打海文三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりに、読み終わってゲロりそうになった漫画です
もちろん、つまらなかったのでなく、ヤヴァいほどに面白かったからですが、こんな結末アリかよ、と喉が裂けるほど叫びたくなるほどでした。ある意味、外さないアンチハッピーエンド?
単に、戦争の悲惨さを描いているだけの、お約束の漫画じゃないですね、これは。「戦争はしちゃいけない」なんて、定番のメッセージすら感じられません
ともかく、生と死だけが、咽ぶほどに充満しています。命が散る表現と命を散らす描写がエグい。ジャンルこそ大きく違うが、『世界鬼』や『進撃の巨人』に匹敵するほどの凄惨さとやるせなさ、無情感がどのコマにも溢れ、詰め込まれていました
軽々しく扱っていい命も、丁重に扱うべき命も、良識も信念も殴り棄てて邪悪と異端の極地に立たなければ、自身の明日を確保できない戦場には、有りはしない、と思い知らせる内容でした
戦っても死ぬ、戦わなくても死ぬ
人の命も、生も、死も戦場では等しく、クズ以下だ
だからこそ、過去を背負い、未来に夢見ず、現在だけをただ一心不乱に生きる『覚悟』があり、自分がすべき事を『決断』できる人間だけが、生き残れる、身近な人間と赤の他人の屍の上に
この作品の世界は、あくまで内戦下ではあるが、規模は違えど、私たちも戦う事を強いられる状況にいるとも言えますかね?
人の上に立つ方法や、清濁併せた手段で勝つ方法も、この漫画の中にはないです
あるのは、純粋なまでの生存本能に対する執着の必須性
生き残る意思を自身から捨てる者が、生きられる世界など何処にもありはしないんでしょうね
ホントに、つくづく異端な漫画です
内容が内容だけに、子供にゃ読ませられないけど、かと言って、大人でも結構、胃と心に圧し掛かってくる漫画でした
今の日本に、必要な漫画の一冊に推したいです -
Posted by ブクログ
これはいい作家と出会えました。
全く伊坂幸太郎に感謝。
単行本で592Pがあっという間です。
というか一度に読んでしまいたい、読んでしまわないと理解できないんじゃないか。
そんな風に思いました。
舞台設定などからすれば村上龍の作品などとオーバーラップするところがあり、話の進め方からすれば伊坂幸太郎作品にも共通する箇所が見受けられます。
ただインパクトの強烈さは先に挙げた両者を凌駕するものを感じます。
序盤に発生した事件をきちんと把握・理解していないと度々ページを戻すことになります。
無駄な文章は一切なし。
作品の世界にのめり込んでしまい、読み終えた後はその重みでグッタリしました。 -
Posted by ブクログ
「自分の口で夢を語るそばから、どこまでが本心なのか自分でもわからなくなる。夢はいつか叶うと無邪気に信じられた子供時代はおわっているのだ。殺戮と破壊と略奪の戦争の海にただよい出した孤児は、ふと気づくとずいぶん遠くまできてしまって、岸辺がどちらの方角にあるのかさえわからない。」
作者の死により、和平構築プログラムの途中で物語は終了する。戦闘は終わっても戦争は終わらない。戦争を記録する団体が弾圧され、戦争責任が勝者側の論理で決定されていき、曖昧な処分で終わったことにされていく。反乱分子のテロは続き、武装解除は進まない。収束する場所が見えない中で本作は突如終わってしまうのは残念だ。
たが、終わりがないのが戦争であるから、本作はある意味どこで作品として終わってもいいのだ。戦争責任は問われ続け、戦後の復興があり、癒えない傷があり、記憶はなかなか消えないのだから。
残酷な物語だが、最高のエンターテイメントに仕上がっている作品だった。 -
Posted by ブクログ
「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。
近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。
前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人公の海人、しっかり者のメグ、短気なリュウの3人が慎ましく生活する姿が描かれる。謎の武力勢力の登場から一気に物語が動き出し、目が離せない。上巻は心身ともに少しずつ大人になっていく海人の成長物語でもある。戦争と登場人物の行方を気にしつつ下巻へ突入。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ犯罪都市、海市。そこでうごめく犯罪組織と警察と警察の自警団。分厚い本をこれでもかと疾走する物語。物凄く、引きこまれた。これはもう、この人の本はすべて読まなければならないと思った。ほんとうに面白くて分厚さも忘れて一気に、とはいっても丸二日くらいかかった記憶があるけど、とにかく一気に読んだ。そして、読み終わった直後、著者のほかの本を物色にいった本屋のポップで著者の逝去を知った。あまりにショックで読まなければと思ったにも関わらず他の本に手を出せずに今日まで来てしまった。
だが、これは本当に面白い。そして、著者のほかの作品も読みたいと今も思っている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ待ちわびた応化シリーズの最終巻。未完で終わってしまったために、上巻(海人編)と下巻(椿子編)の半分を纏めて一冊にしている。
戦争の「終わり」を描いた上巻では、難民問題や戦後の復興へ向けての諸問題が次々と常陸軍と同盟軍を悩ませる。戦争を終わらせようと奮闘する海人たちが、途中でパンプキン・ガールズの面々と遊んでいる場面など、どこか明るいムードは健在。最終決戦の前でも相変わらず生き生きと動く登場人物たちの会話であったり、懐かしい人々の登場であったりと、終わりへ向けて熱い展開が続く。
最後のあづみ救出の場面でようやく戦争が終わったんだなと実感できた。こういうところに描写の巧みさを感じる。
下巻では、戦後の復興の動きが本格化していく過程が描かれている。小さなNGOがアメリカ相手の裁判を起こそうとする話は、戦争を生き延びた人間の強さを感じさせた。
椿子の心中にとても興味があったので、あまりそれが描かれずに中途半端なところで終わってしまって本当に残念。海人、椿子、その他に戦争に関わった人たちの今後が見れないのもとても残念だけど、彼らならその後の人生もきっと大丈夫だと思えた。
シリーズ全体を通して、素晴らしい名作だったと思う。 -
Posted by ブクログ
応化三部作の第二部。再び視点は海人。
軍主導の選挙や軍内のゲイ兵士差別問題や戦友の離反など大きな問題が続々と起こる中、すっかり頼もしい司令官となった海人と同盟軍たちが立ち向かっていく。
今巻は特に性差別・人種差別の問題に言及していて、いろいろと考えさせられる。作品内では性的マイノリティーや外国人や孤児の部隊が中心となって戦争を終わらせるために戦っていて、海人の所属する常陸軍は性差別も人種差別も禁止している軍隊なわけだけど、もし戦争が海人たちの勝利で終わったとしてもそういう問題が簡単になくなるわけではないだろう。残念ながらこの戦争がどういう終わりを迎えるかは想像に任せるしかないのだろうけど…。
新たな敵も現れてまだまだ終わらない戦争。下巻はどうなるのだろうか。