打海文三のレビュー一覧
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単純にして明快な嘘に徹することにしたのだ 胸の内で沸々と発酵している思いに考えを巡らした 色んな喪の儀式を通じて癒されるらしいんだが 死への衝動 水頭症 肢体不自由養護学校 哀しみの底 感情が剥き出し 現状の把握も露骨なほどリアル 二分脊椎症 両下肢機能全廃りょうかしきのうぜんぱい 淡島通り 聡子の健啖ぶりを間近で眺めた 牛久駅 ひろつ尋津真一郎 稲城市 多摩丘陵きゅうりょう 稲城長沼駅 鶴川通り 川崎街道 日比谷公園の松本楼 謂れのない謗りそしりを受け 私刑リンチされた黒人の死体=ストレンジ・フルーツ 山葵わさび 牛蒡の間引き菜 水上勉《くるま椅子の歌》 ひらく拓 アイラ・レヴィン《ローズマリーの赤ちゃん》 民恵 と誰かの死を悼んでいるような嗚咽が聞こえた 激しい煩悶の果てに ションベン横丁 競艇場前駅から尾行されているような気がしてた 「将来使えるタマとは思えなかったが、赤飯炊いて、お祝いさたよ」 明野が新の尿道からシリコンの管を抜いた 引継ぎ ギリギリと骨が軋む音がするほど抱きしめた 一生つづくであろう《癒しのドラマ》がはじまったばかりであり 実際に刑の減軽嘆願書は 三島由紀夫『美しい星』 殲滅思想の一神教らに 大江健三郎『空の怪物アグイー』『個人的な体験』
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こうや曠野に吹き晒そうとするのか 劉雨 薬罐が微かな悲鳴をあげた 「恋に落ちるってね、世間からも落ちていくことなの」 クラッシュ ディヴィッド・クロネンバーグ 死に至るほど激しいクラッシュ事故で性的なエクスタシーを得た人々が カオルーン九龍 場末の場末の娼婦 「女性としては、心置きなくセックスを愉しめる、最高の年頃なのよ」 香港島の摩天楼 1989年の天安門事件の後で、彼女は香港に見切りをつけてカナダへ渡った。 アンタッチャブルな空間 清朝時代の建築を模した建物が点在する 男が堕ちた女を救済するというオメデタイ物語へと コロネア路環島 立会川駅 退っ引きならない現実を 初恋 単なる発情です 憩う 眼尻に小さな水滴が 庭木の剪定 東急大井町線の上野毛駅 桟橋さんばし 喪失を甘くて経験できるなんて マカオ 空約束 抱擁を解いた 華奢な顎が持ち上がった クリント・イーストウッドの惨めったらしい男根主義について イ・ポンチャン李奉昌 テコンドーの先生 かつたつ闊達なお喋りを愉しんだ メディテーションと称して朝から晩までドラッグでトリップしていた。その甘ったれた言説と底無しの怠惰な生活に、男友達の方は、一瞬のうちに馴染んでしまったのである。 核査察 テポドン ボーイという一言に 満月の、惨めで、可哀想な、あの失恋でさえ でもそこまでね、甘く想像できるのは あるいは断念した思い 日々の生活とは正反対の側にあるもの 「確信犯として、どこまでも逃避していく」 自分の考えに反駁を試みた いま官能の青い炎が点っているのだとしたら 胆を決め ちぇじゅ済州島 あいくち匕首 渡世とせい キムパプ 野趣溢れるスープ 珍島ちんど 男性的な力強さとは一線を画した優美な泳ぎだ そうてい装丁画 その完璧な陰影に 簡潔に十全に証明していた かんなくず鉋屑 ゴーストワールド ロリータ ナブコフ 舞台は北関東の太平洋岸だものね 中島敦の山月記 「死臭にみちた女」の修辞に内在する穢れの美学化、それが孕む差別の構造 経験できたかもしれない倒錯の極限として、達しえたかもしれない自己解体の一瞬に似た性的オルガスムスとして そうした言わば主体の放棄を迫る女性との、凌辱される関係というものは、女王、にそう尼僧、義母、女教師といった記号群に垣間見えるところであるけれど、それを自己など灼け切ってしまう圧倒的な「他者」への欲情として、官能小説のうちに徹底させてみたいというのが、作家としての僕の野心である。 ポール・オースター〈小説を書くということは、今迄一度も起こらなかった事を思い出すということ〉 この不可能性を虚構の中で救い出すのが小説家の仕事で ヴァギナ・デンタータ=歯のある膣 舅が槌つちを振る小気味好い音が届き かんぜん敢然と無視してしまうだろう 通俗小説 アバンギャルド 欲望をストレートに告げる言葉が 中国服のブレヒト そこに薔薇があった あなたの恋が成就しなかった事にこそ、確信を持つべきだ。経験者であるあなたは、その時そこで、何が起こらなかったのか、よく知っている。シリ・オースターが言う通り、〈起こらなかった〉について書くのが小説なのだから、そして起こらなかった事の内に、語る価値のある物語が無尽蔵に隠されているのだから、あなたには恋愛小説を書く資格がある。 その創作を通じて、作者自身も、彼或いは彼女を束縛している支配的な物語から、如何にして自己を解き放つか。これは自由の根源に関わる問題である。 作家打海文三が心筋梗塞で急死した。五十九歳だった。 単に父親が娘に欲情しているだけですよ 禁忌を易々と超えそうな不埒さ 宮沢賢治の『春と修羅』 兄と妹の近親相姦的なテーマを忍び込ませているのである 艶やか 池上冬樹
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9年前の誘拐事件を追っていたと思われた探偵が惨殺され、その死を明らかにするため、探偵佐竹と見習い中の助手が、かすかな手がかりをたよりに解いていく。
重度の障害を持って生まれ誘拐された子供、子供の世話に追われて逃げようとしない誘拐犯、知っていて取り戻そうとしない元両親という、犯人側にも葛藤があるタイプの話。
調べる方もまったくもって完璧ではなく、子供に感情移入してしまったり、犯人を自首させようとヤキモキしたりと悩むポイントが多い。
文章も読みやすく、いわば「宮部みゆきタイプ」の社会的正義が簡単に適用できないシチュエーションで、読ませたいポイントがわかりやすいところは高く評価できるだろう。
しかし、時々バイクが転倒したりと、謎の描写が挟み込まれるのは何なのか。ストーリーと関係あるのかと引っかかってしまう。
また、いろんな世間の悩みを詰め込みたいがあまり、無闇に登場人物を増やしすぎたのもマイナスである。
力作では有るが、いろいろと人生のネガティブな部分に頼りすぎた作品である。