小林由香のレビュー一覧

  • 救いの森

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    「児童保護救済法」という法律が可決された世界を舞台に、虐待やいじめ、貧困などで苦しむ子供たちを救うための「児童救命士」を主人公とした小説作品で、4つの事件が連作短篇形式で語られています。

    「子どもを救う」という、まさに失敗が許されない仕事に対して、恐怖を感じながらも真正面から取り組もうと奮闘する主人公や、その傍らに立ちつつも昼行灯のように何の役にも立っていないように見えるのに、しっかりと真相を把握している先輩など、登場人物のキャラクターもしっかりと描かれています。
    なにより、辛く厳しい環境におかれて崩れ落ちそうになる子供たちを、ギリギリのところでつなぎとめている児童救命士たちの活動には、創作

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    2024年05月23日
  • まだ人を殺していません

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    導入からの盛り上げにはゾクゾクさせられたが、ミステリアスな子供の伏線回収は、繊細な感性を持たない自分には若干不服。
    真相が判明する度に誰が本当の闇なのか二転三転し、誰もが抱える闇、危うさというありきたりな感じでまとめてくるのかと思いきや、、最後の一行に希望の光に包まれるような感覚を抱いた。
    このモチーフでこの結論、主人公のタフさに脱帽。私ならすぐに脱出。

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    2024年04月30日
  • ジャッジメント

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    最終話のジャッジメントを読み終えて、
    二の腕には鳥肌が立ち、背中は粟田って
    身震いし、言葉では言い尽くしきれない
    さまざまな感情に心が震えました。

    第1章 サイレン
    第2章 ボーダー
    第3章 アンカー
    第4章 フェイク
    第5章 ジャッジメント

    凶悪な犯罪に対し法改正で“復讐法“が生まれ、
    被害者側が加害者へ合法的に復讐することが
    認められるように変わった時代。

    ただし、復讐の執行は被害者側が自らの手で
    行い、かつ被害者が受けたことと同じことを
    加害者に対して応報する。

    大切な人を失った悲しみ、怒り、後悔、
    憤り、喪失感、虚無感、やり場のない
    さまざまな感情を抱えて思い悩む被害者と

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    2024年04月21日
  • まだ人を殺していません

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    葉月翔子は、5歳だった娘を交通事故で亡くし、夫と離婚してから1人で暮らしている、元美術教師だ。
    ある日、亡くなった姉の夫である南雲勝矢が、自宅に2人の遺体をホルマリン漬けにしていたという事件が起きる。
    勝矢と亡き姉の息子である良世(りょうせい)は小学生であり、もし翔子の娘が生きていれば同じ年だ。
    翔子は、兄から頼まれて良世を引き取る決意をする。

    良世は場面緘黙症であり、当初言葉でのコミュニケーションをとることはできない。
    ただし、絵が抜群に上手い。
    少しづつ言葉を交わすことができるようになっても、良世が何を考えているのかは、よく分からない。
    良世の父親が老婆と幼女を殺害して首を切断し死体を保

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    2024年03月17日
  • まだ人を殺していません

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    途中苦しくてメンタル持っていかれそうになって
    早く最後まで読んでしまいたくなった
    物事の真実が見えずうやむやにしていることは
    自分を顧みてもきっと少なくないはず
    それでも人を信じて向き合うことが救いになる

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    2024年03月10日
  • まだ人を殺していません

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    著者初読み。
    死んだ姉の子良世と同居することになった翔子。父親が猟奇殺人を犯している良世は、場面減黙症となって口を閉ざし、何を考えているかわからない。翔子は娘を事故で亡くしており、その過去が良世との関係にも影を落とす。
    彼との関係を良好にしたい翔子は、姉の親友の助けも借り、何とか良世が口を聞くようになる。
    しかし、翔子が良しと思った決断も、「翔子さんは神様じゃないのに責任がとれるのですか」との良世の言葉が暗示するがごとく、二人の環境が暗転する。
    現代を舞台にした場合、ISNなどネット関係を取り入れない小説はあり得ず、本書でもネット社会の負の側面が物語の展開に影響を及ぼす。
    不穏な状況の連続に、

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    2024年02月11日
  • まだ人を殺していません

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    義兄が殺人犯となり義兄夫婦の息子である良世を、亡くなった姉に代わり育てていく翔子。
    良世に向き合おうと頑張るが、そんな翔子にも悲しい過去があり、、
    翔子と一緒になって良世に翻弄されてしまった。
    良世のこの先の幸せを願うと共に我が子を抱きしめたくなる1冊でした。

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    2024年02月08日
  • チグリジアの雨

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    いじめの標的にされたらこんなにも逃場がなくなってしまうのですね。それも自分に原因があるわけでもなく、根も葉もない噂話から始まる事が恐ろしいです。そして誰一人いじめを見ても止めようとしないクラスメイトたち。

    いじめられている本人は色々な事を考え家族にもそれを言えずにいるなんて絶望しかなかったでしょう。でも声を上げずに逃げるより声を上げて闘う事を選んで欲しいと思ってしまいました。

    ちょうど好きなドラマの原作者の漫画家さんが自死をしたというショックなニュースの最中に読んだので航基が踏み止まれて良かったと思いました。

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    2024年02月05日
  • イノセンス

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    星吾は中学生の時にカツアゲにあった所を、通りすがりの大学生に助けられる。だが、その大学生はそのまま暴行をうけナイフで刺されてしまう。
    助ける事ができずに逃げた星吾。亡くなってしまった大学生。
    星吾が、その後背負った物の重さに終始苦しい。
    家族の優しさに触れて泣きそうになるが、ずっと眉間にシワ寄せながら読んでた気がする。

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    2024年02月01日
  • 罪人が祈るとき

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    心を揺さぶられる作品とは本書の事を言う。
    語り口が似ているからか視点の切り替わりが分かりづらいと感じる部分はあるものの、それを差し引いてもリーダービリティーが大変よく、没頭して読めた。いじめに家庭不和、その果てに少年が見るものとは。切ない話である。

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    2024年01月09日
  • ジャッジメント

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    復讐をすれば心が晴れるのかというと、そうではない。加害者にも家族はいる。
    人を裁くことに正しい方法は、確実にはないのだと改めて感じた。

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    2023年12月07日
  • ジャッジメント

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    ネタバレ

    倫理観に踏み込んだ重いテーマが心にガツンときた。
    “目には目を歯には歯を”の「復讐法」は犯罪被害者たちに何らかの救いとなるのではと読み始めたが、五章とも遺族側がより苦悩と悲しみを深めて人間の複雑な心理を思い知る。
    何より「復讐法」の刑の執行中でも、蛮行を悔い反省し自分が犯した罪の重さを自覚する加害者が誰一人いなかったことが虚しくてしょうがない。
    何も期待せず、娘を殺した相手を黙々と埋めていった長瀬茂美のような執行ができたら「復讐法」を選んで救いと呼べるのかな。
    どんな親でも見捨てず慕う子どもたちの無垢さに泣ける。

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    2023年11月25日
  • ジャッジメント

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    どの作品も驚愕のラストを迎える

     ☆四つは少しインフレかもしれないけれど、殺人に対する復讐が認められる法律制定を背景とする連絡は、どれも驚きの結末を迎える。その切れ味が新鮮で、しかも強烈で、久しぶりに別次元の世界に没頭することができた。

     確かに設定そのものは非現実的ではあるものの、そんな法律があってもおかしくないと思うような昨今の世の中だからこそ活きる物語だと思う。それはそれで残念なんだが、大いなる悲劇に直面した時、自身が執行人を辞退する自信は私にはないように感じたなぁ。

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    2023年09月24日
  • チグリジアの雨

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    本を閉じた瞬間、熱い思いで胸が一杯になる。

    チグリジアの花言葉『私を助けて』
    いじめに苦しむ彼らが発する悲鳴が文中から迸り胸が締め付けられる思いだ。

    身体的暴力だけでなく日常的に「死ね、殺す」と暴言を吐き、下らない嫌がらせを繰り返すいじめ加害者に怒りを覚える。
    いい加減、いじめは愚かな行為だと気付くべきだ。
    誰かの人生をストレスのはけ口に使い自死まで追い詰める奴らには人としての心が欠落している。

    チグリジアのもう一つの花言葉『誇らしく思う』
    いじめに真っ向から戦った彼らにこの言葉を捧げたい。

    命の重みを訴える感動の一作。

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    2023年02月17日
  • イノセンス

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    『ジャッジメント』『罪人が祈るとき』『救いの森』と立て続けに問題提議作品を発表される小林由香さん。

    タイトルの『イノセンス』意味は「無罪、潔白」本作はその意味通り、法で裁かれない者の贖罪がテーマだ。

    中学時代、不良に絡まれた星吾は彼を助けようとして刺された青年・氷室を見捨て逃げてしまう。
    その後、氷室は死亡。

    3人の不良は当然その罪を問われ法的に裁かれるが、逃げた星吾に与えられた罰は世間からの終わりのないバッシング。

    この世に大小の差はあれど罪のない人間なんていない。
    人が人を裁くと言う事、真の贖罪の意味を問われる。

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    2023年02月16日
  • ジャッジメント

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    ネタバレ

    「大切な人が殺された時、あなたは『復讐法』を選びますか?」衝撃的な問いで始まる物語は、復讐法の”残酷さ”を語っているようです。同時に”復讐の意味の無さ”も。

    被害者の無念は、どうすれば救われるのだろうか。その家族はどう受け止めればいいのだろうか。加害者はどうすれば赦されるのだろうか。そして、裁判は正当な判断を下せない。ときに、加害者に優し過ぎたり、反省にならなかったり。だが、同害報復が解答とも思えない。きっと、被害者家族の願いはそこにはないのはないかと、と思えてしかたがない。

    ”復讐”は、選択肢としては「あり」かもしれないが、選んでほしくはない。「人を呪わば穴二つ」にならなければよいと祈る

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    2023年02月10日
  • イノセンス

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    ネタバレ

    読書備忘録699号。
    ★★★★☆。

    小林由香さんを読んで苦しむシリーズ。笑
    苦しかったです。ただ、小林さんらしくラストは救いのある終わり方でした。

    主人公音海星吾、大学2年生。
    ベランダに「カガイシャハシネ」と書かれた文庫が投げ込まれる。どうやら何かしらの事件の加害者とされていることはわかる。
    動揺する気持ちを落ち着かせ、大学に向かう。
    最寄り駅で電車に飛び込もうとする男性を救う。ただ、「昼間に飛び込むな。迷惑だ。飛び込むなら深夜にしろ」と暴言を吐く。
    その場に居合わせた女子大生が「今の発言でこの男性が今夜自殺したら、貴方のせいだ!」と星吾を罵る。その言葉に星吾は動揺する・・・。

    星吾の

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    2022年11月30日
  • ジャッジメント

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     表題作「ジャッジメント」を含む5編収録の連作短編集で、著者のデビュー作。表題作は2011年第33回小説推理新人賞を受賞した。
     日本に復讐法というものがあったらという架空の設定だが、実に興味深い内容だった。復讐を実行するのは、殺された被害者遺族。しかも殺された方法と同じ方法で復讐を行うというもの。加害者のことを殺してやりたいとは思うのかもしれないが、それで被害者遺族の悲しみや憤りが救えるのかというと必ずしもそうとも言えない。自分も加害者になってしまうという意識が働くからだ。
     人が人を裁くことの難しさや葛藤などを様々なシチュエーションから描き出しており、考えさせられることが多い。読み始めたと

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    2022年11月12日
  • 罪人が祈るとき

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    ネタバレ

    一気読み。
    何度か苦しくなる場面も。
    ペニーといじめられている少年少女との出会い。
    ペニーの過去。
    どうにもならない苦しみ。

    タイトルの意味も最後の方に。

    印象に残った文章、場面など

    p14-7~9
    p23-13~14
    p40-4~41-10
    p56~58
    p123-12~13
    p156-8~12
    p181-11~182-5
    p242-7~243-11
    p293-1~3
    p295-15~16
    p319-13~14
    p322-7
    p330-6~最後まで
    p336-15
    p337-8~9等

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    2022年09月28日
  • チグリジアの雨

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    06月-19。4.0点。
    母親の再婚で引越し、高校でいじめに遭う主人公。「復讐しないか?」と同級生が現れ。。

    面白かった。期待値が低めだったが、良い方に裏切られた。終盤は涙。

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    2022年06月23日