小林由香のレビュー一覧
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ネタバレ母親の再婚で田舎の高校に転校して、いじめに遭う。
継父である高校教師が生徒にセクハラをしているという理由で…。
不条理な目に遭うたび心は削られ、誰にも相談出来ずに我慢の限界。
選んだのは「死」。
5つの遺書を書き、誕生日に河で死を決意した時にクラスメイトと会い、そこから報復ゲームへ参加させられることとなる。
いじめ問題というのは、テーマが重くて暗く心の中がもやもやとしてくるので好んで読まないのだが、これは自殺を少しでも考えたら手にしてほしいと思う本。
正直、本当に心が荒んでる時に読書はしないのかもしれないが…。
ここに書かれている遺書は、他人に向けた悪意なんて少しもなく、自分の変わりたい目標が綴られている。
だからかもしれないが、救いがある。
誰ひとりとして不要な人間なんていないと伝わってくる。
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Posted by ブクログ
ネタバレどれほど残酷な記憶だとしても、
君と一緒に過ごした日々を、
僕は永遠に忘れることはできないだろう。
今も世界のどこかで、
紫色の雨が降り続いているはずだから。
東京の中高一貫校から母の再婚によって転校した成瀬航基は転校先の高校の体育教師である継父が生徒の安藤菜々子にセクハラをしたという噂が流れ、クラス中の酷いいじめに遭います。
いじめの首謀者は絹川淳也で菜々子に好意を寄せる男子生徒です。
家族とも上手くいかなくなった航基は、遺書を書いて自殺をはかろうとしたところ、同じクラスの月島咲真に止められます。
そして航基は咲真の手引きによって同じくいじめに遭っていた青柳麻衣と共に三人で淳也を殺す一歩手前まで痛めつけます。
咲真は、11月25日を「世界報復デー」として理不尽に人を苦しめた奴らに同等の痛みを感じさせる日にするのだと言い放ち、航基のパソコンから世界中の子どもたちにメールを送っています。
全部ストーリーを紹介したいくらいですが、無理なので端折りますが、咲真はなぜか学校に来なくなり、航基は咲真の言葉によって真実を知ろうとし、継父の無実を知り、いじめていた生徒たちに自力で反撃します。
そして最後の第四章は涙腺のそれほど緩くない私でも涙なしには読めませんでした。
描いてある言葉、すべて書き写したいくらいですが、この作品に興味を持たれた方は読んでみてくださいとしか言えません。
航基と咲真の間にはこれ以上ない絆が結ばれていました。
咲真の世界に発信した想いも届けられるようにと願ってやみません。
私は日本の15歳から20歳の死因のトップがまさか自殺だとは知りませんでした。
そうした子どもたちにも是非読んで欲しい本です。
小林由香さんの本はこれで4冊目ですが、一番よかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレかなり感情を揺さぶられた作品だった。ほぼすべての章で涙腺に来るものがあった。良作。
設定は、殺人事件の被害者遺族が加害者に同じ方法で報復できる「復讐法」。一見すると「復讐は是か非か」を問う小説に見えるが、読んでいて自分が強く惹かれたのは、そこではなかった。
この作品では、復讐を執行する過程で被害者と加害者の間に対話が生まれる。
被害者は「なぜ大切な人を殺したのか」を知ろうとする。それは真実を知りたいからでもあるが、これから自分が行う凶行に「それでも相手は罰せられて当然だ」という正当性を得たいからでもあるように感じた。
ところが、相手の奥深くまで入っていくと、単純だったはずの因果が崩れていく。
加害者にも、そこへ至るまでの理由がある。
もちろん、理由があれば罪が消えるわけではない。それでも、その人にも過去があり、愛する人がいて、恐怖や弱さがあり、その行動に至った因果がある。
人は自分の理由を抱えて行動する。しかし相手に渡るのは、その「理由」ではなく「結果」だけなのだと思う。
だから被害者には加害者の理由が分からない。そして今度は被害者が、自分の理由を抱えたまま報復する。
世の中の悲劇とは、この連鎖なのかもしれない。
特に刺さったのが、
「私があのとき〇〇をしていなければ、今も〇〇は元気に笑っていたはずだ」
というような、存在しなかった未来を思う苦悩だった。
失った過去が悲しいだけではない。
自分が別の選択をしていれば存在したかもしれない「今」が想像できてしまう。その分岐に自分自身が関与しているからこそ、人は自分を責め続ける。
そして後半の『フェイク』『ジャッジメント』は、さらに残酷だった。
『フェイク』では、人気占い師に子どもを殺された母親が、偽りの情報によって自分自身を責めるようになり、最後には自殺する。自分には、情報戦を仕掛けた加害者側が勝ち、復讐法による正義が失われた結末に見えた。
表題作『ジャッジメント』では、ネグレクトによって妹を死なせた実母とその内縁の夫に対し、兄が「食事を与えない」という同じ苦しみを与える。しかし最後には兄自身が食事を取らなくなり死亡する一方、母たちは食事を与えられて生き残る。
ここでも復讐法による正義はなかったと感じた。
そして読み終えて、一つ怖いことを考えた。
この復讐法は、責任感が強く、優しい人間ほど先に罰してしまう制度なのではないか。
相手を単純な「悪」として処理できる人なら、復讐を終えて生きていけるのかもしれない。
しかし、相手の事情を知ろうとする人、自分自身の責任まで考える人、自分だけを例外扱いできない人は、相手を裁いた後、今度は自分自身を裁き始める。
そして、復讐を終えても人生は終わらない。
翌朝が来る。
自分がしたことを抱えたまま、その後の人生を生きなければならない。
法律による刑罰には終わりがある。しかし、自分自身による裁きには刑期がない。
だからこの作品で最も残酷だったのは、復讐そのものではなく、
相手を裁くためにその人の奥深くまで知ろうとした結果、最後には自分自身まで裁かずにはいられなくなることなのではないか。
復讐するか、しないか。
どちらを選んでも、それを選んだ人間の人生はその先も続く。
その人が自分を偽って生き続けるのか。それとも自分自身に最後の審判を下すのか。
『ジャッジメント』というタイトルが、読み終わった後に一番重く感じられた。 -
Posted by ブクログ
こーゆー育ち方した子どもは少年犯罪を犯すよね、の典型的な一例の生育歴をもった少年。
主人公も読者も、その少年の不気味さや何を考えているか分からない心情にミステリー作品と思い読み進めていく。
犯罪者になるかならないか、この少年は人を殺すのか殺さないのか、主人公(翔子)と少年(良世)の絆は深まるのか途切れるのか。。。
ある出来事をどのように受け取るか、考えるかは人によるし、解釈できる方向も心の安定具合にもよるよね。
子どもを養育することの難しさと尊さがテーマだけど、親も間違うことがあるし、子どもも何もわかってないわけじゃない。
それでも向き合い続けることって大事だなと思った。 -
Posted by ブクログ
私の本当の犯行動機を見つけてください、とクラスメイトを刺殺した少女は言った。その少女は小説の新人賞受賞の一歩手前で落選した。最初はそれが哀しかったからという犯行動機を語っていたが、取り調べが続くにつれてころころ変わっていった。その小説新人賞の受賞者は自分の作品なんかが選ばれたから少女が人を殺すことになったんだ、と責めるようになり、世間からも少女の方が面白いとかなんでこっちが大賞なんだという声が上がる。1人の少女の行動がさまざまなところに影響を与える。その責任はどこにあるのか。
その少女と向き合う篤志面接委員を通して彼女の動機を探っていくこの小説。
人の心理を描くのがうまく、心に残るフレーズがいくつもあった。作中に大人は正解を隠す、とあったが、確かにそうだなと思った。子供だからという理由で詳しく言わなかったり、本当のことを隠したり。親はいつまでも子供と思っているが、子供はそう思われるのが嫌なわけでそこの区切りが難しいなと感じた。人には善と悪の両面がある、だから難しいし、犯罪を犯したとしても更生していけるんだなと思った。いい作品だった。 -
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ハンムラビ法典のごとく「復讐法」という新しい法律が制定された架空の現代が舞台です。
著者のデビュー作ということですが大変センスのある発想力だと感じました。
大切な人を理不尽に凶悪な事件で喪った人達が、その犯人に同じ手口で合法的に復讐するという物語です。
その復讐の場面に立ち会う応報執行官という立場の若い女性職員が主人公です。
連作短篇集となっています。
復讐を望む人達の深い苦悩と悲しみが押し寄せてくる内容です。
私はとても涙脆いので、よくある展開だと思いながらもめちゃくちゃ泣いてしまいました。
どの事件も現実でよく起きているものです。
特に目新しい事件はありません。
それが逆に恐ろしいです。
よくある事件、よく聞く物語、と片付けてしまうのは心が麻痺している証拠でしょうか。
決して起きてはいけない凶悪犯罪を無くすにはどうしたらいいのでしょうか。
私はきっと復讐を望むタイプの人間です。
それに気付かされたことも少し怖いです。