あらすじ
臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが――。残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の、愛と恐怖の旅立ちの物語。
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Posted by ブクログ
2年半くらい経っての再読。人間は、愛されないと生きていけない。他人の自我など感じられない世界で、この世界とは自分の脳が作り出した幻想なのか、そうでないのかと悩まされる少年の姿は、あぐりの指摘するように小学生の脳に処理できるようなものではなく納得しがたい。が、この物語のなかで、特にポピーでの生活から感じられる、愛のはかなさ、つくられる愛に、なんというか「愛の脆さ」を感じて、これは僕の心に深くとどまる作品となっている。
Posted by ブクログ
臆病で生真面目な少年が紛れこんでしまったパラレルワールド。
その世界では人間に尻尾が生えていて、そして心がないという。
小学生が主人公なだけに児童文学っぽい雰囲気が漂うけれど、それがまたいい。
物悲しい雰囲気を残しつつ、どんどん物語りは進んで行く。
実は読んだのが二回目なのだけれど、何度読んでも色褪せない。
Posted by ブクログ
自分自身がいままでと変わりない自分だと思っていること以外に自分が自分だと証明できることがない。すべては幻想だなんて結論にも至ってしまう。うーん。
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11歳の、単純で臆病でぼんやりした少年・翔太は、ある日コンサートの帰りに電車事故に遭遇する。その後少しずつ今までと世界が違っていることに気づく翔太。
翔太が迷い込んだ世界はなんなのか。元の世界に戻ることはできるのか。
またも作風が今まで読んだものと違う!強いて言うなら「ロビンソンの家」に近いと思うのは語り手が少年という共通点があるからかな。
前半はゆるやかに少しずついつもと違う世界が描かれ、中盤ではスピード感のあるシーンが多く、そしてまたゆるやかな世界に戻っていくジェットコースター感が読んでてはらはら楽しかった!
終わり方はタイトルも相まって、なんだか物悲しかった。
Posted by ブクログ
11歳の少年が迷い込んだ幻影の世界。
ちょっと切ないパラレルワールドでの出来事。
絶妙な主人公の年齢設定(^_^)
主人公が中学生とか高校生になってしまうと、主人公・翔太のように順応は出来んかったんじゃないかなぁ?
それにしても、【心がない】状態って、、、。
どんな感じなんやろう?
Posted by ブクログ
案外するりと読めた本。
初・打海です。
初めて行ったコンサート。
その帰り、駅で人身事故が発生する。
現場も見ずに進んだ帰路から、世界は異変を始める――。
という感じ。
ちょっともう主人公の名前とかも忘れててヤバいんですが(汗)
名前から硬めな文章かと思ってたんですが(ただの偏見だそりゃ)、意外とすぐ読めましたv
最後に微妙にエロが来たのは驚きましたが(+その相手にも)
Posted by ブクログ
もう読むのやめたい読むのやめたい、と思いながら最後まで読んでしまった。
どんよりしてるけどどこか明るくて、切ないけどちょっと楽しくて、でもやっぱり悲しくて怖い。
みたいな複雑な心情になる話。
Posted by ブクログ
「裸者と裸者」は面白かったけどちょっと、ついてけない部分がありましたが(SFとか、軍隊物を読まないので知識がなくて、場面とか装備なんかのイメージが上手く出来ないという意味で)これは素直に読めました。
平凡な生活の描写とか中野駅ってあたりと、主人公が巻き込まれた混乱や拘束、そうして辿り着いた結論の差が面白かったです。妙にリアルで怖かった。。。
小さい頃の、この世界が嘘だったらどうしよう的な考えを思いだしました。四次元の世界とか。ドラえもんでも劇場版でそんな話がありましたね。
みんな一回は考えるんでしょうか。
Posted by ブクログ
主人公の翔太は自分のことを思考が足らずぐずでバカだと卑下するが、自分にはとてもそうは思えない。少なくとも自分が11歳だった頃よりも遥かによく物事を考えていると思う。
その妙にしっかりした主人公に違和感を感じながら読まなければいけなかったのが少し残念。大人と話すのってもっと緊張しない?とか、理不尽な現実をそんな風に割り切れる?とか、あまり現実味のない小学五年生に感じた。
人の意識や感情といった哲学的な考察が根底にあるのだけど、そちらも少し薄いというか物足りない。
少年が成長して大人になる話し。だと思う。
Posted by ブクログ
2011-36 伊坂幸太郎のエッセイで興味を持って読む。よくあるジュブナイルSFのパラレルワールドモノかと思って読んでいたが途中から心の有り無しなど思索的な話になって最後は勿論ハッピーエンドでもなく放り出されるような終わり方。不思議な話し。
Posted by ブクログ
11歳の少年、という設定がすごく適切だと思った。もっと幼ければもっと違う在り方をしてしまうだろうし、13歳では自分がいるワールドに馴染んで生き続けることは不可能だっただろうな、と。
伊坂さんのようにメッセージ性のある小説と、高田崇史さんのQEDのシリーズのように、こうだ!と書く小説、があると思う・・・
そういうことを考えると、打海さんは前者、メッセージ性のある作家さんだろう。しかし、この本は、今一つ明確でないというか、自分で考えましょう、にせよ、あいまいかな・・・