打海文三のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「星屑のステージ」
「むらの男は夜眠れない」
の短編二篇と
「ロシアン・ルーレット」
の長編一篇の連作。
主人公は探偵の佐竹。
2026年8月28日(金)に全国公開される『時には懺悔を』の続編で、打海文三先生の遺稿となった未発表作。
ーーーーーーー
打海文三先生は「山形小説家・ライター講座」の2000年代の常連講師であられ、世話役の池上冬樹先生とも懇意にされていて、講座には毎年一回はいらしていましたが、惜しくも2007年に亡くなられました。
この作品は私はストーリーはよくわからなかったのですが、平成の初めに描かれたようで、当時の空気感が溢れていました。
この作品は残念ながらそれほどいいとは思えなかったのですが、昔の作品にはハードボイルドが苦手な私にもカッコいいと思える作品がありました。
2003年『ハルビン・カフェ』で第五回大藪春彦賞受賞。
他にも『灰姫 鏡の国のスパイ』『されど修羅ゆく君は』『そこに薔薇があった』『Rの家』『一九七二年のレイニー・ラウ』『裸者と裸者』などを遺されています。タイトルだけでもカッコいいと思っていました。
何でこれを読もうと思ったのかというと、当時一緒に講座に通っていた私の友人のAさんという方が打海先生の『Rの家』(今は『ロビンソンの家』)の感想をこっそり言ったら打海先生が感想に感激して『一九七二年のレイニー・ラウ』の登場人物の一人ののモデルとして書かれたという話があるんです。『レイニー・ラウ』は短編集でAさんはAさんをモデルにした主人公の出てくる短編の頭のページに打海先生にサインを頂いたそうです。
Aさんはどんな感想を言われたかというと「『Rの家』の主人公の〇〇の生き方に憧れます」と言ったそうです。
以下ネタバレですが『Rの家』の主人公は突然いなくなる(家出)家庭の主婦なんです。
そして、そのAさんに「打海先生の新刊出たよ」と教えたら「読みたくなった」と言われて「読み終わったら語り合おうね」ということになったので読みました。
私は打海先生の思い出と言えば「『裸者と裸者』拝読しましたが何の話かよくわかりませんでした」と言ったら「伊坂さん(同じ仙台在住の伊坂幸太郎さんのことです)の奥さんは面白かったと言ってくれたよ」と言われ、
(なんでよりによって、伊坂さんの奥さんと比べられなきゃいけないの)
と思ったものでした。
『ぼくが愛したゴウスト』はまだ積んであるのでいつか読みたいのですがなかなか読めません。 -
Posted by ブクログ
2026年8月28日より劇場公開される
西島秀俊&満島ひかり ある事件の真相を追う探偵コンビ役で初共演 中島哲也監督「時には懺悔を」
佐竹は、数年前に退社した大手の探偵社アーバン・リサーチの元上司・寺西に頼まれ、探偵スクールのレディース一期生・中野聡子の代理教官をすることになる。その日の実習は、やはりかつての同僚・米本の探偵事務所に盗聴器を仕掛けることだったが、事務所に忍び込むと、そこには米本の死体が転がっていた。佐竹は中野を助手に、米本が殺された謎を調査していくが、やがて過去に起きた障害児の誘拐事件の真相に迫っていくことになる……。濃密な親子の絆を描く、感動の傑作ミステリー! -
Posted by ブクログ
こうや曠野に吹き晒そうとするのか 劉雨 薬罐が微かな悲鳴をあげた 「恋に落ちるってね、世間からも落ちていくことなの」 クラッシュ ディヴィッド・クロネンバーグ 死に至るほど激しいクラッシュ事故で性的なエクスタシーを得た人々が カオルーン九龍 場末の場末の娼婦 「女性としては、心置きなくセックスを愉しめる、最高の年頃なのよ」 香港島の摩天楼 1989年の天安門事件の後で、彼女は香港に見切りをつけてカナダへ渡った。 アンタッチャブルな空間 清朝時代の建築を模した建物が点在する 男が堕ちた女を救済するというオメデタイ物語へと コロネア路環島 立会川駅 退っ引きならない現実を 初恋 単なる発情です 憩う 眼尻に小さな水滴が 庭木の剪定 東急大井町線の上野毛駅 桟橋さんばし 喪失を甘くて経験できるなんて マカオ 空約束 抱擁を解いた 華奢な顎が持ち上がった クリント・イーストウッドの惨めったらしい男根主義について イ・ポンチャン李奉昌 テコンドーの先生 かつたつ闊達なお喋りを愉しんだ メディテーションと称して朝から晩までドラッグでトリップしていた。その甘ったれた言説と底無しの怠惰な生活に、男友達の方は、一瞬のうちに馴染んでしまったのである。 核査察 テポドン ボーイという一言に 満月の、惨めで、可哀想な、あの失恋でさえ でもそこまでね、甘く想像できるのは あるいは断念した思い 日々の生活とは正反対の側にあるもの 「確信犯として、どこまでも逃避していく」 自分の考えに反駁を試みた いま官能の青い炎が点っているのだとしたら 胆を決め ちぇじゅ済州島 あいくち匕首 渡世とせい キムパプ 野趣溢れるスープ 珍島ちんど 男性的な力強さとは一線を画した優美な泳ぎだ そうてい装丁画 その完璧な陰影に 簡潔に十全に証明していた かんなくず鉋屑 ゴーストワールド ロリータ ナブコフ 舞台は北関東の太平洋岸だものね 中島敦の山月記 「死臭にみちた女」の修辞に内在する穢れの美学化、それが孕む差別の構造 経験できたかもしれない倒錯の極限として、達しえたかもしれない自己解体の一瞬に似た性的オルガスムスとして そうした言わば主体の放棄を迫る女性との、凌辱される関係というものは、女王、にそう尼僧、義母、女教師といった記号群に垣間見えるところであるけれど、それを自己など灼け切ってしまう圧倒的な「他者」への欲情として、官能小説のうちに徹底させてみたいというのが、作家としての僕の野心である。 ポール・オースター〈小説を書くということは、今迄一度も起こらなかった事を思い出すということ〉 この不可能性を虚構の中で救い出すのが小説家の仕事で ヴァギナ・デンタータ=歯のある膣 舅が槌つちを振る小気味好い音が届き かんぜん敢然と無視してしまうだろう 通俗小説 アバンギャルド 欲望をストレートに告げる言葉が 中国服のブレヒト そこに薔薇があった あなたの恋が成就しなかった事にこそ、確信を持つべきだ。経験者であるあなたは、その時そこで、何が起こらなかったのか、よく知っている。シリ・オースターが言う通り、〈起こらなかった〉について書くのが小説なのだから、そして起こらなかった事の内に、語る価値のある物語が無尽蔵に隠されているのだから、あなたには恋愛小説を書く資格がある。 その創作を通じて、作者自身も、彼或いは彼女を束縛している支配的な物語から、如何にして自己を解き放つか。これは自由の根源に関わる問題である。 作家打海文三が心筋梗塞で急死した。五十九歳だった。 単に父親が娘に欲情しているだけですよ 禁忌を易々と超えそうな不埒さ 宮沢賢治の『春と修羅』 兄と妹の近親相姦的なテーマを忍び込ませているのである 艶やか 池上冬樹