あらすじ
女性警部フルダ・シリーズ、待望の第2作!
前作『闇という名の娘』の衝撃のラストから遡ること15年。
女性警部フルダ・シリーズ、待望の第2作を刊行する!
1978年10月、アイスランド西部フィヨルドへ秘密の週末旅行に向かう若い男女がいた。数日後、地元警察のアンドリェスは別荘で死亡している女性を発見する。
残されたセーターから彼女の父親が犯人と見たレイキャヴィーク警察のリーズルは、アンドリェスに嘘の証言させ、父親を逮捕する。
10年後、殺された彼女を偲んで4人の仲間が集まった。ベネディフト、アレキサンドラ、クラーラ、そして死んだ女性の弟・ダーグルだ。向かったのは、絶海の孤島・エトリザエイ。島にひとつしかないロッジで、4人は夜を過ごす。
その夜、ダーグルはベネディフトの何気ない思い出話に違和感を覚え、クラーラは暗闇に“彼女”の姿を見たと言いだすなど、次第に不穏な雰囲気に。そして翌朝、仲間の一人が崖から転落死しているのが発見される。
レイキャヴィーク警察から捜査に向かったフルダは、彼らから聞き取りを行ううち、10年前の事件に隠された、深い闇へと潜り始める。
やがて少女たちに起きた悲劇の真相が、フルダ自身の父の秘密とともに語られるのだが‥‥。
警察小説としてだけでなく、刑事の人生を描く人間ドラマとして高い評価を受けた前作だったが、今作もその期待に充分に応える傑作だ。
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アイスランドのフルダ警部シリーズ2作目。前作の十五年前、フルダは家族の喪失に傷つきながらも、有能さを発揮している。十年前、20代の仲良し男女 5人組に何があったのか。事件を引きずる4人はどういう青春を送ったのか。フルダ自身の過去も絡めて解決の時が来る。
絶壁の無人島エトリザイ、露天風呂のある西部フィヨルドとアイスランドのすばらしい風景が描かれていて、行ってみたいなぁ。
Posted by ブクログ
『闇という名の娘』に続くシリーズ2作目。
このシリーズは、回を重ねるごとに過去に戻るのだ。
主人公のフルダ・ヘルマンスドッティルは、前作では定年間近だったが、今作では10数年遡り、まだ50歳。偉くなりたいという野心の炎は赤々と燃えている。
フルダという人間は、非常に頑固で扱いにくい一面がある。
それは彼女が幼い頃、ある理由から施設に預けられていたからなのか。
その頑固さ故なのか母親と心を通わせることができなかった。その人間としての不完全さが、彼女自身を傷つけているのではないかと思う。
起った事件についていうと、前回の話より今回の話のほうが分かりやすく、読みやすかった。
10年前に起こった、山の中の別荘で女の子が殺害された事件。捕まった犯人はなんと彼女の父親で、彼は獄中で自殺した。
10年後、その女の子の死を悼むために集まろうと、4人(男性2人・女性2人、うち1人は被害者女性の弟であり、犯人の息子である)が無人島を訪れるが、そこでまた死人が出てしまう。この事件は傷心の(あの悲惨な出来事が起こった直後だもの)フルダが担当することになった。誰もが何かを隠している状況の中で事件を解決するには、まず、10年前の事件に隠された恐るべき秘密を暴かなければならない。
フルダの父親についてのエピソードは特によかった。本当に知りたかった真実を手に入れることができない可哀相なフルダ。誰よりも優秀な刑事のはずなのに。
憐れに思えたし、ある意味滑稽にも感じた。
物語の最後に、これからの自分の人生や死について、思いを馳せる言葉すら。
Posted by ブクログ
ともかく、主人公が不幸過ぎる。そして事件の当事者達も酷すぎるな。この作家さんは残酷だよ。
ミステリーとして面白いが解決が少し安易かな?まぁ登場人物が少ないので犯人を推理するのは容易だった。
イヤミスみたいな物で、読後感の悪さはなかなかでした。
最後の主人公の願いも一冊目を読み終わってるだけに、凄い皮肉だ。
Posted by ブクログ
フルダシリーズ2作目。1作目の解説で、2作目の紹介が有ったのでフムフムと。
前回のフルダはいわば「人生の難破船」的精神状態。崩れ落ちて行く周囲の世界の合間でどこまでが現実やら、どれが現時点やら、こちらも雪盲状態?で読み終えた。この作家さん、独特の精神世界。センテンスの短さ、驚くほど文字数の少ない症候性で抜群の読み易さというか「読む絵本」的。
そうはいってもひしひし迫る冷たさと嘘寒い恐怖の高まりは今回も同様。
若返っているはずのフルダはなんか老成している感じ。
前作は夫との関係、哀しい娘の生涯が語られたが今回はフルダ自体の出生の秘密。
アイルランド版朦朧体とでも言えるかな。
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今作も面白かった!
娘の死についてあまり書かれていなくて残念。どうして感の鋭いフルダが気づかなかったのか?そしてどうやって知ったのか。。。
自作が待ち遠しい!
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読みやすい翻訳で、サクサク読めました。事件そのものよりも、いろんな人の裏の顔が見えるところが深いです。リーズルは○○としか言いようがありません。闇と、、を先に読んでるのでフルダの今後がわかってしまってますけど、辛い時期を過ごしてたんだな、と寄り添う気持ちが湧きました。そして、今回もアイスランドの風景に興味が湧きすぎてググりましたよ。事件の舞台となるエトリザエイ、なんてすごい場所なんでしょう!2時間ドラマもびっくりな断崖です。切り立った感じが素晴らしく、いってみたくなりました。高いところ得意じゃないですけど。
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シリーズの、2作目で、世代が、戻って50代!
前作で、定年間近、しかも闇を、背負っているフルダを、知っている私達読者に、彼女の出生の秘密を探る人生を、絡めながら、今回も、事件解決に、頑張る姿は、ただの警察小説ではない、奥行が、あって良かった!
早く、次が、読みたくなった!待ち遠しい!!
Posted by ブクログ
どんどんダーク化が進んでいるラグナル・ヨナソン。その中でもあまりにダークすぎるスタートを切った女性警部フルダ・シリーズ第二作。第一作で読者側の概念をまず思い切りひっくり返すところから始めたヨナソンという作家は、本書でもフルダというダーク・キャラな中年女性警部をヒロインとして、彼女の出生の秘密に迫りながら、複雑に絡み合った人間関係のもたらす二つの事件を描く。
一方で孤立した別荘での殺人事件、さらにフルダが十年後に偶然担当することになった孤島での女性の謎めいた死のあまりに強い関連性に読者は、あっという間に引き込まれることになる。前作でフルダの運命に絡んだと言える、警察内部の悪辣な上司との絡み、そしてフルダの持つ不運とも言うべき試練のいくつかが並べられるに及んで、シリーズを覆う緊迫感はまたスケールアップするかに見える。
アイスランドという国の遥かさにまずは眼がくらみそうなのだが、作中で明かされる地名は無人島も含め、グーグルで検索することができるし、無人島なのに実際に建つ謎の別荘の画像は、一際目立つ状態で紹介されており、アイスランド在住の作家だからこそ書ける地の利は、警官三部作でもフルダシリーズでも紛れもなく表れている。
ましてやフルダは山登りを趣味とする孤独な中高年女性警察官であり、人口の極めて少ないアイスランドの大自然を前作ともども本作でも利用しながら、その絶海の雰囲気や孤立感を、人間世界の愚かな業(カルマ)に絡めてストーリーを構築しているように思えてならない。
全編、ページターナーでブレーキのかからない快作(怪作?)だと思うが、是非前作を読んでから本作を読んで頂きたいと思う。正常な神経の方であれば、さらに未だ見ぬ第三作から逆に読みたい(それでもどうやら楽しめるらしい)と感じるはずである。なぜ前作『闇という名の娘』のあまりにショッキングでフラストレーションのたまるラストシーンからこのシリーズを逆行しなければならないかの疑問は未だ解けていない。
本書のラストシーンは、そのフラストレーションを味わったものだけが感じられる深淵を覗き込むような感覚となるので、この響き合う谺のような奇妙で嫌な感じのシンクロ感を是非順番に読むことでしっかりと受け止めて頂きたい。
Posted by ブクログ
1978年10月、アイスランド西部フィヨルドへ秘密の週末旅行に向かう若い男女がいた。数日後、地元警察のアンドリェスは別荘で死亡している女性を発見する。
残されたセーターから彼女の父親が犯人と見たレイキャヴィーク警察のリーズルは、アンドリェスに嘘の証言させ、父親を逮捕する。
10年後、殺された彼女を偲んで4人の仲間が集まった。ベネディフト、アレキサンドラ、クラーラ、そして死んだ女性の弟・ダーグルだ。向かったのは、絶海の孤島・エトリザエイ。島にひとつしかないロッジで、4人は夜を過ごす。
その夜、ダーグルはベネディフトの何気ない思い出話に違和感を覚え、クラーラは暗闇に“彼女”の姿を見たと言いだすなど、次第に不穏な雰囲気に。そして翌朝、仲間の一人が崖から転落死しているのが発見される。
レイキャヴィーク警察から捜査に向かったフルダは、彼らから聞き取りを行ううち、10年前の事件に隠された、深い闇へと潜り始める。
やがて少女たちに起きた悲劇の真相が、フルダ自身の父の秘密とともに語られるのだが‥‥。
フルダの実父探しのくだりが、むしろ救いになっている。最後の最後はなかなか意味深であった。
Posted by ブクログ
前作の衝撃的な終わり方が印象的だったので、2作目がまさかのさかのぼる作品とは、いやいや、ペコパに言わせたらそれもアルかもしれない❣️ミステリーそのものはイマイチだが、フルダを応援せずにはいられない。