あらすじ
【Innocence:[名]無罪、潔白】
音海星吾は美術サークルに所属する大学生。中学生時代、不良に絡まれた星吾は、彼を助けようとして身代わりに刺された青年を見捨てて逃げてしまう。青年はその後死亡したため、星吾はネット社会を中心とした世間の誹謗中傷を浴び続ける。
大学入学後も星吾は心を閉ざして生きていたが、ある日、ホームから飛び降りようとした中年男性に「そんなに死にたいなら、夜にやってよ。朝やられると迷惑なんだ」と心無い言葉をぶつけてしまう。現場を目撃していた同じ大学の学生・紗椰にその言葉を批判されるが、それがきっかけで星吾は彼女と交流を持つようになる。星吾は心惹かれるようになった紗椰に思いを告げようとするが、自らの過去の重みのため、踏み出すことができない。コンビニのバイト仲間の吉田光輝、美術サークルの顧問・宇佐美ら周囲の人間との交流を通して、徐々に人間らしい心を取り戻しかける星吾。
そんななか、星吾を狙うように美術室の花瓶が投げ落とされ、さらに信号待ちの際、車道に突き飛ばされるという事件が起こる。星吾を襲う犯人の正体は? そして星吾の選択とは――。
一度過ちをおかした人間は、
人を好きになってはいけないのだろうか。
魂を揺さぶるラストが待ち受ける、慟哭のサスペンス!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
過去の事件から心を閉ざした主人公、星吾の心情が丁寧に描かれていて、とても惹き込まれた。
大学生になった星吾が嫌がらせを受けたり殺されかけたり危ない目に合うが最後の方まで誰が犯人か私はわからなかくて全員が怪しく見えてドキドキした。
やっぱり光輝…か…と思った時は、絶望的な気持ちになったけど、それでも光輝を1番に思う星吾に涙しました。
読み進めていくと、ちゃんと友情はあった、紗椰ともちゃんと惹かれあっていたとわかって、安心しましたし、結果みんなハッピーエンドで本当に本当によかった。
星吾の描いた絵のくだりも泣いてしまいました。
とにかく、心を完全に閉ざしていた主人公が徐々に変わっていくのがよかった。
Posted by ブクログ
息苦しく辛い感情が続く物語でした。
どの立場の苦しさも分かるからこそ、もどかしさでいっぱいで、1つの視点からでは見えないものが多いんだなと感じました。
出会えて良かった作品です☺︎
Posted by ブクログ
確かに主人公は罪を犯していない。自分の弱さから2人を見殺しにしたという罪悪感。しかし彼は生きている間、常にそれと対峙しないといけない。その苦悩を鮮明に綴った作品だった。主人公はそれにどう対峙すればよいのか?一方、故人の家族や恋人は主人公を恨み続けている。それを知ってしまったら、自分は幸せにならなければ良いのか?自死すればいいのか?故人のために祈り続ければよいのか?答えは「ない」あるいは「自分では決められない」ということなのか。主人公が最後に描いた表紙絵、彼の苦悩と赦してほしいという意思が見えた気がした。
Posted by ブクログ
決して悪意があった訳では無い、それを罪として死ぬまで償っていかなければならないのなら、なかなかに辛い
それを罪とするなら、罪のない人間などいないのではないかと思う。
罪と寛容、不寛容、どちらの立場にもなり得る
主人公が描き上げた絵を挿絵で見てみたかった
Posted by ブクログ
「イノセンス」とは、無罪、潔白を表す英語、別に純粋さた無邪気さを意味することもあるらしいです。
主人公は中学生の頃不良に絡まれた音海星吾…星吾を助けようとして命を落とした医大生の氷室慶一郎…彼を助けることなくその場から逃げ出した星吾は、GK(ゲスクズ)と世間から批判を浴び、息を潜めるかのように生きてきた…。大学入学後は、美術サークルに所属し、顧問の宇佐美やバイト仲間の吉田光輝、ひょんなことから知り合った黒川沙椰との交流を得て自ら抱える闇に向き合う中、命を狙われることに…。
星吾も沙椰も法的な犯罪を犯したわけではないのに、ふたりの抱える苦しみは限りなく深い…。だって、まだ中学生なんだから…そこまでの判断を強要しても…と思う反面、でも大事な人を失った悲しみがそこに向くのもわかる気がして…。どこまでも苦しく切ない思いを感じながらの読書、でもラストにはちょっと救われました。これから…です!!
最後に、星吾のおじいいちゃんが本当にいい人です!
「今は不寛容な時代だと言われているけれどな、人を許すのはとても大切なことなんだ」
「人間は誰しも失敗する生き物だよ。完璧に生きられるものなんていやしない。過去を探れば誰だって愚かな出来事のひとつやふたつ見つかるもんさ。心から反省しているのに、それをずっと責められたら誰も生きてはいけない。もちろん、自分自身の過ちも許してやらなければならないよ。歳を重ねるとな、ときどき誰も悪くなかったんじゃないか、そう思うことがあるんだ。ただ、必死に生きようとしていただけじゃないのか」
「お前が優しい子なのは、じいちゃんはよくわかっている。これだけは忘れないでくれ。星吾はじいちゃんの大切な宝物だからな」
こんなこと精神的に追い詰められているときに言ってくれるおじいちゃんの優しさ…こんな風に言ってくれるおじいちゃん、ほしいですよね!!
Posted by ブクログ
騙されて騙されて騙されて。
なんか最後は怒涛の騙しが一気にやってきた。
中学生の星吾がカツアゲされそうになった時、助けに割って入った大学生が刺されて死んでしまう。
怖くなって逃げ出した中学生が、救急車を呼んでいたら助かったかもしれなかった。
星吾が大学生になり、命を狙われる事が頻発。
犯人は誰なのか。
内容的にはつらく重かったのが、終盤にええ?という事が頻繁に起きて、こちらも感情に忙しい。
星吾の絵を観るシーンは泣けた。
【あのときどうすべきだったのか、ゆっくり考え続けてほしい】
星吾も光輝も紗椰も、みんなずっと考え続けているのだ。
Posted by ブクログ
星吾は中学生の時にカツアゲにあった所を、通りすがりの大学生に助けられる。だが、その大学生はそのまま暴行をうけナイフで刺されてしまう。
助ける事ができずに逃げた星吾。亡くなってしまった大学生。
星吾が、その後背負った物の重さに終始苦しい。
家族の優しさに触れて泣きそうになるが、ずっと眉間にシワ寄せながら読んでた気がする。
Posted by ブクログ
『ジャッジメント』『罪人が祈るとき』『救いの森』と立て続けに問題提議作品を発表される小林由香さん。
タイトルの『イノセンス』意味は「無罪、潔白」本作はその意味通り、法で裁かれない者の贖罪がテーマだ。
中学時代、不良に絡まれた星吾は彼を助けようとして刺された青年・氷室を見捨て逃げてしまう。
その後、氷室は死亡。
3人の不良は当然その罪を問われ法的に裁かれるが、逃げた星吾に与えられた罰は世間からの終わりのないバッシング。
この世に大小の差はあれど罪のない人間なんていない。
人が人を裁くと言う事、真の贖罪の意味を問われる。
Posted by ブクログ
読書備忘録699号。
★★★★☆。
小林由香さんを読んで苦しむシリーズ。笑
苦しかったです。ただ、小林さんらしくラストは救いのある終わり方でした。
主人公音海星吾、大学2年生。
ベランダに「カガイシャハシネ」と書かれた文庫が投げ込まれる。どうやら何かしらの事件の加害者とされていることはわかる。
動揺する気持ちを落ち着かせ、大学に向かう。
最寄り駅で電車に飛び込もうとする男性を救う。ただ、「昼間に飛び込むな。迷惑だ。飛び込むなら深夜にしろ」と暴言を吐く。
その場に居合わせた女子大生が「今の発言でこの男性が今夜自殺したら、貴方のせいだ!」と星吾を罵る。その言葉に星吾は動揺する・・・。
星吾の心の闇。中学3年の時・・・。
成績優秀だった星吾は、数か月後に行われる高校受験に向け、夜遅くまで塾に通っていた。塾からの帰宅途中、カツアゲに合う。助けてくれた大学生氷室慶一郎。そして、慶一郎はナイフで刺されて殺された。
ナイフで刺されて苦しむ慶一郎を見捨てて逃げてしまった星吾。逃げた中学生は加害者と同じだ!とネットで誹謗中傷が吹き荒れる。個人を特定された星吾はネットで、リアル世界であらゆる嫌がらせ、攻撃を受け、心的外傷後ストレス障害を患い今に至る。
そして今。大学では美術サークル顧問の宇佐美に労わられるようにひっそりと生活を送っていた。
コンビニでのアルバイトでも、同じ大学に通う吉田光輝くんが良くしてくれていた。
そして、ホームでの自殺未遂現場に居合わせた女子大生、黒川紗椰。母親を自殺で亡くしており、それは自分のせいだ、と星吾と似た加害者としての闇を抱えていた。次第にお互い惹かれていく星吾の紗椰。
そして加害者への復讐が動き出す・・・。
星吾を狙っているとしか思えない花瓶の落下事故や、車道に突き飛ばされる事故が起きる。
慶一郎を殺害した加害者がナイフで刺されて殺される。
復讐しようとしているは誰なのか?
宇佐美の過去、光輝、紗椰の慶一郎との関係が徐々に明らかになっていく。
そして星吾への復讐が実行に移される!
良く練られたミステリでした。
加害者への復讐心に精神を乗っ取られ、正常な判断が出来なくなっていく様が恐ろしい。
自らをずっと加害者だとして悩み、執拗に繰り返される嫌がらせと誹謗中傷の中で他人との係わりを極度に恐れて生きてきた星吾の苦しみ。
そんな中で手を差し伸べてくれた宇佐美や光輝。星吾は学生コンクールに心の様を描いた絵を応募する。
その絵とは何を描いたものなのか・・・。
星吾への復讐事件の真相と共に、絵の内容が明らかになるエンディングは例にもれずジジイの目が潤んでしまいました。電車の中で。笑
加害者とは?贖罪とは?復讐とは?を考えさせられる物語でした。
まだまだ続く小林由香さんを読んで苦しむシリーズ!
実は私の苗字も小林だったりする。笑
Posted by ブクログ
中学生時代に恐喝されているところを助けてもらったのに、その後見殺しにし逃げてしまったことで世間から吊し上げられた少年。心を閉ざして生きてきたけれど、大学生になりバイト仲間に心を開き始めたところでまわりに不穏なことが起こり始める、というミステリー。
自分を守ろうと、つい逃げてしまったことで取り返しのつかないことになってしまった…というのは誰にでも起こりそうで、私でもとっさに勇敢に動ける自信はない。その一瞬の誤った判断によって一生苦しまなければいけないのか…考えさせられる。
救いのあるラストでよかった。あとおじいちゃんがとても素敵。
Posted by ブクログ
読後、タイトルと装丁が哀しく痛い。
星吾は加害者なんだろうか…とずっと思いつつ読みました。当事者としてみればそう考えるのは致し方ないと思うものの、全然関わりのない立場から見たら彼だってやはり被害者だよな、と私には思えます。
たぶんこれはきっと登場人物みんな絡んでくるんだろうなと思いはしたけれどそういう展開ですかと予想の斜め上でした。結末は予想通りでしたが。
「ジャッジメント」以来注目している作家さんの一人です。
Posted by ブクログ
自分にとって、大切な人がトラブルに巻き込まれ、理不尽な形で亡くなってしまったとき、きっと、多くの人がその命を奪った相手に対して"憎しみ"を抱くと思う。
だが、もし、憎みに憎んできた相手が、自分と同じくらい"苦しみ"を背負って生きているとしたら、果たして、それまで抱え込んできた"憎しみ"はどうなるのだろう・・・。
誰かを殺すということは、相手の命を奪うだけではなく、その人を大切に想っている、周りの人の心を殺してしまうことでもあるのかもしれない。
そして、心を殺されてしまった人は、強い。守りたいと思う者がいなくなって、空っぽになってしまった人は、だからこそ、強い。
憎しみの連鎖がどんな風に始まるのか、憎しみは、人をどんな風に突き動かすのか、考えさせられた。
誰かを憎んだり、誰かに憎まれたり、そんな悲しい連鎖が、今もどこかで起きているんだろうなと思うと、なんだか、やるせなくて、とても切なくなった。
Posted by ブクログ
デビュー作『ジャッジメント』で度肝を抜かれた小林由香氏の最新作『イノセンス』。
本作も非常に考えさせられるものがあった。
あらすじであるが、
不良3人からカツアゲされていた中学生がある若者に助けられた。しかし、その若者は不良にナイフで刺されてしまった。その場でその中学生が助けを呼べばその若者の命は助かった可能性が高かったが、中学生は何もせずにその場から逃げ出してしまう。このことが後で世間から問題となった。この逃げた中学生は、犯人以上に社会からバッシングを受け、住所、名前を特定され、ネットで炎上した。この中学生は社会から逃げるように日々を生き、現在身をひそめるようにこっそりと大学生となって暮らしている。そこへまたある出来事が降りかかってくる。
という感じである。
デビュー作の『ジャッジメント』でもそうであるが、小林由香先生のテーマは『罪と罰』であろうと思う。言い換えるなら『憎悪と赦し』であるだろうか。
どんな人間でも『過ち』を犯す。それを『赦す』ことができるのもまた人間だけであろう。
外国の文学であれば、ここに『神の赦し』というテーマが入ってくるのであろうが、日本では『神の赦し』をテーマにするとちょっとおかしな方向に行ってしまう可能性もあるのであえてそこには触れていない。
やはりこの部分が日本と西洋の大きな違いなのだろな。ドストエフスキーの『罪と罰』を引き合いを出すまでもなく、人間を赦せるのは西洋では『神』であり、日本では『人』ということなのだろう。
このテーマを論じ始めるとレビューが終わらなくなるので、このあたりでやめたいが、非常に興味深いテーマであることは間違いない
本書も、人のあるべき姿を映した良作である。
おすすめである。
Posted by ブクログ
14歳の時3人の男に恐喝され、助けようとして刺された青年を見捨てて逃げた星吾。過去の罪に怯え、SNSでの誹謗中傷に耐えながら孤独に生き、大学生となった星吾の人生に絡み合う人々。誰も皆、幸せになってほしい。
Posted by ブクログ
登場人物が皆、やるせないほど痛々しい。だがグイグイ読んでしまう。星吾が14歳の時に、カツアゲから守ってくれた大学生が目の前で刺殺された。すぐに救急車を呼べば助かったのに星吾は逃げた。そのことが報道され、嫌がらせや誹謗中傷を受け人間不信になってしまう。大学生になり友人や好きな人ができても心は翳る。薄い本だが結構考えさせられた。生きていれば皆心に何かしらの罪悪感や傷を抱えているもの。どう反省しどう折り合いをつけていくか。物語としては後半残り僅かのページから怒涛の畳み掛け。目まぐるしかったが面白かった。
Posted by ブクログ
少年が犯した過ち。救急車を呼べば助かったかも…というところが肝なのはわかるけど、それで無関係な人間が寄ってたかって14歳の少年を叩きまくれるって、人間はほんとに怖いなと思った。あなたがたに裁く権利などありませんよ。自分が正しいことを証明して気持ちよくなりたいだけの癖して。
被害者家族の苦しみを思うとやりきれないけど、それでもやっぱり、臆病だっただけの少年の悲劇にも同じように胸が痛む。被害者を思うと許せない、と思う気持ちは理解できる。でもそれは、わたしたちが決めることじゃない。
物語は、希望が見えるラストでほんとうによかった。最後の絵の描写と、名前を呼んで手を振るシーンには、じんと来てしまいますね。 彼らの交流が丁寧に描かれてきたからか、どちらにも感情移入できてしまう……特にラストで視点が代わってから、彼の複雑な感情がひしひしと伝わってくるのがすばらしかった。 2人がお互いにぐちゃぐちゃの感情を抱えながらも、今後もよき友人でいられることを願います。
Posted by ブクログ
不良に絡まれているところを助けられたにもかかわらず、その後刺されたその人を見捨てて逃げてしまった中学生の少年・星吾。そのことで世間からの誹謗中傷にさらされ、心を閉ざしてしまった彼の物語は実に痛々しいです。もちろん助けを呼ばずに逃げてしまったことはまずいけれど、中学生だし、怖かったんだろうなあ、と思えば責める気分にはなりません。悪人だったわけでも卑怯だったわけでもなく、ただ弱かっただけなのに。それゆえにその後何年間も苦しむ彼は、至って善人だったのだと思います。だからこそとことんやりきれない物語。
親しい人間を作らないように淡々と生活を送る星吾の周りで、しかしそれでも彼に関わろうとする人たち。彼らに心を開こうとしながら、過去の罪を知られ拒否されるのではという恐怖に怯える星吾。さらに過去の事件の犯人が死亡したことと、星吾の身に起こる不穏な出来事の数々。何者かの悪意が働いているのか、そして星吾はどうなってしまうのか。圧倒的なサスペンスに読む手が止まりませんでした。
悪気のない行為、あるいは行動を起こさなかったことで人を死に追いやってしまった場合、その人は「加害者」になってしまうのか。被害者側から見ればそう感じるのは仕方がないと思いますが。無関係な世間が一方的にそれを判断して糾弾するのは間違っています。むしろそうやって追い込む側が新たな「加害者」なのでは。ある意味、今の時代って誰もが被害者にも加害者にもなりえてしまうので、これは他人事ではない物語なのかもしれません。
Posted by ブクログ
余りに痛すぎて読み進められず
そんなに感じなくても・・・
そんなふうに思わなくても・・・
とは言え、思ってしまうんだよね
辛いなあ〜〜
終わりの激しい巻き方?
ちょっとホッとした
Posted by ブクログ
事情はわかるけど、とにかく主人公が暗くて読んでいてこっちまで引きずられる感じ。
なんとなく展開は読めたけど、最後に救いがあってよかった。
Posted by ブクログ
新鮮かつほぼみんなのハッピーエンドが良かった
恩人を捨てて逃げ出したとか、世間的無関心に陥ったとか、そんなことよりも登場人物それぞれが抱えていた苦悩がスッキリすらエンディングが素晴らしいと感じた。
ちょっとした掛け違いは、いつどこででも起こり得る。それらと向き合い、折り合いをつけながら前に進んでいく様がきれいに見えたってこと。
約30ページという少し長めのエピローグのような後半の謎解き部分はもう少し整理できそうな気がするし、唯一救われないある意味の真犯人だけが取り残されているの、気の毒に感じたけれど、短めの物語を楽しむことができた。
他を読んで良かったから本作を手に取ったはず。さらに他の作品も読もう。
Posted by ブクログ
中学生のときにカツアゲにあった主人公は
助けてくれた青年を置いて、通報もせずに逃げてしまう。
その結果、青年は亡くなり、
ネットで誹謗中傷を受けたり、嫌がらせでバイトを続けられないなどの影響を受けながら
大学生活を送っているという中で展開する物語。
冷静なときには、こうするべきと思っていても
実際に命が脅かされるような事件に遭遇したら
自分が正しい判断ができるかなんて分からない。
特に中学生にそこまで求めるにも酷だと思う。
でも被害者や遺族などの関係者からみたら、その後の影響は大きく、
許せないという気持ちも分かるし、答えは出ないな…。
(ただ無関係な第三者がネットで私刑にするのは、やはりだめだと思う。)
Posted by ブクログ
一つの犯罪が、周囲の人間たちを狂わせる。
佳作ながら深いテーマに挑んだ作品である。
暴行現場から逃げ出した少年と、彼を命がけで守った青年。少年へのバッシングは強くなってきて……。
作品の中で行われている出来事が我々の住む世界で行われている事と重なって慄然とする。報道や過熱するネットの書き込みなど背景にある深い闇を感じさせる一作。
Posted by ブクログ
怪しげな人物が主人公の周りに配置されていて、それが二転三転する展開はエンタメ作品として面白かったです。真相が明かされてくると、トリッキーな人物が多く、こんなひといる?!こんな思考になる?!となりますが実は主人公を助けて命を落とした大学生の設定や人物像が一番非現実的に感じます、、、
Posted by ブクログ
中学生の頃に不良に絡まれた。助けにきた大学生が刺されてしまったがそのまま放置して逃げてしまった。その大学生は亡くなってしまう。その後、ずっと誹謗中傷され心を閉ざした。大学生となり周りの友人に思わぬ繋がりが、、あまりに辛くて痛い。最悪な展開にならなくてよかった。
Posted by ブクログ
少年が14歳の時にカツアゲにあい危ない目にあった
その時助けてくれた青年は残念ながら死亡した。
そのことにより少年の運命も他の人の運命も狂っていく
一体何がよかったのだろうか
Posted by ブクログ
読んでいる間中もやもやした気分で、読後はなんとも言えない気持ち悪さが残った。もやもやは主人公の少年(青年)の行動や考え方に対して、気持ち悪さは後半の種明かしに対して。ミスリードされているのはわかっていたが、予想のさらに上をいっていてこの展開は読めなかった。登場人物の誰もが心に傷を負っていて、人の痛みがわかるはずなのにやさしさが足りない、悲しい小説だった。
Posted by ブクログ
本作は主人公の言葉に共感するものが多かった。
「夢は、普通に生活して、普通に会社員になって、生きて・・・普通に死にたい」
「愚かで、卑屈で、自分本位で、自己愛が強くて、自意識過剰で、それなのにとても弱くて・・・生きているのがとても苦しそうで・・・」
「人生がうまく回り始めると心は強い不安に駆られる。」