打海文三のレビュー一覧

  • そこに薔薇があった

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    短編集かと思いきや、最後の章で連続殺人事件の様相を呈してくる。
    魅力的な女性と新たな恋の予感にときめく男性が次々と命を落としていく。
    殺される瞬間まで、恋愛小説かと思わせる筆力、かわされるスタイリッシュな会話はさすが。

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    2011年10月29日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    再び椿子に視点を変えた下巻。人種差別主義の軍隊の勢力が台頭する中で、パンプキン・ガールズは恐れることなく立ち向かっていく。
    と言っても、家族を養うため・自分の食い扶持を稼ぐために戦う孤児部隊とは違って、椿子たちの戦争への参加のスタンスはあくまで自主的。暴力をふるえるという理由で終わりの見えない戦争に参加し続ける椿子。いつか海人が言っていた「戦闘もビジネスもセックスもあんなにでたらめなのに、あんなにみんなに好かれている女の子を、俺は知りません」という言葉を思い出した。
    内戦の様子や細部が分かりにくかったりという悪いところもあるけれど、この作品を主に海人や椿子たちの成長を描いたものとして楽しんでい

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    2011年10月25日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻とは視点を変えて、戦争を終わらせるために女の子のマフィア「パンプキン・ガールズ」を率いて戦う月田姉妹を描く。
    海人のように軍隊の一兵隊として戦うわけではなく、あくまでもマフィアとして、他のマフィアや武装組織と闘うところが面白い。上巻よりも複雑に入り乱れた戦況ながら、時には放蕩の限りを自由気ままに楽しみ、またある時には勇猛果敢に戦う月田姉妹は自分にはあまり馴染まなかったものの、興味深いキャラクターだった。
    最後の結末はかなりの衝撃を受けた。第二部も楽しみ。

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    2011年10月14日
  • ハルビン・カフェ

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    こりゃノワールだ。久々に密度の濃い小説を読んだ。 プロットが複雑だし、登場人物は多い。最初は通勤中に読み始めたが、「これは集中力がいるな」と 家で読むのに切り替えた。

    読み応えがあって面白かったんだけど、 なにしろ登場人物が多すぎて焦点が絞れていないため、メイン格の人物に感情移入ができず、物語としての訴求力を欠いてしまった。残念。

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    2011年10月03日
  • ハルビン・カフェ

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    物語の密度が濃くて展開も早いのでよく覚えておかないとコレ誰だっけ…ってなる。裏切り、裏切りで先を予測させてくれない。もう一回読みたい気分にさせる小説だ。

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    2011年10月02日
  • ぼくが愛したゴウスト

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     11歳の、単純で臆病でぼんやりした少年・翔太は、ある日コンサートの帰りに電車事故に遭遇する。その後少しずつ今までと世界が違っていることに気づく翔太。
     翔太が迷い込んだ世界はなんなのか。元の世界に戻ることはできるのか。

     またも作風が今まで読んだものと違う!強いて言うなら「ロビンソンの家」に近いと思うのは語り手が少年という共通点があるからかな。
     前半はゆるやかに少しずついつもと違う世界が描かれ、中盤ではスピード感のあるシーンが多く、そしてまたゆるやかな世界に戻っていくジェットコースター感が読んでてはらはら楽しかった!
     終わり方はタイトルも相まって、なんだか物悲しかった。

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    2011年07月13日
  • ぼくが愛したゴウスト

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    11歳の少年が迷い込んだ幻影の世界。
    ちょっと切ないパラレルワールドでの出来事。
    絶妙な主人公の年齢設定(^_^)
    主人公が中学生とか高校生になってしまうと、主人公・翔太のように順応は出来んかったんじゃないかなぁ?
    それにしても、【心がない】状態って、、、。
    どんな感じなんやろう?

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    2014年08月04日
  • ロビンソンの家

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     "ぼく"には順子さんという母親がいた。順子さんは、死んでしまった。正確には行方不明だが、状況から考えて自殺だと父親からそう説明されていた。
     順子さんやぼく、それに1部の親族が住む予定だった家・Rのを訪ね、従姉妹や伯父と出会い、様々な方向からの話を聞き、真実に近づいていく。

     ――十七歳の少年の成長小説。
     ――母親の自殺の謎を追うミステリ。
     ――猥談。
     どれも正解であり、どれも不十分である。(解説より)
     とあるように、ひとことではなかなか言い表せない。
     打海さんの作品はこれが初めてだったんだけど、なんでしょう、この村上春樹感!!にもかかわらず、すごいって思わさ

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    2011年06月21日
  • 裸者と裸者 孤児部隊の世界永久戦争(1)

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    これは良いコミカライズ。

    「裸者と裸者」漫画版。1話は海人が常陸軍に入隊してからしばらく経ったあたり。


    絵面が平野耕太っぽい。でもキャラはコミカルに書かれている。このギャップが裸者裸者っぽくて良い。やってることはどうしようも無く戦争なのに、海人の視点を通して見ると妙に安心感があるこの感じ。

    俺が見たかったシーンはほぼ再現されていて、特にシンクンの弟誘拐~変態中隊長の暗殺までの力の入れようは非常に嬉しい。例のレイプ云々の会話にもコマを割くあたり作者は分かっていらっしゃる。

    引き続きチェック。

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    2011年05月09日
  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

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    後からボディブローのように効いてくる小説。
    最高級洋菓子のような、新鮮な果物のような小説。
    あまねく修羅場ってのは失恋に起因しているのかも知れない。
    またそのうち読み返してみたい。

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    あなたも私と同じことをして私のところまで堕ちてきてよ。
    人が死ぬシーンよりもこの台詞に最も修羅場を感じた。

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    2011年03月20日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻は、男の子を中心とした物語でしたが、下巻は上巻にも登場していた双子の姉妹を中心とした物語になっています。この上下の分け方は面白かったなぁ。クールなレディースギャングのボスとなった二人ですが、19ページのたった数行がものすごく切ないです。

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    2011年09月20日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    かなりぶっ飛んだ設定の物語ですが、内乱状態にある国は実はこの物語世界のようなのではないかなぁ。敵味方が時々入れ変わったり同じ軍隊にも分裂があったりと少々ややこしいのですが、気にせず少年を中心に読んでみました。怖くて切なくてドキドキしながら通勤電車で一気読みでした。

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    2011年09月20日
  • 愛と悔恨のカーニバル〈新装版〉

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    破滅に向かい加速を始めた翼。
    自らの手を汚してまで彼自身のの激動を
    突き動かす正体は一体何なのだろうか。

    撃鉄を起こしてしまった愛しい恋人を
    姫子は残酷な恋の行方を黙って見守るしかないのか。

    人間のタブーを犯し自らの崩壊を委ねる翼。
    それでも姫子は尚も翼を愛しく想う。

    禁じられた欲望、断念した恋。
    翼は夢の王国への歩みを止めない。

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    2010年09月07日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    戦況が目まぐるしく変わり、しっかり読んでないと置いていかれるので、なかなか時間がかかります(笑)
    でも面白いので引き込まれてつい読んでしまう。

    上巻は解説にある通り、海人の成長物語。個人的には下巻がメインかと。政治色が強くなり、いろんな組織の理念・思想や思惑が絡みあう非常にカオティックな展開。
    あと、登場人物がみんなしてカッコよくなる。白川、イリイチあたりは下巻の方が断然かっこいい。

    『聖書はレトリックの宝庫』みたいなセリフが出てくるけど、この小説自体もレトリカルなフレーズ満載。
    『統合はつねに差別の構造の再編強化』とか、ラストの死体屋の言葉とか、つい立ち止まって考えてしまう。

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    2010年08月24日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    <応化二年二月十一日未明、“救国”をかかげる佐官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は“救国臨時政府樹立”を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、まだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した―。 >後半各々のキャラがたってかた頃からは一気に読まされた。他に似たものがない希有な物語だと思う。(以下若干ネタバレ→)雅宇理に読み書きを教わって、海斗とセリフに初めて漢字が出てきたところが妙に感動した。それと雅宇理は

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    2010年10月06日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    未完と聞いていたのでどこでぶった切られるのかとびくびくしながら読んでましたが、かなりラストに近い所じゃないかと。この先どうなるかは永遠に想像するしかない訳ですが…。

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    2010年03月08日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    この巻のラストはちょっと衝撃だった。
    まだ続くシリーズですが、どうやら未完のまま作者が急逝してしまったようなので、続きを読もうかどうか迷ったまま先延ばし…
    今のままでも半端だしなあ…

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    2010年02月17日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    ライトノベルかと思って読んだら違った…というのが第一印象。
    ある種の英雄譚とでもいうのでしょうか。
    双子が好きです。

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    2010年02月17日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    読破。凄く面白かった。未完ということもあり一生のこる話になりそう。
    ★4にします。
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    採点が難しい。あと星半分つけたい。
    事実を重ねて話を展開させていくようで、文章はサクサク読める。
    が、全体に登場人物がいい人多すぎだったり、地理が分からないので戦闘の概略を説明されてもよく分からなかったり、一つ一つの描写が浅く感じたりで、ちょっと不満。
    まあ、でも、なんだかんだ言って、読みやすいし、面白いのでおすすめ。

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    2010年01月28日
  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

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    こういう風に10代前半の少年少女を描く作家さんがいることを全く知らなかった。衝撃だった。描かれている少年少女の造形を追うと、(確か)中世欧州では“子ども”は“幼児”ではなく“小さな大人”として扱われいた、ということを思い出す。弱いだけでなく、したたかさを持つ存在。

    文章は柔らかにして明瞭。

    強面の野崎さえ恋に落とす、姫子の気概が印象深い。

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    2010年03月03日