打海文三のレビュー一覧

  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    下巻は、上巻にも登場した双子の姉妹が主人公。
    上巻同様、戦争の酷さ、権力争い、裏切り、報復、陰湿に暗くしようと思えばどこまででも出来そうなのに、何故かあっけらかんとした空気が漂ってるのは何故だろう。

    双子の姉妹の持つ諦めのような潔さのせいかしら。

    いろんな勢力が出てきて、複雑化しすぎて正直何がなんだか分からないけど、読みとばしちゃっても問題無し(笑)
    敵か、味方か、それがわかれば大丈夫(笑)

    登場する女の子達がみんなたくましくてかわいい。



    読み易くはないかもしれないけど、内容は面白い。

    続編、愚者と愚者も読もうかな。

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    2012年03月06日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    もしも今、日本で戦争が起きたら、きっとこうなるんだろうな、と思う。
    戦争のきっかけになったのは、金融システムの崩壊、経済恐慌、財政破綻、まさに今の日本じゃないか。

    家も仕事も食料も無くなり、世界は混沌としていく。
    当たり前のように行われる、略奪、暴力、ドラッグ、売春、凌辱…
    力がなければ、何も守れない。


    主人公の佐々木海人は、純粋だけど、正義のヒーローではない。
    生き抜くため、大事な人を守る為なら、人を殺すし、強奪もする。

    戦争という状況の中では、今私が思うような善と悪は全く通用しないんだな、と気づいた。

    無垢な少年だった海人が、戦乱の世界を生き抜いていく中で、仲間を見

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    2012年03月06日
  • 時には懺悔を

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     探偵物としてだけ読むと、探偵の裏側みたいなストーリー展開だが、誘拐、しかも障害者となると複雑かつ考えさせる作品であるかなと。
     とおりいっぺんの視点だけでなく、そちら側というかあちら側というか自分自身の生活からは思いもよらない視点を提示され、戸惑うというか立ち止まってしまった。新米女性探偵の組み込み方も面白かった。

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    2011年12月25日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    さすがに前作から間が空きすぎて内容覚えてなかった。最初から読み直すか。

    フィクションとはいえ、中国朝鮮からの難民流入、治安悪化、内戦突入の流れが現実に起こりうるのでは?なんつって。

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    2011年11月22日
  • 覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

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    「裸者と裸者」と「愚者と愚者」を読み終えた後に、作者の死を知って、続きがあるとは思わずに、『ラストに見る生への賛歌を見るにつけ、捨てたものでもないという戦後を想像するのも難くない』と感想を書いたけど、本当に途中で終わってしまった第3部があったわけね。
    前半、20年も続く内戦を終わらせるための闘いが延々と描写され、後半、その戦後処理が淡々と描かれる。
    恐ろしい戦争で生き残り、それぞれの分野で成りあがった孤児、マフィアの女の子と男の子、急進派の女、武装したゲイたちが、これまで同様に自らの規範だけを頼りに日々を凌ぐ。
    “短い人生のすべてが、現実に直面するたびに問題の深さと複雑さを知るという日々” 

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    2011年11月20日
  • ロビンソンの家

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    岬の一軒家で従姉妹と友人と共同生活をする主人公。幼い頃、母が失踪した事実が子心の傷となっている。
    湿っぽい雰囲気になってもおかしくない設定なのに、
    母が確信犯的な明るい女性で描かれることで、翻訳小説のようなからりとしたテイスト。似ている作家を挙げるとすると、ポール・オースター、サガン?

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    2011年10月29日
  • 時には懺悔を

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    探偵仲間が殺された理由を探っていくと、数年前に起きた誘拐事件と繋がったが、誘拐された子は重度の障害を患った赤ん坊で、しかも今もまだ元気で生きているらしい、というところからどんどん転がっていく、社会はサスペンス。
    障害を持つ親の心情にも、「きっとそう思うんだろうな」と思いを馳せたり、障害があるがゆえに捨てられる子供を第三者の立場から眺めて、無責任な発想を膨らませたり。
    障害者を取り巻く問題をいくつも投げかけられたようで、二日に亘り考えさせられました。

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    2011年10月24日
  • 一九七二年のレイニー・ラウ(小学館文庫)

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    香港でわかれた女性レイニー・ラウに主人公が二十五年ぶりに再会を果たす表題作をはじめ、借金とりたてに訪れたやくざと主婦の危険な関係を描いた「花におう日曜日」、美しい背中の女性と知り合い、著者自身の小説観まで投影される「ここから遠く離れて」など、静かに心を打つ八篇所収。あなたが出逢えたかもしれない「恋人」たちがきっとここにいる―珠玉の恋愛小説集。

    やはりこの人の表現が好き。
    「恋に落ちるっ てね、世間からも落ちていくことなのよ」
    路環島にてもよかった。大人のやり取りで。きっと中学生が読んでもわからないだろうね。

    また読み返したい

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    2011年09月14日
  • ぼくが愛したゴウスト

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    主人公の翔太は自分のことを思考が足らずぐずでバカだと卑下するが、自分にはとてもそうは思えない。少なくとも自分が11歳だった頃よりも遥かによく物事を考えていると思う。
    その妙にしっかりした主人公に違和感を感じながら読まなければいけなかったのが少し残念。大人と話すのってもっと緊張しない?とか、理不尽な現実をそんな風に割り切れる?とか、あまり現実味のない小学五年生に感じた。
    人の意識や感情といった哲学的な考察が根底にあるのだけど、そちらも少し薄いというか物足りない。

    少年が成長して大人になる話し。だと思う。

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    2011年08月18日
  • ロビンソンの家

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    伊坂幸太郎のエッセイ『3652』で紹介されていたので読んでみた。基本的に少年少女が主人公の小説は好みではないので敬遠しがちだけれど、好きな作家がオススメしてるものに興味があって。
    不思議な話だった。というか世界観?
    適度なハードボイルド。

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    2011年06月21日
  • 時には懺悔を

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    打海文三「アーバンリサーチシリーズ」の第一作。


    著者にとっては2作目にあたる、ということで若干読みづらい部分も。なぜだろう?登場人物の性格がブレがあるというか・・どこがどう、というわけではないんだけども急に激高したり冷静になったりと読み切れない部分があるように感じました。
    あと、最近の小説は中にいろんな内容を詰め込んで・・・という傾向が強いように感じますが、それに比べると一つのテーマをじっくり・・・という印象。あれもこれも、というのではなくて今回は障害児についてのあれこれをじっくりとまとめているように思いました。
    コメントが難しいな・・・とりあえずこのシリーズもうちょっと読んでみたいと思い

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    2011年04月22日
  • されど修羅ゆく君は〈新装版〉

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    2011-41 坂本君のもて話、下は中学生から上は60歳まで出てくる女性みんなにもてる。でもあまりキャラクターはよく分からない。登場人物全員なんか感情移入できるような人はいない。
    とりあえずタイトルが抜群にカッコイイ。全然関係ないが映画「腑抜けども悲しみの愛を見せろ」と双璧をなす格好よさ。

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    2011年04月11日
  • ロビンソンの家

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    2011-38 先に読んだ「ぼくが愛したゴウスト」も不思議な本だったがこれもまた不思議な小説。ゴウストもロビンソンも家族について語っている。今は不思議な読後感、でも嫌いじゃない感じとしか言えない。

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    2011年04月07日
  • ぼくが愛したゴウスト

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    2011-36 伊坂幸太郎のエッセイで興味を持って読む。よくあるジュブナイルSFのパラレルワールドモノかと思って読んでいたが途中から心の有り無しなど思索的な話になって最後は勿論ハッピーエンドでもなく放り出されるような終わり方。不思議な話し。

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    2011年04月02日
  • ぼくが愛したゴウスト

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    11歳の少年、という設定がすごく適切だと思った。もっと幼ければもっと違う在り方をしてしまうだろうし、13歳では自分がいるワールドに馴染んで生き続けることは不可能だっただろうな、と。

    伊坂さんのようにメッセージ性のある小説と、高田崇史さんのQEDのシリーズのように、こうだ!と書く小説、があると思う・・・
    そういうことを考えると、打海さんは前者、メッセージ性のある作家さんだろう。しかし、この本は、今一つ明確でないというか、自分で考えましょう、にせよ、あいまいかな・・・

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    2011年02月13日
  • 一九七二年のレイニー・ラウ(小学館文庫)

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    恋愛小説こと妄想小説
    生々しい情念を練りに練ったお洒落台詞のオブラートに包んで大変召し上がり易くなっております。

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    2010年01月08日
  • 裸者と裸者(下) 邪悪な許しがたい異端の

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    上巻の主人公、海人が出合った双子の桜子、椿子がメインの話

    上巻で莫大な金を手に入れた海人の手引きにより安全な学校に入った2人
    ところが学校が肌に合わなかったのか長距離ドライバーになるのが上巻まで

    軍に追われることになった2人が「シティ」と呼ばれる無国籍無法地帯で
    マフィアになっていく苛烈な過程を描いた下巻です


    上下巻あわせてもこの双子は結構、お気に入りのキャラです
    次点はファンとイリイチでしょか

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    2009年10月04日
  • 裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争

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    積読していて放置しているうちに、『愚者と愚者』も刊行され、そして『覇者と覇者』を執筆中に作者はお亡くなりになり未完となってしまった。今から読んでもどうせ未完・・とわかっているのに読んでしまった。読んでしまったら、混沌とした中での、佐々木海人の、そして月田姉妹の生き方の虜になってしまった。奪うか奪われるか、殺るか殺られるか、そんな生活を強いられる少年少女の力強さが眩しい。特に月田姉妹の考え方にはいちいち考えさせられる。「三人が三人とも善人では生きていけない」「おまえが罪を犯すなら、わたしも罪を犯そう」。彼らが話し、動くのを読めたことを思うと、未完のこのシリーズを読んでしまったことについて後悔はな

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    2009年10月07日
  • 一九七二年のレイニー・ラウ(小学館文庫)

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    「女の子が群がっている生活雑貨の店のまえをとおりすぎると、『ラムタ亭』という洋風居酒屋があった。もとは『田村』という定食屋で、ラムタというのはじつにくだらないことに、田村の逆読みである(後略)」

    「「(前略)出逢いの不可能性は、ぼくの場合、たんに起こらなかっただけでなく、禁じられた関係性を含意しており、そうであるがゆえに恐怖心をともなうものです。ある女性文芸評論家に、あなたの小説には女に滅ぼされることをよしとする男の昏いダンディズムがある、と指摘されたことがありますが、ぼくの小説に露呈しているのはむしろ、ヴァギナ・デンダータ=歯のある膣への、男性作家の恐怖心です。」
    (中略)
    彼女が短く書い

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    2009年10月04日
  • 愚者と愚者(下) ジェンダー・ファッカー・シスターズ

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    もういい、スタバのことはもういい!!ディティールに関してこの小説に求める事自体が間違っていたのだ。
    ただ、押井守とか若手のアニメの演出家が食指を伸ばしそうだか嫌だな、なんだか嫌だなそういうの。
    だって戦争や内乱においてイデオロギーとか思想は理想は後付じゃないの?そこを前面に押し出されても、ねぇ。
    後、下巻で若干ぼろが出たので触れておくと、日本という国はジェンダーが極めて強い国なのに、その特性を小説で上手く生かせてないので、下巻の主人公たちが類型的に成ってしまってる。それは勿体無い気がする。あと後半に行くに従って、殆ど「年表」や「ニュース記事」状態になってる事態の推移は問題である。まあでもこの小

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    2009年10月04日