【感想・ネタバレ】闇という名の娘~The HULDA TRILOGY #1:DIMMA~のレビュー

あらすじ

米国で映画化決定の北欧ミステリ!

レイキャヴィーク警察・犯罪捜査部の女性刑事フルダ・ヘルマンスドッティルは、“ガラスの天井”に出世をはばまれ、警部止まりで64歳の定年をむかえようとしていた。
ある朝フルダは、20歳も年下の上司に呼び出され、2週間後に部屋を明け渡すように言われる。フルダが担当している事件も、すでに他の者に割り振ったという。
残りの2週間、フルダに許されたのは、未解決事件の処理だった。そこでフルダは、1年前海岸で遺体で発見されたロシア人女性の再捜査を始めるのだが‥‥。フルダを悲惨な運命が襲う。

アイスランドの人気作家ラグナル・ヨナソンによるフルダ・シリーズ第1弾!
誰もが想像できない結末――読み終えてストレスがたまること請け合い(!)です。

元ワーナーブラザーズピクチャーズ(ワーナー映画)の社長グレッグ・シルバーマンが、本作(英題:The Darkness)の映画化を推進中。(2019年11月発行作品)

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

レイキャヴィークの警部、フルダ。定年間際で狭い部屋に一人暮らし。実はとても有能な警部なのに、出世が止まり、家族を失い、寂しい老後に絶望している。
そんな彼女が最後の事件を意地と沽券にかけて解決しようとする。憂鬱な始まりだが、フルダの人生やアイスランド女性の生きようをかいま見る中の、迫力ある展開でとても惹きつけられました。描かれる風景もすごい。

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2025年05月19日

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ネタバレ

死に際に自分の罪を回想するシーンがなんともやるせない。。。
まさかこんな終わり方するなんて。
シリーズがあるようなので楽しみ。

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2020年10月28日

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ミステリーなのだけれど、私小説な、定年退職後の、生活を思い描きながら、日々の暮らしと現在の、取り巻く壁に立ち向かう力が、丁寧に綴られていて、主人公の、気持ちに寄り添う事が、出来る。
限りある時間の中で事件解決に迫る主人公の最後は、重く心に残る作品でした

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2020年10月13日

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途中で挟まれるストーリーでフラグ立ちまくり!と思いきやミスリード。最後まで一気読み。堪能しました。アイスランドものはこれまで多々読んできましたが、特に今作の勢いは素晴らしいです。退職を控えたフルダの寂寥感、ひしひしと胸に迫りました。たった2日の出来事、最後の時間を駆け抜ける彼女と一緒にラストまで走った感があります。良かったです。「北北西、、」でアイスランドのビジュアルを目にしていますが、今作でも原始的で厳しい風景が目に浮かびました。いつか実際にその地に立ちたいです。上記解説によると、映画化するんですか!絶対見ます。

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2020年02月24日

Posted by ブクログ

テンポが良い。1週間の中の話なのかぁ。いくつかの事件がうまく絡んでいて読み応えもある。北欧独特の寒々しく閉塞的な空気感を味わえた。
最後そう持ってくのね…はじめてのパターン。

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2020年02月05日

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 一方の端からもう一方の端へと振れ幅の広さにまず驚く。

 昨年、アイスランドのシグルフィヨルズルという北極に最も近い漁村の警察官アリ・ソウルのシリーズに驚いたぼくは、この人の作品は書かれた順番に読もうと誓っている。なので、アリ・ソウル・シリーズも一作、二作という順に読んで、先に翻訳された五作目はそのまま手元にあるが読まない。この作品はこのシリーズの三作、四作と読んでから取り組むべきなのである。それを感じたのは一作から二作へ渡される作者の想いのようなものだと思う。時間というバトンは決して軽くない。作者はそれだけアリ・ソウルとシグルフィヨルズルの街を丁寧に扱いたいのだと思った。

 さてアリ・ソウルとは遠く離れて、本書はレイキャビークを舞台にした、64歳の女性刑事フルダ・ヘルマンスドッテルをヒロインとしたシリーズ開幕の物語である。若い二十代のアリ・ソウルとまるでできるだけ距離を持とうと企図したかのように、フルダはアイスランド一の、否、唯一の都市で警察人生を今にも終えようとしている定年退職直前の刑事なのである。性別も年齢も、アリ・ソウルからは遠く離れるべく設定したようにしか思えない。そしてこの作品のなんというフィニッシュ!

 どう見ても単独作品に見える本書は、実のところ三部作のスタートに当たる物語である。十代の頃に読んだ安部公房の『終わり道の標べに』の印象的な冒頭の文章を想い出す。

 「終わった所から始めた旅に、終わりはない。墓の中の誕生から語られねばならぬ。何故に人間はかく在らねばならぬのか?」

 何故なら本書は、フルダ64歳。定年退職を目の前に、自分の人生を振り返りつつ、未解決事件い挑もうとすう冒頭。しっかり描き切れてはいない未来設計。人生の終わらせ方を思いつつ、現役生活と仕事に未練を残す。そして古い古い過去の経緯。誰の物語かわからない断章が、現在のフルダの捜査の合間に二つほど語られてゆく。何が、いつの時代に、誰によって進行しているのか? その断章が現在の退職間際の事件捜査にどのように関わってゆくのか?

 未解決事件の謎と、フルダの謎と、それらとは別の物語らしきものも次第に明らかになってゆくという、たまらなく意味深な構成によって引っ張られてゆくその牽引パワーが物凄い。ラストは何となく想像できはしなかったものの、何ともノワールな作りに驚く。

 思えばアリ・ソウルのシリーズの方も十分ノワールの空気感に満ちているのだが、『湿地』その他のエーレンデュル警部シリーズシリーズで独特な世界観を描き出すアーナルデュル・インドリダソンの凄みのことも思うと、殺人事件が年に一回あるかないかという平和な小国アイスランドには、見た目以上に深い闇の奥行が齧られるし、何よりもそれを描き切る作家の上質さには、驚愕を覚えるばかりだ。

 相当優秀な作品で商業的にも売れないものであればまずアイスランド語で書かれた作品は英訳されず、世界に旅立つことができないし、英訳を日本語訳している現状から言えばこの作家はいくつもの言語的ハンディを背負ってこの物語を紡いでいる。そうした逆境だからこそ、この高いレベルでしかぼくらは読むことがない類の作品群なのである。何だかぞくぞくする。

 本シリーズは衝撃の結末を迎えるが、実は三部作の初篇ということで、二作目はフルダの50代、三作目は40代が遡るように描かれているのだそうである。その伏線らしきものを捜しつつ、眼をすがめて読んだ読書経験も、これまたとても不思議なものであった。次作への興味を繋ぐ深い深いエンディングに不思議感と期待感と二つ、我にあり、といった心境である。

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2020年02月03日

Posted by ブクログ

『ヴェラ~信念の女警部』が好き過ぎて、海外の女性刑事というと、頭の中で描くビジュアルがすべてヴェラになっちゃう。困ったもんだ。
それはおいといて。
とても面白かったです。訳者との相性がよかったのか文章はスルスルと読み易く、あまり馴染みのないアイスランドという国の美しい風景写真を眺めながら、あっという間に読み終わりました。

数か月後に定年を控えた女性刑事、フルダ。64歳。
いわゆるガラスの天井なるものに阻まれて、優秀だったにも関わらず警部どまりだったことに憤りを感じている。夫とは死別しており、今はひとり暮らしだ。
最近趣味の山登りで、素敵な男性と知り合った。穏やかな人柄で、暮らしぶりもよく、フルダに好意を持ってくれている。

フルダは、これからの人生が孤独なものであることに恐れを抱いており、同時に刑事としての自分のキャリアが、公平に評価されていないことに不満を感じていた。未来をバラ色にしてくれる恋の予感と、報われなかった過去の自分と仕事への未練。フルダはいつも心の中で、その2つを天秤にかけていた。
ある日、突然あと2週間で席を明け渡せと上司に言われたフルダは腹を立て、その2週間のうちに過去の未解決事件を解決して、みんなを見返してやろうと心に誓う。
そこで選んだのが、ロシア人女性の不審死事件だった。

フルダのプライドの高さが、彼女の内面の弱さと共鳴して綻びとなり、そのから危機へと落ちていく。驚きの結末へ真っ逆さまだ。
なんと3部作らしい。これがシリーズ一作目なんて!これを読んだ人は絶対続きを読まずにはいられないと思う。胸にある思いを抱きながら。

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2025年01月21日

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ネタバレ

謎解きは面白くテンポも良い。そして、あっと驚く結末。
充分に読み応え有り。
でも、作者の書きたかったのは、主人公の生い立ち、苦悩、苦境、孤独などなど、
どこ切っても辛く悲しく、そして憤り。
こうまで辛い人生でも刑事として自分なりの正義を貫こうとする姿勢は、立派だけど作者は更に捻りをいれてくる。
正義って見方によって、悪にでもなるし、悪い事をすれば、災厄が自分に返って来る
なんて、説教臭いけど、いわゆる因果応報ってことだね。
衝撃的なラストも、僕に皮肉が強すぎて、まるでコメディのように思えて、不謹慎だけど笑ってしまった。
ともかく、すげぇ~と思わせる作品だった。

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2023年10月09日

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ネタバレ

定年間際や定年後の刑事を描く物語というのは特に珍しくはないが、意に反し早期退職を迫られ良かれと思ったことが裏目に出て焦るあまりに墓穴を掘るという不幸の連続にはサラリーマンの読者であれば身につまされること請け合います。アイスランド語の原著の英訳本から翻訳しているので本当のところはどうなのか判らないが、陰々滅々だといえなくもない話なのに日本語訳では小学生にでも読めそうな拍子抜けするほど平易な文章なのが「いとをかし」

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2021年12月28日

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レイキャヴィーク警察・犯罪捜査部の女性刑事フルダ・ヘルマンスドッティルは、”ガラスの天井”に出世をはばまれ、警部止まりで64歳の定年をむかえようとしていた。
ある朝フルダは、20歳も年下の上司に呼び出され、2週間後に部屋を明け渡すように言われる。フルダが担当している事件も、すでに他の者に割り振ったという。
残りの2週間、フルダに許されたのは、未解決事件の処理だった。そこでフルダは、1年前海岸で遺体で発見されたロシア人女性の再捜査を始めるのだが‥‥。フルダを悲惨な運命が襲う。

初めて読む作家の作品。

唖然。

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2020年08月08日

購入済み

あっけない最後に絶句

もともと三部作の第一部がこの”闇という名の娘”だそうで、第二部以降は主人公ブルダの若い時代になるという。ネタバれになるので最後については書けないが、いわばどんでん返しのような舞台が用意されているので、読み手は、あれっ!そういうことなのかと驚くだろう。この作家が好きで全部読んできたが、常に次を期待させてくれる作家だと思う。アイスランドの風景も実によく描写されていて、すぐにでも行きたくなる。でも、常に死と隣り合せているような厳寒の地は、私のような軟弱者には、夏以外ちょっと無理だろうなあ。

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2020年03月10日

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一気読みした。孤軍奮闘の女性警部。途中に挟まれる話が、どんな結末に辿るのかと、見事にミスリードにはまった。

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2020年02月27日

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64歳の女性警部フルダ。定年を間近に控えているのに今すぐやめろと告げられる。そして最後の捜査。1人で追う不審死。そのなかで語られるフルダの心の内。これまでの人生と警察を辞めたあとの不安と期待。想いの中に揺れが感じられるのがいい。アイスランドの風景や寒さ、暗さもフルダの心情に重なっている。三部作らしくフルダの人生を遡るらしいので次作もすごく楽しみ。

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2020年02月20日

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ネタバレ

うーん、星3.5かな?
何しろ暗い。これぞダークアイスランド。
主人公は64才の定年間近の女性警部というのが、アリ・ソウルシリーズの読者にはまず驚き。

しかも、驚くべきことにこちらもシリーズものですって!

次作をぜひ読みたい、と思わせてくれるラストでした。

アイスランド…いいなぁ

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2020年01月11日

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定年退職を目前にした64歳の女性警部フルダ。上司から厄介者払いをされそうになるなか、過去の事件の再捜査を始める。
フルダは、誰も真剣に扱おうとしない、ロシア人女性の失踪事件を追い始め、犯人に辿り着くが、、、
ジェンダーや難民差別等の問題が、アイスランドの広陵とした自然描写と相まり、心に響く作品だ。
結末はすっきりせず、後味の悪さも覚える。三部作なので、次も読んでみたいと思う。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

舞台はアイスランド。
65歳の女性の警部が退職を迫られ、最後に未解決事件に手をつける。
難民許可を待つロシア人女性の自殺事件。殺人事件として追い始めると、売春容疑が出てくる。入国審査を担当する弁護士、ロシア語通訳、輸入業者と関係者はいるが決め手に欠く。
彼女の人生の闇と共に謎が解けてくる。
私小説的なサスペンス。
アイスランドの風景が新鮮で面白い。
ストーリーは進み方も嫌な終わり方も、好きじゃない。

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2022年08月06日

Posted by ブクログ

数日間の叙述が寒々しさをどんどん高めて行き、とてつもない閉塞感を募らせていく。何処までが現実なのか、どれが今の状況なのか・・並行して走る3本の線が どう収斂するのか、読むほうも幻惑されて行く。

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2021年12月06日

Posted by ブクログ

有能な女性警察官でありながら、<ガラスの天井>に出世を阻まれた主人公・フルダが定年間際に未解決事件の再捜査に乗り出すという粗筋。主人公が女性警官で年齢が64歳というのは中々珍しい。序盤は警察関係者のフルダに対する敬意の無さに同情の念を抱くものの、話が進むにつれ、彼女の傲慢さも目に付いてくる。海外作品にしては癖のない文体で、300頁超のコンパクトな作品だが、緊迫感が最後まで途切れない。思いもよらぬ衝撃のラストだが、まさか北欧版イヤミスだったとは。しかし、当面は続編(過去に遡る構成)を追う気になれなさそう…。

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2021年07月19日

Posted by ブクログ

アイスランド、フルダ警部、定年間近で退職を迫られていた。彼女が退職直前に選んだ未解決事件は、ロシアからの移民の死亡事件。自殺とされていたが、怪しい点が。単独捜査を進めると・・・

重厚長大な作品の多い北欧ミステリーにしては、あっと言う間、一日で読み終わった。

事件を捜査する側がそうなるのか!と驚くのと、早く読めて、まさかの「お手軽な」ミステリーだった。


※ネタバレ

うっかり殺人犯に接触してしまったフルダはどうやら殺されてしまったようだ。

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2020年11月24日

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