【感想・ネタバレ】裸者と裸者(上) 孤児部隊の世界永久戦争のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年11月11日

北関東を中心とした適度なスケール感と移動や時間経過などの緻密な構成。経済破綻から来る日本国内の内戦勃発と孤児の参戦。その有り得なくもないギリギリのリアリティに少し身震いしながら、不思議なくらい引き込まれた。
武器や軍隊構成単位など軍事知識が未熟であったことと、物語の中における各人や各部隊の思惑をもっ...続きを読むと深く理解・共感したいとの思いから上下巻通して2回連続で読み返した。
上巻では、両親を奪われ兄妹弟の慎ましい生活さえも戦争に奪われながら、その妹弟と大切な仲間を守るために自ら戦争に身を投じていく海人が言った『三人が三人とも善人では生きていけない』は悲しいが、っその通りと思えた。それを自覚しながら戦争の狂気の中で冷静さを保てる精神力こそ本当の強さであり、その精神力の源として他人を想う気持ちってのは大切なんだと思った。

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Posted by ブクログ 2017年09月17日

今の日本も今後こうなってもおかしくない。
内戦状態の日本で、孤児の少年が、妹、弟を守るために力強く生きる。
暗い時代背景で、置かれた状況は悪いけれど、なにか、わくわくさせてくれる主人公。
いろんな人と出会って成長していく姿。
良いですね。

下巻がかなり気になる感じです。

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Posted by ブクログ 2014年11月02日

おもしろい。
内乱の戦時下という日本で、少年少女たちが生き抜いていく。
主人公の海人が、這い上がっていく中で様々な問題にぶつかり、時には残酷な決断も強いられる。性というテーマを戦時下の日本、少年少女たちを通して描いている。
「裸者と裸者」「愚者と愚者」「覇者と覇者」とシリーズを通して◎
作者の遺作と...続きを読むなった「覇者と覇者」が未完なのが残念でならない>_<

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Posted by ブクログ 2013年12月28日

「十八人のうち男はたった二人だ。女の比率が異常に高いのはなぜだ」
「構造的な差別の問題よ」金髪の女が言った。
「おまえたちは抑圧された女の組織ということか」中尉が訊いた。
「基本的にはそうです」黒髪の女が言った。
「女の解放の彼方に、すべての抑圧された者の、解放を夢見ているのか」
「理念としてはその...続きを読むとおり」金髪の女が言った。

ファルス中心主義的世界観から、徐々に女性の台頭、孤児軍の活躍、マイノリティー武装勢力の抵抗が起こってくる。かなり面白い。海人の活躍は、浅田次郎の『蒼穹の昴』のチュンルを彷彿させる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年06月27日

多分今までで最も衝撃を受けた本。
なにより描写がものすごく美しいと思った。セックスも死についても。
対してキャラクターの乾いた明るさもすごく魅力的で、みんな自分の足で立って生きているのを強く感じること。
そしてこれはファンタジーではなく今も地球のどこかで起きているきっと現実の一部であるということ。
...続きを読むわたしも海人に惚れています。

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Posted by ブクログ 2013年03月17日

「裸者と裸者」上巻。孤児部隊の世界永久戦争。
近未来の日本「応化」と呼ばれる時代、北関東を舞台にした戦争小説。茨城県常陸市で育った佐々木海人は、七歳で両親を失い孤児となる。幼い妹「メグ」、弟「リュウ」を養うため、学業を断念し懸命に働くのだが。。
前半は秩序が崩壊し、略奪、殺人がまかり通る世の中、主人...続きを読む公の海人、しっかり者のメグ、短気なリュウの3人が慎ましく生活する姿が描かれる。謎の武力勢力の登場から一気に物語が動き出し、目が離せない。上巻は心身ともに少しずつ大人になっていく海人の成長物語でもある。戦争と登場人物の行方を気にしつつ下巻へ突入。

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Posted by ブクログ 2012年03月12日

表紙で敬遠していたのが本当に悔やまれる。面白かったです。淡々とした文体だけれど、一気に読み終えてしまった。リアルにファンタジックでごりごりした少年の成長期。

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Posted by ブクログ 2011年10月19日

 作者が亡くなったために未完の大作。永遠に完結することはありませんが、それでも読む価値のあるシリーズです。

 装丁で誤解するかもしれませんが、ハードな戦争ものです。軽い気持ちで手を出すと火傷するエログロバイオレンス。だけど、希望のちりばめられた物語でもあります。

 少年兵と双子の少女が戦争をどう...続きを読むやって生き抜くかというストーリー。
 
 今も世界のどこかで戦っている少年兵がいて、彼らの気持ちは私には到底想像できないし、理解もできない。
 ただ、生まれた時から隣に死が寄り添っていて、当然のように戦いに身を投じた彼らは自分の意志というよりも環境に振り回されているだけな気がします。
 でも、いくら理不尽だろうがなんだろうが、環境はそこにあって、そこに生きている以上は適応していくしかない。
 
 本シリーズは日本が舞台であり、案外近い将来こういう事態が起こってもおかしくないのかもしれません。

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Posted by ブクログ 2011年10月13日

未完の長編となった戦争小説の傑作。この作品は三部作の第一部に当たる。今月ついに「覇者と覇者」が文庫化されるということでもう一度読み返すことに。本当に何度読んでも面白い。

日本国内で起こる内乱戦争が孤児兵の佐々木海人と、海人に助けられた双子の姉妹の月田桜子・椿子の視点で描かれる。上巻は妹と弟を守るた...続きを読むめに兵士になる海人の視点。
戦争小説と言っても戦争の醜くて悲惨な所ばかりではなく、妹と弟を守るために戦い続ける海人の成長がしっかり描かれていて読み始めると止まらなくなる。厳しい戦争状態の中にあっても、自分を見失わずに前を見据え続ける海人のかっこいいこと。海人も含めて登場人物がいきいきと動いているし、作品内に漂う明るいムードが不思議と重さを感じさせない。だからこんなにも引き込まれるのだろうか。
まだまだ物語は序盤。下巻も早く読みたい。

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Posted by ブクログ 2011年10月01日

やられた。久しぶりにこんなに面白い小説に出会ってしまいました。戦争、しかも内戦…日本でこんな設定が有りなんて…戦闘に次ぐ戦闘で重くなりそうだが、主人公たちがイキイキしてて気持ち悪さがない。素晴らしい作品だ

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Posted by ブクログ 2010年03月15日

だめだ…まるっきり引き込まれた作品。著者は完結編「覇者と覇者」の最後を残したまま亡くなられてしまいましたが、そこまででも充分名作です。ドラッグもセックスも人殺しも戦争も…どろどろしているはずなのに主人公たちはなぜか明るい。生きるって何かを考えさせられる。未読の方はもったいない!

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Posted by ブクログ 2010年03月03日

むちゃくちゃな面白さ。何よりも優先してこの本を読んでいたいという感覚。弟妹を養育するため戦場という生死混沌の世界で生きる海人の、汚れなさと血の臭いを引き受ける覚悟。狂気に引きずられた方がラクになれる正気。きれいなカネなんかない中で、善人では生きられない中で。平仮名ばかりのその台詞の、何と重く惹きつけ...続きを読むることか。

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Posted by ブクログ 2009年11月03日

より多くの人に読んでもらいたいシリーズ。凄まじく、容赦のない世界と人間。その泥の中でも変わらず美しく居続ける事ができる主人公。

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Posted by ブクログ 2009年10月09日

セックスと暴力、
神と欲望とビジネス、
カオス、
秩序、
少しのノスタルジー、

感慨深いこともなく、共感するようなこともなく、
訴えかけることもなく、我々へのシニカルな働きかけもなく、
淡々とすすんでいく世界。
こちらの世界で、ベッドの中で、
淡々と読み続け、読み耽り、読みきり。
次を探しに、本屋...続きを読むへ・・・・・・・・。

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Posted by ブクログ 2012年01月09日

戦争状態で秩序の崩壊した近未来の日本が舞台に、そのセックス・ドラッグ・ロックンロールな世界でもがき苦しみながら芯を持って生きる、少年少女を描く。佐々木家の長男として、汚い世界を渡っていく純真なカイトを中心にした上巻は文句なしにめちゃくちゃ面白かったが、どこか厭世的な椿子と桜子の姉妹が主役の下巻は、組...続きを読む織構想ばかり描かれて過ぎてなんだかのめり込めなかった。もっとカイトを出、せと言いたい。三部作の一作目らしいが、二作目の『愚者と愚者』まで執筆を終えたところで著者は急逝してしまったらしい。残念だ。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

近未来の内乱状態の日本が舞台。弟妹を養うために軍隊に入ったカイト13さい、「状況に適応してみる」と混沌に身を投じた月田姉妹14さい(双子)の物語。表紙がティーンズ文庫っぽいですが中身はかなり骨太い。皇国とかローレライとか(どちらも小説の方で)あの辺りが好きな人には向いていると思います。ちなみに第二部...続きを読むもある…あった模様ですが、途中で作者急逝のため未完。くっ。

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Posted by ブクログ 2013年06月26日

『裸者と裸者』の舞台となる日本は、長い内乱状態にある。金融システムの崩壊にともなう経済恐慌と財政破綻、そんななか、国の軍隊が政府軍と反乱軍とに分裂して戦火を交える。政府軍はアメリカ軍の支援のもと、大規模な空爆で反乱軍の鎮圧に乗り出したが、その結果は反乱軍の武装集団化と戦線の拡大をもたらし、内乱は泥沼...続きを読む化する一方となった。略奪行為やレイプ、拉致、ありとあらゆる破壊と恐怖と憎悪と飢餓が全国を覆い尽くす苛酷な世界――本書はそんな、あらゆる常識や倫理観が徹底して崩壊してしまった世界を生きていかなければならなかった孤児たちの物語。

秩序が崩壊し略奪、強姦、殺人がまかりとおる世界を描写しながらも陰惨で悲劇的な物語ではなく登場人物たちは時代に適応して悲観にくれることなく生き抜いている。上巻は海人の成長の物語。

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Posted by ブクログ 2012年11月05日

上巻、下巻で話が変わります。
上巻は、孤児の長男、海人の話。混乱の中を生き抜く強さを早い展開でスリリングに描く。
下巻は、海人がであった双子の話。スリリングさはあるものの、何か物足りないし、展開も爽快でない。

ということで、この続編にあたる「愚者と愚者」、「覇者と覇者」には手が伸びませんでした。

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Posted by ブクログ 2011年09月20日

かなりぶっ飛んだ設定の物語ですが、内乱状態にある国は実はこの物語世界のようなのではないかなぁ。敵味方が時々入れ変わったり同じ軍隊にも分裂があったりと少々ややこしいのですが、気にせず少年を中心に読んでみました。怖くて切なくてドキドキしながら通勤電車で一気読みでした。

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Posted by ブクログ 2010年08月24日

戦況が目まぐるしく変わり、しっかり読んでないと置いていかれるので、なかなか時間がかかります(笑)
でも面白いので引き込まれてつい読んでしまう。

上巻は解説にある通り、海人の成長物語。個人的には下巻がメインかと。政治色が強くなり、いろんな組織の理念・思想や思惑が絡みあう非常にカオティックな展開。
...続きを読むと、登場人物がみんなしてカッコよくなる。白川、イリイチあたりは下巻の方が断然かっこいい。

『聖書はレトリックの宝庫』みたいなセリフが出てくるけど、この小説自体もレトリカルなフレーズ満載。
『統合はつねに差別の構造の再編強化』とか、ラストの死体屋の言葉とか、つい立ち止まって考えてしまう。

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Posted by ブクログ 2010年10月06日

<応化二年二月十一日未明、“救国”をかかげる佐官グループが第1空挺団と第32歩兵連隊を率いて首都を制圧。同日正午、首都の反乱軍は“救国臨時政府樹立”を宣言。国軍は政府軍と反乱軍に二分した。内乱勃発の年の春にすべての公立学校は休校となった。そして、両親を亡くした七歳と十一ヶ月の佐々木海人は、妹の恵と、...続きを読むまだ二歳になったばかりの弟の隆を守るために、手段を選ばず生きていくことを選択した―。 >後半各々のキャラがたってかた頃からは一気に読まされた。他に似たものがない希有な物語だと思う。(以下若干ネタバレ→)雅宇理に読み書きを教わって、海斗とセリフに初めて漢字が出てきたところが妙に感動した。それと雅宇理はかなりいいキャラしてると思う。男でひねくれ者の奴が「主体をなくしたいんだ」と言うというのは相当面白いと感じた。下巻での登場に期待。

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Posted by ブクログ 2010年02月17日

ライトノベルかと思って読んだら違った…というのが第一印象。
ある種の英雄譚とでもいうのでしょうか。
双子が好きです。

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Posted by ブクログ 2010年01月28日

読破。凄く面白かった。未完ということもあり一生のこる話になりそう。
★4にします。
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採点が難しい。あと星半分つけたい。
事実を重ねて話を展開させていくようで、文章はサクサク読める。
が、全体に登場人物がいい人多すぎだったり、地...続きを読む理が分からないので戦闘の概略を説明されてもよく分からなかったり、一つ一つの描写が浅く感じたりで、ちょっと不満。
まあ、でも、なんだかんだ言って、読みやすいし、面白いのでおすすめ。

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Posted by ブクログ 2009年11月15日

3部作の第1弾の上巻。内乱で選択肢の無くなった弱虫のはずの主人公の成長の物語です。支援する大人たちのモラルの無さが素敵です。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

中学生の頃に読んでドキドキした辻真先の「パラレルワールド大脱走」のようなちょいエロ具合に懐かしさを感じました。下巻を早く読まねば。

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Posted by ブクログ 2011年09月26日

打海作品、お初でした。出張の時読みました。2泊3日で上下巻読みました。いやはや、すごいスケールです。主人公の少年の成長が、セリフの調子の変化でうまく表現されてます。ただ、九州在住のイナカもん(私)にとって、舞台の北関東の土地勘がなく、ちょっととまどいました。でも面白かったです。

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Posted by ブクログ 2015年08月18日

近未来戦争フィクション。日本での悲惨な戦争を舞台に主人公が成長していく物語。
描写が非常に過激で、読むのに耐えられない人も多いと思うが、戦争の悲惨さを感じるには良いのかとも思った。
主に関東近辺を舞台にしており、個人的には知っている土地が多くそういう意味で楽しめた。
あまりオススメしません。

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Posted by ブクログ 2012年03月06日

もしも今、日本で戦争が起きたら、きっとこうなるんだろうな、と思う。
戦争のきっかけになったのは、金融システムの崩壊、経済恐慌、財政破綻、まさに今の日本じゃないか。

家も仕事も食料も無くなり、世界は混沌としていく。
当たり前のように行われる、略奪、暴力、ドラッグ、売春、凌辱…
力がなければ、...続きを読む何も守れない。


主人公の佐々木海人は、純粋だけど、正義のヒーローではない。
生き抜くため、大事な人を守る為なら、人を殺すし、強奪もする。

戦争という状況の中では、今私が思うような善と悪は全く通用しないんだな、と気づいた。

無垢な少年だった海人が、戦乱の世界を生き抜いていく中で、仲間を見つけたり、悩んだり、恋したりしながら成長していくのが面白かった。

いろんな勢力があって若干混乱したけど、テンポが速いからわりと読みやすい。


戦争モノにありがちな、重苦しい底無し沼みたいな感じはなくて、なぜか、爽やかなあっさりした後味でした。

下巻、続巻も読んでみたいな。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

積読していて放置しているうちに、『愚者と愚者』も刊行され、そして『覇者と覇者』を執筆中に作者はお亡くなりになり未完となってしまった。今から読んでもどうせ未完・・とわかっているのに読んでしまった。読んでしまったら、混沌とした中での、佐々木海人の、そして月田姉妹の生き方の虜になってしまった。奪うか奪われ...続きを読むるか、殺るか殺られるか、そんな生活を強いられる少年少女の力強さが眩しい。特に月田姉妹の考え方にはいちいち考えさせられる。「三人が三人とも善人では生きていけない」「おまえが罪を犯すなら、わたしも罪を犯そう」。彼らが話し、動くのを読めたことを思うと、未完のこのシリーズを読んでしまったことについて後悔はない。上巻は海人、下巻は月田姉妹を書いているわけだけど、上下巻を通し、煙草売りなどをしていた7歳の海人が、ボディーガードに囲まれながら生活する軍人になっていく様子は、読み応えアリ。

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Posted by ブクログ 2011年07月18日

成人の日でハッピーマンデーの3連休。
会社に出なければならないようなこともなく、競馬や読書でゆっくり過ごす。。。

近未来、財政破綻した日本で内乱が勃発。
各地で軍閥が割拠する内戦は泥沼化し、そのあおりで父を亡くし母を連れ去られた3人の孤児の、主に長男海人、7歳から18歳の物語。
武装集団による拉致...続きを読む、そこからの脱走、束の間の落ち着きと政府軍からの徴兵。
政府軍に入った海人は数々の修羅場の中で自らの規範と勇気と才覚をもって生き抜いていく。周りに集まるロシア人マフィアや外国人部隊の中隊長の助けも得ながら、様々な国籍の孤児たちをまとめつつ。
殺戮、略奪、強姦、賄賂…、淡々と語られる戦争の悲惨。
子供は今日が成人式だったけど、昔だったら赤紙だ。こんなことになったら、さあ、生き抜いていけるのかね。
理解ある大人の背中と信頼できる仲間と芯の通った規範があれば大丈夫とも言えず…。

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