小林由香のレビュー一覧

  • イノセンス

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    デビュー作『ジャッジメント』で度肝を抜かれた小林由香氏の最新作『イノセンス』。

    本作も非常に考えさせられるものがあった。

    あらすじであるが、

    不良3人からカツアゲされていた中学生がある若者に助けられた。しかし、その若者は不良にナイフで刺されてしまった。その場でその中学生が助けを呼べばその若者の命は助かった可能性が高かったが、中学生は何もせずにその場から逃げ出してしまう。このことが後で世間から問題となった。この逃げた中学生は、犯人以上に社会からバッシングを受け、住所、名前を特定され、ネットで炎上した。この中学生は社会から逃げるように日々を生き、現在身をひそめるようにこっそりと大学生となって

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    2020年11月07日
  • イノセンス

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    14歳の時3人の男に恐喝され、助けようとして刺された青年を見捨てて逃げた星吾。過去の罪に怯え、SNSでの誹謗中傷に耐えながら孤独に生き、大学生となった星吾の人生に絡み合う人々。誰も皆、幸せになってほしい。

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    2020年10月31日
  • イノセンス

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    登場人物が皆、やるせないほど痛々しい。だがグイグイ読んでしまう。星吾が14歳の時に、カツアゲから守ってくれた大学生が目の前で刺殺された。すぐに救急車を呼べば助かったのに星吾は逃げた。そのことが報道され、嫌がらせや誹謗中傷を受け人間不信になってしまう。大学生になり友人や好きな人ができても心は翳る。薄い本だが結構考えさせられた。生きていれば皆心に何かしらの罪悪感や傷を抱えているもの。どう反省しどう折り合いをつけていくか。物語としては後半残り僅かのページから怒涛の畳み掛け。目まぐるしかったが面白かった。

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    2020年10月27日
  • イノセンス

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    少年が犯した過ち。救急車を呼べば助かったかも…というところが肝なのはわかるけど、それで無関係な人間が寄ってたかって14歳の少年を叩きまくれるって、人間はほんとに怖いなと思った。あなたがたに裁く権利などありませんよ。自分が正しいことを証明して気持ちよくなりたいだけの癖して。

    被害者家族の苦しみを思うとやりきれないけど、それでもやっぱり、臆病だっただけの少年の悲劇にも同じように胸が痛む。被害者を思うと許せない、と思う気持ちは理解できる。でもそれは、わたしたちが決めることじゃない。

    物語は、希望が見えるラストでほんとうによかった。最後の絵の描写と、名前を呼んで手を振るシーンには、じんと来てしま

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    2020年10月27日
  • イノセンス

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    不良に絡まれているところを助けられたにもかかわらず、その後刺されたその人を見捨てて逃げてしまった中学生の少年・星吾。そのことで世間からの誹謗中傷にさらされ、心を閉ざしてしまった彼の物語は実に痛々しいです。もちろん助けを呼ばずに逃げてしまったことはまずいけれど、中学生だし、怖かったんだろうなあ、と思えば責める気分にはなりません。悪人だったわけでも卑怯だったわけでもなく、ただ弱かっただけなのに。それゆえにその後何年間も苦しむ彼は、至って善人だったのだと思います。だからこそとことんやりきれない物語。
    親しい人間を作らないように淡々と生活を送る星吾の周りで、しかしそれでも彼に関わろうとする人たち。彼ら

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    2020年10月22日
  • 罪人が祈るとき

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    ある少年の自殺から波及する自殺や殺人事件。本当の罪人とは?悪とは何か?色々考えさせられたミステリー小説でした。
    学校でいじめにあっている時田の視点と自殺した少年の父親の視点が交互になって物語は進行します。最初は関わりのない2人だったのですが、段々と2つの物語がリンクしていきます。どちらもテーマはいじめなのですが、とにかくいじめの酷さといったら、度を超えていて、憤りを感じるばかりでした。描写が生々しく、リアルさが際立っていました。

    また、この作品では、様々な悪が登場します。自己保身のためや自己満足のため、復讐のために悪になるなど誰にでもなりうる悪が登場するので、「悪」としての疑問が色々と頭に思

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    2020年09月17日
  • 罪人が祈るとき

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    小林由香『罪人が祈るとき』双葉文庫。

    陰惨ないじめによる自殺をテーマにしたミステリー。ちょっとストーリーをいじり過ぎて、無理矢理感動の結末で幕を閉じようとした感じ。それなりには面白いし、考えさせられる内容なのだが、もっと違う結末でも良かったのではなかろうか。

    高校でいじめを受ける主人公は公園でペニーという名の不気味なピエロと出会う。ペニーは主人公をいじめる奴等の殺害を手伝うと言うが……

    いじめの陰惨さ、いじめの被害者といじめを苦に自殺した被害者の遺族の悲しみを描きながら、本当の正義とは何かを読者に問い掛けているようだ。

    昔に比べて、今のいじめはかなり陰湿だと聞く。今の学校は運動会で順位

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    2020年09月14日
  • ジャッジメント

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    復讐の連鎖は止まらない。

    殺すのは簡単、難しいのは赦すこと。

    どんなことがあっても人を殺すのは良くないと言うのは簡単であるが、机上の空論に過ぎず、実際に自分の大切な人が殺された時果たして自分は赦すことができるのであろうか。
    色々と考えさせられる小説であった。

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    2025年11月09日
  • イノセンス

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    余りに痛すぎて読み進められず
    そんなに感じなくても・・・
    そんなふうに思わなくても・・・
    とは言え、思ってしまうんだよね
    辛いなあ〜〜
    終わりの激しい巻き方?
    ちょっとホッとした

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    2025年10月17日
  • ぼくたちの報復

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    小林由香『ぼくたちの報復』ハルキ文庫。

    単行本『チグリジアの雨』を改題、文庫化。

    昔と違って、学校の虐めは陰湿で執拗になっている。1人をターゲットに大勢で虐めるなんぞ当たり前で、SNSまで使ってターゲットの噂や恥ずかしい写真をバラまくというのだから、驚くばかりだ。昔は気に喰わない奴が居れば、腕力で決着をつけたものだ。決着がつけば当人同士はサバサバしたもので後々まで引き摺るようなことは無かった。

    さらに今の世の中は学校で虐めや暴力事件があっても、学校側が隠蔽しようとするから始末に負えない。

    今年の夏、全国高校野球大会に出場し、1回戦を勝ち上がりながら、2回戦以降の出場を取り止めた広陵高校

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    2025年08月18日
  • 魔者

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    初めての小林由香さんの作品。
    地方から引っ越してきた貧しい家庭の姉弟と、その姉と同級生の地域の盟主の家庭に生まれた女の子を中心に描かれるお話。
    貧しい家庭の弟は成人して雑誌記者に、姉は17歳の時に交通事故で死亡、ある日姉弟しか知らないはずの子供時代のエピソードが小説として出版されたところから、物語が動き出す。
    姉の死の真相に近づきつつ、その背景にあったリンチ殺人事件がいろいろと影響を与えていた事がわかり…という展開で、クライマックスに近づいてドキドキが増してきます。
    ただ、結末が何となく途中で予想できてしまうのがもったいない感じです。

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    2025年07月04日
  • 魔者

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    よく似たお話を読んだわ〜
    同じような文章もあったし
    なんだか、納得し兼ねている
    良かったかどうかも・・・

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    2025年06月22日
  • 魔者

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    エスポワールが、なんだかよく分からなかった。
    些細な出来事で、人殺しまでしてしまうのが怖い。そして、その出来事のせいでたくさんの人達の運命が変わってしまう。
    若くても、自分の行動がどんな結果をもたらすのか、きちんと考えて欲しい。

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    2025年06月09日
  • 魔者

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    ネタバレ

    いい感じに惹き込まれて読み進めているところに、突然の不倫俳優に週刊誌アベンジャーズで興醒め!!!! 挫けそうになった。

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    2025年05月01日
  • 魔者

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    他人事だから噂話で盛り上がれるんだろうが、当事者となるとね。真実ならば納得もできそうだけど、大体は憶測で面白おかしくなるように計算されているんだろうな。

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    2025年04月29日
  • この限りある世界で

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    読書備忘録902号。
    ★★★☆。

    2週間前に読み終わった本。
    今更備忘録?
    無理だね。だって全然覚えてない。

    時は2021年秋。
    文高社が企画する新人賞作家を対象としたシルバーフィッシュ文学賞。
    受賞したのは青村信吾の「プラスチックスカイ」。
    最後まで争った遠野美月の「ムホウ」は敗れ去った。
    そして、美月は落選して悲しいから人を殺すと宣言して中3の同級生を殺した・・・。
    荒れるネット。
    青野の作品より美月の作品の方が遥かに良いと。
    誹謗中傷の嵐!
    そして青野は謝罪文の遺書を残して自ら命を絶った。

    2021年冬。
    文高社の文芸編集部に所属して、青野の担当をしていた小谷莉子は青野の死から立ち

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    2025年03月29日
  • 魔者

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    読みごたえがあったが、自分には
    少し長く感じた
    でも、心理状態や背景など丁寧に書くには 
    このくらいのボリュームが必要なのかな?と
    思いました

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    2025年03月19日
  • ジャッジメント

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    昨日は飲み会でした♪
    珍しい人からお誘いを受け、メンバーの中にはお初にお目にかかる関係会社の社長さんもいらしたのですが、その方が九州出身ということで、博多弁だったんです。
    博多弁めっちゃいいですね!
    その方がめっちゃ上品な方だったからなのか?何だか聞き惚れてしまいました(*´꒳`*)
    方言っていいな。
    私も遠州弁極めるにぃ〜!!


    最近、ウルトラマンさんやおびのりさんが小林さんを読んでおられたので、私も読んでいなかったこの作品を購入してみました。

    やってしまった。゚(゚´ω`゚)゚。
    また短編だ。
    だから当時買わなかったんだ!
    最近こればっかり言ってる(-。-;

    短編苦痛だわぁ。。。

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    2025年03月08日
  • この限りある世界で

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    人を刺し殺したら逮捕されるけど、いくら酷い言葉で人を死に追いやっても何の罪にもならない。
    だからこそ、言葉で人を殺すことは出来るんだって、きちんと理解して発言できるようにならないといけない。
    何かが起こってから後悔しないために。

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    2025年03月07日
  • 罪人が祈るとき

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    その少年が住む町では、三年連続で同じ日に自殺者が出ている

    学校でのいじめを発端とした自殺
    そしてそこから発生する殺人
    いわゆる復讐

    陰湿ないじめの描写が凄惨になれば
    復讐は許されるのではと思ってしまう
    いじめ加害者に制裁を与えた被害者の父親は
    「私を裁ける人間がいるとしたらそれはいじめによって子供を亡くした遺族だけです」
    と 自らの罪を認め刑に服す

    いじめ加害者の家庭環境等も考慮させて
    いじめの連鎖、友達の裏切りと
    充分読ませて考えさせられる要素も多い小説です
    しっかりしたストーリーでしたから
    殺人犯となった男性のキャラクター作りが多過ぎたかなと思うのでした

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    2025年02月27日