あらすじ
佐竹は、数年前に退社した大手の探偵社アーバン・リサーチの元上司・寺西に頼まれ、探偵スクールのレディース一期生・中野聡子の代理教官をすることになる。その日の実習は、やはりかつての同僚・米本の探偵事務所に盗聴器を仕掛けることだったが、事務所に忍び込むと、そこには米本の死体が転がっていた。佐竹は中野を助手に、米本が殺された謎を調査していくが、やがて過去に起きた障害児の誘拐事件の真相に迫っていくことになる……。濃密な親子の絆を描く、感動の傑作ミステリー!
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Posted by ブクログ
映画が好評だと聞き、まずは原作から。
映画はかなり大胆に改編されているそうだが。
読み始めてまず突きつけられたのは、あまりにも重く、そして簡単には答えを出せない哲学的な問いだった。
平成13年に刊行された作品ということもあり、障がい者に対する言葉や扱いには、今では到底そのまま使われないような直接的な表現も多い。
けれど、今の時代にはそぐわないと切り捨てるわけではない。言葉が変わったからといって、現実まで変わったわけではないからだ。
社会の中に確かに存在している偏見や戸惑い、残酷さ。それを綺麗な言葉で覆い隠すのではなく、剥き出しにされているからこそ、より現実味が増す。
これほど痛ましい物語なのに、読み終えるころには不思議なほど心が温かくなっている。罪を罪と認めてしまうことへの躊躇いと、どうか救われてほしいと願う希望。
懸命に生きる姿には、人を癒やし、成長させる力があるのだ。
誰かの苦労を見て、自分の人生が恵まれていると確認するのではなく、困難があっても今日を生きる人の姿から、生きることそのものへの強さや、人間が持つ生命力を教えてもらう。
その生命力に心を震わせられるということは、私自身もまた、生きることの意味をどこかで探しているからなのかもしれない。
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障害をもつ子とその親だけでない人たちの葛藤がリアルに書かれている。子を持たない人は子を持ちたく思い、子がいる親は1人になりたいとも思う。子をもつ人ならどこかに刺さる言葉があるそんな作品
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『無力だってところが、人間の愛しいところなのよね。そうでしょ?誰だって悲哀に打ちのめされ経験を持つものよ。まったく人間は無力な生き物。だけど無力な人間が、痛ましい悲哀から癒されるプロセスにこそ、心をふるわせるものがあるわけでしょ。』
人が最後にいい人間になる物語は古今東西の多くの物語で描かれているが、納得感がないのは物語の物語性が現実を超えられていないのか、私の人間性が物語を越えられていないのか、分からない物語が多くある。本作は、そういった作品の一つになると思われる。
Posted by ブクログ
映画で喰らいまくったので、その足で書店に向かう。著者の作品は初めて読む。
探偵の佐竹が探偵殺しの調査に関わる中で、二分脊椎症の子供とその父親についての秘密を解き明かしていくミステリー。血の繋がりについて、何組もの親子の姿から問いかけられていく。
映画とはかなり設定が違う。それでも、作品の持つテーマ性はブレずに重くて暗い。女性描写や設定はちょっと古さを感じてしまうが、スラスラと読みやすい文体。著者の他の作品も読みたい。
Posted by ブクログ
映画化されるということで。
なんと、30年以上前の小説なのか。
障がい者に対する、偏見ではないリアル。コンプラも何もない、ストレートな文章。読み応えあり、星4.3。
盗聴しながら、聡子がのめり込んでいく様。
誘拐した明野も同じ気持ちだったのか。
目の前で、誰かの助けが必要な子どもがいる。
考えるよりもまず、義務感や罪悪感、切迫感。
そうこうしてるうちに、芽生えてくる感情。
コンプラがちがちの今の時代に映画化、どんななってるんだろ、観てみたい。明野がクドカン、ぴったりかも。
Posted by ブクログ
数カ月前に書店に平積みされているのを見て、近年の作品だとばかり思って購入したら、四半世紀前に上梓されたもの、しかも著者は約10年前に59歳で亡くなっているという。今になって、業界のなかなかの問題児・中島哲也監督が映画化すると知り、読んでみることにしました。
誘拐犯が連れ去ったのは、生きているのが奇跡だと誰もが思うほど重度の障害を持つ男児。9年経ち、ある殺人事件をきっかけに「奇跡」が明らかになります。
Xデイとして終盤に登場する日がちょうど今日だったのは奇遇。探偵殺しの真相は呆気なく、それよりも男児と誘拐犯の暮らしから目が離せません。何度か目にした予告編。映画版にも期待しています。
Posted by ブクログ
ミステリーを交えつつ障害と生命について書かれてる。みんないい人でいたいけど、最後の一歩は踏み出せないのがとてもリアル。最後の決断は正しいのかなって読み終わった後に考えるものだった。
ただ殺人をメインとしたミステリーとして読むと、拍子抜けするので、親子のヒューマンドラマがメインでそこにミステリーが混じってると思って読んだ方がいい。
Posted by ブクログ
過去の後悔や人生のしがらみを抱えた人たちが、重なり合う事件を紐解きながら、真実とささやかな赦しを探し求めていく。
展開にスピード感があり、飽きさせない。
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良かった!
必ずしも良い結末だったとは私は思えない。私個人の感覚は佐竹に近い。
でも、聡子が無責任な善性ではなく「自分が引き取る」という覚悟を見せたこと、100%の大団円としては描かれなかったこと(佐竹は冷静な立場を先に示している、民恵が引き取ったことが必ずしも良かったかどうかわからない(民恵にとっても新にとっても))が良かったと思った。
難しいね。考えさせられる。
Posted by ブクログ
映画化に先行して。社会派ミステリだった。
物語としての面白さというより、探偵が関係者をたどっていく様子や、障害児をとりまく大人たちの人間心理、探偵自身の家庭の問題など、そういった面がとてもよかった。
どのように映像化されるのか楽しみ。ただ、キャストを見たら、登場人物が変わっていてあの辺りは省略されるのかなと。
また、探偵のモラルといったくだりもあったが、戸籍取得にしても司法書士を通じたり、附票も使ったり、結構正確で感心。ミステリだと時折、現実的にはあり得ない記述もあってそこでガックリきてしまうこともあるけど、そこもよかった。
Posted by ブクログ
正直………重かった。。。
今年8月末に映画公開で観に行く前に読んどこうかと
(大好きな黒木華ちゃん含め豪華出演者ですよ)
幼児誘拐と探偵殺人の2つの事件が………
障害がある子供と親の抱える色々な問題。。。
周囲の人の視線や理不尽な扱いなんかも………
誰でも過ちや失敗あるなか………
そこから逃げ出す時も!向き合う時も!
重い重過ぎるテーマで消化しきれないんですけど
(−_−;)
映画公開は楽しみにしてます♪♪♪
Posted by ブクログ
2026年8月28日より劇場公開される
西島秀俊&満島ひかり ある事件の真相を追う探偵コンビ役で初共演 中島哲也監督「時には懺悔を」
佐竹は、数年前に退社した大手の探偵社アーバン・リサーチの元上司・寺西に頼まれ、探偵スクールのレディース一期生・中野聡子の代理教官をすることになる。その日の実習は、やはりかつての同僚・米本の探偵事務所に盗聴器を仕掛けることだったが、事務所に忍び込むと、そこには米本の死体が転がっていた。佐竹は中野を助手に、米本が殺された謎を調査していくが、やがて過去に起きた障害児の誘拐事件の真相に迫っていくことになる……。濃密な親子の絆を描く、感動の傑作ミステリー!
Posted by ブクログ
単純にして明快な嘘に徹することにしたのだ 胸の内で沸々と発酵している思いに考えを巡らした 色んな喪の儀式を通じて癒されるらしいんだが 死への衝動 水頭症 肢体不自由養護学校 哀しみの底 感情が剥き出し 現状の把握も露骨なほどリアル 二分脊椎症 両下肢機能全廃りょうかしきのうぜんぱい 淡島通り 聡子の健啖ぶりを間近で眺めた 牛久駅 ひろつ尋津真一郎 稲城市 多摩丘陵きゅうりょう 稲城長沼駅 鶴川通り 川崎街道 日比谷公園の松本楼 謂れのない謗りそしりを受け 私刑リンチされた黒人の死体=ストレンジ・フルーツ 山葵わさび 牛蒡の間引き菜 水上勉《くるま椅子の歌》 ひらく拓 アイラ・レヴィン《ローズマリーの赤ちゃん》 民恵 と誰かの死を悼んでいるような嗚咽が聞こえた 激しい煩悶の果てに ションベン横丁 競艇場前駅から尾行されているような気がしてた 「将来使えるタマとは思えなかったが、赤飯炊いて、お祝いさたよ」 明野が新の尿道からシリコンの管を抜いた 引継ぎ ギリギリと骨が軋む音がするほど抱きしめた 一生つづくであろう《癒しのドラマ》がはじまったばかりであり 実際に刑の減軽嘆願書は 三島由紀夫『美しい星』 殲滅思想の一神教らに 大江健三郎『空の怪物アグイー』『個人的な体験』
Posted by ブクログ
9年前の誘拐事件を追っていたと思われた探偵が惨殺され、その死を明らかにするため、探偵佐竹と見習い中の助手が、かすかな手がかりをたよりに解いていく。
重度の障害を持って生まれ誘拐された子供、子供の世話に追われて逃げようとしない誘拐犯、知っていて取り戻そうとしない元両親という、犯人側にも葛藤があるタイプの話。
調べる方もまったくもって完璧ではなく、子供に感情移入してしまったり、犯人を自首させようとヤキモキしたりと悩むポイントが多い。
文章も読みやすく、いわば「宮部みゆきタイプ」の社会的正義が簡単に適用できないシチュエーションで、読ませたいポイントがわかりやすいところは高く評価できるだろう。
しかし、時々バイクが転倒したりと、謎の描写が挟み込まれるのは何なのか。ストーリーと関係あるのかと引っかかってしまう。
また、いろんな世間の悩みを詰め込みたいがあまり、無闇に登場人物を増やしすぎたのもマイナスである。
力作では有るが、いろいろと人生のネガティブな部分に頼りすぎた作品である。
Posted by ブクログ
探偵殺しの落ちはひどいが、新の方は、新がどうなるのか聡子と一緒に心配になって急いで先を読んでしまった。
が、正直聡子がうっとおしくて好きになれなかった。移入し過ぎで探偵には向いていないのでは。
Posted by ブクログ
知り合いの探偵が死んだ。殺し。真実を探っていく探偵・佐竹。一人の障害児がクローズアップされる。
障害を持つ子を抱える家族の苦悩、ささやかな幸せ。それが軸となりミステリーとしてもぐんぐん引き込まれる。読後も余韻たっぷり。
とても良い本でした。
Posted by ブクログ
友達の探偵が殺されたので、犯人を探そうとしたところから、話が始まるが、結局、まったく関係のない別の事件(10年も前の障害児誘拐)を暴くといった展開になった。探偵を殺した真犯人への記載は10ページにも満たないんじゃないかなあ。それはそれで、びっくり。
Posted by ブクログ
探偵物としてだけ読むと、探偵の裏側みたいなストーリー展開だが、誘拐、しかも障害者となると複雑かつ考えさせる作品であるかなと。
とおりいっぺんの視点だけでなく、そちら側というかあちら側というか自分自身の生活からは思いもよらない視点を提示され、戸惑うというか立ち止まってしまった。新米女性探偵の組み込み方も面白かった。
Posted by ブクログ
探偵仲間が殺された理由を探っていくと、数年前に起きた誘拐事件と繋がったが、誘拐された子は重度の障害を患った赤ん坊で、しかも今もまだ元気で生きているらしい、というところからどんどん転がっていく、社会はサスペンス。
障害を持つ親の心情にも、「きっとそう思うんだろうな」と思いを馳せたり、障害があるがゆえに捨てられる子供を第三者の立場から眺めて、無責任な発想を膨らませたり。
障害者を取り巻く問題をいくつも投げかけられたようで、二日に亘り考えさせられました。
Posted by ブクログ
打海文三「アーバンリサーチシリーズ」の第一作。
著者にとっては2作目にあたる、ということで若干読みづらい部分も。なぜだろう?登場人物の性格がブレがあるというか・・どこがどう、というわけではないんだけども急に激高したり冷静になったりと読み切れない部分があるように感じました。
あと、最近の小説は中にいろんな内容を詰め込んで・・・という傾向が強いように感じますが、それに比べると一つのテーマをじっくり・・・という印象。あれもこれも、というのではなくて今回は障害児についてのあれこれをじっくりとまとめているように思いました。
コメントが難しいな・・・とりあえずこのシリーズもうちょっと読んでみたいと思います。