打海文三のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
双子といえば髪型を変えたり服の系統を変えたりするというのをよく聞くけど、彼女たち月田姉妹には、桜子と椿子の区別を必要としていない。最後までどっちがしゃべっているのかわからないまま。父親を殺すのもためらわない。でも、恩義は命懸けでもきっちり返す義理堅いとこがかっこいい。彼女等は、押し付けられた絆とか愛情とかいうものには興味がなくて、思うがままに生きている。
そんな状況が一変する事態がおきてこの小説は終わるわけだけど、結局、戦争が終わったかといえば、そうでもない。
その後どうなるのかは、続編「愚者と愚者」でということかな。たぶん、読むと思う。作者が亡くなって、シリーズが未完になってしまったと -
Posted by ブクログ
タイトルに魅かれて購入しました。
語り手の視点が目まぐるしく転換する、とても複雑な構成になっていますが、最後まで飽かずに頁を繰らせる緻密な筆致で満たされています。
とくに架空都市・海市の微に入り細に入る描写が非常によかったです。舞台となる北陸の新興都市は、北朝鮮系の十星会・中華系の梟雄幇・ロシア系のマフィアグループが三つ巴に縄張りを競い合う非合法地帯として描かれています。街角に佇む欧亜混血の娼婦、牡丹紅酒楼、老沙事件、『日本海NEWS』など、都市生活の断片に与えられた独特の名称には、SFのサイバーパンクを彷彿とさせるネーミングセンスの妙味を感じました。ウィリアム・ギブスンの CHIB