打海文三のレビュー一覧

  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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     作者が亡くなったために未完の大作。永遠に完結することはありませんが、それでも読む価値のあるシリーズです。

     装丁で誤解するかもしれませんが、ハードな戦争ものです。軽い気持ちで手を出すと火傷するエログロバイオレンス。だけど、希望のちりばめられた物語でもあります。

     少年兵と双子の少女が戦争をどうやって生き抜くかというストーリー。
     
     今も世界のどこかで戦っている少年兵がいて、彼らの気持ちは私には到底想像できないし、理解もできない。
     ただ、生まれた時から隣に死が寄り添っていて、当然のように戦いに身を投じた彼らは自分の意志というよりも環境に振り回されているだけな気がします。
     でも、いくら理不尽だろうがなんだろうが、環境はそこにあって、そこに生きている以上は適応していくしかない。
     
     本シリーズは日本が舞台であり、案外近い将来こういう事態が起こってもおかしくないのかもしれません。

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    2011年10月19日
  • ハルビン・カフェ

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    日本海に面した、架空の国際犯罪多発都市の警察とマフィアをめぐるクライムノベル。
    構造は難解だし、公安警察と下級警官のテロ組織とが、何重もの潜入捜査とスパイ合戦を繰り広げるので、人物相関も複雑。
    しかし、それを補って余りあるのが、魅力溢れる登場人物で、特にすべてを操る孤高の黒幕には、男も女も夢中になる。
    曰く、言葉、声、仕草、振る舞いにゾクッとくる色気があり、決断力と実行力は申し分なく、知性とユーモアがあり、
    意表をつく行動、奔放なイマジネーション、眠らないポテンシャル。
    映画化するなら大森南朋にやってほしいなあ、と当てながら読みました。

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    2011年10月16日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    未完の長編となった戦争小説の傑作。この作品は三部作の第一部に当たる。今月ついに「覇者と覇者」が文庫化されるということでもう一度読み返すことに。本当に何度読んでも面白い。

    日本国内で起こる内乱戦争が孤児兵の佐々木海人と、海人に助けられた双子の姉妹の月田桜子・椿子の視点で描かれる。上巻は妹と弟を守るために兵士になる海人の視点。
    戦争小説と言っても戦争の醜くて悲惨な所ばかりではなく、妹と弟を守るために戦い続ける海人の成長がしっかり描かれていて読み始めると止まらなくなる。厳しい戦争状態の中にあっても、自分を見失わずに前を見据え続ける海人のかっこいいこと。海人も含めて登場人物がいきいきと動いているし、作品内に漂う明るいムードが不思議と重さを感じさせない。だからこんなにも引き込まれるのだろうか。
    まだまだ物語は序盤。下巻も早く読みたい。

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    2011年10月13日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    やられた。久しぶりにこんなに面白い小説に出会ってしまいました。戦争、しかも内戦…日本でこんな設定が有りなんて…戦闘に次ぐ戦闘で重くなりそうだが、主人公たちがイキイキしてて気持ち悪さがない。素晴らしい作品だ

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    2011年10月01日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    応化三部作…やられた。久しぶりにこんなに面白い小説に出会ってしまいました。戦争、しかも内戦…日本でこんな設定が有りなんて…戦闘に次ぐ戦闘で重くなりそうだが、主人公たちがイキイキしてて気持ち悪さがない。素晴らしい作品だ

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    2011年10月02日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    「出たとこ勝負だ!」
    と叫びながらキュートな女の子たちがAK片手に武装蜂起するなんて、最高にクレイジー。パンプキン!

     文庫下巻の解説にて「打海さんにはまだまだ書かなければいけない物語があるんだよ、と」記されています。私も同感です。だからこそ、この作品で感じたものを汲み取れたらなと思います。

     時代がきっとこの作品を遠からず必要とする時がくるのではないかと思わずに入られない。

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    2010年04月22日
  • ハルビン・カフェ

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    様々な人種が入り交じる日本海の港湾都市が舞台。警察の殉職率が高い事で匿名の警察関係者が報復を目的とした組織を作る。
    この設定だけでもかなり興味を引く。

    物語はマフィア、警察、警察有志の地下組織の三つを軸に進む。登場人物が多いものの、文体がドライなので読みやすい。

    映像化は不可能かもしれないが、ぜひして欲しい。ケーブルテレビあたりで。

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    2010年04月10日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    月田姉妹が主役に据えられた今作。戦争の中、無秩序な混沌と官能と破壊と死にあふれ、けれど彼女たちが潔いのは、蔑みや卑下に身を置かないからだ。多くの血と喪失を負い、そして“彼女”は何処へ向かうか。

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    2010年03月03日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    むちゃくちゃな面白さ。何よりも優先してこの本を読んでいたいという感覚。弟妹を養育するため戦場という生死混沌の世界で生きる海人の、汚れなさと血の臭いを引き受ける覚悟。狂気に引きずられた方がラクになれる正気。きれいなカネなんかない中で、善人では生きられない中で。平仮名ばかりのその台詞の、何と重く惹きつけることか。

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    2010年03月03日
  • ハルビン・カフェ

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    読み返したくなる作品。
    地方都市でのマフィアを巻き込んだ警察内部の抗争を描いた物語。
    舞台が人種のるつぼとなっていて、登場人物の名前も国籍もバラバラ、ということで最初はとても読みづらいです。
    しかし、キャラクターの個性がはっきりしていてスピード感があるので、視覚化しやすい描写も相まって、途中からは一気に読み進められます。
    終盤の盛り上がりと、広げた話の閉じ方も見事で、読み終わってしまうのが寂しく感じられる傑作でした。

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    2010年01月11日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    より多くの人に読んでもらいたいシリーズ。凄まじく、容赦のない世界と人間。その泥の中でも変わらず美しく居続ける事ができる主人公。

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    2009年11月03日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    アジア情勢の混乱によって、日本に大量の難民が押し寄せる。日本の経済秩序は破綻し、法秩序も崩壊し、急激なダイバーシティへの反動として、あるいは新しい秩序が生まれる過程として、たくさんの人が死んでいく。
    超越的に醒めつづけている主人公たち。
    熱狂し、騒乱する戦闘不良少女。
    「正当」のありかを見失い、それでも正当であろうとする日本人の男たち。
    ありとあらゆるマイノリティ。
    そしてビジネスマン達。

    彼らは淡々と、日本を先にすすめていく。
    それを綴る著者の醒めた超越的な言葉と修辞。
    淡々とその世界に居座り続けられるという、
    矛盾した逃避への充足感。
    (そしていつでもこちらへ帰ってこられるという、
    さらに矛盾した安心感。)

    他者であることの幸福と、
    他者であることの疎外感。
    逃げる世界が、落ち着ける世界があるということ。

    著者が急逝し、おそらく未完となった。
    言い換えれば、超越者が去り、彼らの世界は永久性を保障された、のかもしれない。

    何年か経ったら、ちょっとしたノスタルジーでもって、
    写真のアルバムをめくるように、
    もう一回読むことになるだろう。

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    2009年10月09日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    セックスと暴力、
    神と欲望とビジネス、
    カオス、
    秩序、
    少しのノスタルジー、

    感慨深いこともなく、共感するようなこともなく、
    訴えかけることもなく、我々へのシニカルな働きかけもなく、
    淡々とすすんでいく世界。
    こちらの世界で、ベッドの中で、
    淡々と読み続け、読み耽り、読みきり。
    次を探しに、本屋へ・・・・・・・・。

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    2009年10月09日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    パンプキン!
    結局、このシリーズは、性描写は過激で、暴力の場面はかなり残酷だったけども、全くいやらしさも陰湿さもなかった。
    この後、海人は椿子はどうなったのだろうと想像を巡らすと、本当にこの物語が未完で閉じてしまったのが残念でならない。(6/26)

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    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    戦争状態で秩序の崩壊した近未来の日本が舞台に、そのセックス・ドラッグ・ロックンロールな世界でもがき苦しみながら芯を持って生きる、少年少女を描く。佐々木家の長男として、汚い世界を渡っていく純真なカイトを中心にした上巻は文句なしにめちゃくちゃ面白かったが、どこか厭世的な椿子と桜子の姉妹が主役の下巻は、組織構想ばかり描かれて過ぎてなんだかのめり込めなかった。もっとカイトを出、せと言いたい。三部作の一作目らしいが、二作目の『愚者と愚者』まで執筆を終えたところで著者は急逝してしまったらしい。残念だ。

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    2012年01月09日
  • ぼくが愛したゴウスト

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    臆病で生真面目な少年が紛れこんでしまったパラレルワールド。

    その世界では人間に尻尾が生えていて、そして心がないという。

    小学生が主人公なだけに児童文学っぽい雰囲気が漂うけれど、それがまたいい。

    物悲しい雰囲気を残しつつ、どんどん物語りは進んで行く。

    実は読んだのが二回目なのだけれど、何度読んでも色褪せない。

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    2009年10月04日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    いつの間にか、みんなすっかり成長してしまったなあというのが感想。
    常時は相変わらずのんびりした感じなのに、頭が切り替わった時の海人はとても頼れる男。
    今回のテーマは、マイノリティ。自分には理解できない所ではあるが。(6/7)

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    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    海人の成長の話だった上巻に対し、下巻は上巻で海人に助けられ親しくしてきた月田姉妹の話。
    しかし、スピンオフなどではなく完全に直列な話。

    海人が孤児部隊の司令官として上り詰めていく一方で、狂った社会に「適応」する為、マリファナを吸いながら昏睡強盗をし、AK片手に長距離トラックの運転手を経て、軍隊に楯突いて女の子だけのマフィアを組織するに至る。
    そう書くと冷静で冷徹な感情を動かさない人物像を想像してしまうが、佐々木兄弟やその仲間達と団欒して笑ったり、死者を想って泣いたり、義挙の為に自ら死地に飛び込んだりもする。
    やはり海人の場合と同じ様な性格の素直さが、この混沌とした世界を舞台とした物語に後腐れのなさを与えていると思う。

    内乱下の戦争孤児という決定的に不自由な立場にありながら、欲望の赴くままに徹底的に自由に生きている姉妹は実に格好良い。
    桜子と椿子という二人を敢えて書き分けず、二人で一人であり続けたのも面白い。ちょっと、「暗黒館の殺人」の美鳥と美魚の姉妹を思い出した。今後どうなるのだろう。
    (2/10)

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    2009年10月04日
  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

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     いまの世の中で、正しく生きることを時代遅れ、または不器用と呼ぶのだとこの作品は言う。「人生さっさと降りちまった方が勝ち」だと姫子の父は言うが、その「勝ち」に、いったいどんな価値があるというのか。……すいませんダジャレでした。
     終盤の阪本と犯人の激しい駆け引きの場面に、事実の羅列しか書けない下手な小説につけられるお世辞とは違うホンモノの「疾走感」「スピード感」「緊迫感」を感じた。(ここに詳しく感想を書きたいけど、ネタバレになるので伏せます)謎解きを楽しむミステリではなくて、人間の闇の部分を描くための枠組としてのミステリ。それでいて温かい作品。トリックに驚きたい人には向かないかもしれないが、ニセモノの「疾走感」を覚えてしまっている人に、是非読んでいただきたい作品。傑作。

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    2009年11月22日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    小説を読むときはだいたい俯瞰しているように世界に入り込むのだけど、
    このシリーズはその世界に立っているような気分にたびたび陥る。
    そしてよく置いてきぼりを食らう。
    一言で言ってしまえば、リアルだ。

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    2009年10月04日