打海文三のレビュー一覧

  • 時には懺悔を

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    『無力だってところが、人間の愛しいところなのよね。そうでしょ?誰だって悲哀に打ちのめされ経験を持つものよ。まったく人間は無力な生き物。だけど無力な人間が、痛ましい悲哀から癒されるプロセスにこそ、心をふるわせるものがあるわけでしょ。』

    人が最後にいい人間になる物語は古今東西の多くの物語で描かれているが、納得感がないのは物語の物語性が現実を超えられていないのか、私の人間性が物語を越えられていないのか、分からない物語が多くある。本作は、そういった作品の一つになると思われる。

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    2014年08月03日
  • 裸者と裸者 邪悪な許しがたい異端の(3)

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    久しぶりに、読み終わってゲロりそうになった漫画です
    もちろん、つまらなかったのでなく、ヤヴァいほどに面白かったからですが、こんな結末アリかよ、と喉が裂けるほど叫びたくなるほどでした。ある意味、外さないアンチハッピーエンド?
    単に、戦争の悲惨さを描いているだけの、お約束の漫画じゃないですね、これは。「戦争はしちゃいけない」なんて、定番のメッセージすら感じられません
    ともかく、生と死だけが、咽ぶほどに充満しています。命が散る表現と命を散らす描写がエグい。ジャンルこそ大きく違うが、『世界鬼』や『進撃の巨人』に匹敵するほどの凄惨さとやるせなさ、無情感がどのコマにも溢れ、詰め込まれていました
    軽々しく扱っていい命も、丁重に扱うべき命も、良識も信念も殴り棄てて邪悪と異端の極地に立たなければ、自身の明日を確保できない戦場には、有りはしない、と思い知らせる内容でした
    戦っても死ぬ、戦わなくても死ぬ
    人の命も、生も、死も戦場では等しく、クズ以下だ
    だからこそ、過去を背負い、未来に夢見ず、現在だけをただ一心不乱に生きる『覚悟』があり、自分がすべき事を『決断』できる人間だけが、生き残れる、身近な人間と赤の他人の屍の上に
    この作品の世界は、あくまで内戦下ではあるが、規模は違えど、私たちも戦う事を強いられる状況にいるとも言えますかね?
    人の上に立つ方法や、清濁併せた手段で勝つ方法も、この漫画の中にはないです
    あるのは、純粋なまでの生存本能に対する執着の必須性
    生き残る意思を自身から捨てる者が、生きられる世界など何処にもありはしないんでしょうね
    ホントに、つくづく異端な漫画です
    内容が内容だけに、子供にゃ読ませられないけど、かと言って、大人でも結構、胃と心に圧し掛かってくる漫画でした
    今の日本に、必要な漫画の一冊に推したいです

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    2014年03月10日
  • ハルビン・カフェ

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    これはいい作家と出会えました。

    全く伊坂幸太郎に感謝。



    単行本で592Pがあっという間です。

    というか一度に読んでしまいたい、読んでしまわないと理解できないんじゃないか。

    そんな風に思いました。



    舞台設定などからすれば村上龍の作品などとオーバーラップするところがあり、話の進め方からすれば伊坂幸太郎作品にも共通する箇所が見受けられます。

    ただインパクトの強烈さは先に挙げた両者を凌駕するものを感じます。

    序盤に発生した事件をきちんと把握・理解していないと度々ページを戻すことになります。

    無駄な文章は一切なし。

    作品の世界にのめり込んでしまい、読み終えた後はその重みでグッタリしました。

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    2014年01月13日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    「自分の口で夢を語るそばから、どこまでが本心なのか自分でもわからなくなる。夢はいつか叶うと無邪気に信じられた子供時代はおわっているのだ。殺戮と破壊と略奪の戦争の海にただよい出した孤児は、ふと気づくとずいぶん遠くまできてしまって、岸辺がどちらの方角にあるのかさえわからない。」

    作者の死により、和平構築プログラムの途中で物語は終了する。戦闘は終わっても戦争は終わらない。戦争を記録する団体が弾圧され、戦争責任が勝者側の論理で決定されていき、曖昧な処分で終わったことにされていく。反乱分子のテロは続き、武装解除は進まない。収束する場所が見えない中で本作は突如終わってしまうのは残念だ。
    たが、終わりがないのが戦争であるから、本作はある意味どこで作品として終わってもいいのだ。戦争責任は問われ続け、戦後の復興があり、癒えない傷があり、記憶はなかなか消えないのだから。
    残酷な物語だが、最高のエンターテイメントに仕上がっている作品だった。

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    2014年01月05日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    「吸引と販売を禁じても、ドラッグ汚染の拡大を防ぐ有効な手段にはならない。なぜか。戦争は恐怖をもたらす。前線で砲弾にさらされ、街角で狙い撃ちされる兵士たちは、ドラッグの多幸感のなかで恐怖から逃れようとする。ドラッグは確実に捌けるってことさ。仕入れに困ることなんてこともない。国内生産は過剰気味だ。ようするに、ドラッグの収益で戦争を継続する内乱の構造的な矛盾が、我々の勝利を約束してる。」

    数々の矛盾を抱えながら、内乱は混迷していく。面白いな〜。でも、このシリーズ、作者の急逝で未完とのこと。ショック(~_~;)

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    2014年01月04日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    「四百発」
    「そのミサイルを誰に打ち込むの?」マクギリスが訊いた。
    「正面の敵に」
    「正面の敵って誰?」
    「黒い旅団」
    「彼らはたぶん、孤児部隊を正面に押し立てて突撃してくると思う」
    「そのかのうせいはあります」
    「悪夢よ」
    「戦争です」

    最前線で人間の盾になる孤児部隊として育ち司令官となり、そして長くだらだらと続く戦争を終わらせるため指揮を執る中で、相対する敵の人間の盾である孤児部隊を殲滅しなければならない矛盾とどう折り合いをつけたのか?そこをもっと描いて欲しい。

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    2013年12月31日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    「旗をかかげる。異端分子を殲滅する。世界を浄化する。そういう政治主義はくそ食らえだ」姉妹は言った。
    「世界を変えたいっていう欲望はないの?」
    「ないね」姉妹は即答した。
    「ないのか」森が残念そうに言った。
    「戦争を継続させているシステムを破壊したいとは思っている」

    マイノリティ解放軍、女の子マフィア、反政府軍の反司令軍の活躍。まじ面白い。

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    2013年12月29日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」
    「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。
    「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。
    「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。
    「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」
    「理念としてはそのとおり」金髪の女が言った。

    ファルス中心主義的世界観から、徐々に女性の台頭、孤児軍の活躍、マイノリティー武装勢力の抵抗が起こってくる。かなり面白い。海人の活躍は、浅田次郎の『蒼穹の昴』のチュンルを彷彿させる。

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    2013年12月28日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻と同じく一晩で、とはいかなかったけど、すごすぎて言葉がない!2013年途中でやめられなくなる本暫定1位

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    2013年08月14日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    ネタバレ

    途切れてしまった物語をずっと読むの怖くて読めなくて、やっとやっと読んだ。
    でも文章は途切れているけど、物語は途切れていなくて、打海先生がもういないのはすごく悲しいけど、もしかしたら結末を知らなくてよかったかもしれないとすこし思った。
    三部作、具体的な結末はないけど、私の中で脊髄まで染み込んでほんとうに大きな存在としてたぶん続いていく。
    海人幸せになってくれって、言いたい、言えない

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    2013年06月27日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    ネタバレ

    多分今までで最も衝撃を受けた本。
    なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。
    対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。
    そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。
    わたしも海人に惚れています。

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    2013年06月27日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    「愚者と愚者」上巻。野蛮な飢えた神々の叛乱。今回は海人率いる孤児部隊がメインなお話。武力勢力「我らの祖国」「黒い旅団」の性的差別に対する戦いが繰り広げられるが、海人配下の孤児部隊にも陰謀が。。海人の戦友である孤児部隊との友情や、相変わらず女性にモテる海人の行動に惹きつけられる。たくさんの武力勢力が出てきて混乱することもあるけど、この独特な世界観は魅力的。下巻に進みます。

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    2013年03月24日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。
    近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。
    前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人公の海人、しっかり者のメグ、短気なリュウの3人が慎ましく生活する姿が描かれる。謎の武力勢力の登場から一気に物語が動き出し、目が離せない。上巻は心身ともに少しずつ大人になっていく海人の成長物語でもある。戦争と登場人物の行方を気にしつつ下巻へ突入。

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    2013年03月17日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    ああ~!ついに読んでしまったぁ~!!続きが読みたいのに、未完のまま読めないなんて、残念過ぎる!身悶えして、叫びだしそう・・・! でも、この愛してやまない小説に出逢え、それが未完というのは、ある意味すごーく奥深い感慨を覚える。完結しないってことは、つまり永遠ってことで・・・海人にマジ惚れな私としては、それもまたロマンチックだなぁ~、なんてウットリしてみたりw

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    2013年01月27日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻よりも戦争自体をクローズアップした印象。多分月田姉妹が海人くんより精神的に成熟していたからだと思う。月田姉妹はこれからどうなるのか、気になる。

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    2012年03月15日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    表紙で敬遠していたのが本当に悔やまれる。面白かったです。淡々とした文体だけれど、一気に読み終えてしまった。リアルにファンタジックでごりごりした少年の成長期。

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    2012年03月12日
  • ハルビン・カフェ

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    ネタバレ

    犯罪都市、海市。そこでうごめく犯罪組織と警察と警察の自警団。分厚い本をこれでもかと疾走する物語。物凄く、引きこまれた。これはもう、この人の本はすべて読まなければならないと思った。ほんとうに面白くて分厚さも忘れて一気に、とはいっても丸二日くらいかかった記憶があるけど、とにかく一気に読んだ。そして、読み終わった直後、著者のほかの本を物色にいった本屋のポップで著者の逝去を知った。あまりにショックで読まなければと思ったにも関わらず他の本に手を出せずに今日まで来てしまった。
    だが、これは本当に面白い。そして、著者のほかの作品も読みたいと今も思っている。

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    2011年12月17日
  • 愛と悔恨のカーニバル〈新装版〉

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    一般的に言う猟奇的殺人事件を扱った作品だが、
    何とも後味が良くてさわやかな作品である。

    本当に人間を描くのが巧い人だ。
    素晴らしい。

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    2011年11月20日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    ネタバレ

    待ちわびた応化シリーズの最終巻。未完で終わってしまったために、上巻(海人編)と下巻(椿子編)の半分を纏めて一冊にしている。
    戦争の「終わり」を描いた上巻では、難民問題や戦後の復興へ向けての諸問題が次々と常陸軍と同盟軍を悩ませる。戦争を終わらせようと奮闘する海人たちが、途中でパンプキン・ガールズの面々と遊んでいる場面など、どこか明るいムードは健在。最終決戦の前でも相変わらず生き生きと動く登場人物たちの会話であったり、懐かしい人々の登場であったりと、終わりへ向けて熱い展開が続く。
    最後のあづみ救出の場面でようやく戦争が終わったんだなと実感できた。こういうところに描写の巧みさを感じる。
    下巻では、戦後の復興の動きが本格化していく過程が描かれている。小さなNGOがアメリカ相手の裁判を起こそうとする話は、戦争を生き延びた人間の強さを感じさせた。
    椿子の心中にとても興味があったので、あまりそれが描かれずに中途半端なところで終わってしまって本当に残念。海人、椿子、その他に戦争に関わった人たちの今後が見れないのもとても残念だけど、彼らならその後の人生もきっと大丈夫だと思えた。
    シリーズ全体を通して、素晴らしい名作だったと思う。

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    2011年11月02日
  • 愚者と愚者(上) 野蛮な飢えた神々の叛乱

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    応化三部作の第二部。再び視点は海人。
    軍主導の選挙や軍内のゲイ兵士差別問題や戦友の離反など大きな問題が続々と起こる中、すっかり頼もしい司令官となった海人と同盟軍たちが立ち向かっていく。
    今巻は特に性差別・人種差別の問題に言及していて、いろいろと考えさせられる。作品内では性的マイノリティーや外国人や孤児の部隊が中心となって戦争を終わらせるために戦っていて、海人の所属する常陸軍は性差別も人種差別も禁止している軍隊なわけだけど、もし戦争が海人たちの勝利で終わったとしてもそういう問題が簡単になくなるわけではないだろう。残念ながらこの戦争がどういう終わりを迎えるかは想像に任せるしかないのだろうけど…。
    新たな敵も現れてまだまだ終わらない戦争。下巻はどうなるのだろうか。

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    2011年10月20日