小林由香のレビュー一覧
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デビュー作『ジャッジメント』で度肝を抜かれた小林由香氏の最新作『イノセンス』。
本作も非常に考えさせられるものがあった。
あらすじであるが、
不良3人からカツアゲされていた中学生がある若者に助けられた。しかし、その若者は不良にナイフで刺されてしまった。その場でその中学生が助けを呼べばその若者の命は助かった可能性が高かったが、中学生は何もせずにその場から逃げ出してしまう。このことが後で世間から問題となった。この逃げた中学生は、犯人以上に社会からバッシングを受け、住所、名前を特定され、ネットで炎上した。この中学生は社会から逃げるように日々を生き、現在身をひそめるようにこっそりと大学生となって -
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少年が犯した過ち。救急車を呼べば助かったかも…というところが肝なのはわかるけど、それで無関係な人間が寄ってたかって14歳の少年を叩きまくれるって、人間はほんとに怖いなと思った。あなたがたに裁く権利などありませんよ。自分が正しいことを証明して気持ちよくなりたいだけの癖して。
被害者家族の苦しみを思うとやりきれないけど、それでもやっぱり、臆病だっただけの少年の悲劇にも同じように胸が痛む。被害者を思うと許せない、と思う気持ちは理解できる。でもそれは、わたしたちが決めることじゃない。
物語は、希望が見えるラストでほんとうによかった。最後の絵の描写と、名前を呼んで手を振るシーンには、じんと来てしま -
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不良に絡まれているところを助けられたにもかかわらず、その後刺されたその人を見捨てて逃げてしまった中学生の少年・星吾。そのことで世間からの誹謗中傷にさらされ、心を閉ざしてしまった彼の物語は実に痛々しいです。もちろん助けを呼ばずに逃げてしまったことはまずいけれど、中学生だし、怖かったんだろうなあ、と思えば責める気分にはなりません。悪人だったわけでも卑怯だったわけでもなく、ただ弱かっただけなのに。それゆえにその後何年間も苦しむ彼は、至って善人だったのだと思います。だからこそとことんやりきれない物語。
親しい人間を作らないように淡々と生活を送る星吾の周りで、しかしそれでも彼に関わろうとする人たち。彼ら -
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ある少年の自殺から波及する自殺や殺人事件。本当の罪人とは?悪とは何か?色々考えさせられたミステリー小説でした。
学校でいじめにあっている時田の視点と自殺した少年の父親の視点が交互になって物語は進行します。最初は関わりのない2人だったのですが、段々と2つの物語がリンクしていきます。どちらもテーマはいじめなのですが、とにかくいじめの酷さといったら、度を超えていて、憤りを感じるばかりでした。描写が生々しく、リアルさが際立っていました。
また、この作品では、様々な悪が登場します。自己保身のためや自己満足のため、復讐のために悪になるなど誰にでもなりうる悪が登場するので、「悪」としての疑問が色々と頭に思 -
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小林由香『罪人が祈るとき』双葉文庫。
陰惨ないじめによる自殺をテーマにしたミステリー。ちょっとストーリーをいじり過ぎて、無理矢理感動の結末で幕を閉じようとした感じ。それなりには面白いし、考えさせられる内容なのだが、もっと違う結末でも良かったのではなかろうか。
高校でいじめを受ける主人公は公園でペニーという名の不気味なピエロと出会う。ペニーは主人公をいじめる奴等の殺害を手伝うと言うが……
いじめの陰惨さ、いじめの被害者といじめを苦に自殺した被害者の遺族の悲しみを描きながら、本当の正義とは何かを読者に問い掛けているようだ。
昔に比べて、今のいじめはかなり陰湿だと聞く。今の学校は運動会で順位 -
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小林由香『ぼくたちの報復』ハルキ文庫。
単行本『チグリジアの雨』を改題、文庫化。
昔と違って、学校の虐めは陰湿で執拗になっている。1人をターゲットに大勢で虐めるなんぞ当たり前で、SNSまで使ってターゲットの噂や恥ずかしい写真をバラまくというのだから、驚くばかりだ。昔は気に喰わない奴が居れば、腕力で決着をつけたものだ。決着がつけば当人同士はサバサバしたもので後々まで引き摺るようなことは無かった。
さらに今の世の中は学校で虐めや暴力事件があっても、学校側が隠蔽しようとするから始末に負えない。
今年の夏、全国高校野球大会に出場し、1回戦を勝ち上がりながら、2回戦以降の出場を取り止めた広陵高校 -
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読書備忘録902号。
★★★☆。
2週間前に読み終わった本。
今更備忘録?
無理だね。だって全然覚えてない。
時は2021年秋。
文高社が企画する新人賞作家を対象としたシルバーフィッシュ文学賞。
受賞したのは青村信吾の「プラスチックスカイ」。
最後まで争った遠野美月の「ムホウ」は敗れ去った。
そして、美月は落選して悲しいから人を殺すと宣言して中3の同級生を殺した・・・。
荒れるネット。
青野の作品より美月の作品の方が遥かに良いと。
誹謗中傷の嵐!
そして青野は謝罪文の遺書を残して自ら命を絶った。
2021年冬。
文高社の文芸編集部に所属して、青野の担当をしていた小谷莉子は青野の死から立ち -
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昨日は飲み会でした♪
珍しい人からお誘いを受け、メンバーの中にはお初にお目にかかる関係会社の社長さんもいらしたのですが、その方が九州出身ということで、博多弁だったんです。
博多弁めっちゃいいですね!
その方がめっちゃ上品な方だったからなのか?何だか聞き惚れてしまいました(*´꒳`*)
方言っていいな。
私も遠州弁極めるにぃ〜!!
最近、ウルトラマンさんやおびのりさんが小林さんを読んでおられたので、私も読んでいなかったこの作品を購入してみました。
やってしまった。゚(゚´ω`゚)゚。
また短編だ。
だから当時買わなかったんだ!
最近こればっかり言ってる(-。-;
短編苦痛だわぁ。。。
物 -
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その少年が住む町では、三年連続で同じ日に自殺者が出ている
学校でのいじめを発端とした自殺
そしてそこから発生する殺人
いわゆる復讐
陰湿ないじめの描写が凄惨になれば
復讐は許されるのではと思ってしまう
いじめ加害者に制裁を与えた被害者の父親は
「私を裁ける人間がいるとしたらそれはいじめによって子供を亡くした遺族だけです」
と 自らの罪を認め刑に服す
いじめ加害者の家庭環境等も考慮させて
いじめの連鎖、友達の裏切りと
充分読ませて考えさせられる要素も多い小説です
しっかりしたストーリーでしたから
殺人犯となった男性のキャラクター作りが多過ぎたかなと思うのでした