打海文三のレビュー一覧

  • ハルビン・カフェ

    Posted by ブクログ

    読み返したくなる作品。
    地方都市でのマフィアを巻き込んだ警察内部の抗争を描いた物語。
    舞台が人種のるつぼとなっていて、登場人物の名前も国籍もバラバラ、ということで最初はとても読みづらいです。
    しかし、キャラクターの個性がはっきりしていてスピード感があるので、視覚化しやすい描写も相まって、途中からは一気に読み進められます。
    終盤の盛り上がりと、広げた話の閉じ方も見事で、読み終わってしまうのが寂しく感じられる傑作でした。

    0
    2010年01月11日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

    Posted by ブクログ

    より多くの人に読んでもらいたいシリーズ。凄まじく、容赦のない世界と人間。その泥の中でも変わらず美しく居続ける事ができる主人公。

    0
    2009年11月03日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

    Posted by ブクログ

    アジア情勢の混乱によって、日本に大量の難民が押し寄せる。日本の経済秩序は破綻し、法秩序も崩壊し、急激なダイバーシティへの反動として、あるいは新しい秩序が生まれる過程として、たくさんの人が死んでいく。
    超越的に醒めつづけている主人公たち。
    熱狂し、騒乱する戦闘不良少女。
    「正当」のありかを見失い、それでも正当であろうとする日本人の男たち。
    ありとあらゆるマイノリティ。
    そしてビジネスマン達。

    彼らは淡々と、日本を先にすすめていく。
    それを綴る著者の醒めた超越的な言葉と修辞。
    淡々とその世界に居座り続けられるという、
    矛盾した逃避への充足感。
    (そしていつでもこちらへ帰ってこられるという、
    さら

    0
    2009年10月09日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

    Posted by ブクログ

    セックスと暴力、
    神と欲望とビジネス、
    カオス、
    秩序、
    少しのノスタルジー、

    感慨深いこともなく、共感するようなこともなく、
    訴えかけることもなく、我々へのシニカルな働きかけもなく、
    淡々とすすんでいく世界。
    こちらの世界で、ベッドの中で、
    淡々と読み続け、読み耽り、読みきり。
    次を探しに、本屋へ・・・・・・・・。

    0
    2009年10月09日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

    Posted by ブクログ

    パンプキン!
    結局、このシリーズは、性描写は過激で、暴力の場面はかなり残酷だったけども、全くいやらしさも陰湿さもなかった。
    この後、海人は椿子はどうなったのだろうと想像を巡らすと、本当にこの物語が未完で閉じてしまったのが残念でならない。(6/26)

    0
    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

    Posted by ブクログ

    戦争状態で秩序の崩壊した近未来の日本が舞台に、そのセックス・ドラッグ・ロックンロールな世界でもがき苦しみながら芯を持って生きる、少年少女を描く。佐々木家の長男として、汚い世界を渡っていく純真なカイトを中心にした上巻は文句なしにめちゃくちゃ面白かったが、どこか厭世的な椿子と桜子の姉妹が主役の下巻は、組織構想ばかり描かれて過ぎてなんだかのめり込めなかった。もっとカイトを出、せと言いたい。三部作の一作目らしいが、二作目の『愚者と愚者』まで執筆を終えたところで著者は急逝してしまったらしい。残念だ。

    0
    2012年01月09日
  • ぼくが愛したゴウスト

    Posted by ブクログ

    臆病で生真面目な少年が紛れこんでしまったパラレルワールド。

    その世界では人間に尻尾が生えていて、そして心がないという。

    小学生が主人公なだけに児童文学っぽい雰囲気が漂うけれど、それがまたいい。

    物悲しい雰囲気を残しつつ、どんどん物語りは進んで行く。

    実は読んだのが二回目なのだけれど、何度読んでも色褪せない。

    0
    2009年10月04日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

    Posted by ブクログ

    いつの間にか、みんなすっかり成長してしまったなあというのが感想。
    常時は相変わらずのんびりした感じなのに、頭が切り替わった時の海人はとても頼れる男。
    今回のテーマは、マイノリティ。自分には理解できない所ではあるが。(6/7)

    0
    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

    Posted by ブクログ

    海人の成長の話だった上巻に対し、下巻は上巻で海人に助けられ親しくしてきた月田姉妹の話。
    しかし、スピンオフなどではなく完全に直列な話。

    海人が孤児部隊の司令官として上り詰めていく一方で、狂った社会に「適応」する為、マリファナを吸いながら昏睡強盗をし、AK片手に長距離トラックの運転手を経て、軍隊に楯突いて女の子だけのマフィアを組織するに至る。
    そう書くと冷静で冷徹な感情を動かさない人物像を想像してしまうが、佐々木兄弟やその仲間達と団欒して笑ったり、死者を想って泣いたり、義挙の為に自ら死地に飛び込んだりもする。
    やはり海人の場合と同じ様な性格の素直さが、この混沌とした世界を舞台とした物語に後腐れ

    0
    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

    Posted by ブクログ

    近未来の内乱状態の日本が舞台。弟妹を養うために軍隊に入ったカイト13さい、「状況に適応してみる」と混沌に身を投じた月田姉妹14さい(双子)の物語。表紙がティーンズ文庫っぽいですが中身はかなり骨太い。皇国とかローレライとか(どちらも小説の方で)あの辺りが好きな人には向いていると思います。ちなみに第二部もある…あった模様ですが、途中で作者急逝のため未完。くっ。

    0
    2009年10月07日
  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

    Posted by ブクログ

     いまの世の中で、正しく生きることを時代遅れ、または不器用と呼ぶのだとこの作品は言う。「人生さっさと降りちまった方が勝ち」だと姫子の父は言うが、その「勝ち」に、いったいどんな価値があるというのか。……すいませんダジャレでした。
     終盤の阪本と犯人の激しい駆け引きの場面に、事実の羅列しか書けない下手な小説につけられるお世辞とは違うホンモノの「疾走感」「スピード感」「緊迫感」を感じた。(ここに詳しく感想を書きたいけど、ネタバレになるので伏せます)謎解きを楽しむミステリではなくて、人間の闇の部分を描くための枠組としてのミステリ。それでいて温かい作品。トリックに驚きたい人には向かないかもしれないが、ニ

    0
    2009年11月22日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

    Posted by ブクログ

    小説を読むときはだいたい俯瞰しているように世界に入り込むのだけど、
    このシリーズはその世界に立っているような気分にたびたび陥る。
    そしてよく置いてきぼりを食らう。
    一言で言ってしまえば、リアルだ。

    0
    2009年10月04日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

    Posted by ブクログ

    前回に引き続き上巻はカイト視点。
    個人的にはカイト視点の方がおもしろいけど、
    もちろん椿子視点も面白い。
    作者がすでに他界してることに少し絶望しかけたけど、
    タイミングよく続刊がでるということで、期待。

    0
    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

    Posted by ブクログ

    上巻と視点が変わったせいか、
    上巻ほどのおもしろさは感じられなかったものの、
    それでも十分面白く感じた。
    最後は不意打ちすぎる。

    0
    2009年10月04日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

    Posted by ブクログ

    裸者と裸者上下巻、愚者と愚者上下巻に続く第三部(未完)。
    著者が亡くなっているため途中までであったが、完結編となるようだったようで、内容としてもかなり物語の進みが早かった印象です。ぜひ完成してほしかった作品です。

    0
    2025年11月16日
  • 時には懺悔を

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    良かった!

    必ずしも良い結末だったとは私は思えない。私個人の感覚は佐竹に近い。
    でも、聡子が無責任な善性ではなく「自分が引き取る」という覚悟を見せたこと、100%の大団円としては描かれなかったこと(佐竹は冷静な立場を先に示している、民恵が引き取ったことが必ずしも良かったかどうかわからない(民恵にとっても新にとっても))が良かったと思った。

    難しいね。考えさせられる。

    0
    2025年07月14日
  • 時には懺悔を

    Posted by ブクログ

    単行本刊行時に読んだ記憶があるので、30年ぶりの再読。こんな人情話だったかと驚く。そしてまさかの映画化と公開延期。

    0
    2025年05月06日
  • Memories of the never happened1 ロビンソンの家

    Posted by ブクログ

    塔が燐光を発しているように眼に映る アイボリー(象牙色) 大谷石の塀があった 浅黒い肌には艶があり 肥大した自己愛と鬱積した憎悪について 一種のマッチポンプ(自作自演行為)ね。詐欺同然よ。 我々は生身の人間に投影した自分の性幻想に欲情するんだ 「論理構成はわかります。タブーを侵犯すると自我が動揺するんです。自我の消滅。絶対的帰依。宗教のオーガズムと似てる」 制服で拘禁して すじょう素性の不明な 俺が窃視したというスタイルで 吃って あおは青灰色の海に着水した ぜんてい前庭 赤蜻蛉の群舞ぐんぶ 施主せしゅ しょうか商家あきんど 「僕達の欲望も挫折も、本に書いてある通りの道を辿る。残念ながらね」「

    0
    2023年02月09日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     舞台は西東京で双子の姉妹が主人公となった。上巻に比べると戦局の説明で済ます場面が多く、あまりぐっと来なかった。登場人物がすっかり大人になって上巻ほど健気さや切迫感がなくなってしまった。
     そうは言っても双子は魅力的で面白い場面もたくさんあった。上巻が面白すぎたせいで割りを食ったのかもしれない。

     続編は読もうかどうか迷う。

    0
    2017年11月19日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    裸者と裸者、愚者と愚者に続く第3弾。

    日本で起きた内戦。
    妹と弟を守るため、兵士となり、時代を生き抜いていく孤児の少年。
    戦争で双子の片割れを失った、ギャングのボスの女の子。
    この2人を中心に話が進む。

    作者が亡くなったため、未完。

    これを読むために裸者と裸者から読み直したけど、面白いね。
    未完なのがほんとに残念。

    0
    2017年09月19日