打海文三のレビュー一覧
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中国・韓国・ロシア系の各マフィアが覇権争いを繰り広げる、福井県の海市を舞台に、それらマフィアと警察内の報復組織P、そして警察組織自体の抗争を描く骨太なハードボイルド小説です。
細かくカット割りされるように、何人もの登場人物の視点が切り替わって事件の進行が語られ、600ページにも及ぶ長編ながら緊迫感を持続したまま読み通すことができました。
また、これは僕が男やからかも知れませんが、出てくる女性キャラがみんな力強く、たくましく、したたかで、セクシーに描かれていると思いました。
打海文三さんは初読でしたが、積ん読も含め、他の作品も読んでみたいと思えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ月田桜子、椿子(つきだ さくらこ、つばきこ)の双子の姉妹が下巻の主人公。栃木県宇都宮市で祖父母と母親と暮らしていたが戦争で同時に亡くす。
その時、海人と知り合い別れた後は昏睡強盗をして生活していた。海人の援助で編入した東京の私立校を退学になった後は、戦場輸送のトラック運転手を経て女の子だけのマフィア「パンプキン・ガールズ」を結成する。
いつも二人で行動しお互いに一身同体とみなしている。容姿は成人しても15歳くらいの女の子だがその行動は野放図で欲望のままに生きる。しかし、義理人情には厚く状況に応じて非情な決断を下すときもあるが非道な悪事は犯さない。 -
Posted by ブクログ
『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大をもたらし、内乱は泥沼化する一方となった。略奪行為やレイプ、拉致、ありとあらゆる破壊と恐怖と憎悪と飢餓が全国を覆い尽くす苛酷な世界――本書はそんな、あらゆる常識や倫理観が徹底して崩壊してしまった世界を生きていかなければならなかった孤児たちの物語。
秩序が崩壊し略奪、強姦、殺人がまかりとおる世界を描写しながらも陰惨で悲劇 -
Posted by ブクログ
「愚者と愚者」下巻。ジェンダー・ファッカー・シスターズ。
下巻は椿子率いる「パンプキンガールズ」と河野率いる「黒い旅団」との戦いが描かれる。女の子の自由を掲げるパンプキンと女性の戦闘参加を許さない黒い旅団の見解の相違から、複数の武力勢力に跨り戦いが繰り広げられる。。
今回も深いお話。万人に受け入れられず、読者を選ぶ作品。数多くの武力勢力が登場し、名前と関係がわかりずらい。それでも椿子と周りの仲間の会話や気遣いにホッとし、続きが気になり一気読みしてしまう。そんな不思議な魅力を持った作品。読後「愚者と愚者」の表題が胸に響きます。今後の展開を期待し、次は未完の完結作「覇者と覇者」を読みます。