打海文三のレビュー一覧

  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

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     いまの世の中で、正しく生きることを時代遅れ、または不器用と呼ぶのだとこの作品は言う。「人生さっさと降りちまった方が勝ち」だと姫子の父は言うが、その「勝ち」に、いったいどんな価値があるというのか。……すいませんダジャレでした。
     終盤の阪本と犯人の激しい駆け引きの場面に、事実の羅列しか書けない下手な小説につけられるお世辞とは違うホンモノの「疾走感」「スピード感」「緊迫感」を感じた。(ここに詳しく感想を書きたいけど、ネタバレになるので伏せます)謎解きを楽しむミステリではなくて、人間の闇の部分を描くための枠組としてのミステリ。それでいて温かい作品。トリックに驚きたい人には向かないかもしれないが、ニセモノの「疾走感」を覚えてしまっている人に、是非読んでいただきたい作品。傑作。

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    2009年11月22日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    小説を読むときはだいたい俯瞰しているように世界に入り込むのだけど、
    このシリーズはその世界に立っているような気分にたびたび陥る。
    そしてよく置いてきぼりを食らう。
    一言で言ってしまえば、リアルだ。

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    2009年10月04日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    前回に引き続き上巻はカイト視点。
    個人的にはカイト視点の方がおもしろいけど、
    もちろん椿子視点も面白い。
    作者がすでに他界してることに少し絶望しかけたけど、
    タイミングよく続刊がでるということで、期待。

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    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻と視点が変わったせいか、
    上巻ほどのおもしろさは感じられなかったものの、
    それでも十分面白く感じた。
    最後は不意打ちすぎる。

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    2009年10月04日
  • 時には懺悔を

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    ネタバレ

    様々な境遇を抱えた人たちが支え合っている。
    最初はただの事件で解決だけを望んで読んでいたけど読み進めていくと、ただ解決するだけじゃなく関わった人たちによってどうしたらより良く解決するか。の視点に読んでいるうちに変わっていった。

    障がい児と携わる仕事に就いていた過去も相まって期待が大きかった分、最後明野の自首シーンなど割愛されていて、もう少しそこの部分の明野の新と離れる際の感情部分が知りたかったなぁ。と思った。

    前半のちょっとした感情の伏線回収も気持ちが良く、同職同士の探り合いの会話も端的で好みだった。

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    2026年10月17日
  • 時には懺悔を

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    打海文三さん著「時には懺悔を」
    1994年に刊行された作品。自分が高校生の時の物語となる。
    観てはいないが最近映画化されてこの作品を知り、古本屋でたまたま見つけたので購読。

    物語は探偵が真相を追っていくミステリー。
    知人の探偵の不審死をきっかけに過去の未解決の誘拐身代金事件が絡まってくる。
    それを暗く重たい描写を用いながら描かれていた。

    ミステリーもさることながらこの作品は重たい障害のある子供を産んだ親とその覚悟とその生活が同時に描かれている。
    著者自身もお子さんが障害児だったとの事で、テーマの一筋の柱として組み込まれたのであろう。
    考えさせられるテーマだった。

    自分には子供がいないのであまり考えてきた事がないが、例え我が子だろうが障害児の親としてその子の人生に対して一生の決意を持っていけるだろうか?
    親として時に罪悪感や後悔に似た感情をその子に寄せてしまうのではないだろうか?と感じる。
    障害のない子に産んであげられなくて…
    きっと何度も感じる感情だろう。

    逆を言えば障害を抱えている方々のその各々の親達の強さを改めて感じさせられる。
    とんでもない覚悟と重圧が生活の中にあるであろう。想像するだけでその親達の人としての強さ、それは自分にとって尊敬に値する。
    凄い…
    偉い…
    尊い…
    言葉だと軽く感じてしまうが、どの言葉もその通りでそれらが強さだと感じられる。

    だいぶ重たいテーマだった。
    この感じ、この作品と出会わなければ感じなかった感情かもしれない、そういう意味では貴重な読後感を得られた。

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    2026年10月14日
  • 時には懺悔を

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    1994年の打海文三『時には懺悔を』。
    文庫化は2001年。
    そして2025年、映画化が決定し、当初は6月公開予定だったが、トラブルにより2026年公開となりました。

    映画は観ていませんが、
    この物語がとてもセンシティブで、覚悟のいる作品だったということ。
    30年前、この小説を“書く”という決意。
    そしていま、“映画化する”と決めた関係者たちの覚悟。

    主人公は探偵たち。
    物語は、彼らが早々に死体と遭遇するところから始まり、ミステリーの様相を帯びていきます。
    ベースはあくまでミステリーですが そこに障害児誘拐事件を絡め、
    家族の罪、贖罪、そして懺悔を――小説として、文学として描こうとしたのだと思う。

    障害を表現する時のリアリティ。
    障害児を育てる時のリスク。
    その経験で得られる絆のリアリズム。

    作者が最後に描くのは、懺悔ではなく、生の継続でしょうか。

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    2026年10月09日
  • 時には懺悔を

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     この作品は映画化されていて、劇場で予告編を見てみたいと思ったので、あらかじめ原作を読んでおこうと思った。ポケットベルが登場するあたりなどは少し昔の小説なのだと感じさせられる。内容はあまり派手なアクションや盛り上がりなどがあるわけではなくて、私立探偵が淡々と調査を進めてゆく、ちょっと地味な雰囲気の小説。内容はミステリーであり、それから障害児の問題にも焦点を当てた社会派小説でもある。読みごたえはあった。ただ読み終えて、さあ映画を見に行きたいなと思ったらもう上映は終了していた。

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    2026年09月25日
  • 時には懺悔を

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    書かれたのが1994年ということで、微妙な時代感は感じたけど、胸を打つストーリーで読んでよかった。映画化されていなければ出会うこともなかったかもしれないと思うと感慨深い。

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    2026年09月24日
  • 時には懺悔を

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    障害児の前では、どれだけの悪人でも心を許すというか、ただの人になる。
    その姿を神様と称し、その存在に救われている人がいる。
    人は誰しも、後ろめたいことや罪を心の中に持っているものだ。
    1人の障害児の周りの人間たちが、自分の後ろめたさを、心の何処かで彼に救いを求めている。
    ありのままの自分として、(神のような)その子に対してひっそりと懺悔をしているのかも。
    目も当てられないくらい無様だと憐れんでいるこどもに対して頭を垂れるような姿は滑稽である。
    みないろいろと吹っ切れたり精算したりして、最後はポップな終わり方でよかった。

    普段本を読んでも言語化しないので稚拙な文章。他の方の感想を読んで味わい直そうと思う。

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    2026年09月23日
  • 時には懺悔を

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    映画化されたことに伴い拝読
    話の展開も読めず面白かったが、聡子の性格があまり好きになれず、佐竹との会話にも共感できず…
    ダウン症のお子さんの描写と明野の接し方に胸を打たれた
    最後のオチや上述した通り、主人公2人をあまり好きになることはできなかったけど、読んでよかったと思える一冊

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    2026年09月23日
  • 時には懺悔を

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    以下は、完全私の「妄想」です。

    映画「時には懺悔を」。どちらが最初に脚本を書いたかと言えば、共同脚本の門間宣裕だった。おそらく文庫本発行の2001年。それでも25年前だ。映画化には幾つもハードルがあった。ハードボイルドの形をした身体障害者告発映画。インディーズか、それでなければ有名俳優が何人も出てくる大作でないと成立しない。長いこと御蔵入りした。

    俳優とのトラブルで半分謹慎期間中だった中島哲也監督と門間は飲んでいる最中、この話で盛り上がる。身体障害者を正面から撮ろう。そこから始めよう。登場人物の入れ替え、エピソードの切り落とし、膨らまし、中島監督だから持ってこれる俳優たちの存在感。脚本を鍛え直すということが、ここまで楽しい作業は久しぶりだった。

    映画制作は、中島監督とトラブル中のA子と「完全和解」をすることを条件にゴーサインが出た。そのせいかもしれないが、結果的に「人のダーク面」をひたすら描いてきた中島監督の珍しくも「ダークの中の光」を描いた作品になった。

    ⸺⸺と、まぁ、このままだと完全映画レビューになるので、原作についても二言ばかし。

    映画観て、2つ疑問を持った。①あんな本格的な探偵調査、いったい金の出どころはリアルなのか?②佐竹の家庭環境はリアルなのか?①は、原作も寺西の一言、つまりは探偵社のポケットマネーで始まった。探偵殺しだったので、特別だったのだろう。寺西のの懐の深さは、役所広司の存在感だけで説得力を持たせた。②は、原作の複雑さを佐竹の家庭に置き換えたようだ。私は成功したとは言えないと思う。しかし、一方で原作の持つ、複雑な皺は伸ばされわかりやすくなった。どちらが悪いとも言えない。

    民恵が決意するに至った、明野の妻のノートは映画オリジナル。その他、ラストの改変含めて、映画の方が良い面が幾つかあった。しかし、改変は有るものの、驚くほどに映画は原作の「良いところ」を掬い出していた。

    「新を引き取って療育施設から帰る時に、タクシーに乗って運転手と新のことをいろいろしゃべってたら、その運転手がいうのさ」
    「なんてー」
    「その子は神様かもしれないから、大事にした方がいいですよ、って」
    「ああー」佐竹は思わず声をもらした。
    「障害の子を尊ぶという信仰があるのよ」
    「信仰なんてカケラもない感じの若い運転手だったぜ」
    「いいな」佐竹はちょっとした高揚感に衝き動かされていった。「そういうのがいい。宗教心など鼻で笑っている人間が、新の前では何か人間を超えた存在を感じるー」(307p)

    ←これは映画から削られた場面。おそらく泣く泣く削ったのだろう。

    幼児を抱いた初老の女が、コンニチハと寄ってきた。ひどく顔色の悪い幼児だった。明野はそっと車椅子を止めた。
    「新くん、頑張ってね」初老の女が新に声をかけた。
    明野は軽く会釈して、また車椅子を押した。
    「みんなが新を励ましてるようですね」佐竹がいった。
    「逆だよ」明野がぶっきらぼうにいった。「みんなが、新に励まされてるんだ。声をかけてる本人にも、そのことはよくわかってるさ」(325p)

    ←これはある意味、映画のクライマックス。ハードボイルド犯罪映画のはずが、人情感動映画になった瞬間である。

    結局は、20年をかけて、いく人かの無骨な男たちが、「何もしなかった」ことの後悔、懺悔を呼び起こしたのだ。門間宣裕から中島哲也へ。そして我々へ。そんな力を持った原作だったのである。

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    2026年09月16日
  • 時には懺悔を

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    障害児に関するお話。
    私は身近にこういう事例がなかったので読みながら色んな想像が及ぶ。
    SNSで色々調べやすくなったとはいえ、悩みとか辛さとかやりがいっていうのは結局当事者しか分からないんだよなと思った。
    現実にあるとしたらSNSで炎上しそうな感じがするが、何が良くて何がいけないのか、何とも分からないな…と。

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    2026年09月15日
  • 時には懺悔を

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    ミステリーとして読むと、誘拐事件のほうはかなり丁寧な描写ですが、探偵殺しの真相はかなりあっけなくて、えぇっ…!?となります。
    障害児と生きるということをテーマとして考えると、かなり重たい作品でした。

    私の従兄弟はかなり重い身体障害があり、脳性麻痺でした。新くんと変わらないぐらいの障害だったかと思います。
    おばさんがずっと介護をしており、食事シーンと重なって、思わず泣いてしまいました。
    でも、従兄弟は時々すごく良い顔で笑っていたので、親戚からはアイドルみたいな存在でしたね。

    「逆だよ。みんなが新に励まされているんだ。」という明野の台詞に大きく頷きました。

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    2026年09月11日
  • 時には懺悔を

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    ネタバレ

    映画をみる前に読みたくて、読んだ。
    先が気になり一気読み。

    米本殺しの理由は、本筋とは関係ないから一切触れられないのか?あの親子に何があったのか気になった。

    佐竹は結婚してるのに聡子へ好きだと。妻がかわいそうと思ってしまった。

    身体的特徴の強い新生児が誘拐されてからの警察の諦めが早くないか?9年後に病院探すくらいなら直後に探してすぐ特定できそう
    そこが疑問

    あと、誘拐犯が9年ずっと育て続けるというのも少し現実離れな気もした

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    2026年09月10日
  • 時には懺悔を

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    映画で喰らいまくったので、その足で書店に向かう。著者の作品は初めて読む。

    探偵の佐竹が探偵殺しの調査に関わる中で、二分脊椎症の子供とその父親についての秘密を解き明かしていくミステリー。血の繋がりについて、何組もの親子の姿から問いかけられていく。

    映画とはかなり設定が違う。それでも、作品の持つテーマ性はブレずに重くて暗い。女性描写や設定はちょっと古さを感じてしまうが、スラスラと読みやすい文体。著者の他の作品も読みたい。

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    2026年09月06日
  • 時には懺悔を

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    ネタバレ

    映画化されるということで。
    なんと、30年以上前の小説なのか。

    障がい者に対する、偏見ではないリアル。コンプラも何もない、ストレートな文章。読み応えあり、星4.3。

    盗聴しながら、聡子がのめり込んでいく様。
    誘拐した明野も同じ気持ちだったのか。
    目の前で、誰かの助けが必要な子どもがいる。
    考えるよりもまず、義務感や罪悪感、切迫感。
    そうこうしてるうちに、芽生えてくる感情。

    コンプラがちがちの今の時代に映画化、どんななってるんだろ、観てみたい。明野がクドカン、ぴったりかも。

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    2026年09月01日
  • 時には懺悔を

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    ミステリーを交えつつ障害と生命について書かれてる。みんないい人でいたいけど、最後の一歩は踏み出せないのがとてもリアル。最後の決断は正しいのかなって読み終わった後に考えるものだった。
    ただ殺人をメインとしたミステリーとして読むと、拍子抜けするので、親子のヒューマンドラマがメインでそこにミステリーが混じってると思って読んだ方がいい。

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    2026年08月12日
  • 時には懺悔を

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    過去の後悔や人生のしがらみを抱えた人たちが、重なり合う事件を紐解きながら、真実とささやかな赦しを探し求めていく。
    展開にスピード感があり、飽きさせない。

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    2026年06月04日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    裸者と裸者上下巻、愚者と愚者上下巻に続く第三部(未完)。
    著者が亡くなっているため途中までであったが、完結編となるようだったようで、内容としてもかなり物語の進みが早かった印象です。ぜひ完成してほしかった作品です。

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    2025年11月16日