小林由香のレビュー一覧
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殺された人の代わりに、被害者に近しい人が犯人に同様の危害を加える事ができる「復讐法」が成立した世の中のお話
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大切な人を殺された者は言う。「犯罪者に復讐してやりたい」と。
凶悪な事件が起きると人々は言う。「被害者と同じ目に遭わせてやりたい」と。
20××年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、新しい法律が生まれた。
それが「復讐法」だ。目には目を歯には歯を。この法律は果たして
被害者たちを救えるのだろうか。復讐とは何かを問いかける衝撃のデビュー作!
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復讐法は、犯人が被害者に対して行った行為を刑罰 -
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ネタバレ虐めがテーマにあるから全体的に暗めだったけど、咲真と成瀬の微妙な距離感の中でお互いがいい影響を与えられる関係は本当に素敵。希望や目標を与えて合う、家族よりも深い絆があるように思えた。「誰の役にも立てなかった奴は天国に行けない。」という言葉は、多分誰もが怯える言葉なのでは?生きる意味とはみたいな抽象的で大仰なことを考えるのは好きじゃないけど、この本のおかげでどう生きるべきかを考えてもいいと思った。「弱さを武器にして生きたくない。」という言葉も刺さった。生きられるのに選択される死、生きたいのに選択さぜるを得ない死。命の重要性を問いかけ、連鎖する。咲真は成瀬や青柳の中で生き続けるのだろう。「命」とい
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読書備忘録917号。
★★★★★。
さすがっす。由香さん。最新刊も苦しすぎる。
由香さんを読んで苦しむシリーズ健在!
主人公、今井柊志。東誠出版で週間ウォッシュ編集部の社会班に所属。
同業の海雲堂から「ゴールドフィッシュ」という小説が出版された。
著者は雨宮世夜。
内容は・・・。自分が幼いころ起きた事件が描かれていた。
そして出版日は27年前に死んだ姉の命日。
雨宮世夜?誰だ?なんで知ってる!
時は1995年。柊志が姉の小代子と過ごした最後の夏。
柊志は3人きょうだいの末っ子。長男舜士19歳。長女小代子17歳。そして柊志6歳。
全員異父きょうだい。母親は育児放棄。家庭崩壊と飢える姉弟。
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『心から流れる血は透明だから誰も気づかない』
物語が始まってすぐに出てくるこのフレーズ。
ここからもう一気読みでした。
この世界に入り込んだら、もう戻れません。
二人の少年の苦しみがどこへ向かうのか、気になって、こちらも苦しくて、心配で本を閉じることができなくなってしまいました。
基本的にイジメの話です。
もう、本当に、イジメてくるヤツら○ねばいい。お前ら○ね!と思ってしまう。そのくらい、イジメのシーンが酷すぎて……イジメに苦しむ主人公成瀬の姿が痛すぎて……
同じクラスの咲真と出会い、咲真に翻弄されているうちに、成瀬の気持ちや二人の関係に少しずつ変化が現れ……最後はもう涙が止まらなかった。
イ -
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ネタバレこの本では、『人を信じる力』を試されます。
父が猟奇的な事件を起こし、悪魔の子と噂される少年。
その少年を、どこまで信じられるのか。
私は物語を読みながら、少年の肩書きや過去ばかりをみて、少年自身を信じてあげられなかった。主人公には信じていてほしいと願いながら。。。
すごい矛盾ですね。
過去や人の話や肩書き、家庭環境。
さまざまな情報をもとに、私たちは人を『こんな人だろう』と決めつけてしまうことが多い世の中だと思います。
けれど、真のその人を知るためには、ただ目の前のその人を見ること。共に時間を共有すること。信じることが必要だなと感じました。
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ネタバレ加害者の妹と、被害者の姉。
そんな立場にならなければ、永遠に続いていたであろう2人の友情に亀裂が入ってしまい、加害者の妹が自殺した(ように見える)結末を迎えてからの、その未来の話。
被害者の姉が書いた小説は、親友を悪者にしたかったわけでも、魔者に魅せられた愚か者にしたかったわけでもなくて、あの時無力だった自分に対する憤りと、親友に対する謝罪、そして、「自分が、魔物くらいに強かったら、こういう結末を迎えられたかもしれないのに」という幻想なんだろうなと、最後のエピローグを読んで思った。
「ふたりは、エスポワール」と言った魔物の言葉。あれは作者が魔物に自分を投影したからこその言葉だったんだろうな -
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なんか、こういう作品好きだぁ…ひたすら読んでいて苦しいけれど、個人的には好き!!
20XX年、凶悪犯罪増加に歯止めをかける目的で施行されたのが「復讐法」。被害者遺族は加害者に今まで通り旧法により裁かれるのを望むか、それとも自らの手で復讐をするのかを選択することができるというもの…。執行を見届けるのは応報監察官の鳥谷文乃…「復讐法」を選んだ被害者遺族の5つの短編集がこの作品です。
〇サイレン
未成年の少年にリンチ殺人された息子
応報執行者は父親
〇ボーダー
祖母を殺害した孫娘
応報執行者は母親
〇アンカー
心神喪失と偽り、無差別殺人を犯した青年
応報執行者は被害者たちの、母親 -
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週刊誌記者の柊二には、幼い頃に兄が殺人を犯し、姉が事故死したという過去があった。そして限られた人間しか知らないであろう姉と自分との思い出が、とある小説の題材にされていることに気づく。その小説の作者は何者なのか、そして何を伝えようとしているのか。真相を探り自らの過去とも向き合う覚悟をした柊二に、不穏な魔の手が迫る。スリリングで痛々しく、しかし穏やかな優しさと切なさも感じられるミステリです。
常々思うことだけれど、事件の加害者家族はなぜこれほどまでに苦しめられないといけないのでしょうか。親はまだしも、兄弟姉妹なんてとばっちりでしかないのにね。そしてその偏見や排除によって新たな悲劇が起こってしまうこ -
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一気読みしました。
福岡観光するのに飛行機の中で読む用に買ったのですが、読み始めたら止まらず、福岡着いても観光中も本の続きが気になって、観光は早々切り上げてカフェに寄り読み続けました笑
残虐な事件を起こす悪人。決して許されないことをしたことに変わりはないけれど、彼等はなぜ犯行に及んでしまったのか。彼等の生い立ち、バックグラウンドを考えずにはいられません。彼等の味方をするつもりはもちろんないけれど、彼等が出会う人が違っていれば、悪人にならずに済んだのではないか。表面的な出来事だけで人を判断して決めつけることは簡単。でもニュースで知らされる事実だけで、外から批判する人にはなりたくない。
人の -
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ネタバレ過去の事件から心を閉ざした主人公、星吾の心情が丁寧に描かれていて、とても惹き込まれた。
大学生になった星吾が嫌がらせを受けたり殺されかけたり危ない目に合うが最後の方まで誰が犯人か私はわからなかくて全員が怪しく見えてドキドキした。
やっぱり光輝…か…と思った時は、絶望的な気持ちになったけど、それでも光輝を1番に思う星吾に涙しました。
読み進めていくと、ちゃんと友情はあった、紗椰ともちゃんと惹かれあっていたとわかって、安心しましたし、結果みんなハッピーエンドで本当に本当によかった。
星吾の描いた絵のくだりも泣いてしまいました。
とにかく、心を完全に閉ざしていた主人公が徐々に変わっていくのがよかった