吉田薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
下巻、解説にもあるが
もう冒頭からノリに乗っているのである。
特捜部Qのカールとアサドは地道に調査
誘拐犯は犯行を着々と進める
問題は誘拐された、子供の母親
こちらが…大爆発している。
上巻で読んだ印象は吹き飛び、子供のために闘う。
そこから捜査チーム側につながり、犯人との攻防がカール達に引き継がれていく流れは怒涛でした…
解説の「メッセージボトルという小道具は"偶然"が付き纏うため危険」という話も納得、この作品では主人公カールはボトルに対して距離を置いていたし、ボトルの要素をうまく使っていた。
暗く重たいテーマ×少数チーム(イライラしてる主人公+謎の変人達)というバランス
シリーズモノでよく感じる「メインの事件」と「シリーズを通して追う謎、事件」「主人公のプライベートの問題」の前作「キジ殺し」の時よりバランスがよく、違和感がなかった。
唯一にして最大の謎はユアサの件…カールもアサドも"三つ目のこぶ"には触らなかったが、これは更に闇があるということなのか?変態性なのか?
余談:インスタントコーヒーの粉を入れすぎる度、特捜部Qや他の作品のグレーンス警部などの警察小説に出てくる「泥のようなコーヒー」ってのを思い出すようになりました。誤魔化そうとして砂糖を入れすぎると"アサドがいれたコーヒー"になるのだろうか… -
Posted by ブクログ
特捜部Qの三作目
二作目がちょっと微妙だったので警戒しながら読み始める。
海辺で見つかったメッセージボトル
中には「助けて」と言う書き出しと、解読出来ないくらいに文字が削れた手紙が
アサドやローセは、救助を求めているはず、と捜査を進めるがカールはなかなか乗り気にならない。
冒頭でメッセージを送った側の青年の視点が描かれていたので「おや?これは一作目のパターン(監禁された女性の視点と捜査チーム側の視点)と似た展開か?」と考えてしまったが、メッセージが投げ込まれたのはかなり前の話で犯人は捕まらずに、いまだに犯行を続けている点が違う。
今のところローセが勝手に休暇を取り、代役として派手目な姉のユアサが勝手に捜査に加わっている(警察なんだけど、自由なの?)という展開の意味がわからない。
下巻で何かが起こるのか?期待 -
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どんどんダーク化が進んでいるラグナル・ヨナソン。その中でもあまりにダークすぎるスタートを切った女性警部フルダ・シリーズ第二作。第一作で読者側の概念をまず思い切りひっくり返すところから始めたヨナソンという作家は、本書でもフルダというダーク・キャラな中年女性警部をヒロインとして、彼女の出生の秘密に迫りながら、複雑に絡み合った人間関係のもたらす二つの事件を描く。
一方で孤立した別荘での殺人事件、さらにフルダが十年後に偶然担当することになった孤島での女性の謎めいた死のあまりに強い関連性に読者は、あっという間に引き込まれることになる。前作でフルダの運命に絡んだと言える、警察内部の悪辣な上司との絡み、そしてフルダの持つ不運とも言うべき試練のいくつかが並べられるに及んで、シリーズを覆う緊迫感はまたスケールアップするかに見える。
アイスランドという国の遥かさにまずは眼がくらみそうなのだが、作中で明かされる地名は無人島も含め、グーグルで検索することができるし、無人島なのに実際に建つ謎の別荘の画像は、一際目立つ状態で紹介されており、アイスランド在住の作家だからこそ書ける地の利は、警官三部作でもフルダシリーズでも紛れもなく表れている。
ましてやフルダは山登りを趣味とする孤独な中高年女性警察官であり、人口の極めて少ないアイスランドの大自然を前作ともども本作でも利用しながら、その絶海の雰囲気や孤立感を、人間世界の愚かな業(カルマ)に絡めてストーリーを構築しているように思えてならない。
全編、ページターナーでブレーキのかからない快作(怪作?)だと思うが、是非前作を読んでから本作を読んで頂きたいと思う。正常な神経の方であれば、さらに未だ見ぬ第三作から逆に読みたい(それでもどうやら楽しめるらしい)と感じるはずである。なぜ前作『闇という名の娘』のあまりにショッキングでフラストレーションのたまるラストシーンからこのシリーズを逆行しなければならないかの疑問は未だ解けていない。
本書のラストシーンは、そのフラストレーションを味わったものだけが感じられる深淵を覗き込むような感覚となるので、この響き合う谺のような奇妙で嫌な感じのシンクロ感を是非順番に読むことでしっかりと受け止めて頂きたい。 -
Posted by ブクログ
1978年10月、アイスランド西部フィヨルドへ秘密の週末旅行に向かう若い男女がいた。数日後、地元警察のアンドリェスは別荘で死亡している女性を発見する。
残されたセーターから彼女の父親が犯人と見たレイキャヴィーク警察のリーズルは、アンドリェスに嘘の証言させ、父親を逮捕する。
10年後、殺された彼女を偲んで4人の仲間が集まった。ベネディフト、アレキサンドラ、クラーラ、そして死んだ女性の弟・ダーグルだ。向かったのは、絶海の孤島・エトリザエイ。島にひとつしかないロッジで、4人は夜を過ごす。
その夜、ダーグルはベネディフトの何気ない思い出話に違和感を覚え、クラーラは暗闇に“彼女”の姿を見たと言いだすなど、次第に不穏な雰囲気に。そして翌朝、仲間の一人が崖から転落死しているのが発見される。
レイキャヴィーク警察から捜査に向かったフルダは、彼らから聞き取りを行ううち、10年前の事件に隠された、深い闇へと潜り始める。
やがて少女たちに起きた悲劇の真相が、フルダ自身の父の秘密とともに語られるのだが‥‥。
フルダの実父探しのくだりが、むしろ救いになっている。最後の最後はなかなか意味深であった。 -
購入済み
あっけない最後に絶句
もともと三部作の第一部がこの”闇という名の娘”だそうで、第二部以降は主人公ブルダの若い時代になるという。ネタバれになるので最後については書けないが、いわばどんでん返しのような舞台が用意されているので、読み手は、あれっ!そういうことなのかと驚くだろう。この作家が好きで全部読んできたが、常に次を期待させてくれる作家だと思う。アイスランドの風景も実によく描写されていて、すぐにでも行きたくなる。でも、常に死と隣り合せているような厳寒の地は、私のような軟弱者には、夏以外ちょっと無理だろうなあ。
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ネタバレ特捜部Qの三作目。ボトルメールで幕を開けるが、今回はローセの代わりに双子のユアサが参加する。
特捜部Qを二冊読んで、3冊目のこの本を楽しみにしていた。ずいぶん遅くなってやっと読んだ。
北欧ミステリの「ガラスの鍵」受賞に輝く著者の最高傑作!と紹介がある。では勢いに乗ってGO!だったが。600ページ近くますます大部になっていた。
何しろ、奇人変人の助手のアサドともローセともすっかり友人気分、カール警部補とは同僚気分になって話に馴染んできた。
今回はボトルメールが始まり。波に運ばれたビンの中の手紙なんてロマンかも。
ケヴィン・コスナーのあのかゆくなるような悲恋映画が頭の中に顔を出したりした。
海に囲まれたデンマーク、入り組んだ湾のコペンハーゲンならこういう話も生まれるのかな。
特捜部Qに、未解決だった誘拐事件の証拠品らしい手紙が入った壜が届いた。スコットランドの北端で仕事をサボって海を見ていた警察官が拾ったものだ。
手紙は痛んでいたがかすかに文字が読み取れた。
書き出しは「助けて」
アサドとローセはこの手紙を拡大コピーして壁に貼り、何とかして読み解こうとしていた。二人は何を話しかけても夢中で壁のコピーを見上げている。
カールはしぶしぶこの捜査をすることになってしまった、もうこの二人に、ほかの事件の捜査は無理だとさじを投げた。
カールの方は、よその管轄であったが連続放火事件の方が気になって仕方がなかった。
ローセは体調が悪く双子のユアサがやってきた、これもまたローセに輪をかけて変人だったが顔かたちはローセにそっくり、さすがに双子。幸いにアサドとも気が合って捜査が進んで行く。
手紙には差出人はPとだけしか読めなかったが、海辺の小屋に監禁された兄弟らしい。
アサドは例によって「可哀想な兄弟をわれわれが」と息巻いている。
一方、子どものいる夫婦がいた。夫は仕事を口実に長期に家を空けることが多かった。
妻は夫の粗暴さを危険だと思っていたが、彼(この夫)こそ、兄弟を誘拐して大金を稼いできた犯人だった。
デンマークにも国教とは別に巷には小さな閉鎖的な宗教が多くあった。その中でもひときわ外部から隔絶した秘密結社的な宗教団体がいくつもあった。
彼はその中から子沢山の信者を選び、最初に二人の子どもを誘拐、身代金を受け取ると一人を殺し一人を親元に帰していた。
信者同士は家庭内のこのような事件は他人には恥だとして隠していて、外部に死んだ子は破門して追放した、というのを知っていた。財産のありそうな家族の中に入り込み、子どもを狙った犯人は常に成功を収めてきた。
Pもこうして誘拐された、手紙を書いた兄は殺された、帰されてきた弟は家族から離れた家に住んでいた。
しかしやっとここまで辿り着き、あとを追って来たカールたちには、家族ともども閉鎖的で協力しない。
手紙は優秀な科学捜査部門の処理と、二人の助手の活躍でほとんど解読され、カールの鼻は、手がかりを少しずつ嗅ぎつけ、追いつめながら犯人に近づいていく。
大筋はこうだが、その中には犯人との知恵比べのような部分もある。犯人の過去も現在も事件に深く関わっている。
夫を怪しんだ妻の追跡劇もある。
一方なぜか連続放火の話が入る。話は次回まで続いて持ち越しということらしいが、こんな話はどうも紛らわしく、何のかかわりがあるのだろうと思った。
そんなこんなで、少し捜査が多岐にわたり、すっきりしない部分もある。
犯人が早くから登場する倒叙ものは、話に厚みがあるが、今回は追跡劇など少しハードボイルドな部分が多い。
三作の中では一番の出来だと、裏表紙の力の入った紹介も分かる、標準以上の作品で読んでよかったのだが、比べるとどうも前作二つの方が面白かった。 -
Posted by ブクログ
未解決事件を掘り起こし解決する正義の組織「特捜部Q」とは名ばかりな
厄介者刑事を地下に閉じ込めるために即席で、上司の予算目当てで作られた。
そして変人助手しかいない部署のメンバーが活躍する
シリーズの二作目
シリーズ全体の中でも、評価が低いらしい
(平均点は高い)
読んでみて、解説にもあったが、すぐに話の全体像がわかる。
一作目は過去と現在が入り組み、徐々に絡み合っていく構造だったこと。
社会的に地位のある人物たちが裏で結成した凶悪なグループと、それに復讐しようとする人物、そして主人公たちという構図が他の本でも出てくるパターンだったことでかなり困惑した。
前作のように期待してた劇的な展開はなく、本当に地道に真相を追うカール。
変人アサドくんの、暴走にツッコミを入れる。入れてるうちにもう一人の新人(こちらも変人)に悪態をつかれると行った具合。
楽しめたんだけど、真相がわかる分長く感じてしまった。
それでも主人公が重要な決断をしていた。
最後の一文が、全てを語ってる -
Posted by ブクログ
読み始めたら止まらないというのも、北欧ミステリの特徴なのかもしれない。本シリーズはアイスランド語から英語に訳されたものを日本語に訳した後、ようやく、ぼくら日本人の手に渡るという経路を辿るが、英訳化した出版社が、何とも頼りないことに、キンドル首位として有名になった作品から英語訳してしまったために、第一作→第五作→第二作と順番を前後させてしまい、シリーズとしての面白さを著しく損ねている。アイスランド語翻訳者が日本では希少なため、英語版からの邦訳となるから、英語圏出版社の通りの順番で書店に出回っているのが現状。作者にとっても読者にとってもそれはとても不幸なことだと思う。
北欧ミステリに関わらず、シリーズものには大きなシリーズならではのストーリー展開というものがある。とりわけ北欧ミステリは、人物の関連がシリーズの面白さの重要なファクターである。この大きな流れは一作一作の個々の謎解きの中ではなく、全体を通した大河の流れのように、個々の小さなエピソードという川が合流したり分岐したりして作り出されてゆくものだからだ。
その思いをより強くしたのは、第一作の後、キンドル売上が良く早めに翻訳されたという第五作に先に手をつけることなく、今春邦訳発売されたばかりの本作(第二作)を読み始めてすぐのことである。
第一作における主人公とレギュラーキャスト陣の流れをそのまま受けて、第二作ではそれぞれのその後の物語を紡いでいる。時にそれらは、第二作の主たるミステリプロット以上に重要な、シリーズの根幹に関わる要素となりそうで、さらにこの太い幹は、そのまま読者が甘受すべき本シリーズ最大の魅力であるように見えるからだ。
『太陽にほえろ!』で言えば、マカロニ刑事の登場を観た後に、彼の殉職を知らずして、いつのまにかジーパン刑事の主役物語を展開されてしまうのは酷ではないか? ということだ(いささか例えが古いのは、どうかお許し願いたい)。
そのくらい、読む順番とは重要なことなので、ぼくは二年も前に発売されているシリーズ第五作『極夜の警官』は、次の第三作、第四作を読むまで待つつもりである。たとえ一二年待たされようとも(宜しくお願いします>出版社&翻訳者様)。
さて、本書、主人公の若手警察官アリ⁼ソウルは、事件よりも前作より持ち越しの女性トラブルに悶々としている。この辺りのリアリティも本作独自の恰好悪さであり、それがまた良かったりする。土台カッコいいキャラクターなど、このシリーズには一人として出て来ないのだ。いずれのキャラクターも、何かの煩悩に引きずり回され、心理的葛藤を繰り返しながら、人口34万のアイスランドでは滅多に起こらないとされる犯罪の運悪い被害者は、あたかもその狂言回しのように、周囲の人間たちを真実の光で容赦なく照射し、世界を攪拌する。それらの動的に連関した個々のストーリーが実はとても良いのだ。
毎作毎に、レギュラーキャラが増えたり減ったりするのかどうか、今のところ不明だが、本書ではまさにそういう現象をも作者は示してくれている。シリーズの出だし二作目でこれほど掻き回し、人間たちの距離間を動かしてしまう作家というのは珍しいかもしれない。しかし、むしろそれを売りにするという点で、抜きん出た書き手、と言えるのかもしれない。
とにかく事件を軸として、人間たちを掻き回す。本書では、新しく極北の街にやって来るイースルンという女性が、まるでシリーズ・ヒロインのような存在感を見せ、事件の解決に対しても、実に重要な歯車の役割を果たす。同時に、ヒーローたるアリ⁼ソウルは、またも人生の重要な選択の局面に立たされる。連作シリーズとしての面白さとともに、白夜ミステリの流れもしみじみと楽しんで頂きたい。特に一作目では吹雪続きだった世界が、2年後の6月初夏を迎え、がらりと環境を変えている。極北の人口1200人の街は、首都レイキャヴィークのように、経済危機、噴火による火山灰大気汚染といった国家的マイナス因子から遠く、相変わらず美しい風景を見せてくれる。
極北という個性に、ミステリ、そしてそこに生きる人間たちの運命と、絡み合いが、心を釘付けにする物語。次作がとても待ち遠しい。傑作シリーズの一つであると思う。