吉田薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2014.2.28.2008年秋デンマーク政府がカメルーンのある地域で進める開発援助プロジェクトのリーダー、ルイ・フォンが殺される。外務省の上級参事官ヴィルヤム・スタークはそのルイ・フォンから意味不明のショートメッセージを受け取り、上司のレニ・E・イーレクスンに報告する。事情を知るレ二 はヴィルヤム・スタークを葬るために暗躍し始める。その2年後2010年秋、コペンハーゲンで物乞いをして1日を過ごした後、仲間と共に迎えの車の中にいた。マルコの叔父、ゾーラは一族の首領で暴力的な手段で子供たちを支配し、搾取していた。マルコはある日叔父がマルコを障害者にして稼がせようと父親に相談しているのを聞く。ゾーラはマルコの仲間であるミリャムを意図的に障害者にし、物乞いをさせていたのだ。盗み聞きに気づかれたマルコは逃げ出すが、すぐに気づかれ追われる。森の中に逃げ込み地面を掘って隠れるがそこには大人の死体があった。
カメルーンへのODAに関わる不正と、マルコが見つけたものが大きく関わり、マルコは行くていくてに追手をかけられる。マルコは逃げ伸びるのか。聡明なマルコの姿がいじらしく、一気に読ませる展開ですごくよかった。カールの恋愛譚は申し訳ないがあまり関心がなく読み飛ばしてしまったが。 -
Posted by ブクログ
のっけからカメルーンでの殺人事件が描かれる。そしてデンマークでは銀行頭取と外務官僚によるカメルーン開発援助プロジェクトに関わる不正が密やかに進行する。スケールの大きい事件ではあるのだが、いきなりステージは一転する。
イタリアから不法入国したジプシーのような犯罪一族の生態に作者のペンは向けられる。恐怖に虐げられながらスリや置き引きなどの犯罪に手を染める少年の一団が都市の中に散開している。彼らは脱出不能の悪のリンクに閉じ込められた人生を選ぶことのできない無力者立ちであるかに見える。その中でも腕利きで頭のいいマルコが、実は本書の主人公的存在である。
彼は、あることから見てはいけない組織の謀略の現場を目にしてしまい、夜の公園から独り脱出する。すぐに放たれる追跡者たちの群れ。マルコは逃走する。そう。本書は、たった一人の少年の逃走こそが最大の見せ場である。
特捜部Qの面々は、トリオの存在の上に、さらにひとり面倒なのが加わって、カール・マークは厄介な立場になりながら、徐々にマルコと、カメルーン失踪事件の真相へと、徐々に近づいてゆく。
読者だけがすべての経緯を知っており、はらはらしてゆくタイプのサスペンス。そこに子供が追われるというある古典的なモデルの活劇が主軸となる。これだけで面白さは保証されていると言えないだろうか。子供の失踪と言えば、映画で言えば『グロリア』、小説で言えばジョン・グリシャムの『依頼人』などが挙げられるが、どちらも強いオバサンに守られたいわばコンビものである。本書のマルコはその点あまりに孤独である。犯罪仲間の少年少女たちに心のつながりを求めるが、誰もが恐怖に支配されているために、マルコを裏切らざるを得ない。構造悪による子供たちの悲劇、なのである。
全体としてシンプルな作りだが、だからこそ手に汗握る活劇が散りばめられた、シリーズ屈指の快作であるように思える。このシリーズを一冊だけ読みたいという人に対してはぼくはどの作品でも自信を持ってお勧めすることができるのだがが、少年マルコの活躍ぶりを見ていると、特に世の女性に対しては、この作品を母性本能に訴えるという意味で一押しになるのかもしれない。
しかしアサドの猪突猛進ぶりと、ローセの母性本能、それらの個性とのらりくらり戦法で対決しつつ、奇妙な居候たちとの家庭問題にも頭を悩ませねばならないカール・マークの人生、いつもながらに嬉しく心強い特捜部Qとの再会が毎度嬉しい本当の意味でのシリーズらしいシリーズなのである。 -
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ネタバレカールとゆかいな仲間たちにまた会えた!
今回は魅力たっぷりの少年、マルコがメイン。
シリーズで読んでいるとアサドやローセももちろん、家の住人たちも顔見知りのような気がしてくるのでホンのちょっとしたことも気にかかってしまい丁寧に舐めるように読んでしまう。
それぞれの人間たちの抱える闇までもが見え隠れしてきてまだまだ目が離せない。光も見えるし。
カールの女性遍歴(!?)もまだ続きそうだし、読み終えたばかりなのに次の本が楽しみでなりません。
それにしても今回は主人公マルコの出会うスリルと並行して様々な大人たちの遭遇する不幸に仰天しっぱなしでゆかいな仲間たちのキャラにいまいち踏み込めなかったのが残念。もしもこの5冊目から手に取った人がいるとしたらずいぶん不親切な進行だなぁとしみじみ。一冊目から熟読していた幸いにニンマリ。 -
購入済み
特捜部Qの2作目です
1作目を読んで、このシリーズは意外な動機に、意外な殺し方を読ませるミステリーだと(勝手に)思って今作を読むと、動機も殺し方もありふれていてちょっと残念でした。おもしろくて読み始めたら止まりませんでしたが。次作はどんな話になってるのか気になるので早く電子書籍化してください。
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Posted by ブクログ
デンマーク・スプロー島
1923年から1961年までこの島には女子収容所が実在しました。
収容所には法を犯した者を始め、当時の倫理観にそぐわない者や軽度知的障害者とされた女性が収容され、彼女たちが収容所から出ようとすれば、不妊手術を受け入れなければいけませんでした。
特捜部Qシリーズ第4弾の本書はこの収容所と現在の移民排斥運動を背景に、優生学思想に染まった者たちと彼らの被害者の個人史を描いたものとなっています。
他のシリーズ既刊が凄惨なストーリーの中にも希望やユーモラスも感じる事が出来る中、本書は全面グレイに覆われており、自身の少年時代にも人道主義の名のもとにこの収容所が実在していたと言う事実から受けた著者の衝撃の程がうかがい知れます。
【あらすじ】
人口500万人のデンマーク。
同国において20数年前、失踪事件が不自然な頻度で起きていた事に気付いた特捜部Qはこの連続失踪の影に何らかの犯罪が存在しないかと疑い、捜査を開始する。
失踪者たちの共通点を探る彼らはやがて元収容者の女性にたどり着く。
しかし、同時にその優生学思想を強く批判されている政治団体「明確なる一線」を刺激し・・・
偏見に基づき他者を不妊化する。
日本におけるハンセン病療養所を連想させるストーリーです。
北欧系のミステリーはこれまで何冊か読んできましたが、読んだ全てが何らかの社会問題がテーマに含まれており、ただの「ミステリーの為のミステリー」にはなっていません。
「ミステリーの為のミステリー」も勿論良いのですが、本書の様なミステリーを読むと果たしてそれだけで良いのか?と。
私がその存在を知らないだけかもしれませんが、日本人作家による社会問題を深くえぐるミステリーを読んでみたいです。 -
Posted by ブクログ
アイスランドが舞台のミステリー。
アーナルデュル・イントリダソンのエーレンデュル捜査官シリーズが大好きで、同じアイスランド作品ということでワクワクして読みました。
本作は都会レイキャビックから故郷の田舎町アークラネスに訳ありで戻ってきた女性捜査官が主人公です。
もうその設定だけで、町の閉塞感と人間関係の濃厚さが想像できて息苦しくなってきます。
死亡した女性の過去を遡るにつれて、被害者と加害者が入り交じって曖昧になって行くように感じました。最後、ちょっとスッキリしないのは悪いのは犯人だけなのか?という問いかけなのかも知れません。次回作に期待も込めて星4を付けました。