小林由香のレビュー一覧
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仇討ちは江戸幕府に認められた法だった。
現代に「復讐法」として認められたなら
現在 法で裁くために被害者や被害者遺族は
悲しみを追体験させられる。
被害者を罵る大衆の偽正義感の声に苦しめられる。
いじめやすい人を選んだ加害者が悪いのに
なぜ責任も押し付けられるのか。
加害者のために被害者が手をかけなければ
また世に放たれる矛盾。
私の知らない遠いところで✖︎んじゃえばいいのに。
そう心で罵るのが私の限界。
関わりが無かったことには出来ない事実に
吐き気がする。
加害者と被害者遺族が向き合うシビアな状況が
応報監察官の語りで丁寧に描かれていた。
InstagramのKengo-book2さんの本紹介をきっかけに読んだ本なのだが
正解のない問いを抱え続ける忍耐力を試されている。
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Posted by ブクログ
読書備忘録1000号。
★★★★★。
2011年くらいから備忘録付け始めてはや15年。
やっと1000号です!
冊数で言えば1200冊くらいかな。
そう考えると、まだ人生で4000冊くらいしか読めてないんですよね。
もっともっと読書を楽しむには、読むスピードも寿命も足らん!悲しい!
さて、記念すべき1000号は由香さんを読んで苦しむシリーズ!になりました。笑
まあ、当たり外れなく苦しいわ。由香さん!
本作の終わり方は涙無くして読めない良いものでした。
ただの高校生ごときが全世界を救うとか!ないわぁ!神か!
物語の冒頭。
廃校となった小学校の一室で陰湿ないじめが繰り広げられていた。
「心から流れる血は透明だから誰も気づかない・・・」
この言葉だけで苦しい。
全裸にされて動画を撮られる主人公。
ウケまくる同級生男女たち。
虐められている主人公、高1の成瀬航基。
母の離婚から再婚で東京から片田舎に引っ越してきた。
東京のエリート中高一貫校から田舎の高校へ。
まあ、若干不器用だな。こいつ。上手いね由香さんの描写が。
東京風を吹かせるのが鼻についただんろうな。
加えてあろうことか、再婚相手の継父はこの高校の教師。そしてクラスのアイドル女子生徒に性的いたずらをしたと噂が流れたことで一気に虐めの対象になってしまった。
遺書を1通ずつ書きながら耐えてきた。
遺書が5通になるまで耐えよう。それでもダメなら死のう・・・。
そして遺書は5通になった。
自殺場所に選んだのは近くのゴーストリバーと呼ばれている川。
川に入る航基。
コツン。コツン。
ん?石が当たる?
川で水切りをしているのはクラスメイトの月島咲真。
咲真は言う。
「人の役に立っていない奴は死んでも救われない」
「カミがチャンスを与えると言っている」
カミ?神?咲真が抱えているクマのぬいぐるみ。カミ?
水きりが7回成功したら自殺を1週間延期しろと咲真が言う。
水切りは7回成功した・・・。
そして、咲真と航基の「人の役に立つ」不思議な行動が始まる!
もう辛いのよ。いじめを読むのが!
さらに辛いのよ。咲真の事情が!
そしてクズ同級生たちも若干可哀想なのよ。事情もわからなくはない。
でも絶対に許せないのは性被害者のアイドル女子生徒安藤菜々子やな。やはり。
こいつの事情はあまりに身勝手。
そして最後まで非を認めないまま許されるっぽい。
登場する大人達。
石田調査事務所所長の石田!が良い!笑
太田愛さんの探偵シリーズじゃないけど、何でも屋なのよ。
運龍寺のせっちゃんと航基のじいちゃん。良いです!マジで!
物語は後半、いじめ加害者に対する報復ゲームと、11/25世界報復デーのSNS発信!で大きく盛り上がる。
繰り返します。ラストは悲しすぎる。
チグリジアの花言葉「助けて・・・」。
勇気を持って叫ぼう! -
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猟奇殺人を犯した父を持つ少年と、事故で娘を亡くした女性。
その2人が「家族」になろうと、もがき、苦しみながら心の糸を紡いでいく物語。
この物語はフィクションなのだけど、綺麗事は一切書かれておらず、ストーリーも都合良く進んでいくわけでもない。
だから、正直なところしんどい場面が多くある。
人間の多面的な面が、嫌というほど表現されている。
そして、ここまで、子どもの無作為に揺れ動く心理を丁寧に描いている小説を、私は知らない。
子どもだけではなく、主人公の女性の、少年を受け入れようと思いつつもそれが出来ないジレンマだったり。
本当にすごい小説に出会ったという感覚。
潮の満ち引きのように、寄せたり引いたりを繰り返す過程を、ここまで丁寧に描いた小説はあまりないのでは。
人間は多面的で、善と悪の両面を併せ持っている。
正直なところ、善だけで生きていけるほど世の中甘くなくて。だけれど、そんななかでも、誰かに愛された記憶があれば、誰かを愛することができる。
自分を大切に思えて、やっと、誰かを大切に思える。
世界の全ての子どもたちが、自分を大切に思える環境に居て欲しいと切に思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ復讐法の設定を聞いて、想像に容易い結末がいの一番に提示されて動揺した。復讐が復讐を呼ぶ。短編集なのに、この先どうするのか?と。
そんな心配は無用だった。各話の加害者、被害者、遺族に様々な事情や関係性があり、そこに復讐法の特異な内容も交わり、毎話監視官が心をすり減らすような状況が出来上がる。終始息苦しい。
正直、リアリティのない設定ではある。だが、このテーマを描きたいが故の舞台装置だろうし、現実も被害者やその遺族にとって十二分に残酷な場合があることを思うと、時代や世論によって似たような法案が出てきてもおかしくないのかもしれない。
最後まで救いがなくて打ちのめされたが、自分ならどうするのか、と誰もが自分に問わずにはいられない意欲作だと思う。
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Posted by ブクログ
殺された人の代わりに、被害者に近しい人が犯人に同様の危害を加える事ができる「復讐法」が成立した世の中のお話
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大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。
凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。
20××年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。
それが「復讐法」だ。目には目を歯には歯を。この法律は果たして
被害者たちを救えるのだろうか。復讐とは何かを問いかける衝撃のデビュー作!
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復讐法は、犯人が被害者に対して行った行為を刑罰として執行することを認める法律
裁判の結果、復讐法が適用が認められた場合は、被害者、またはそれに準ずる者は「復讐法の選択権利者」として旧来の法に基づく刑罰か、復讐法による刑罰を執行するかを選択することができる
復讐法を選択した者は、自らの手で刑罰を執行する
物語は、復讐法執行の立会人「応報監察官」鳥谷文乃の視点で描かれr
復讐法を執行する「応報執行者」の傍らで、彼女は何を思うのか?
全五話
・サイレン:4日間に渡るリンチ殺人を行った4人組の主犯格の未成年と、殺された男の子の父親
・ボーダー:同居する祖母を牛刀で殺した孫と、その母という直系の3人
・アンカー:無差別通り魔殺傷事件を起こした心神喪失者と、死亡した3人それぞれの執行者の合議
・フェイク:孫を守るために子供をビルの屋上から突き飛ばした有名霊能力者と、母子家庭だった被害者の男の子の母
・ジャッジメント:実母とその内縁の夫の虐待によって餓死した幼女の兄で小学生の男の子
復讐刑は、必ずしも死刑の代替ではない
有期刑や心神喪失者の場合でも適用される
また、犯人が未成年でも適用されるのと
執行者が未成年に対しても適用される
ただ、この物語で描かれている事例では、少なくとも人は殺している
読んでいて、精神的に辛かった……
もし自分が復讐する役割を指名されたとして
「殺された家族が、私が犯人に手を下すことを望むだろうか?」と考えたら、私の家族は誰もそんな事を望まないだろうと思ったし
逆に私が誰かに殺されたとして、家族の誰かにその役割を果たして欲しいかと問われると、そんな事は望まない
でも、死刑という制度を私は容認していて
これって、刑の執行を当事者ではない誰かに肩代わりさせているだけなのでは?という疑問も湧いた
作中では、この法律に反対する人や団体もいるし
逆に「そんな犯人を許すな。殺せ」と執行者が復讐法を選択するように強要するような意見もある
1話を読むだけで、執行者の心理的な負担が容易に伺える
執行者の中には「この法があってよかった」と感謝する人もいるが、本当にそれでよかったのだろうか?とも思う
執行をしたことで、同時に自分も犯人と同じく人を殺してしまったという思い十字架を背負う人もいる
執行の直前や執行中に何もできなくなる人もいるし
執行中に自らの命を絶つ人もいる
執行者の心理的重圧はどれほどのものだろうか?
日本では昔、「仇討ち」が公式の制度化されていた
主君や尊属を殺害した者に対して私刑としての復讐
ある意味で、被害者家族の生きる望みにもなっていた可能性もある
または、義務か
読んでいて、応報の結果としての若干の爽快感もあるが、それ以上に執行者の苦しみが伝わってくる
意地の悪い私としては、最初のケースだと殺す一歩手前のところまで全部やってから復讐刑をやめて、生き地獄を味わわせるという事もできるなと思ってしまったが
実際に自分がそれを行えるかと問われると、できない気がする
最初の話は女子高生コンクリート詰め殺人事件をモチーフにしているだろうしし
三話は秋葉原通り魔事件
虐待死なんかは嫌なことではあるがちらほらとニュースでも目にする
死刑反対の意見や、犯人への憎悪や呪詛の言葉はネットに溢れかえっている
そう考えると、やはり現代と地続きの物語だなと感じる
心神喪失者に対する法的な扱いがちょっと気になった
執行者が現行法を選んだら不起訴となる理屈がわからない
「責任能力がないから罪に問わない」であって、起訴そのものがなかった事になるのはどんな理由があるんだろ?
実際は心神喪失者として無罪になってもそのまま社会に戻ってくることはないのだけれどね
ただまぁ、物語の中では責任の有無にかかわらず復讐するかどうか、という判断を執行者達に問いかけるためにそんな設定にしたのだろうな
執行者の判断により両極端な結果になる仕掛けになっている
刑罰の本質は「応報刑」か「目的(更生)刑」かという問いは前から考えてはいるが、自分の中で未だに結論が出ない
現行の制度では、更生を目的としており、被害者や被害者家族への配慮はされていないように感じる
一人を殺していながら、犯人はまず死刑にならない現行の制度は納得いかない人がいるのはわかる
復讐法では、執行する過程で、関係者への配慮がされている
ただ、被害者家族は報いる事はできるかもしれないが、いずれにしても救われない
人にとっては違う地獄の幕開けになる。
どうやらこの作品が作家さんのデビュー作のようだ
設定と文章や心理描写に、拙さや今一歩と感じる部分もある
けれども、この設定で最後の結末まで書ききったのは評価したい
映像の脚本家出身のようなので、その辺の設定のリアリティや心情描写に関しては書き慣れていないのかもと思った -
Posted by ブクログ
ネタバレ虐めがテーマにあるから全体的に暗めだったけど、咲真と成瀬の微妙な距離感の中でお互いがいい影響を与えられる関係は本当に素敵。希望や目標を与えて合う、家族よりも深い絆があるように思えた。「誰の役にも立てなかった奴は天国に行けない。」という言葉は、多分誰もが怯える言葉なのでは?生きる意味とはみたいな抽象的で大仰なことを考えるのは好きじゃないけど、この本のおかげでどう生きるべきかを考えてもいいと思った。「弱さを武器にして生きたくない。」という言葉も刺さった。生きられるのに選択される死、生きたいのに選択さぜるを得ない死。命の重要性を問いかけ、連鎖する。咲真は成瀬や青柳の中で生き続けるのだろう。「命」というありがちなテーマを取り上げているのに陳腐にならない小説は本当に稀有だと思った。
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Posted by ブクログ
読書備忘録917号。
★★★★★。
さすがっす。由香さん。最新刊も苦しすぎる。
由香さんを読んで苦しむシリーズ健在!
主人公、今井柊志。東誠出版で週間ウォッシュ編集部の社会班に所属。
同業の海雲堂から「ゴールドフィッシュ」という小説が出版された。
著者は雨宮世夜。
内容は・・・。自分が幼いころ起きた事件が描かれていた。
そして出版日は27年前に死んだ姉の命日。
雨宮世夜?誰だ?なんで知ってる!
時は1995年。柊志が姉の小代子と過ごした最後の夏。
柊志は3人きょうだいの末っ子。長男舜士19歳。長女小代子17歳。そして柊志6歳。
全員異父きょうだい。母親は育児放棄。家庭崩壊と飢える姉弟。
弟を飢えから健気に守る小代子。
美麗村少年リンチ殺人事件発生!
被害者天池晃太郎くん15歳。少年4人による暴行の末死亡。
主犯は舜士。天池堂製菓勤務!社員が経営者家族の息子を!
小代子は加害者の妹ということで壮絶ないじめに・・・。
そして小代子は車に轢かれて死んだ・・。事故?自殺?他殺?
当時6歳だった柊志は、実は何も知らない。
真実を調べる為に動き出す柊志。
そして作中小説「罪と献花」で明らかになる壮絶な事実!
由香さんしか描けない壮絶なストーリー!
息が出来ない!苦しい!
加害者の妹。
被害者の姉。
加害者の・・・。
加害者の・・・。
親友エスポワール!悲しい!
本作由香さんのメッセージはこんな感じ。
「多かれ少なかれ誰の中にも魔物が住む。」
「自分だけは絶対に罪を犯さない!なんてことはない。」
「世界中の人間が他人を傷つけ、他人の命を奪う危険性を常に持っている。そうじゃなきゃ戦争なんて起きない。」
柊志の同僚達には救われたわ。
あとは「チグリジアの雨」を読まなきゃ!