吉田薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ今回は完全にQ課トリオが少年マルコ一人に食われてしまった感があったが、それによって面白さが損なわれるようなことはなかった。
訳者あとがきにも書かれているとおり、読んでいくうちに最後まで無事でいてほしいと願いたくなるマルコの魅力が最大の見所。
スリや物乞いで生きていかなければならない身であっても、心根は真っ当で賢く、向学心に溢れているマルコは、ひねくれ者だらけのこのシリーズにおいては珍しく清涼剤的な存在。アサドも癒しの存在だけど彼の場合はまだまだ謎が多いしw
事件の発端はアフリカで起こり、そこからいったん別の事件を挟んでようやくマルコと特捜部Qが薄い接点で繋がってくるので、序盤で少々だれてし -
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Posted by ブクログ
ネタバレ犯罪シーンの残酷描写と捜査する特捜部のひょうきんな描写が、全く別の指向なのに、何故か違和感なく両立して書き込まれているあたりが凄い。ボリュームの割に「大作を読みきった」感がないのは、良い意味で物語世界に入れていたからかもしれない。
際立って「スゲーっ」って作品でもないけど、北欧警察小説の面白さは十分に味わえる。ただ前作よりは詰めが甘い感じかなぁ。シリーズ物なので今後の展開が楽しみ。
特に、アサドとローセの正体が気になる。
そして、モーナが魅力的やなぁ。カウンセラーにかかるなら、スーザン・シルヴァマンよりモーナにかかりたいと思わせるぞ。 -
Posted by ブクログ
シリーズ5作目。
汚職事件を主軸に、それに絡んだ殺人事件に巻き込まれた15歳の少年マルコの逃走劇が見ものです。
特捜部の面々と事件当事者のそれぞれが交互に描かれ、やがて交差して解決へと向かう手法はいつも通り。
今回の事件当事者の主要人物であるマルコは、聡明で向学心や自立心旺盛ながら、幼い頃よりスリや物乞いを強いられてきた少年。
身の危険を感じ逃走する中、汚職事件の闇に飲み込まれていきます。
マルコを追いかける仲間やら殺し屋やらがとにかく危険な人物ばかりで、時に人の優しさに触れ、時に人に裏切られながらも知恵と勇気で逃げ惑うマルコに、読者は手に汗握り応援したくなります。
マルコがんばれ!
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Posted by ブクログ
少年マルコの逃亡劇。このネタ一本で引っ張る引っ張る。今回の事件はリアルタイムで進行していくので、過去作と比べてスピード感と緊迫感に満ちていたように思う。
アクション全開なのでミステリ色は薄め。そこが残念と言えば残念なのだが、にも関わらず最後まで面白く読めたのは、マルコのキャラが際立っていたからかな? カールとのすれ違いを繰り返すうち、どんどんマルコに感情移入してしまい、最後はオカンになった気でハラハラしながら見守っておりました。このマルコがホントにいい子なので、余計に悪役たちが人間のクズに見える。相変わらずヒール役を書くのは巧いよなあ。
Qにも変化はあり、アサドの謎がちらりと見えたりと、サ -
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Posted by ブクログ
シリーズ4作目。
過去の未解決事件を扱う特捜部Qが今回手がけるのは、80年代の連続失踪事件。
失踪事件を探るうちにやがて躍進している新進政党の裏の顔に迫ることとなり、同時にデンマークの闇と社会の偏見が浮き彫りになっていきます。
劣悪な遺伝子の排除を謳って繰り返される強制中絶、不妊手術という今回の断種のテーマは大変残酷で重苦しい。女子収容所というデンマークの負の過去に対する作者の熱情が伝わるようです。
現在の捜査と交互に描かれる一人の女性の人生が悲しく、秘密組織に疑惑を向けるものの、あくまで失踪事件を追う特捜部Qがなかなか事件の全貌を見通せないのがもどかしい。
読者としても、現在と並行し -
Posted by ブクログ
未解決事件を扱う「特捜部Q」シリーズ4作目。
デンマークの人気ミステリです。
書き込みが濃厚で、読み応えがあります。
カール・マークは特捜部Qに左遷されたものの、過去の事件解決に活躍中。
助手のアサドは中東系の謎の人物で、温厚で有能だが、大変な過去があるらしい。
秘書のローセもけっこう綺麗で確かに優秀だが、相当な変人。部下のはずの二人のコンビに追い立てられるように捜査にかかるカール。
1987年に失踪事件が相次いでいることに気づく。
人口500万のデンマークでは考えられない頻度。何の関連もなさそうな5人に、どんな事情が‥?
折りしも、優生学的な政策をかかげる老人の極右政党<明確なる一線>が -
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