打海文三のレビュー一覧
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塔が燐光を発しているように眼に映る アイボリー(象牙色) 大谷石の塀があった 浅黒い肌には艶があり 肥大した自己愛と鬱積した憎悪について 一種のマッチポンプ(自作自演行為)ね。詐欺同然よ。 我々は生身の人間に投影した自分の性幻想に欲情するんだ 「論理構成はわかります。タブーを侵犯すると自我が動揺するんです。自我の消滅。絶対的帰依。宗教のオーガズムと似てる」 制服で拘禁して すじょう素性の不明な 俺が窃視したというスタイルで 吃って あおは青灰色の海に着水した ぜんてい前庭 赤蜻蛉の群舞ぐんぶ 施主せしゅ しょうか商家あきんど 「僕達の欲望も挫折も、本に書いてある通りの道を辿る。残念ながらね」「本当にそうなら、生きてるのが、馬鹿馬鹿しくならない?」「だからこの世界を切断する」僕は言った。「意味の切断、時間の切断」李花が言った。 あのリベラル(自由主義)な男でも優生思想が一瞬頭を過ぎる 「濃淡の差はあるが、全ての人間関係は呪縛である、と言えなくもない」 そうがい窓外に視線をめぐらして言う 偉大な変態は現実の愚行を表現によって回避するんだ くつ沓脱ぎ 「アメリカの癒しが唯一の目的だからだ。傷つけられたベトナムは、製作所の関心の外にある」 「男と女は来賓各位を前に永遠の愛を誓う。新郎は自己のペニスを新婦のヴァギナに、新婦は自己のヴァギナを新郎のペニスに、永遠に、限定的に使用するものでありますと、男と女は厳かに宣言する」 むざむざ罠に嵌り、媚態を示して俺を籠絡することに熱中した過去を、順子は酷く悔やみはじめた 「禁欲的なやつって、自分をよくコントロールして最後まで徹底的に戦うだろ?そういうやつは『マイウェイ』を歌わない。人生に悔いなし、なんて甘っちょろいことは言わない」 「誰かのアフォリズム(箴言)にある。更年期は女性が美しく陰っていく人生の秋だ」 そして見かけ上はジェンダーバイアス満載のハードボイルドとする 滅茶苦茶周到且つ八方破れな代物なのだ つまるところ母によって家父長制を破壊された少年が、器のみを残した家を経て、漂流者=ロビンソンとしてあてどなく彷徨う、その流浪の物語なのである。
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中国・韓国・ロシア系の各マフィアが覇権争いを繰り広げる、福井県の海市を舞台に、それらマフィアと警察内の報復組織P、そして警察組織自体の抗争を描く骨太なハードボイルド小説です。
細かくカット割りされるように、何人もの登場人物の視点が切り替わって事件の進行が語られ、600ページにも及ぶ長編ながら緊迫感を持続したまま読み通すことができました。
また、これは僕が男やからかも知れませんが、出てくる女性キャラがみんな力強く、たくましく、したたかで、セクシーに描かれていると思いました。
打海文三さんは初読でしたが、積ん読も含め、他の作品も読んでみたいと思えました。 -
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ネタバレ月田桜子、椿子(つきだ さくらこ、つばきこ)の双子の姉妹が下巻の主人公。栃木県宇都宮市で祖父母と母親と暮らしていたが戦争で同時に亡くす。
その時、海人と知り合い別れた後は昏睡強盗をして生活していた。海人の援助で編入した東京の私立校を退学になった後は、戦場輸送のトラック運転手を経て女の子だけのマフィア「パンプキン・ガールズ」を結成する。
いつも二人で行動しお互いに一身同体とみなしている。容姿は成人しても15歳くらいの女の子だがその行動は野放図で欲望のままに生きる。しかし、義理人情には厚く状況に応じて非情な決断を下すときもあるが非道な悪事は犯さない。 -
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『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大をもたらし、内乱は泥沼化する一方となった。略奪行為やレイプ、拉致、ありとあらゆる破壊と恐怖と憎悪と飢餓が全国を覆い尽くす苛酷な世界――本書はそんな、あらゆる常識や倫理観が徹底して崩壊してしまった世界を生きていかなければならなかった孤児たちの物語。
秩序が崩壊し略奪、強姦、殺人がまかりとおる世界を描写しながらも陰惨で悲劇的な物語ではなく登場人物たちは時代に適応して悲観にくれることなく生き抜いている。上巻は海人の成長の物語。 -
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「愚者と愚者」下巻。ジェンダー・ファッカー・シスターズ。
下巻は椿子率いる「パンプキンガールズ」と河野率いる「黒い旅団」との戦いが描かれる。女の子の自由を掲げるパンプキンと女性の戦闘参加を許さない黒い旅団の見解の相違から、複数の武力勢力に跨り戦いが繰り広げられる。。
今回も深いお話。万人に受け入れられず、読者を選ぶ作品。数多くの武力勢力が登場し、名前と関係がわかりずらい。それでも椿子と周りの仲間の会話や気遣いにホッとし、続きが気になり一気読みしてしまう。そんな不思議な魅力を持った作品。読後「愚者と愚者」の表題が胸に響きます。今後の展開を期待し、次は未完の完結作「覇者と覇者」を読みます。