小林由香のレビュー一覧

  • ジャッジメント

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    復讐をすれば心が晴れるのかというと、そうではない。加害者にも家族はいる。
    人を裁くことに正しい方法は、確実にはないのだと改めて感じた。

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    2023年12月07日
  • この限りある世界で

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    「本当の犯行動機を探して欲しい」という殺人犯
    そこにばかり気を取られていたら、最後の最後でこの2人が繋がってたの?っていうびっくりな展開に
    誰か1人だけを悪いと決めつけて裁くことはできないな、と人間の複雑さを思い知った作品
    最後の桐ヶ谷さんからの手紙で、彼にも優しさがあって良かったと思った

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    2023年12月05日
  • ジャッジメント

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    ネタバレ

    倫理観に踏み込んだ重いテーマが心にガツンときた。
    “目には目を歯には歯を”の「復讐法」は犯罪被害者たちに何らかの救いとなるのではと読み始めたが、五章とも遺族側がより苦悩と悲しみを深めて人間の複雑な心理を思い知る。
    何より「復讐法」の刑の執行中でも、蛮行を悔い反省し自分が犯した罪の重さを自覚する加害者が誰一人いなかったことが虚しくてしょうがない。
    何も期待せず、娘を殺した相手を黙々と埋めていった長瀬茂美のような執行ができたら「復讐法」を選んで救いと呼べるのかな。
    どんな親でも見捨てず慕う子どもたちの無垢さに泣ける。

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    2023年11月25日
  • この限りある世界で

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    殺人を犯した中学生と、篤志面接委員の面会でのやりとりの緊迫感に惹き込まれる。
    文学賞を受賞した新人作家が、殺人事件絡みで自殺し、担当編集者がぐだぐだ悩んで仕事を辞め自殺一歩手前までいくクダリに辟易したけれど、その担当者が双子の姉に代わり篤志面接委員になっていたとは…ラストで全部が繋がり、それが双子故出来たことでまとめてしまうのは、なんだか残念な気持ちになる。
    でも、面白かった。

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    2023年11月11日
  • まだ人を殺していません

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    書店で面陳列されてて
    帯の「あなたは子供の気持ちわかってますか?」に
    一瞬で目を奪われて釘付けになって
    裏の紹介文でこれは読みたいと手に取った1冊。

    まずまだ人を殺してないってどういうこと?
    人以外は殺してるってこと?
    いつか人を殺すかもしれないってこと?
    って疑問ばかりでてきた。

    読み始めたら止まらなくなって
    夜勤明けっていうのに寝るそっちのけで
    食べることも忘れてひたすら読んだ。

    父親が猟奇的殺人を犯した裏には
    大切な人を想う気持ちや希望があり、
    息子の良世は絶望しながらも
    少しずつ現実と向き合いながら成長する。

    それを支えた翔子さんも凄いと思った。

    自分の気持ちって言葉にしない

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    2023年11月09日
  • ジャッジメント

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    どの作品も驚愕のラストを迎える

     ☆四つは少しインフレかもしれないけれど、殺人に対する復讐が認められる法律制定を背景とする連絡は、どれも驚きの結末を迎える。その切れ味が新鮮で、しかも強烈で、久しぶりに別次元の世界に没頭することができた。

     確かに設定そのものは非現実的ではあるものの、そんな法律があってもおかしくないと思うような昨今の世の中だからこそ活きる物語だと思う。それはそれで残念なんだが、大いなる悲劇に直面した時、自身が執行人を辞退する自信は私にはないように感じたなぁ。

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    2023年09月24日
  • この限りある世界で

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    序盤・中盤は有り触れた展開。終盤、美月の父親、弁護士、親友、家政婦らが登場。彼らの証言が犯行動機の解明に繋がり、莉子と結実子の関係性も明らかに…油断しすぎた。

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    2023年09月02日
  • この限りある世界で

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    15歳の少女が教室で同級生を刺殺する事件が起きる。
    前日の小説の投稿サイトに〈第48回シルバーフィッシュ文学賞、最終選考で落選。哀しいので明日、人を殺します〉とあった。
    さらにその新人賞を受賞した青村信吾が、受賞して申し訳ないと遺書を残し自殺する。

    加害少女の本当の犯行動機を見つけるために篤志面接委員である白石結実子は何度も彼女と面接をする。

    少女の本音が引き出されていくうちに白石のいつもと違う雰囲気に圧倒される。
    すべてが明らかになったとき茫然となった。
    そういえば、いつのまにか青村の担当編集者である小谷莉子の存在を感じることなく後半に突入していたことに気づく。

    退職した小谷莉子へ送ら

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    2023年08月29日
  • この限りある世界で

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    横浜の市立中学で中三の穂村マリアがクラスメイトの遠野美月に刺されて死亡するという事件が起きます。
    美月は事件の動機として、シルバーフィッシュ文学賞に落選したからと言います。

    シルバーフィッシュ文学賞を受賞したのは23歳の青村信吾の『プラスチックスカイ』という作品でした。
    青村信吾はその優しい性格から内定取り消しを望みます。

    そして信吾には「コネで受賞したのは本当か」などの嫌がらせを受けるようになり、付き合っていた彼女ともうまくいかなくなり、自殺してしまいます。

    信吾の担当編集者だった文高社の小谷莉子26歳はショックを受けます。


    篤志面接委員の白石結実子は妊娠中ですが、千葉の新緑女子学

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    2023年07月31日
  • この限りある世界で

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    とても繊細で難しい内容でしたが、この本が誰かの心に響いて、生きていく希望になると確信しています。

    誰しも間違いを起こしたり、後悔があって過去に戻りたいと思うことがあると思う。
    しかしそれは叶わないこと。
    けれど、そこから変えられる未来もある。

    『誰かを理解したい、理解しようとする姿勢こそが愛情』
    『関係ないのに、苦しんでしまう優しさが彼にはあった』

    結果はどうであれ、優しさを胸に生き、誰かに寄り添い支えていけるような、強い人になれるように、私自身も頑張ろうと思います。

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    2023年07月09日
  • チグリジアの雨

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    本を閉じた瞬間、熱い思いで胸が一杯になる。

    チグリジアの花言葉『私を助けて』
    いじめに苦しむ彼らが発する悲鳴が文中から迸り胸が締め付けられる思いだ。

    身体的暴力だけでなく日常的に「死ね、殺す」と暴言を吐き、下らない嫌がらせを繰り返すいじめ加害者に怒りを覚える。
    いい加減、いじめは愚かな行為だと気付くべきだ。
    誰かの人生をストレスのはけ口に使い自死まで追い詰める奴らには人としての心が欠落している。

    チグリジアのもう一つの花言葉『誇らしく思う』
    いじめに真っ向から戦った彼らにこの言葉を捧げたい。

    命の重みを訴える感動の一作。

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    2023年02月17日
  • イノセンス

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    『ジャッジメント』『罪人が祈るとき』『救いの森』と立て続けに問題提議作品を発表される小林由香さん。

    タイトルの『イノセンス』意味は「無罪、潔白」本作はその意味通り、法で裁かれない者の贖罪がテーマだ。

    中学時代、不良に絡まれた星吾は彼を助けようとして刺された青年・氷室を見捨て逃げてしまう。
    その後、氷室は死亡。

    3人の不良は当然その罪を問われ法的に裁かれるが、逃げた星吾に与えられた罰は世間からの終わりのないバッシング。

    この世に大小の差はあれど罪のない人間なんていない。
    人が人を裁くと言う事、真の贖罪の意味を問われる。

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    2023年02月16日
  • ジャッジメント

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    ネタバレ

    「大切な人が殺された時、あなたは『復讐法』を選びますか?」衝撃的な問いで始まる物語は、復讐法の”残酷さ”を語っているようです。同時に”復讐の意味の無さ”も。

    被害者の無念は、どうすれば救われるのだろうか。その家族はどう受け止めればいいのだろうか。加害者はどうすれば赦されるのだろうか。そして、裁判は正当な判断を下せない。ときに、加害者に優し過ぎたり、反省にならなかったり。だが、同害報復が解答とも思えない。きっと、被害者家族の願いはそこにはないのはないかと、と思えてしかたがない。

    ”復讐”は、選択肢としては「あり」かもしれないが、選んでほしくはない。「人を呪わば穴二つ」にならなければよいと祈る

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    2023年02月10日
  • イノセンス

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    ネタバレ

    読書備忘録699号。
    ★★★★☆。

    小林由香さんを読んで苦しむシリーズ。笑
    苦しかったです。ただ、小林さんらしくラストは救いのある終わり方でした。

    主人公音海星吾、大学2年生。
    ベランダに「カガイシャハシネ」と書かれた文庫が投げ込まれる。どうやら何かしらの事件の加害者とされていることはわかる。
    動揺する気持ちを落ち着かせ、大学に向かう。
    最寄り駅で電車に飛び込もうとする男性を救う。ただ、「昼間に飛び込むな。迷惑だ。飛び込むなら深夜にしろ」と暴言を吐く。
    その場に居合わせた女子大生が「今の発言でこの男性が今夜自殺したら、貴方のせいだ!」と星吾を罵る。その言葉に星吾は動揺する・・・。

    星吾の

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    2022年11月30日
  • ジャッジメント

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     表題作「ジャッジメント」を含む5編収録の連作短編集で、著者のデビュー作。表題作は2011年第33回小説推理新人賞を受賞した。
     日本に復讐法というものがあったらという架空の設定だが、実に興味深い内容だった。復讐を実行するのは、殺された被害者遺族。しかも殺された方法と同じ方法で復讐を行うというもの。加害者のことを殺してやりたいとは思うのかもしれないが、それで被害者遺族の悲しみや憤りが救えるのかというと必ずしもそうとも言えない。自分も加害者になってしまうという意識が働くからだ。
     人が人を裁くことの難しさや葛藤などを様々なシチュエーションから描き出しており、考えさせられることが多い。読み始めたと

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    2022年11月12日
  • ジャッジメント

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    被害者遺族が死刑執行ができる復讐法が施行された日本。
    5編の短編集

    人が人を裁くこと、人を許すこと、自分を許すこと
    どれも難しい。
    もっと相手と自分と向き合えば答えは出るのかなぁ…

    単純な復讐劇にはならない心の流れにグッとくるところも。
    色々と考えさせられる作品でした

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    2022年10月20日
  • ジャッジメント

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    大切な人が殺された時、あなたは『復讐法』を選びますか?ー。

    初めての小林由香san。2作目の『罪人が祈るとき』と陳列されていて、罪人~のピエロの表紙に負けそうに(?)になりましたが、約10分間の葛藤の末、読むならデビュー作から!と手に取りました。

    20xxに生まれた「復讐法」を担当する、応報監察官の鳥谷文乃を軸にした5つのお話し。復讐法の2つの条件がとてもリアルで、あっという間に読み終わりました。

    復讐法
    ①裁判によりこの法の適用が認められた場合、被害者、またはそれに準ずる者は、旧来の法に基づく判決か、あるいは復讐法に則り刑を執行するかを選択できる。

    ②復讐法を選んだ場合、選択した者が

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    2022年10月10日
  • 罪人が祈るとき

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    ネタバレ

    一気読み。
    何度か苦しくなる場面も。
    ペニーといじめられている少年少女との出会い。
    ペニーの過去。
    どうにもならない苦しみ。

    タイトルの意味も最後の方に。

    印象に残った文章、場面など

    p14-7~9
    p23-13~14
    p40-4~41-10
    p56~58
    p123-12~13
    p156-8~12
    p181-11~182-5
    p242-7~243-11
    p293-1~3
    p295-15~16
    p319-13~14
    p322-7
    p330-6~最後まで
    p336-15
    p337-8~9等

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    2022年09月28日
  • チグリジアの雨

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    06月-19。4.0点。
    母親の再婚で引越し、高校でいじめに遭う主人公。「復讐しないか?」と同級生が現れ。。

    面白かった。期待値が低めだったが、良い方に裏切られた。終盤は涙。

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    2022年06月23日
  • チグリジアの雨

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    いじめや自殺がテーマの小説は辛くなるのであまり読みたくないけれど、この本は、SNSで絶賛されているのを見て、あらすじを読まずに読み始めてしまいました。

    最初の方は読んでいて辛かったけれど、とても読みやすい文章で、続きも気になるので1日で読み切りました。終わり方はすごく良かった。

    この本をみんなが読んだら、いじめといじめで自殺する人は激減するのではないかと思いました。

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    2022年05月13日