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Posted by ブクログ
悪質ないじめを受ける高校一年生の主人公が、ゴーストリバーと呼ばれる河で自殺を図ろうとする。その河で「死ぬなら暇なんだろ」「どうせ死ぬなら誰かの役になってからにしろ」とのたまう不登校がちのクラスメイトに出会い、物語が展開していく。
そのクラスメイトは不気味で、何を考えているか全く分からず、だけれど主人公や読者を惹きつける何かがある。
彼らを取り巻く登場人物も、良い意味でも悪い意味でも魅力的。ページを巡る手が止まらなくなる。
小林由香さんの小説は、痛みのなかで人の弱さを包んでくれる、優しい光を感じさせる何かがある。
「まだ人を殺していません」でもそうだが、声にならない絶望感な叫びをあげる子どもの心を、拾い上げようとする。
拾い上げようとしてくれる人もまた、叫び続けている人だったりする。
身体から出る血は赤いから傷ついたら誰かが気づいてくれる。だれど、心の傷から流れるものには色がついていなくて、誰からも気づかれないことが多い。
子どもたちの心の傷に気づき、行動を起こせる大人がどれくらいいるのだろう。
少子化対策が叫ばれているなか、私たちができることは、今現在を生きている子どもたちの心の叫びを拾い上げ、向き合い、将来家族をもつことに希望を持ってもらうことではないだろうか、と思ってしまう。
Posted by ブクログ
小林由香『ぼくたちの報復』ハルキ文庫。
単行本『チグリジアの雨』を改題、文庫化。
昔と違って、学校の虐めは陰湿で執拗になっている。1人をターゲットに大勢で虐めるなんぞ当たり前で、SNSまで使ってターゲットの噂や恥ずかしい写真をバラまくというのだから、驚くばかりだ。昔は気に喰わない奴が居れば、腕力で決着をつけたものだ。決着がつけば当人同士はサバサバしたもので後々まで引き摺るようなことは無かった。
さらに今の世の中は学校で虐めや暴力事件があっても、学校側が隠蔽しようとするから始末に負えない。
今年の夏、全国高校野球大会に出場し、1回戦を勝ち上がりながら、2回戦以降の出場を取り止めた広陵高校の野球部などは酷いものである。1人の下級生に対して上級生が集団で暴力を振るい、その下級生が監督に相談するも逆に口止めされ、やむ無く他校に転校したというのだ。学校側はその事実を把握していながら、高野連には過少申告し、出場停止には至らなかったというのだから開いた口が塞がらない。さらには広陵高校の校長がSNSでの誹謗中傷から生徒を守るために出場辞退を決めたとバカな発言をした。
さて本作。主人公の高校生の成瀬航基を始めに同年代の登場人物が余りにも幼すぎる。今の時代の高校生とはこの程度なのだろうか。
ストーリーは至って単純であるはずなのに、やけに小難しく捏ねくり回した感が強い。田舎町の高校に通う主人公の成瀬航基が虐めに遭い、同級生の月島咲真に誘われ、虐めの相手への報復を行うというものである。
母親の再婚を切っ掛けに東京から母親の実家のある田舎町に引っ越して来た高校1年生の成瀬航基は、突然、クラスメイトから虐めの標的にされてしまう。
航基に対する虐めは次第にエスカレートし、航基の心はどんどん傷付き、ついに航基は地元の河で自殺を図ろうとする。
しかし、航基がその河へ行くと、殆ど学校に登校していないクラスメイトの月島咲真がいた。咲真は死のうとする航基に報復ゲームへの参加を誘う。
それを切っ掛けに自らの行動で虐めから逃れようとする航基だったが……
本体価格880円
★★★
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