打海文三のレビュー一覧
-
なかなか猥談も多かったので、あまりうまく書く術を持ち合わせていないけれど、出てくる女性たちが徹頭徹尾の姿勢を貫いていてそれがどんな形であれ、強いなと思うし、重かった。色んなテーマが織り込まれていて、とても好きな小説だった。冗長ではない短めの章に、モチーフにどんな意味があるのか考えるのはとても楽しい。...続きを読むPosted by ブクログ
-
北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。
武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人や各部隊の思惑をもっ...続きを読むPosted by ブクログ -
上巻に続いて下巻も連続2回読破。
月田姉妹の一見破天荒な雰囲気も根底にある仲間や弱者を想う気持ちの強さの現われであり、それを持って強大な組織や力に臆することなく立ち向かう様は痛快でもあった。
非力を嘆きながらも己を曲げず突き進む月田姉妹は誰よりも強い。だからこそ、あらゆる差別の根絶の提唱に説得力があ...続きを読むPosted by ブクログ -
今の日本も今後こうなってもおかしくない。
内戦状態の日本で、孤児の少年が、妹、弟を守るために力強く生きる。
暗い時代背景で、置かれた状況は悪いけれど、なにか、わくわくさせてくれる主人公。
いろんな人と出会って成長していく姿。
良いですね。
下巻がかなり気になる感じです。Posted by ブクログ -
おもしろい。
内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。
主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。
「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通して◎
作者の遺作と...続きを読むPosted by ブクログ -
久しぶりに、読み終わってゲロりそうになった漫画です
もちろん、つまらなかったのでなく、ヤヴァいほどに面白かったからですが、こんな結末アリかよ、と喉が裂けるほど叫びたくなるほどでした。ある意味、外さないアンチハッピーエンド?
単に、戦争の悲惨さを描いているだけの、お約束の漫画じゃないですね、これは。「...続きを読むPosted by ブクログ -
「自分の口で夢を語るそばから、どこまでが本心なのか自分でもわからなくなる。夢はいつか叶うと無邪気に信じられた子供時代はおわっているのだ。殺戮と破壊と略奪の戦争の海にただよい出した孤児は、ふと気づくとずいぶん遠くまできてしまって、岸辺がどちらの方角にあるのかさえわからない。」
作者の死により、和平構...続きを読むPosted by ブクログ -
「吸引と販売を禁じても、ドラッグ汚染の拡大を防ぐ有効な手段にはならない。なぜか。戦争は恐怖をもたらす。前線で砲弾にさらされ、街角で狙い撃ちされる兵士たちは、ドラッグの多幸感のなかで恐怖から逃れようとする。ドラッグは確実に捌けるってことさ。仕入れに困ることなんてこともない。国内生産は過剰気味だ。ようす...続きを読むPosted by ブクログ
-
「四百発」
「そのミサイルを誰に打ち込むの?」マクギリスが訊いた。
「正面の敵に」
「正面の敵って誰?」
「黒い旅団」
「彼らはたぶん、孤児部隊を正面に押し立てて突撃してくると思う」
「そのかのうせいはあります」
「悪夢よ」
「戦争です」
最前線で人間の盾になる孤児部隊として育ち司令官となり、そし...続きを読むPosted by ブクログ -
「旗をかかげる。異端分子を殲滅する。世界を浄化する。そういう政治主義はくそ食らえだ」姉妹は言った。
「世界を変えたいっていう欲望はないの?」
「ないね」姉妹は即答した。
「ないのか」森が残念そうに言った。
「戦争を継続させているシステムを破壊したいとは思っている」
マイノリティ解放軍、女の子マフィ...続きを読むPosted by ブクログ -
「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」
「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。
「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。
「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。
「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」
「理念としてはその...続きを読むPosted by ブクログ -
途切れてしまった物語をずっと読むの怖くて読めなくて、やっとやっと読んだ。
でも文章は途切れているけど、物語は途切れていなくて、打海先生がもういないのはすごく悲しいけど、もしかしたら結末を知らなくてよかったかもしれないとすこし思った。
三部作、具体的な結末はないけど、私の中で脊髄まで染み込んでほんとう...続きを読むPosted by ブクログ -
多分今までで最も衝撃を受けた本。
なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。
対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。
そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。
...続きを読むPosted by ブクログ -
「愚者と愚者」上巻。野蛮な飢えた神々の叛乱。今回は海人率いる孤児部隊がメインなお話。武力勢力「我らの祖国」「黒い旅団」の性的差別に対する戦いが繰り広げられるが、海人配下の孤児部隊にも陰謀が。。海人の戦友である孤児部隊との友情や、相変わらず女性にモテる海人の行動に惹きつけられる。たくさんの武力勢力が出...続きを読むPosted by ブクログ
-
「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。
近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。
前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人...続きを読むPosted by ブクログ -
ああ~!ついに読んでしまったぁ~!!続きが読みたいのに、未完のまま読めないなんて、残念過ぎる!身悶えして、叫びだしそう・・・! でも、この愛してやまない小説に出逢え、それが未完というのは、ある意味すごーく奥深い感慨を覚える。完結しないってことは、つまり永遠ってことで・・・海人にマジ惚れな私としては、...続きを読むPosted by ブクログ