吉田薫のレビュー一覧

  • 警部ヴィスティング 悪意

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    裏表紙の粗筋を読んで違和感を覚えた通り、今作は過去三作品に類を見ない派手な脱獄シーンから物語が始まる。勿論、堅実かつ丹念な筋運びは健在で、徐々に犯人へと肉迫する警察小説の醍醐味は十分に味わえるのだが、持ち味でもあった良い意味での地味さは薄れ、悪意を纏った犯人達のある種ステレオタイプな人物造詣に人間味も悲哀も感じられず、このシリーズならではの特色が希薄になった為、些か物足りない仕上がり。今作から訳者も変わり、翻訳も英訳版からの重訳となっているが、四部作完結編となる次巻以降の邦訳はやはり期待薄なのですかね…。

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    2022年04月20日
  • 特捜部Q―キジ殺し―

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    未解決事件を掘り返すデンマーク警察の活躍。シリーズの2作目。
     
    未解決事件を扱うはずが、なぜか犯人が服役中の解決済み事件がデスクの上に。
    調査を始めてみると。

    うん。今回は正直いまひとつでした。
    大きな展開や謎やドキドキもなく600ページはキツい。
    次作に期待しとこう。

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    2022年04月02日
  • 特捜部Q―知りすぎたマルコ

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     シリーズ第5段です。デンマーク警察の地下に掃き溜めの特捜部Qで、カールとアサド、ローセンの変わり者トリオが活躍する警察ミステリーです。

     今回は、カメルーンへの政府開発援助を背景にした横領と、デンマークで不法滞在の窃盗グループが事件の柱です。

     マルコは、窃盗団から逃亡する途中で偶然に埋められた死体を見つける。この発見がきっかけになり窃盗団リーダーのゾラの残虐さと、デンマークの政府と銀行の横領事件に繋がって行く。

     今回も、意味不明な言動のアサドとカールの遣り取りは漫才チックで面白い。後半は場面が刻々と変化しアクションミステリーの様です。不法滞在者のマルコや横領犯の妻と娘に対する法や規則を無視した優しい配慮はこのシリーズの定番です。次作も期待出来る内容でした。

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    2022年02月18日
  • 特捜部Q―カルテ番号64―

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     シリーズ4作目、デンマークの窓際刑事2人と変わり者アシスタントが地下の特捜部Q部屋で未解決事件に挑む物語りです。

     時代設定は、2010年11月ですが25年前の1985年11月に妻の暗い過去がクアト・ヴァズによって暴かれたその晩に夫婦の乗った自動車が事故を起こし夫は即死、妻ニーデ・ローセンは生き延びた。ニーデは、結婚前に売春宿で働いていたが宿の女主人リタ・ニルセンが1987年に失踪しカールの有能なアシスタントで二重人格者のローセ・クヌスンが未解決事件として取り上げた。事件を見つけるのはいつもローセの仕事になっていた。

     25年前には更にリタが失踪してからの2週間で5人が失踪し、全員がニーデに呼び寄せられたのだった。ニーデは、人種選別の為に非合法な強制中絶や強制不妊手術を行なっている医師で政治活動家のクアド・ヴァズに人生を滅茶滅茶に破壊され復讐に執着していた。

     ストーリーは、現在(2010年)の捜査の進行と25年前の失踪に関わる事件と、その事件の発端となった更に15年程前のニーデやヴァズと失踪した人達の過去が綴られる。終盤ではっとする展開が起きるものの、始終暗く陰惨なストーリーだが最後の最後でこのストーリー登場人物で唯一、情と心を持った人がこの荒れた物語を引き締めてくれたのがとても救いだった。

     特捜部Qのメンバーは、個性的だ。ボスのカール・マークは、離婚同然の生活ながら妻の連れ子の面倒や不随となった元同僚を自宅看病しながらも、新しい恋人モーナに心を奪われてまるで高校生男子の様な繊細さだ。シリア人で過去が謎のアサドは優秀なアシスタントだが言葉が堪能では無く、頻繁にカールから指摘を受けるが、このやり取りとカールの心の叫びが面白い。

     本作は、シリーズ4作目ですが作者は10作で完結と発表してますのでまだまだ楽しめます。

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    2022年01月17日
  • 特捜部Q―キジ殺し―

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    ネタバレ

    残酷すぎる。
    特捜部のカールやアサド、ローセの軽妙なやりとり、そして活躍に救われるけど、それにしても悪魔のようなキミーも、不幸な生い立ちに少し可哀想と思ってしまった。最後が酷すぎる。

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    2021年12月01日
  • 閉じ込められた女

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    フルダシリーズの完結編。アイスランドの厳しい気候、吹雪で遮断された一軒家での怖さがひしひしと迫ってくる。季節の特徴を背景に寒々とした闇の広がりが伺える。

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    2021年09月20日
  • 特捜部Q―キジ殺し―

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    コペンハーゲン警察が舞台のミステリー。20年前の殺人事件を再捜査することになったカールとアサド。経済界のエリートたちと、仲間だった女にたどり着く。残酷な展開ではあるが、ストーリーに引き込まれる。ローセ登場の回。

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    2021年09月12日
  • 闇という名の娘~The HULDA TRILOGY #1:DIMMA~

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    有能な女性警察官でありながら、<ガラスの天井>に出世を阻まれた主人公・フルダが定年間際に未解決事件の再捜査に乗り出すという粗筋。主人公が女性警官で年齢が64歳というのは中々珍しい。序盤は警察関係者のフルダに対する敬意の無さに同情の念を抱くものの、話が進むにつれ、彼女の傲慢さも目に付いてくる。海外作品にしては癖のない文体で、300頁超のコンパクトな作品だが、緊迫感が最後まで途切れない。思いもよらぬ衝撃のラストだが、まさか北欧版イヤミスだったとは。しかし、当面は続編(過去に遡る構成)を追う気になれなさそう…。

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    2021年07月19日
  • 血の間隔 単行本版 2巻

    購入済み

    綺麗事では済まない

    漫画において、知的障害者は過剰に美化して描かれるものだが、本作にはそれがない。手のかかる、可愛くない妹…自分にもかつて知的障害のある弟が居たが、周囲が気遣って彼の行動を美化するのが本当に気持ち悪かった。過去形なのは、その知的障害者の身内が他界したからだ。

    身内なので弟が他界した時は当然悲しかったが、年月が経つにつれてホッとしている。年々弱ってゆく親が、弟の面倒を看続けられたとは思えないのだ。生きていたら「頼むから死んでくれ」と思っていたかもしれない。

    自分が結婚した時、弟に言われたことは
    「子供が産まれても実家に連れて来ないでくれ。殺してしまうかもしれないから」
    というゾッとする言葉だった。言われなくても我が子を連れて行くなんて恐ろしくて出来なかったが。
    弟は自分の面倒を看てくれると当てにしていた人間が、結婚して家庭を持つのが腹立たしかったようだ。
    知的障害者は天使ではない。嘘もつくし、残酷な言動もする。知恵が足りない分、エゴを隠すことが出来ない。

    私も弟に消えて欲しかったし、消えてくれてどこかホッとしていた。
    非情だと思う人は、いつ「犯罪者の身内」になるか分からない恐怖を一度味わってみたらいい。
    大切な我が子に、知的障害者の身内が憎悪や殺意を持っている恐怖を一度経験してから説教して貰いたい。
    障害者を天使のように描いた作品は、正直苦手である。その方が差別だと思うからだ。障害者は天使でなく人間である。自己保身の為なら、健常者よりもエゲツない言動をする。
    この作品は、そこを忌憚なく描いておりリアリティがある。
    星が少ないのは、個人的に知的障害者の身内を思い出して辛くなったからで、客観的にはもっと高く評価している。

    障害者を天使のように描いている漫画を読むと反吐が出る気分になる。
    もっと現実みろと言いたい。

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    2021年03月20日
  • 合格対策Microsoft認定AZ-900:Microsoft Azure Fundamentalsテキスト&問題集

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    実際の試験は日本語の意味を読み解くのに頭を使いました。
    書籍にも書かれておりましたが、実際Azureを触れてる方向けの本なので、触れたことがない方がこの書籍だけで合格するのは難しいと思われます。

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    2021年03月04日
  • 臨終の要塞 分冊版(1)

    購入済み

    懐かしのアウターゾーンを久々に見た気がする漫画

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    2021年02月17日
  • 喪われた少女

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    前作の衝撃的な終わり方が印象的だったので、2作目がまさかのさかのぼる作品とは、いやいや、ペコパに言わせたらそれもアルかもしれない❣️ミステリーそのものはイマイチだが、フルダを応援せずにはいられない。

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    2020年11月13日
  • 闇という名の娘~The HULDA TRILOGY #1:DIMMA~

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    アイスランド、フルダ警部、定年間近で退職を迫られていた。彼女が退職直前に選んだ未解決事件は、ロシアからの移民の死亡事件。自殺とされていたが、怪しい点が。単独捜査を進めると・・・

    重厚長大な作品の多い北欧ミステリーにしては、あっと言う間、一日で読み終わった。

    事件を捜査する側がそうなるのか!と驚くのと、早く読めて、まさかの「お手軽な」ミステリーだった。


    ※ネタバレ

    うっかり殺人犯に接触してしまったフルダはどうやら殺されてしまったようだ。

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    2020年11月24日
  • 喪われた少女

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    ネタバレ

    前作の衝撃のラストが忘れられない老境の女性警部の闇を遡るシリーズ第2作、15年前50才。

    暗い。どんどん暗くなって、ぜんぜんすっきりしない。イヤミスか!と言いたくなる。面白いので次作も読みたいですが。

    アイスランドに行きたくなる度は今回は低め。

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    2020年10月09日
  • 臨終の要塞 分冊版(1)

    ネタバレ 購入済み

    うーん・・・どういうコンセプトなのか、ちょっとわからないなあ・・・懲罰的なと最初思ったけど、情緒酌量余地ありそうなのに、そのままだったりもするし・・・

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    2022年09月28日
  • 特捜部Q―Pからのメッセージ―(下)

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    ネタバレ

    テーマは家族、復習、神への挑発。解説で評者は「混沌」と言っていたが、重いテーマが幾重にも重なったストーリーをうまく表していると思う。
    犯人の動機を過去と現在をテンポよく行き来し、決して優秀ではないがしぶとく昔気質のカールとおとぼけアサドたちがストーリーに活気を生む。今回新登場のユアサは傍若無人な振る舞いながらもボトルメッセージの謎解きに大いに貢献し、今後のシリーズにも重要な役割を果たしそうだ。
    決してハッピーエンドにはならず、重い余韻を残して終わるのもこのシリーズの特徴。
    予定調和に陥らないよう今後のシリーズに期待したい。

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    2018年12月09日
  • 特捜部Q―キジ殺し―

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    シリーズ第二弾。前作は物語の全容が中々判明しない謎解き要素の強い作品だったが、本作は序盤から各々の立ち位置が明確な為、今一つ精彩に欠けるのだが、後半は追う者・追われる者・特捜部Q、三つ巴の攻防戦が楽しめる。可能性を片っ端から当たる捜査や、近づく度に手から零れ落ちる真実など、警察小説の醍醐味は充分あるものの、犯人チームが模範的なサイコパスゆえに深みがなく、それを追う側のキミーも所謂同じ穴の狢でゲストキャラクターに魅力が全くない。散々引っ張りに引っ張った挙句に力技で畳んだ結末といい、不完全燃焼感ばかりが残る。

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    2020年03月11日
  • 特捜部Q―Pからのメッセージ―(下)

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    12月-2。3.5点。
    下巻に入り、本筋の誘拐事件が一気に進む。
    一気読み。さすがに面白い。
    連続放火も一気に進む。
    助手たちのキャラもクセがありながら面白く、飽きさせない。
    次作も期待。

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    2017年12月06日
  • 特捜部Q―Pからのメッセージ―(上)

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    12月-1。3.5点。
    Pで始まる人物が、SOSの手紙を書き、ボトルへ。
    海で発見され、特捜部Qの捜査対象に。
    同時に起きた連続放火殺人と共に、捜査していく。

    上巻は、本筋よりも助手たちのサイドストーリーが目立ち、少し時間かかった。

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    2017年12月06日
  • 特捜部Q―カルテ番号64―

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    複数視点の名手という呼び名が献じられるほど、その構成が繰り返し使われる特捜部Qシリーズ。第四作にあたる本作も2010年11月(現在)と1987年8月(二十三年前)で、二つの視点を交互に使い分けている。現在時の方は、カールとアサド、それに今回は現場にも同行するローセたち特捜部Qの面々が、同時期に行方が分からなくなった複数人物の未解決事件の捜査を行う。過去の時点で描かれるのは、一人の女性の人生を崩壊させることに係わった五人の人物への復讐劇だ。

    冒頭に置かれた屈辱的な情景が痛ましい。今は上流階級の一員に収まっているニーデが、パーティーの席上で偶然再会したクアト・ヴァズという産婦人科医に、淫売と罵倒された挙句、夫の目の前で知られたくない過去を洗いざらいぶちまけられる。ニーデは過去に複数の中絶経験があり、クアトに不妊手術を受けていた。帰りの車内、夫から別れ話を持ち出されたニーデは横から手を伸ばし、ハンドルを思いっきり切り、車は海に落ちる。

    今回主題となるのは優生学思想。ナチスがユダヤ人を大量死させたのと同じ思想だ。ある特別な種に価値があり、他の劣等な種と交雑することによって、優等な種の価値が劣化すると考え、劣等と考えられる人種や知的その他の障碍を持つ人々の増加を阻止する目的で、中絶や不妊手術を行うことで知られる。本作において、その思想を体現する男がクアト・ヴァズ。ニーデの人生を狂わせたこの男は、今や<明確なる一線>という政党のリーダーとして議会に議席を獲得する勢いを持つ。

    過去と現在に二つの視点を置き、一方では非情な経験によって人生を狂わせられた人物が、相手に対して行う復讐劇を犯人側の視点で語り、もう一方で、過去に行われた未解決事件の謎を解き、犯人逮捕を目指すカールたち特捜部Qの活躍を描く、というのがこの作家の常套手法。陰鬱で悲惨な過去に対し、カールを取り巻く仲間たちのドタバタ劇は笑劇タッチで描かれるのもお定まりの約束になっている。シリーズ物らしく、カールにつき纏う未解決事件の謎は少しずつ解き明かされるが、逆にその闇は深まるばかりだ。

    警察小説としての特捜部Qは、家庭内にトラブルを抱えながらも、カウンセラーのモーナと良好な関係を築きかけているカール。いまだその正体は不明ながら、格闘にも捜査にも抜群の実力を持つシリア人のアサド。父親の死のトラウマのせいで、時に解離性同一性障害を引き起こし、妹ユアサの人格と入れ替わるローセが主要メンバー。それに、全身麻痺の身をカールの家で介護を受けるハーディや署内の食堂を経営する腕利きの元鑑識官ラウアスンらが力を貸す、といったチーム物の要素が強い。最後に命を脅かす危険な目に合うのもいつものことながら、シリーズ物の宿命として結果的に命は助かる。

    それに対して、犯人側に視点を置いた犯罪小説としての要素は、これが北欧ミステリの特徴なのかどうか、他の作家の作品をあまり読んでいないのではっきり分からないのだが、正直いつも陰惨極まりない。今回の場合、ニーデはまともな教育を与えられず、性に対してあけすけな環境で育てられたことから、少女のうちに妊娠し、流産する。世間体を苦にして他家に預けられ、そこでもいじめられ続ける、という悲惨な経験を持つ。

    理解のある夫婦によって識字教育を受け、立派に社会に出ることになるが、幸せな結婚生活は過去を知るヴァズによって壊される。夫の遺した遺産でひっそりと暮らしていたニーデを復讐にまで追い込むのはやはり過去の因果だ。正気を疑う復讐の方法は相変わらず猟奇的で正視し難いが、正直なところ、今回の犯人をあまり憎むことができない。殺害に至る計画はずさんだし、その方法もあまりにも素人臭く、到底うまくいくとは思えない。しかも、一人の相手に対しては殺害に及んだことを後悔すらしている。まあ、だからこそ赦してやりたくもなるのだが。

    蛇足ながら、ニーデが送られたことになっているスプロー島の矯正施設はほんの五十年前まで実在していたという。福祉が充実し、女性の権利にも敏感な北欧の国デンマークでそんなことが行われていたとは。シリア人のアサドや心に傷を負うローセがいつになく真剣に怒っているのが作家の意識の有り様を物語っている。宗教や民族による差別に加え、人種や障碍の有無によって人の優劣を比べ、それを政治に持ち込むなど、あってはならないことだが、日本でもヘイト・デモを繰り返した集団が政党を立ち上げるなど、他人事ではない。

    毎回ほぼ同じ構成を使いまわしながら、よく次々と書けるものだと感心する。同工異曲といわれることを知ってか、今回は最後にどんでん返しが用意されている。他の人気作家ではよく見かける、この手法、この作家にしては珍しい。伏線もあるので、注意深い読者なら見破れるのではないか。ミステリ読みとしては二流を自負する読み手としては、先を読みたくて急ぐあまり、つい読み飛ばしては後で臍を噛んでばかり。でも、考えようによっては、作家の仕掛けたトリックにうまくひっかかって悔しがるのは、この種の読み物の正統的な読み方ではないだろうか。そんな負け惜しみをつぶやきながら、次回作に手を伸ばすのである。

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    2017年03月25日