小林由香のレビュー一覧

  • ジャッジメント

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    死刑制度を国民自らの手で実行することができる日本で、執行者とそれを見守る監察官の繊細な心の動きが非常に詳しく表現されており、ショッキングな展開の連続に引き込まれてページをめくる手が止まらなかった。
    霊能者の話はSNS等の匿名での発言が主流になった現代で起こり得る生々しいものだと感じる。誹謗中傷を受けた執行者は心身共に弱り正常な思考ではいられなくなってしまう。表舞台に立つ人間に対するネット上の人間の無配慮さと集団圧力の恐ろしさを痛感できる内容で、著者は主題となるテーマの隙間にこういった話を挟み込むのが非常に上手いなあと感嘆した。

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    2022年05月07日
  • ジャッジメント

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    (第33回小説推理新人賞受賞) 

    大切な人が殺された時
    あなたは「復習法」を選びますか?

    そんな帯の言葉に惹かれて買った本です。

    20xx年、凶悪な犯罪が増加する一方の日本で、
    新しい法律が生まれた。
    それが「復讐法」

    「復讐法」とは、犯罪者から受けた被害内容と同じ事を、
    合法的に刑罰として執行できる法律。

    昔で言うなら、「仇討ち」のようなものなのだが、
    果たして、それで被害者の家族の気持ちが癒えるのかどうか・・・


    窓のない部屋の椅子に座らされ、
    鎖でつながれた加害者に対し、
    悲惨な復讐が始まる・・・

    刑を執行しようとする被害者の家族、
    それを見守る応酬監査官と

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    2022年03月26日
  • ジャッジメント

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    ネタバレ

    この世に復讐法がある世界の話
    復讐法の行使を見守る仕事側の目線

    とても重くて、とても重かった
    5つめの話が個人的に1番好み
    兄妹ともに虐待をされてて、妹のみが亡くなった。
    そにお兄ちゃんが妹のために復讐方を選ぶ

    両親は確かに憎いし復讐したいけど
    実は虐待の矛先が妹に向いたことで自分は安全だと安心してしまったその気持ちに苦しんでて、最終両親の解放を望んで自死を選ぶ
    主人公が仕事を投げ出して助けようとしたけど最終助からなかった

    わずか10歳

    読んでて苦しくてどうしようもなかった

    実際に復讐法があったらって今まで考えたこともあったけど改めて色々考えさせられた
    考えても正解なんてきっとないけ

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    2022年03月03日
  • チグリジアの雨

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    いじめの話は、本当に読んでいて辛い。
    親の離婚・再婚により引っ越した先の高校で、酷いいじめにあう主人公の航基。
    航基が増水した川に入り死のうとした時に出会った、謎のクラスメートの咲真。

    咲真は言う。「誰の役にも立てなかった奴は天国に行けない」「選択しろ。今すぐ死ぬか、それとも誰かの役に立ってから死ぬか」

    生と死、いじめの連鎖、重いテーマを若者向けのタッチで描いていて、とても読みやすかったし、咲真に感情移入して泣きそうになりました…。

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    2022年02月28日
  • 罪人が祈るとき

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    少年が住む町で、三年連続で同じ日に自殺者が出ます。学校でいじめにあっている少年は、この日に相手を殺して自分も死ぬつもりだったのですが、ピエロか現れて自分を救ってくれるという話をもちかけます。

    一日で一気に読み終えました。それほど、読み手を引き付けるストーリー展開です。

    この世の中、何が正しいのか、本当の悪とは何なのかをこのご時世、改めて考えさせられる一冊でした。


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    2022年02月27日
  • チグリジアの雨

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    前半は少し退屈する流れ。
    後半に盛り上がって来る。
    人はそれぞれ弱く、何らかの荷物を背負っている。
    そう考えれば周りの人にも優しくできる。
    お互いに知り合う事が難しい。そんな小雪。

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    2022年02月24日
  • チグリジアの雨

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     咲真。この物語の素晴らしさは彼の存在に尽きる。

     高校生の航基は母親の再婚をきっかけに田舎町に引っ越しをし、継父の勤める高校に通っている。 
     最初は順調にいっていた高校生活も、継父が女子高生にセクハラをしたという噂が広まりイジメのターゲットとされ、悲惨な毎日を過ごしていた。

     航基は遺書が5枚になったら自殺をしようと決意し、5枚となった翌日、河で入水自殺を試みるが、石をぶつけてくる不思議な少年、咲真がいた。

     同じクラスの咲真は、アンタッチャブルな存在で、誰も咲真を見えないように接していた。

     そんな咲真が一緒に復讐をしないかと誘ってきた。


    【ここからネタバレ】

     やっぱりと

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    2022年01月30日
  • 罪人が祈るとき

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    善悪の判断…法律の物差しを当てると複雑化しますね?他人の人生にピリオド打つ行為自体が、何をもってしてもまず“悪”である必要がある。そこは相手がどんな悪であろうと普遍なんですね。その巻添え食って残された遺族は本来どうあるべきなのか?

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    2021年12月28日
  • チグリジアの雨

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    SFかと思った
    チグリジアなんて初めて聞いたし
    紫の雨・・・とか

    でも、でも、こんなにいいお話だったなんて!!

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    2021年12月17日
  • チグリジアの雨

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    号泣!読んでいて、恥ずかしいくらいに涙が出て、鼻水が出て、泣いた泣いた。
    いい話だった。
    これは心強いはず。孤独を感じいている全ての人に読んでほしい。
    たくさんの人に勧めたい本。
    11月25日世界報復デーのメッセージが泣ける。その通りだと思う。
    「助けてください」と言おう。
    リバートントン→水切り。意味があった。最後まで読んで伏線が繋がった。
    上手くまとまらない。良書。
    いじめ問題。
    義父もお母さんも弟も、すごくウザいって感じていたけど、そうじゃなかった。
    最後まで読んだらわかる。
    石田さん、ありがとう。
    チグリジアの花言葉→あなたを誇りに思う。
    ググって出てきたのは、↓
    チグリジアの花言葉:

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    2021年12月11日
  • チグリジアの雨

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    虐めに遭い、自殺しようとした高校生・航基。彼を救ったのは、謎めいたクラスメイトの咲真だった。咲真の提案した「報復ゲーム」を実行するため、それまではとりあえず生きることにした航基。しかしいったい何をしようと、させようとしているのかがわからない咲真の態度は不気味にも思えたり。この物語にどのような結末が待ち受けているのか、目の離せない作品です。
    こういう題材を扱っているのだから当然といえるかもしれないけれど、とても痛々しい物語です。理不尽な理由から虐めに遭い、身も心も削られていく航基の気持ちがあまりに痛くて辛くて、「死ぬなんて考えないで頑張れ」とも言えない状態。とはいえ彼のことを親身になって心配して

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    2021年11月23日
  • 罪人が祈るとき

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    読みながら何度もいたたまれない気持ちになりました。何かあったら何でも言えばいい。当たり前に言う言葉かもしれないけど、本当に何かあった時に打ち明けることはができるのか…打ち明けてもらえるのか… そして何が罪なのか…心が揺さぶられました。

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    2021年11月09日
  • 罪人が祈るとき

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    ピエロが登場してITみたいで怖いと思ったら全然そういう話ではなかった。
    小粒と言えば小粒な作品ではあるけれど、とても考えさせられる内容でした。
    加害者と被害者、そして復讐と、以前読んだ『ジャッジメント』とも通じるようなテーマが感じられました。

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    2021年10月16日
  • イノセンス

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    中学生時代に恐喝されているところを助けてもらったのに、その後見殺しにし逃げてしまったことで世間から吊し上げられた少年。心を閉ざして生きてきたけれど、大学生になりバイト仲間に心を開き始めたところでまわりに不穏なことが起こり始める、というミステリー。

    自分を守ろうと、つい逃げてしまったことで取り返しのつかないことになってしまった…というのは誰にでも起こりそうで、私でもとっさに勇敢に動ける自信はない。その一瞬の誤った判断によって一生苦しまなければいけないのか…考えさせられる。

    救いのあるラストでよかった。あとおじいちゃんがとても素敵。

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    2021年09月12日
  • 罪人が祈るとき

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    いじめられてた少年とピエロが出会っていじめた少年たちを復讐していく。そして、ピエロの過去もわかってきて、、、最後の刑務所に風船を飛ばすのには結構泣かされました。

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    2021年08月14日
  • 罪人が祈るとき

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    内容は重いけれどスピード感があり、ほとんど一気読みでした。面白かった!
    自分だったら…本当に同じ立場になったら「殺人は絶対にいけないことです。」って言えるだろうか???…考えさせられる内容でした。イジメで未だかつて警察が動くことはほとんど無に等しく…そんな中で追い詰められたら。
    どうだろう?絶対にペニーを責められない、って思った。

    小林由香さんの本は、これが初めてでしたが「イノセント」も購入したくなりました。

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    2021年05月10日
  • 罪人が祈るとき

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    スラっと読めた。復讐劇なのか、同情も感じる1冊。愛が感じられるけど、何が良くて何が悪いのかとにかく感動!

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    2021年04月09日
  • イノセンス

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    ネタバレ

    読後、タイトルと装丁が哀しく痛い。
    星吾は加害者なんだろうか…とずっと思いつつ読みました。当事者としてみればそう考えるのは致し方ないと思うものの、全然関わりのない立場から見たら彼だってやはり被害者だよな、と私には思えます。
    たぶんこれはきっと登場人物みんな絡んでくるんだろうなと思いはしたけれどそういう展開ですかと予想の斜め上でした。結末は予想通りでしたが。
    「ジャッジメント」以来注目している作家さんの一人です。

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    2021年02月25日
  • イノセンス

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    自分にとって、大切な人がトラブルに巻き込まれ、理不尽な形で亡くなってしまったとき、きっと、多くの人がその命を奪った相手に対して"憎しみ"を抱くと思う。

    だが、もし、憎みに憎んできた相手が、自分と同じくらい"苦しみ"を背負って生きているとしたら、果たして、それまで抱え込んできた"憎しみ"はどうなるのだろう・・・。

    誰かを殺すということは、相手の命を奪うだけではなく、その人を大切に想っている、周りの人の心を殺してしまうことでもあるのかもしれない。

    そして、心を殺されてしまった人は、強い。守りたいと思う者がいなくなって、空っぽになって

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    2021年01月18日
  • ジャッジメント

    購入済み

    復讐は有りか?

    表題作で小説推理新人賞を受賞。この短編集がデビュー作となる。
    被害者遺族が同じ殺害方法で加害者に対して合法的に復讐ができるという「復讐法」が施行されている仮想世界の話。
    山田悠介さんの『復讐したい』が同様のテーマであるが、こちらの作品の方がリアリティーがあり、心情描写の深みがある。
    自分は死刑廃止論者だが、自分の家族が惨殺されてもなお極刑を望まずに信念を貫けるだろうか?
    ましてや、同じ手口で復讐するなんてことになったら、自分の心が壊れてしまいそうで、とてもできそうもない。
    正義とは何か?を考えさせられる小説。

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    2020年12月14日