女性が収容され、彼女たちが収容所から出ようとすれば、不妊手術を受け入れなければいけませんでした。

特捜部Qシリーズ第4弾の本書...続きを読むはこの収容所と現在の移民排斥運動を背景に、優生学思想に染まった者たちと彼らの被害者の個人史を描いたものとなっています。

他のシリーズ既刊が凄惨なストーリーの中にも希望やユーモラスも感じる事が出来る中、本書は全面グレイに覆われており、自身の少年時代にも人道主義の名のもとにこの収容所が実在していたと言う事実から受けた著者の衝撃の程がうかがい知れます。


【あらすじ】

人口500万人のデンマーク。
同国において20数年前、失踪事件が不自然な頻度で起きていた事に気付いた特捜部Qはこの連続失踪の影に何らかの犯罪が存在しないかと疑い、捜査を開始する。
失踪者たちの共通点を探る彼らはやがて元収容者の女性にたどり着く。
しかし、同時にその優生学思想を強く批判されている政治団体「明確なる一線」を刺激し・・・



偏見に基づき他者を不妊化する。
日本におけるハンセン病療養所を連想させるストーリーです。
北欧系のミステリーはこれまで何冊か読んできましたが、読んだ全てが何らかの社会問題がテーマに含まれており、ただの「ミステリーの為のミステリー」にはなっていません。

「ミステリーの為のミステリー」も勿論良いのですが、本書の様なミステリーを読むと果たしてそれだけで良いのか?と。
私がその存在を知らないだけかもしれませんが、日本人作家による社会問題を深くえぐるミステリーを読んでみたいです。

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Posted by ブクログ 2013年08月07日

シリーズ第四作は言わば二つの犯罪の物語。社会正義、公共の利益の名のもとに行われてきた組織的犯罪と、その犯罪に対する復讐のための殺人。ニーデの人生が壮絶過ぎて、哀しすぎて胸が痛みます。デンマークもゲルマン民族の国、それにしても第二次大戦が終わりナチスが断罪された後もそんなことが行われていたとは…。特捜...続きを読む部のメンバー、特にアサドとローセは息がぴったりと合ってきて、ますます次作以降への期待が高まります。「鋲打ち」事件の真相解明もまだ、アサドの謎も深まるばかり…。早く次回作が読みたくてたまりません。

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Posted by ブクログ 2013年06月16日

特捜部Qシリーズ 今回の作品、本当に怖いものだったですね。ハンセン病と同じように、精神疾患、あるいはセックス依存症と考えられた女性を島に閉じ込めて不妊手術まで施していたこと、知りませんでした。デンマークの負の歴史に真摯に向き合いながら、人間の「業」のようなものを、ミステリ仕立て語りかけてくれます。
...続きを読むカール、アサド、ローセ 彼らの謎はまだまだ解明されていませんよ

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Posted by ブクログ 2023年01月30日

『人間の一生は、誘惑の奈落の上を綱渡りし続けることであり、一歩間違えれば、どん底に落ちることもある。』


北欧ミステリーの人気シリーズ【特捜部Q】の第4弾。
本作は50年ほど前に実際にスプロー島に存在した女子収容所と、そこで行われていた非人道的な行いの史実をもとにしたストーリーだ。

映画化もされ...続きを読むているが、映画とは違うストーリー展開なので、原作未読の方はご安心を。

本書では収容所出身のニーデの壮絶な過去パートと、現代の複数の失踪事件を捜査するパートが交互で構成されており、なぜ事件が起こってしまったのかを丁寧に描いている。

今回も胸糞が悪くなる内容ではあるが、史実をもとにしているので内容もより重く感じた。

作中に登場し、実際の収容所で行われていた強制不妊手術と優生思想は、けしてデンマークだけの問題ではない。世界中、日本でも行われていた。
現代では、出生前診断がそれにあたるのではないかと人種差別問題として取り上げられている。

この問題に関しては、漫画【進撃の巨人】等でも取り上げられているように多くの作品に影響した問題であり、私たちが考えなければならないことのひとつであると改めて思った。

【ダンサーインザダーク】のような救いがないストーリーだが、作中登場するニーデと教師の触れ合いが素晴らしく、これだけで1冊出来そうなエピソードだ。
ラストのエピローグも救いがありよかった。
また、カールと仲間たちのユーモラスなやり取りも健在で楽しく読ませてもらった。

エンタメとして楽しむだけではなく、社会問題として考えさせられる著者の熱い思いが込められた1冊だ。


こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・北欧ミステリーが好きな人
・社会派ミステリーが好きな人
・イヤミスが好きな人
・考えさせられる話が好きな人

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Posted by ブクログ 2023年01月24日

結局ミステリーの面白さはどれだけ魅力的な敵役を登場させられるかで決まるような気がする
あるいはどれだけ憎らしい敵役を

その意味で本作は合格点だ
今回カールたちが立ち向かうのはとんでもないくそ野郎でアサドやローセの怒りも大爆発だ

それにしても人の歴史とはこんなにも黒いのか
果たして人とは本当にこの...続きを読む地球に存在する価値のある種なんだろうかと思ってしまう

本作に描かれているスプロー島の女子収容所はデンマークに過去に実在していて、倫理的でないと思われた女性や軽度の知的障害を持つ女性を民族衛生法や優生法といった鬼畜な法律を根拠に不妊手術が行われてたのだという
作者のユッシ・エーズラ・オールスンはそのことへの″怒り″で本作を書き上げたようだ

ご承知の通り日本にもかつて優生保護法という法律が存在して″選別″が行われていました
これはとても恐ろしいことだと思います
なんの罪もない人が正義の名の下に未来を閉ざされてしまう
しかも障がい者や犯罪者に対して生まれてきたこと自体が罪なのだと考えるような人は今の世の中にもごく少数ながら実在し、神の代弁者のように振る舞っている

人の未来を作るのは、そんな悪魔たちに惑わされない人たちだと思う

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Posted by ブクログ 2021年08月10日

外れないわ~~
めっちゃ嫌な奴がいて
周りから攻める
合間のカールの事情・・・
堪能しました

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Posted by ブクログ 2021年02月21日

特捜部Qシリーズ4作目。スプロー島という島に1960年代まで実在したという、知的障害があったり品行方正でなかった(と独断で判断された)りした女性の矯正施設(という名の強制収容施設)を土台にしているそうです。よもやこんなひどいことが、と慄きながら読み進み、慄けることは幸運なのだな、としみじみ感謝しつつ...続きを読む、複雑な気持ちで読みました。子供の頃に母親を亡くしたことに起因する知識の欠如に、いくつもの不幸と無関心と不親切と悪意が最悪のタイミングで重なってしまったニーデという美しく魅力的な女性と、親子二代で優性思想にとりつかれつつも権威を持った医師であるため長期間に渡り非道な行為を続けてきて政治にも働きかけようという野心を持つクアド・ヴァズという男性が中心人物。もちろんおなじみのカールにアサド、ローセにモーナ、ハーディもみんなそれぞれの過去に傷やわだかまりなど他人と共有したくないことを抱えながら日々を懸命に過ごしています。カールが燃え尽きてしまった例の事件現場からは新たな遺体が発見されそこからカールの写真や指紋の残った硬貨が出てきたり、ローセには実際にユアサという妹が居ることがわかったり、アサドもカールも捜査中に死に直面したり、と、かなり心を揺さぶられる内容でした。早く続きを読まなければなりません。

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Posted by ブクログ 2019年04月09日

面白かった。
なんか、ますますカールを含めスタッフ一同ハチャメチャになっていくような・・だけどええ仕事するんやなー。。
シリーズ最高かな。

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Posted by ブクログ 2015年11月21日

犯罪者や移民は子供を産むべきではない、異常な選民主義の医者が昔、施設送りにした女性と、農場で育ち無知なために15歳で妊娠流産、施設に送られる。
島の施設に集られた女性達は知能が足りない、社会に受け入れられない堕落した女性として、一生そこに閉じ込められるか、出られたとしても不妊手術をされる。

とにか...続きを読むくテーマが生々しい。この背景は実際にデンマークの史実をもとにされて施設も実在していたそうです。
移民はヨーロッパの国々では今、重大な問題になっているし、膨大な税金が投入されている中、こういった選民思想は少なからず出ているはず。
現実問題としてみると、理想論だけではやっていけないのかもしれない。いろいろ考えさせられました。

割とびっくりな展開もあって、本作も読み応えありました。
あとデンマークって島が多いんだなとか。

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Posted by ブクログ 2015年05月29日

てか、カールくんもアサドくんも、
単独活動する時は後ろに気をつけよーぜ‼︎
どんだけ毎回殴られてるんだ…
一番ムカつくのは個人的にはギデだけど
せっかくならヴァズは生きて堕ちて欲しかった。

仲良しトリオが好きになりましたな( ´ ▽ ` )ノ
つられて映画版の配役みたらアサドかっこよすぎだった。

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Posted by ブクログ 2014年12月01日

2014/12 相変わらず監禁牢獄もの。ただ4作目になると登場人物の理解をしなくてもよくなるので大分読みやすい。残酷なシーンもあるけれどそれなりに面白い。

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Posted by ブクログ 2014年05月02日

シリーズ4作目。

過去の未解決事件を扱う特捜部Qが今回手がけるのは、80年代の連続失踪事件。
失踪事件を探るうちにやがて躍進している新進政党の裏の顔に迫ることとなり、同時にデンマークの闇と社会の偏見が浮き彫りになっていきます。

劣悪な遺伝子の排除を謳って繰り返される強制中絶、不妊手術という今回の...続きを読む断種のテーマは大変残酷で重苦しい。女子収容所というデンマークの負の過去に対する作者の熱情が伝わるようです。

現在の捜査と交互に描かれる一人の女性の人生が悲しく、秘密組織に疑惑を向けるものの、あくまで失踪事件を追う特捜部Qがなかなか事件の全貌を見通せないのがもどかしい。

読者としても、現在と並行して語られる数十年も前の出来事が現在の状況と結びつかず、予想のできない展開にのめりこんでいきます。クライマックスに向けての作者の手腕が光るところです。

シリーズを通しての問題であるカールの事件、アサドの謎も進展を見せており、ただの変人だと思っていたローサも何やら問題を抱えているよう。
重苦しい事件ばかりですが、いつも通り冴えないカールが楽しく良い緩和剤となっていました。
ミカという新たな希望が登場したのもうれしい。

アサドの危機に涙するカールとローサにはグッときました。
今まではカールひとりがほかの二人のことに頭を悩ませていただけですが、今回、アサドとローサがカールの為に怒り、カールとアサドがローサを気遣い、カールとローサがアサドの危機に駆けつけました。
普段諍いばかりでお互い胸の内を明かさない特捜部Qですが、今作ではほんの少しだけ互いが互いに理解を深め、支えあったように思います。

シリーズは10作を予定しているということで、特捜部Qの面々の謎が明かされるのはまだまだ先のようですが、今後が楽しみなシリーズです。

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Posted by ブクログ 2014年03月01日

未解決事件を扱う「特捜部Q」シリーズ4作目。
デンマークの人気ミステリです。
書き込みが濃厚で、読み応えがあります。

カール・マークは特捜部Qに左遷されたものの、過去の事件解決に活躍中。
助手のアサドは中東系の謎の人物で、温厚で有能だが、大変な過去があるらしい。
秘書のローセもけっこう綺麗で確かに...続きを読む優秀だが、相当な変人。部下のはずの二人のコンビに追い立てられるように捜査にかかるカール。

1987年に失踪事件が相次いでいることに気づく。
人口500万のデンマークでは考えられない頻度。何の関連もなさそうな5人に、どんな事情が‥?
折りしも、優生学的な政策をかかげる老人の極右政党<明確なる一線>が、票を伸ばそうとしていた。

ニーデという女性の人生が、間にさしはさまれます。
農場で育ち、教育を受ける機会もなく、恋にやぶれて‥
一度は里親に恵まれて、幸せをつかんだものの、後にその幸福も奪われてしまう。

デンマークでは1920年代から60年代にかけて、品行が悪かったり知的障碍があったりして問題となった女性を収容する矯正施設が島にあり、退所する際には避妊手術を受けさせられたという。
日本でのハンセン病療養所を連想させますね。
優生保護法は、当時のヨーロッパでは多くの国で施行されていたそう。
作者はこの事実を知って愕然とし、作品に取り上げた。
熱っぽく描かれていて、その気持ちは理解できますが、ちょっと重すぎて‥感想を書くのが遅れました。

カールを取り巻く人間たちは、相変わらずにぎやかでコミカル。
恋人モーナとは上手くいっているのが救いですが、その家族に紹介されるとこれが面倒な性格で、ギクシャク。

銃撃事件で寝たきりの同僚ハーディを家に引き取り、その事件の謎がまだカールを追ってきます。
さらに、カールの伯父の事故死にまで、なにやら疑惑が‥?

このシリーズは10作を予定しているそうなので、何がどこでどう絡んでくるのか‥?
特捜部3人の捜査は体当たり! チームが次第に強力になってくるのが、楽しみです。

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Posted by ブクログ 2013年11月05日

おもしろかった!
登場人物たちがユニークで好き。追いつめて行く、追いつめられて行く様が絶妙に描かれてる。

ストーリーとは別に、高福祉国家だと思っていたデンマークの、そう遠くない過去にあんなことが行われていたことにびっくりした。

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Posted by ブクログ 2013年08月24日

好きなシリーズの第四弾。事件の過去と現在、主人公たちの過去や秘密と私生活のトラブル、そういったいろんな要素がシリアスにそしてときにコミカルに語られるが、盛りだくさんでもしっかり読ませる。しかし今回の事件もひどい事件だったな。

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Posted by ブクログ 2013年07月28日

80年代に起こったナイトクラブのマダムの失踪事件を追う特捜部Qの面々。
その過程でいくつかの失踪事件が浮かび上がり、やがで一人の老女と新進政党の党首が捜査線上に浮かび上がってくる。

待ってましたのQ。4作目。
今作も色々やるせない気持ちになる事件だった。
一番辛いのが女性だけが優生保護的な観点で被...続きを読む害者になるところ。そしてそれに同性が協力するところ。
前3作は被害者当人の痛みを共有した感じなんだけど、これは自分の中の深いところにある治らない傷をつつかれたような…、リアルな痛みを感じたよ。
イタイイタイ。
あと、ミステリ部分の鬱展開を救ってくれるかのようなQの面々のやり取りが『八仙飯店之人肉叉焼包』を彷彿とさせるんだよなぁ。
まぁ、オールスンにはQを悪く言うつもりはないのだろうけど、事件の痛さや社会問題としての提起とかね。
作者は全10作の予定でいるらしいので、このあとの展開をドキドキしながら見守ってる。

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Posted by ブクログ 2013年07月26日

 シリーズ第4作。情報の少ない海外小説を読む場合、巻末解説はぼくにとって非常に重要なのだが、やはり一つ重要なことが記されていた。本<特捜部Q>のシリーズは、10作を予定しているという。一作一作、極めてダークで印象的な悪党どもとの闘いを余儀なくされている地下室の特捜部だが、気になるサイド・ストーリーの...続きを読む解決の方向性がこれで見えたか、といった嬉しい予感に震撼しそうなニュースだ。

 カール・マークはおそらくエド・マクベインの87分署シリーズのキャレラのようにあるときから年をとらなくなる恒久的なヒーロー像にはなるまい。未解決事件捜査に専念することを旨とする本シリーズは、毎度過去の亡霊たちを現代に引きずり出して対決するばかりではなく、生々しくカールという主人公の風変わりな日常生活と心情を重視してもいる作品群であり、同時に彼を追い込み、自らの中の暗黒面としてマークが直視することすら避け続けているアマー島の失態とその謎めいた経緯についての長い物語でもあるのだから。

 アマー島で失われた同僚の記臆と同様に、日々、全身麻痺という姿でカールの家に同居しているハーディはアマー島の失態をカールに毎日いやが上でも突きつけ続けているのである。こうしたシリーズの全体を覆う黒雲のような通低音をベースにいつも語られるのがこの一冊一冊の重厚な物語であるところに、本書の凄みが秘められているわけである。十作という限られた作品の中でそれらが解決を見ないわけにはもはやゆかないところまで、それらの原因と結果論については度々語られているし、そもそも特捜部Qの存在理由ですらある。

 さらに謎多きレギュラーメンバー・シリア人アサドの正体についても、どこかの作品中で明らかにされるに違いない。そうでなければここまで思わせぶりな数々の奇行の描写は有り得ない。これに回答がなければもはや罪である。

 さてシリーズ全体の俯瞰はともかく、本書で今回もまた取り上げられたダークな題材であるが、これまでが娯楽色が強かったのに比して、今回は国家の恥ずべき部分として、差別された女性の強制堕胎、強制不妊治療などを行うという収容所の実態である。なんとこうした信じがたい国家暴力が作者幼年の頃まで存在し続けたというこの国の歴史的事実を作者は詳らかにすべく、小説という表現を活用したのである。

 巻末に作者の一文が添えられており、ショッキングな事実が明らかにされている。民族衛生法・優生法といった恐るべき法律が1920年代から30年代には欧米30ヶ国以上で公布されていた。デンマークでは1929-1967年までに1万1千人が不妊手術を受けておりそのうち半数が強制的に行われたと推測されている、とある。「そして、ノルウェー、スウェーデン、ドイツ等とは対照的に、デンマーク王国は今日に至るまで、こうした人権侵害にあった人々に対する賠償金の支払いも、謝罪も行っていない」

 この題材を元に、人生を棒に振った女性が復讐の鬼と化す。同時期に消息を絶った複数名の行方をたどるうち、特捜部Qは、驚くべき真実に行き当たるのだが、ミステリの謎解きというよりも、凄絶な独りの女性が理不尽な人生を送ってゆく様の描写を読んでゆくのが辛い。娯楽小説それも警察小説の形を取りながら、サイドストーリーのカラフルな衣を纏わせながらも、物語の中心に作家の乾坤一擲の真理追求の姿勢が見え隠れしてやまないところが、魅力的な骨太の女性戦記としての本書を価値づけ、忘れがたい強烈なインパクトを残しているのである。

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Posted by ブクログ 2014年03月23日

1920年代から1960年代なかばまで、デンマークでは知的障害があったり、品行の悪い女の子をある島の女子矯正施設に閉じ込めていた。そこは、暴力と性的虐待の巣窟で、かつてそこで一時期を過ごした女性が自分の関わった連中に復讐を計画するが、最大の標的は今をときめく話題の右翼政党の党首になっていた。
背景に...続きを読む鳴っている話は、実話で現地でもかなりの反響を呼んだミステリ。

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Posted by ブクログ 2013年06月06日

デンマークの警察物第4段。
読み進めるたびにどんどん謎の深まる助手のアサドと、彼の淹れる飲み物が気になって仕方ない。
プライベートはイマイチな主人公も、また味がある。

事件は女性としては重く、切ないばかり。
オチが途中で見えてしまったものの、読み応えはたっぷり。
今回は体を張って活躍した助手のアサ...続きを読むドがなかなか良かった。

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Posted by ブクログ 2022年01月17日

 シリーズ4作目、デンマークの窓際刑事2人と変わり者アシスタントが地下の特捜部Q部屋で未解決事件に挑む物語りです。

 時代設定は、2010年11月ですが25年前の1985年11月に妻の暗い過去がクアト・ヴァズによって暴かれたその晩に夫婦の乗った自動車が事故を起こし夫は即死、妻ニーデ・ローセンは生き...続きを読む延びた。ニーデは、結婚前に売春宿で働いていたが宿の女主人リタ・ニルセンが1987年に失踪しカールの有能なアシスタントで二重人格者のローセ・クヌスンが未解決事件として取り上げた。事件を見つけるのはいつもローセの仕事になっていた。

 25年前には更にリタが失踪してからの2週間で5人が失踪し、全員がニーデに呼び寄せられたのだった。ニーデは、人種選別の為に非合法な強制中絶や強制不妊手術を行なっている医師で政治活動家のクアド・ヴァズに人生を滅茶滅茶に破壊され復讐に執着していた。

 ストーリーは、現在(2010年)の捜査の進行と25年前の失踪に関わる事件と、その事件の発端となった更に15年程前のニーデやヴァズと失踪した人達の過去が綴られる。終盤ではっとする展開が起きるものの、始終暗く陰惨なストーリーだが最後の最後でこのストーリー登場人物で唯一、情と心を持った人がこの荒れた物語を引き締めてくれたのがとても救いだった。

 特捜部Qのメンバーは、個性的だ。ボスのカール・マークは、離婚同然の生活ながら妻の連れ子の面倒や不随となった元同僚を自宅看病しながらも、新しい恋人モーナに心を奪われてまるで高校生男子の様な繊細さだ。シリア人で過去が謎のアサドは優秀なアシスタントだが言葉が堪能では無く、頻繁にカールから指摘を受けるが、このやり取りとカールの心の叫びが面白い。

 本作は、シリーズ4作目ですが作者は10作で完結と発表してますのでまだまだ楽しめます。

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Posted by ブクログ 2017年03月25日

複数視点の名手という呼び名が献じられるほど、その構成が繰り返し使われる特捜部Qシリーズ。第四作にあたる本作も2010年11月(現在)と1987年8月(二十三年前)で、二つの視点を交互に使い分けている。現在時の方は、カールとアサド、それに今回は現場にも同行するローセたち特捜部Qの面々が、同時期に行方が...続きを読む分からなくなった複数人物の未解決事件の捜査を行う。過去の時点で描かれるのは、一人の女性の人生を崩壊させることに係わった五人の人物への復讐劇だ。

冒頭に置かれた屈辱的な情景が痛ましい。今は上流階級の一員に収まっているニーデが、パーティーの席上で偶然再会したクアト・ヴァズという産婦人科医に、淫売と罵倒された挙句、夫の目の前で知られたくない過去を洗いざらいぶちまけられる。ニーデは過去に複数の中絶経験があり、クアトに不妊手術を受けていた。帰りの車内、夫から別れ話を持ち出されたニーデは横から手を伸ばし、ハンドルを思いっきり切り、車は海に落ちる。

今回主題となるのは優生学思想。ナチスがユダヤ人を大量死させたのと同じ思想だ。ある特別な種に価値があり、他の劣等な種と交雑することによって、優等な種の価値が劣化すると考え、劣等と考えられる人種や知的その他の障碍を持つ人々の増加を阻止する目的で、中絶や不妊手術を行うことで知られる。本作において、その思想を体現する男がクアト・ヴァズ。ニーデの人生を狂わせたこの男は、今や<明確なる一線>という政党のリーダーとして議会に議席を獲得する勢いを持つ。

過去と現在に二つの視点を置き、一方では非情な経験によって人生を狂わせられた人物が、相手に対して行う復讐劇を犯人側の視点で語り、もう一方で、過去に行われた未解決事件の謎を解き、犯人逮捕を目指すカールたち特捜部Qの活躍を描く、というのがこの作家の常套手法。陰鬱で悲惨な過去に対し、カールを取り巻く仲間たちのドタバタ劇は笑劇タッチで描かれるのもお定まりの約束になっている。シリーズ物らしく、カールにつき纏う未解決事件の謎は少しずつ解き明かされるが、逆にその闇は深まるばかりだ。

警察小説としての特捜部Qは、家庭内にトラブルを抱えながらも、カウンセラーのモーナと良好な関係を築きかけているカール。いまだその正体は不明ながら、格闘にも捜査にも抜群の実力を持つシリア人のアサド。父親の死のトラウマのせいで、時に解離性同一性障害を引き起こし、妹ユアサの人格と入れ替わるローセが主要メンバー。それに、全身麻痺の身をカールの家で介護を受けるハーディや署内の食堂を経営する腕利きの元鑑識官ラウアスンらが力を貸す、といったチーム物の要素が強い。最後に命を脅かす危険な目に合うのもいつものことながら、シリーズ物の宿命として結果的に命は助かる。

それに対して、犯人側に視点を置いた犯罪小説としての要素は、これが北欧ミステリの特徴なのかどうか、他の作家の作品をあまり読んでいないのではっきり分からないのだが、正直いつも陰惨極まりない。今回の場合、ニーデはまともな教育を与えられず、性に対してあけすけな環境で育てられたことから、少女のうちに妊娠し、流産する。世間体を苦にして他家に預けられ、そこでもいじめられ続ける、という悲惨な経験を持つ。

理解のある夫婦によって識字教育を受け、立派に社会に出ることになるが、幸せな結婚生活は過去を知るヴァズによって壊される。夫の遺した遺産でひっそりと暮らしていたニーデを復讐にまで追い込むのはやはり過去の因果だ。正気を疑う復讐の方法は相変わらず猟奇的で正視し難いが、正直なところ、今回の犯人をあまり憎むことができない。殺害に至る計画はずさんだし、その方法もあまりにも素人臭く、到底うまくいくとは思えない。しかも、一人の相手に対しては殺害に及んだことを後悔すらしている。まあ、だからこそ赦してやりたくもなるのだが。

蛇足ながら、ニーデが送られたことになっているスプロー島の矯正施設はほんの五十年前まで実在していたという。福祉が充実し、女性の権利にも敏感な北欧の国デンマークでそんなことが行われていたとは。シリア人のアサドや心に傷を負うローセがいつになく真剣に怒っているのが作家の意識の有り様を物語っている。宗教や民族による差別に加え、人種や障碍の有無によって人の優劣を比べ、それを政治に持ち込むなど、あってはならないことだが、日本でもヘイト・デモを繰り返した集団が政党を立ち上げるなど、他人事ではない。

毎回ほぼ同じ構成を使いまわしながら、よく次々と書けるものだと感心する。同工異曲といわれることを知ってか、今回は最後にどんでん返しが用意されている。他の人気作家ではよく見かける、この手法、この作家にしては珍しい。伏線もあるので、注意深い読者なら見破れるのではないか。ミステリ読みとしては二流を自負する読み手としては、先を読みたくて急ぐあまり、つい読み飛ばしては後で臍を噛んでばかり。でも、考えようによっては、作家の仕掛けたトリックにうまくひっかかって悔しがるのは、この種の読み物の正統的な読み方ではないだろうか。そんな負け惜しみをつぶやきながら、次回作に手を伸ばすのである。

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Posted by ブクログ 2015年01月16日

今まで読んだシリーズの中では一番だめだった。たぶん過去・大過去・現在が入り乱れて読んでいて登場人物を形作れなかったからだと思う。

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Posted by ブクログ 2014年12月13日

 個々の物語というより、根幹が動いてきた感。そういった意味でミステリ部分は弱い。けれども面白い。面白いといっていいのか分からない題材ではあるけれど……………いやしかし、なんと言っていいのか、どうなのか。

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Posted by ブクログ 2013年11月19日

シリーズ4作目
訳者あとがきによると
既に、5作目が上梓されている
待ち遠しい

このシリーズは、10作品書くとのこと

それにしても、レギュラーメンバーの怪我の経過が気になる

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年09月07日

80年代にあった行方不明事件を調べると行方不明者がさらに5人確認された
6人の行方不明者の共通項に新進政党の中心人物の名前が出てくる
だが、記録、証拠がまったく集まらない
ステープル釘打機事件に新たな情報が出てくるし、その事件に関係しているカールを陥れようとする動き、アサドとローセが有無を言わせず捜...続きを読む査したがる事件、カールの少年時代にあった叔父の事故が記憶と違う?
背表紙のあらすじに書ききれていない、書ききれないデンマークの背景が心も体も寒くする
カールを同時に襲う情報、事件、事柄
急展開すぎて5作目がどうなってしまうのか心配でならない

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Posted by ブクログ 2013年07月03日

シリーズ4作目。事件の謎はそうでもないが、カールの過去の事件、アサドの正体などますます謎が深まる。次作に期待。

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Posted by ブクログ 2013年06月28日

過去と現在が交互に出てきてちょっと最初のうちはちょっと混乱した。
途中若干、間延びした感じ。
でもラストは一気に。アサドは何者?
そしてカールの事件の真相は?

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